※この作品はR-18です。

転生した俺、英雄になる   作:なうなす

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第五話 過呼吸

騎士長「追加の騎士が到着した。レックス……お前は一旦帝国へ戻れ」

 

 

 

騎士長「お前に……その報告は任せる」

 

 

 

 その命令に従い、一旦は帝都に帰ることになった。

 

 

 

 ──紙片を届けなければ。

 

 

 

 

 相変わらずの商店に響く大声に、少し苛つく。悪意なんて無いはずなのに、やけにその声が耳につく。

 

 そんな事を考えるうちに、バーザさんの実家に到着した。小さな屋敷だ。

 

 

 

バーザ母「あら、騎士さん?なにか用でも?」

 

 

 

 覚悟を決め、レックスはバーザの残した紙片を母親に渡す。突き出した自分の手は震えていた。

 

 

 

レックス「バーザさんは……」

 

 そう口にした瞬間、母親は崩れ落ちるように倒れた。

 

 

バーザ母「……う、嘘よ。なにを言うつもり?……ねぇ!ねぇ!」

 

 

 

 一呼吸おいてから、冷静にその事実を告げる。

 

 

 

レックス「バーザさんは戦死しました」

 

 

 

 バーザさんの母親は唖然とした顔で、事実を受け止められているようには見えない。

 

 そのまま膝から崩れ落ちた。

 

 

 

バーザ母「バーザ…バーザぁぁ!……。あぁ……」

 

 

 

 報告し終わり、重くのしかかる空気が満ちる場に酔いそうになり、そこに居るのが辛くなって帰った。

 

 目を背けたバーザさんの母親を背に歩く。

 

 

 

 

 

 わかってたじゃないか。人が死ぬ場所って。

 

 知ってたはずだろう戦場だって。

 

 なんで、なんでだよ。

 

 

 

レックス「クソッ。なんで……」

 

 

 

 あの時、俺が周りを見ていれば。

 

 あの時、あの時、あの時……。

 

 

 

 宿で吐きそうなほどに泣いた。

 

 泣いて、バーザの顔を思い出しては泣いて。

 

 知りたくもない喪失の苦しみを思い知った。

 

 

 

 ずっと後悔して、何もないのに謝って。誰もいないのに謝った。

 

 

 

 そんな状況で寝られるわけなかった。

 

 

 

 翌朝、基地に帰るために騎士隊詰所に向かった。

 

 そこでは、しばらく休めと言われてしまった。

 

 そしておとなしく宿へ戻った。

 

 

 

 

 もう何日経ったんだろう。

 

 やっとまともに歩けるようになった。少し休んだだけで体は健康だと訴えている。忌々しいな。

 

 皆がまってる。

 

 基地に帰らなければ。

 

 

 

 馬車に揺られながら、今を振り返る。

 

 本当なら、俺は現実に帰る為に戦っていたはずだ。

 

 でも何故か、今まで関わった人達。……いわば帝国に滅んで欲しくないと思っている。

 

 

 

 油断すればこうなるし、浮かれている暇なんて無い。

 

 覚悟しなければ。戦う覚悟を。

 

 

 

 手入れしていた剣は日を反射して輝いている。

 

 剣に映る俺は……テッペイでは無かった。

 

 ──レックスだった。

 

 

 

 ならば戦う理由は一つ。

 

 帝国を守ろう。この剣を振るう才能があるのなら。

 

 

 

 この角度の基地の景色は二度目だ。

 

 絶対に三度目は許されない。

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