That's insane! 作:解毒発酵DNA
ふふ………加速する書き溜め………
入院ギリギリの体調の元で生まれる文章………
キャラ濃いめのオリキャラたちがいます。苦手な場合は避けてください。
ウォルターが立てる『算段』を待つ間、621は暇なあまりに歩行器で歩き回っていた。
いくら足が自由に動かないといえど、運動程度はしなくてはならない。使うまでが大変なのであまり好きではないが、なんとかそれで歩いていた。
『レイヴン』
そんな中、エアの声が響く。
「なあに」
『どうやらアーキバスから依頼が来ているようです』
「ふうん?なんだろ」
『バートラム旧宇宙港の防衛のようですが………』
「ふうん………戦友の使ってるスライサーも欲しいし丁度いいね、しっぽ振りに行こう」
『はい』
端末を見ればたしかに、アーキバスからの依頼が入っている。この男の声も随分聞き慣れた、と思いながら、621はV.Ⅷ ペイターのブリーフィング音声を聞いたのだった。
『お久しぶりですね、独立傭兵レイヴン』
「そうねえ、最近話すのはラスティかベイラムだったもの」
『貴方がとりわけベイラム寄りであるのは有名な話ですよ、特に───』
ペイターの一言が落ちる。
『G5に関して』
警戒に621の声が低くなる。
「………あら、アーキバスって趣味が悪いの?」
『いえ?わざわざG4の遺体の一部と音声ログを回収したでしょう』
心臓が跳ねた。
ラスティとの合流前、解放戦線のMTたちをわざわざ丁寧に殺してまで回収したそれらの光景がよぎる。
潰れた血まみれのコックピット。
死んだ人間の臭い。
凍った身体。
顔も分からないくらいの、損傷。
その時はただ、『あの男が喜ぶだろうか』という程度の期待だった。
それだけだった。そんな単純な理由で彼の一部を連れていったのだ。
だから、今、心臓が跳ねたのはきっと、『迂闊だった』というそれだけのことであった。
「………なんで知ってるのよ、“持っていったのが遺体の一部”って」
『当然、使えるかの確認です』
「自覚なしで趣味が悪いのね?」
『まあ廃棄でしたが』
「気持ち悪いわね、心底………で、依頼は?防衛だったわね」
あの男の末路は、自分の中だけに留めておこう。『どうやって』なんて、今は最も聞きたくないものである。
思わぬ後味の悪さに眉を顰めつつ、ペイターに先を促した。
『ああ、失礼。貴女がV.Ⅳラスティとともに制圧した旧宇宙港ですが、近いうちに惑星封鎖機構が仕掛けてくるという情報が手に入りました。
重要なエネルギー拠点ですから、あちらも取り返したいのでしょう。そこで貴女です。
もちろんこちらも、現地に友軍を送ります』
「ふうん………」
『それに欲しい武装があると、V.Ⅳに言ったそうですね?おねだりをするなら相応の活躍をして頂かねば』
「………人の会話を聞く趣味が、そちらの第二隊長殿にはおありなのかしら」
『さあ?私は噂程度に聞くだけですから』
これだからアーキバスは。
いちいち嫌味か何かで人を不快にするノルマがあるのかと聞きたくなる。ラスティ以外。
『それではよろしくお願いいたします』
「はいはい、成功したらおねだりするわね」
『ええ。V.Ⅳに伝えておきましょう』
そうして通信が切れた。
顔を覆う。
今、自分はどういう顔をしているだろう。
どういう感情でいるだろう。
『レイヴン』
「………迂闊だった」
『………』
「企業が調べない訳ないわ、敵の強化人間の情報を………アーキバスなら………遺体がぐちゃぐちゃになるまで調べ尽くす………」
『衝撃を受けてしまったのですか』
「ちょっと、違う」
冷や汗が垂れた。
滲む嫌な汗が、端末を握る手を湿らせる。
「問題なのは、分かってた癖に、私を放置して咎めもしてないことよ。依頼中、そんな事したって分かってるのに普通に寄越して来るでしょ」
『………そうですね』
「大した情報じゃないから、って………思っておきたいけれど」
息をつく。
そうして言った。
「やっぱり情って、持たない方が良いわね」
情だって立派な情報である。それをむざむざと渡したことを後悔しながら、621は自分の愛機がある方角へと歩行器を進めて行ったのだった。
