魔法少女(格闘タイプ)が平和を守ったその陰で、ひっそりと失業した元幹部さんの新しいお仕事 作:米ビーバー
―――夢を、見ていた。
―――まるで魔法のような時間だった。
『これが欲しかったんだろ?』
少しだけ強引に、顔の前に差し出されたモノに少しだけ困惑したけれど、それで【彼】が喜んでくれるなら……
そう思って頑張ってご奉仕をしたんだけれど、やっぱり経験のない私では気持ちよくなれなかったみたいで……
頭に添えられた手を軸に荒々しく口の中を犯されているのに、苦しくて吐きそうになっているのに―――
“こんな私で気持ちよくなってくれてる”のが、嬉しい。
口内への射精がないまま引き抜かれたことが、少しだけ心に痛みを遺す。やっぱり私みたいな女じゃ……というどうしようもない劣等感が、心に柵を作っていく。
寝転んだ上に跨る様な態勢で、でも下の【彼】は動いてくれなくて……
『自分で動いてみたらどう?』って【彼】の意図が見えて―――
―――“あんな無様を晒したのに、まだ私に期待してくれるんだ”って、嬉しくなってしまって、自分でもびっくりするくらい乱れてしまった。
そうして、快感をむさぼるように腰を動かし続けていたら、ぎゅっと抱きしめられて……
『―――ごめん。気持ち良すぎてもう
耳元で囁かれる声に
「―――ぅん……いいよ。
子宮に届くほどの迸りを受けて、満たされていく感覚を感じながら眠りに落ちて行った。
「はい!……はい!すみません!!はい!申し訳ありませんけど直帰させていただきます!ええ、はい!」
電話口の向こう側には見えないのはわかっているのだけれどペコペコと頭を下げながら謝罪を繰り返す。
私が気が付くと、乱れた衣服でソファに倒れていて―――“下着を履いていなかった”。私の上に倒れ掛かる様に一緒に眠っていたのは先ほどの男性だった。こっちもズボンからおち、んちんが露出してる。
密室(だと思う) 男女 ともに下半身に何も身に着けていない
疲労困憊 時間の経過 これらのキーワードから導き出される答え……
「……あ……」
さっきまでの【夢】の内容を思い出して―――
「ぅわぁぁああああああああああああああ!!?」
絶叫する声にびっくりして男の人も飛び起きた。と、同時に現在時刻を確認して真っ青になって職場に連絡していた。
外回りで内見に出かけた社員が数時間音信不通とか鬼伝は確実。下手をすると警察案件……!!バタバタと物理的にも駆け回り、携帯電話を使って事務の方に連絡を取り、今日内見していた物件の報告書をまとめて、他を見て回る時間はなかったので後日ついでに確認することにして今回は適当に埋めておく。
そうしてどうにかこうにかすべての連絡、確認、報告、相談を終えて……
「―――すいません。説明、おねがいします」
ソファの上で所在無さげに座っていた男性にそう声を掛けていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 視点変更 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
唐突に耳をつんざくような悲鳴が響いて気絶から解放された。
目を開けると有馬さんがバタバタと駆け回っていて、電話を掛けたり鞄から書類を取り出して写メ撮ったりと色々やっていた。
とりあえずもう【暴走】の可能性はないだろうと判断して、念のために棒を手の内に握り込んで確認してみたが、全身を覆う様に広がってた【闇】は心臓の周辺辺りだけに鎮まっていたので、とりあえず何にもすることが見つからず、かといって「後で話がありますからね!」とばかりにこっちをチラチラと目力の籠った目で目線を決して外さないのでソファに座ったまま動けなかったりする。
そんなこんなで一通りやるべきことが終わったのか、有馬さんが「フゥーー」と長い長い溜息の様な呼気を行い
「すいません。【説明】、お願いします」
こっちを真っ直ぐ見て、そう言った。
正直迷うところではあった。【何をどれだけ、何処まで話すべきか】という点について。
実を言うと最初は楽観視していた部分があった。
というのもこの【虹色の鍵が飛び出す銀色の棒】、これにより【闇】を曝け出した相手はその前後の記憶から曖昧な部分が出来上がり、自分の【闇】を開かれて取り除かれる辺りの記憶は「何かいい感じに当たり障りのない記憶」に挿げ替えられるのだ。そのため、今回もイレギュラーではあったが、欲望を吐き出して消化した以上その辺りの記憶はシームレスに変換されるものだと思っていた。のだが
―――恐らく、だけど……有馬さん自身に【幹部候補生】の素質があったのだろう。
一般人と【幹部】の違い。それは【闇】に対する耐性と、適合性にある。
要するに、“闇を解放して、その闇を纏って戦うことが出来るという特性”、それが【幹部】の最低限の素養であり、それを持ってない人間は一生かけてもヒラのまま、らしい。 かく言う俺も、【闇】を纏って怪人態に変身できる。が、しない。
だって変身した姿が噂になったら絶対魔法少女が来るし(恐怖)
指先ひとつでパァン!が確定してるんだからそら逃げ回るでしょ……?
