強さを求めて。
父さん、ちょっと聞きたい事があるんだけど・・・」
「・・・なんだよティミー、どうかしたのか?」
初春も近付きつつある2月の後半。
その日、グランバニア城の支柱円錐塔の一つに昇り、屋上で日なたぼっこをしていた父王の下を、今年で16になる愛息のティムアルが尋ねて来た、今日は珍しくビアンカが傍におらず、ゆっくりと語り合えそうである、ティムアルとしてはまさに“狙い目”であった訳だ。
「父さん、僕さ?ようやく自分の剣術に少しだけ自信が持てるようになって来たんだ。でさ?今朝ふと気が付いたんだけど・・・。確かに僕は以前に比べたら段違いに強くなっては来たけれど、その事に意識を向けた時に“本当の強さ”って何だろうって。それに“自分は果たしてどれ位のレベルにいるんだろうか?”って、ナチュラルにそう思ったんだ・・・」
「・・・・・っ。あはははっ!!!」
息子の話を聞いていたリュカは最初は驚いて彼をマジマジと見つめた後に、声を挙げて笑い出した。
「・・・な、なにさ?そんなに笑わなくたって良いだろ。それに父さんは思った事はないの?“自分は強くなったなぁ”って」
「あははは・・・っ!!!はあぁ~っ、ティミー」
するとそんな事を真顔で話して来る我が子に対して一頻り、破顔した後でリュカが応えた。
「ティミー、君はさ?多分間違いなく強くなったよ。いいやそれだけじゃない、“大きくなった”んだ!!!」
「・・・“大きくなった”?」
訝しがるティムアルに対してリュカは暖かな笑みを浮かべて先を続けた。
「君はさ?自分に少しだけ自信を持てたがそれと同時に“自分はまだまだだ”と言う事を知っている。そしてそもそも論として“強さ”自体に興味を持ち始めている、一皮剥けた証拠だよ。これが未熟なヤツだとそれに溺れて調子に乗って、自分より目下の存在に絡んだり暴力を振るうようになると言うのに・・・」
「そんな事は、しないけど・・・。でもだけど、“一皮剥けた”ってのはどう言う意味なのさ?」
「君はさ?強さが単なる暴力では無い事を心の奥底では自覚しているのさ、だけど中々その答えに辿り着けずにいる。その葛藤が苦しみとなって現れて来ているのさ・・・?」
まだイマイチ要領を得ない“伝説の勇者”に対して“風の導き手”は落ち着いて告げた。
「ティミー、もっと大きく強くなりなさい。そして“大人”になるんだよ?どうかそのまま真っ直ぐに育って欲しいな・・・」
「・・・大人になる?なんだよ父さん、それってどう言う意味なんだよ!!!」
「愛を知り、人に愛されている事を知り、人を愛する事を知る。無邪気な子供を卒業してね?“大人になる”とはそう言う事さ・・・」
リュカがそこまで伝えた時だった、不意に彼の表情に緊張の色が浮かび上がり、同時に“しまった”と口走るがその直後にー。
「・・・やっぱり。ここにいたのね?」
「あ、あははっ。やあビアンカ、良い天気だねぇ・・・っ!!!」
螺旋階段から足音が聞こえて来たかと思うと“天空の花嫁”にしてリュカの最愛の王妃である“ビアンカ・エル・シ・グランバニア”その人が姿を現した。
「もうっ、あなたったら。どこにもいなかったからお城中を探し回っちゃったわ・・・?」
そう言いざまビアンカはリュカの逞しい肉体に撓垂れ掛かるようにして抱き着くと、乳白色のその肢体を彼に思いっ切り押し付けるが、対してリュカは笑いながらもどこかで“やっちまった”と言う感情が見え隠れしていた。
正直に言って、ここのところビアンカはリュカにずっとベッタリしておりいくら“大好き”で“愛してる”とは言えども彼だってたまには一人きりであれこれ考える時間を持ちたい、等と密かに希っていたのである。
「うふふ・・・っ。あ~なたっ、大好きっっっ❤❤❤❤❤」
「あ、あははっ。ビアンカ、僕もだよ・・・?」
とまあ、それはそれで愛妻に対する本心を告げたリュカではあったが、一方のティムアルは空気を読んで逃げるようにその場から立ち去ってしまっていた、ウダウダしていると見たくもない両親達のラブラブな姿を見せ付けられる事になるし、それに母親から“早くどこかへ言って!!!”と睨み付けられるからだ。
「ねえリュカ、お願いだから教えて欲しいの・・・っっっ❤❤❤❤❤」
「・・・んん?なにをだよ、ビアンカ」
「あの子と何を話していたの?母親として知りたいわ!!?」
最愛の花嫁にせがまれたリュカは“まあ別に隠すような事でも無いか”と思い、一部始終を正直にビアンカに語って聞かせる。
「あの子は“本当の意味での強さ”に興味を持ったのね?親としては喜ばしい事だわ!!!」
「うん、本当にね?よく育ってくれていると思っているよ・・・」
自分にしがみ付いて頬を寄せて来る愛妻王妃のハチミツ色の髪の毛を優しく撫でながら、リュカはソッとティムアルに思いを馳せた。
(ティムアル。本当の強さとはね?“許せないモノ”を許せる勇気の事を言う、それを人は“優しさ”と呼ぶ。真の強さとは優しさの事なんだ、だから本当に強い人と言うのは皆、
“そしてそうなった瞬間に”、“君は勇者を超えた存在になる事が出来るだろう・・・”。
そこまで考えが及んだ際に、リュカはふと寂しくなってしまった、何故ならば。
そうなったティムアルはもはや自分を一気に超越して遙かな高みへと飛翔して行くのだろうな、と言う事を感じ取っていた為である、“自分がどうやっても手が届かない存在になってしまうんだろうな”と言う事を理解していた為である。
“主ビア派”及び“ビアンカ派”の皆様方、御存知でしたか?
この度“ギガファイル便”と言うサイト様が“ドラクエ5での花嫁を誰にしましたか?”と言うアンケートを実施した所、2000人近くの方々から回答がありその内、1143人から支持を獲得してビアンカが見事に1位を取りました(しかも全体の66%の票を集めたそうでして、ぶっちぎりの1位です!!!)←ちなみにフローラは340票で2位(22%)、デボラは12%で3位でした。
皆様方これは素晴らしい結果です、ビアンカの人気や魅力が衰えていない事を表しています(本当に喜ぶべき事です)。
今後ともお互いに頑張って行きましょう!!!