バートラム旧宇宙港は異様に静まり返っていた。オペレーションのために通信を繋げてくれているウォルターも、少し困惑に近い声を漏らす。
『静かすぎる』
「………戦闘後、みたいよね?ペイター曰く友軍も居るって話だった、けど」
『警戒しろ、621。俺も周りの精査を行う』
『全滅、でしょうか………』
エアとウォルターの声が同時に響く。
スキャンには何も引っかからなかったが、おかしいのは確かであった。
「………一旦降下する、ウォルター」
『わかった。気をつけろ』
「ええ」
MELANDERの角張った足が慎重に宇宙港の地面を踏んだ。やはりアーキバスは全滅、そして封鎖機構すらも倒れていた。
「………第三勢力」
『その可能性が………レイヴン!』
エアの声に、機体の目線を上にあげた。
何かがいる。
RaD製の見覚えのある頭が見えた。しかし覚えのない機体である。
そこに広域通信の音が入った。
『“レイヴン”、聞こえてる?』
『あれがあなたを騙る傭兵よ』
女のオペレーターの声だった。その機体は621の前に降り立ち、戦闘モードへと移行する。
「………ああ、そういうこと」
静かな闘志が燃え上がる。
「“前任者”ね」
返答はなかった。しかし構えられているパイルバンカーがその証明である。
アサルトライフルとリニアライフルが、同時に互いに向けられた。
「考えることは一緒よね」
『見せてもらいましょう、借り物の翼でどこまで飛べるか』
煽るような一言に笑いが漏れる。そうして冷えた声が漏れた。
「ナメないで頂戴」
相手の武装を確認する。
右腕はアサルトライフルだが、TURNERではない。おそらく連射力は劣るが1発が重いSCUDDERであろう。
パイルバンカーと2連グレネードは同じだ。付いている部位が違うだけで、さして変わるものではない。
左肩には小型の3連双対ミサイルだ。1度試したが結局今の6連装に変えた覚えがある。
「間合いが一緒だと面倒ね」
引き撃ちし続ける621に追従するレイヴン。
これならショットガンでも持ってくるんだった、と621は歯噛みした。リニアライフルではまだ蓄積が足りない。
『逃げ回るだけかしら』
「進んでつつかれたいワケ無いでしょ」
『いつまで持つかしらね』
「結構あるわよ、なんてったって………」
6連装ミサイルとリニアライフルの弾が直撃し、レイヴンがスタッガーしたのが見える。
パイルバンカーは使わずグレネードで狙い撃つ。直撃したがリペアキットを使われた。
「これ、レッドガン愛用だし」
『………自由の象徴が企業に肩入れなんてね』
「普通にしてるわよ、私」
621が足を止めた隙に、つっこんできたレイヴンがアサルトアーマーを展開する。
わかっていた621もまた、アサルトアーマーを返した。
「分かってるわよ、ナメないでって聞こえてなかったかしら?」
『………!』
「もっと分かるように言わなきゃダメ?」
パイルバンカーを構える。
「甘いわよ」
『レイヴン………!』
オペレーターの声が響く。ギリギリ仕留められなかった。またリペアキットを使われたのが見える。
「浅かったわね」
『レイヴン、APが』
「ええ、エア」
こちらもリペアキットをひとつ使った。
また消耗戦じみた追いかけっこの始まりである。
「楽しいかしら?私は楽しいけど」
『また逃げ回っているだけなのね』
「つつきたいみたいだから遊んであげてるのよ」
リニアライフルも6連装ミサイルもこのグレネードも、何もイグアスが使ってた、レッドが持ってた、ヴォルタが着けてた、とかそんなアホみたいな理由ではない。
普通に強くて便利だと思ったから買って使っているのだ。全員に等しくアリーナでボコボコにされて、とても悔しかったから。
「それよりただつっこんできていいのかしら」
『レイヴン!』
「警告が遅いわよ、オペレーター」
チャージしたリニアライフルの弾が、近づいてきていたレイヴンに突き刺さる。
『第四世代型だというのに………この動き………!』
「煩いわねその人」