こう、どうしようもない状況なんで出来る限り愛想笑いを作った上で、そこら辺をチラチラとよそ見しながら聞いてみた、
「とりあえず、なんですけど……“どこまで話したらいいですか”?」
「全部、お願いします。全部」
あ、これ長くなるやつだ。
―――
俺はとりあえず【心の闇を解放して欲望を暴走させる不思議アイテム】についてと、【心の闇が積み上がったまま放置するとどうなるか】について説明した。
魔法少女だとかペスメーノスについては説明しても真面目に取り合うとは思えなかったし説明を省くことにしたのだ。
一通り説明を聞いた有馬さんは、テーブルの上に置かれた銀色の棒を手にとって、軽く持ち上げたり、ぐるりと全体を見回してみたり。このまま窓に当たる部分から外に向けて放り投げられでもしたら人生が詰むから気が気ではないんだが……
「……つまり、私が夢か何かだと思ってたことは現実にあったこと、なんですね?」
「え?……あ、ええ、はい」
唐突に話を切り出されて面食らってしまい、微妙にたどたどしい反応になってしまったが、肯定の意を示す。膝をすり合わせるようにもじもじそわそわと脚を震わせながら、有馬さんは続けた。
「今、貴方は無職で、職探ししようにもできないから、こうして寂れたビルで闇医者の真似事をしようとしていた。と」
「あぁ……はい。なんかすみません」
改めて考えると自分の無計画さに反省しきり。とはいえ真面目に普通に生命のピンチ、生活の、人生のピンチだったし……
そんな感じで徐々に徐々に深く深く沈んでいく俺に対して、なんか深く思案していた有馬さんはゆっくりと目線をこちらに合わせて来た。
「あの……提案、が……あります」
神妙な面持ちでそう語る有馬さんの目には、確かな決意が感じられた。
――― 《 場面 & 視点転換 》 ―――
「―――とまぁ、そういうものなんです」
《彼》の言葉を聞き終えて、少し思案に耽っていた。
つまりは、あの“夢”はただの“夢”ではないし、現実に起きたことだということ。夢うつつ気分で処女喪失!なんて、雰囲気に流されたとか、気を失っている間に……なんて考えたりもしたけれど、結果として起きた事実を把握して、整理して……最悪の事態を想定して血の気が引いた。
私がやったことって……詰まる所【初対面の相手に逆レイプ】なのでは……?
犯罪が過ぎる……!!でもこの場合私は心神喪失状態だったから……というか言い訳よりも相手の心情!!ぐるぐると思考を回しながらもどんどんネガティブな未来予想図が拡がっていく。
そっと相手の様子を伺うように視線を泳がせると、《彼》は深々と頭を下げていた。
「こんなことになってしまって申し訳ない」
「自分がきちんと【闇】の処理ができていれば怪人化は防げた」
「有馬さんとこうなることもなかった」
そんな風な言葉が飛び出してきて――――思ってしまった。
“あぁ、この人は誠実な人なのかもしれない”と。
そして同時に思ってしまった。
“私のはじめてを捧げた相手だしこのまま色々経験してあわよくば(この人との繋がりを、どうにかして保っておきたい)”と。
思考をフル回転させる。《彼》は現在無職。日々の暮らしもままならないから藁にも縋る思いで廃ビルを占拠して拠点にした。つまり住所不定無職。そして、「心の悩み相談」という職種。それらを総合して計算式を弾き出す。
「提案が……あります」
私が提案したこと。それは【セラピストなら資格が無くても名乗れます】*1というものだった。
公認心理士として資格を取るためには最低でも大学で専門の知識を学んで、種類によっては大学院まで進んで専攻し、国家試験を受ける必要がある。
が、「心理療法士」は職種であって資格が必須ではない。所謂“アングラ”な場所でひっそりと「闇医者」を職種とする。その上でひっそりと裏の口コミで評判を広げて一人で食べていけるようになろう。という設計図を引いて見せた。
―――無論。“そうそううまくいくはずがない”という見込みを隠して。
当座の生活費や闇医者として活動するためのうらぶれた辺りにある塩漬けの物件については職権を使って探し出して、頭金及びローンを組む際の資金などなどをこちらが負担する旨を伝え、「生活が安定したら返してくれたら良いので」と「命を救われた恩がありますので」で押し通した。
これならば、独身三十路間近女の「いずれ役に立つかもしれないと空しくたまる一方だった貯金」が底をつかない限り《彼》を養い続けることが出来るし、《彼》との繋がりは日を追うごとに強固になっていくだろう。私の心の中に残っている【闇】とやらについても、このまま同じように溜め込んでいくとそのうちまた限界を迎えると言っていたので、同棲することになるだろうし、都度「お願い」することで解消していけるという事情も解決できる。
あ、なんかこれすごく「恋人っぽい」かもしれない!*2
それから通信教育的なあれそれで、《彼》が最低限の教育を受けて―――
【心の悩み、解消します】という看板をひっそりと掲げた雑居ビルの一室が新たに誕生した。
<Data Base>
01:【 有馬・朱満乃 (ありま・すみの) 】
Age 2X歳() 身長 155cm 体重 48kg 3Size 80/56/78(怪人時 89/54/88)
不動産紹介会社勤務。外回りと内勤どちらもやっていく行動型社員。
普段から忙しく立ち回っていること、男性と自分から会話することが少ないこと、
同僚女子相手に会話してる時の雰囲気などから男性に話しかけられることが少なく、それが逆に自身への自己評価の低さにつながっているが、これまでの学生時代も含め、同じ会社の中でも隠れて狙っている人物は少なくない。が、致命的に噛み合わないために付き合った経験すらない。
なお「こんな自分でも抱いてくれた。こんな私でも良いと思ってくれてる」という自己評価低調ボンバーから拗らせまくっており、大分メンヘラの素質がある。
現在、主人公を囲い込んでおり、「建物や衣食住の面倒を見ている私は彼に必要とされている」という貢ぎ沼にハマりつつある。
この作品、どの方向に進む方がいいですか?
-
性癖拗らせヒロインたちとの邂逅
-
対応に困るお悩み解消相談室
-
主人公がカギで変身する特撮ネタ