ことある事に、イグアス以外からも『第四世代型のくせに』と言われる。
イグアスが言うなら同類であるのと自虐含めて流せるが、このように世代で侮ってくる馬鹿者どもはやはり気に入らない。
「まあスネイルよりはマシだけど」
あの偉そうな男を思い出してさらに苛立ちつつも、ミサイルとリニアライフルを撃ち続けた。
しかし動きに慣れられてきたのか、避けられることが増えている。
「………はァ………」
面白くもなければ、しかしつまらないと断定出来るほど弱くもない。
ただただ消耗戦であることにうんざりしていると、距離を詰められてしまった。
「あっ」
衝撃。パイルバンカーに貫かれかけた後にアサルトアーマーの予備動作が見えたので、少し待ってからこちらもアサルトアーマーの入力を入れた。
スタッガーしても受け付けてくれてありがたい限りである。
「集中切れちゃった」
『レイヴン、しっかり。バイタルが少し落ちてきています』
「うん」
距離を取ってリペアキットを使った。
「あなたもレイヴンだものね」
『………』
「お喋りは嫌いなの?鴉っていっぱい鳴いてお話するって聞いてるけど」
そのままミサイルを撃ちつつ突っ込んでいく。
急に動きが変わった621から距離を取ろうとしたレイヴンに、構えたパイルバンカーを地面すれすれを滑らせるように突き上げた。
「寂しくなるわね」
『レイヴン………』
コアを貫かれ吹き飛ぶ機体を見つめる。
そこに、オペレーターの女の声が響いた。
『そう………見届けようというのね………』
勝手に師匠ヅラするな、と言いたいところではあったが。しかし名義を奪って本人を殺したのも事実。
特に何も返さずに、621は宇宙港を後にしたのだった。鴉の残骸は、最後まで何も言わずにその場で燃えていた。
一方イグアスはといえば、レッドガンの拠点内にある5番ドック────ヘッドブリンガーの目の前で、自分の整備担当と言い合っていた。
「はァ〜!?出撃ィ!?お前ネルソンに無茶ぶって今度は俺かよッ、ふざけんじゃねえ!」
「いいからやれラプラタッ、てめえしかいねえんだよ!」
「やめろやめろ、俺はそんなんで動かねえからな!」
そうやって掴み合いながらぎゃあぎゃあと言い合っていると、呆れたように後ろから声がかかる。補給統括などという仰々しい肩書きに合わない、地味な顔がそこにあった。
「G5、邪魔っす」
「言うようになったじゃねえかタムてめえ………!」
「だって邪魔っすもん」
焦りのあまり、掴んでいるラプラタの服に力を入れてしまう。時間が無い。
オールマインドが提示した依頼までの期間は随分短く、本当にギリギリで動き出すこととなっていた。
「何そんな焦ってんですか」
「………チッ………!」
「言わなきゃこっちもどうしようもねえっす」
静かな目だ。
全くあの医務官といいコイツといい、妙に冷静で苛立ちが募る。
「………確かめてえ事がある………!なにかは言えねえ、今は………ッ」
「うーん、だそうですけど」
そうタムが言うと、ラプラタが食い気味に返す。
「嫌に決まってんだろッ、あの後ネルソンがポトマックさんと総長にどんだけ怒鳴られてたと思ってんだ」
「てめえも腹括れッ!!!」
「なんでテメエのためにそこまでしなきゃいけねえんだッ!!!」
その言い合いに、なんだなんだとほかの整備班連中も近寄ってきた。
「頼む」
普段は言わない言葉が出る。
騙すつもりで言っている。この言葉をそうして安く使っている。
そんな事に今更罪悪感など無いはずなのに、今は何故か、この場で自分を引き裂いてやりたい気分になる。
「………ッお前なあ………」
「うわ〜珍し………じゃあ俺もちょっと誤魔化したげますよ、どこまで行くんすか」
そう言ったタムに、ラプラタがはあ!?と声を上げた。
「赤信号みんなで渡りましょ」
「お前自殺志願者かよ」
「これでも統括官なんで死にゃしねえっす」
タムのそんなフォローなんだかよく分からない言葉が入る。何故そんなことをするのかは理解できなかったが、都合がいい。
しかしどう言うべきか。
何を言うべきか、そうして迷って結局口にしたのはこんなことだった。
「俺と一緒に殴られろ」
「最悪だな」
ラプラタはしばらく唸っていたが、口にする。
「どこに行く気だ」
「ヨルゲン燃料基地だ」
「………タム」
「周辺の補給路確保任務があるっス、10kmは離れてますが、ACなら余裕っしょ」
「………はぁーーーーー………」
睨むように見上げられる。
じっと見つめ返せばラプラタは、しょうがねえな、と言った。
「言っとくがてめえのためにやるんじゃねえからな」
次に出たのは、思ってもない名前だった。
「ヴォルタの頼みだからだ」
なんでアイツの名前が出る。
そう言いそうになった自分の言葉を先回るように、ラプラタが言った。
「死ぬ前に言われた」
「………、」
「これでテメエ、あの女に会うとかしやがったらマジで金輪際協力しねえからな」
レイヴンのことを指したと思われる一言を言って、ラプラタが足場の下へと降りていった。怒号に近い整備指示が聞こえてくる。
それを聞いてタムも笑いつつ、後ろ手を振った。
「G6も上手いこと丸め込んどくんで、アンタは準備しに行った方がいいッスよ」
「なんでテメエまで」
「だって」
タムは本当に可笑しそうに笑った。
「アンタ嘘つくのそんなド下手だったんだって思って。だから賭けに負けるんスよ」
「余計なお世話だクソ………」
そうして、驚くほど短期間で整備を終えた整備班と補給隊のおかげで、自分はヨルゲン燃料基地の付近10kmまでやって来たのだった。
ここで価値を示せねばレイヴンがどういうつもりか、オールマインドは何を考えているのか、分からないまま自分は処理されるだろう。
苛立ちとわけの分からない焦燥が募る。
『んじゃG5、誤魔化しが効くのは1時間!それ以上超えたら俺もアンタもラプラタさんも、拳1発じゃ済まねえッスからね』
「分かってる、とっとと終えてくる」
『お気をつけて』
タムからの通信が切れた。
そのままアサルトブーストを吹かしてヨルゲン燃料基地に近づくと、暗号通信が入ってくる。
『G5 イグアス、作戦開始時刻に無事に到着したようですね』
「うるせェ、輸送ヘリの撃墜だったな」
『はい。僚機として独立傭兵、ケイト・マークソンをお付けします。ただ彼女の処理能力にも限界がありますので、撃ち漏らしは5機程度に留めてください』
「ケッ、要らねえよンなもん」
しかしまあその強がりも、長くは持たなかったが。
EN不足で着地した隙にLC機体に狙われ、ヘリはこんなもん1人でできるか!とキレそうになる量が居るし、そもそもシールドが完全に武装枠をひとつ潰していた。
何とか基地内のは潰したが、橋を渡った奥からまたぞろぞろと輸送ヘリが湧いて出る。
「だああっクソ!やることが多いにも程があんだろッ、おい!僚機は今何してるッ」
『2体目の撃ち漏らしを撃破したところです』
「クソが………!なんでこの程度にそんだけかかってる………!」
自分が撃ち落とせばいいというのはそうなのだが、にしたって5機は少ないだろうが。
苛立ちながら妨害してくる機体を撃ち抜き、舌打ちをする。
『くそっ、ベイラムめ、一体どこから聞きつけた………!』
『早くヘリを出せ、1人なら撃墜にも限界があるはずだ!』
「チッ………ナメてんじゃねえぞッ!」
マルチロック機能を使い、ミサイルを放つ。
着弾を見てからサブマシンガンを撃ち込み、逃げそうになった残りの1機はリニアライフルのチャージショットで撃ち抜いた。
「はァ………終わりか?」
『2波目が来ます、イグアス』
「気安く呼ぶんじゃねえ、殺すぞ」
確認できた方へ突っ込んでいく。数が多いならもうこうするしかねえ、と、命令してつけたばかりの拡張機能を使った。
『ぐあっ!?』
『アサルトアーマー………!くそっ、1回引け───』
「うざってえッ!逃がす訳ねえだろうがッ!」
逃げようとした輸送ヘリをサブマシンガンで撃ち抜く。
漏出したコーラルで、ヘッドブリンガーのAPがかなり削れていた。
「チッ………忘れてたな、クソっ」
『G5 イグアス、作成領域内から離脱間近の機体がいます』
「あァ!?クソッ、撃ち漏らしか」
『3体目です』
「分かってんだよ、いちいち言うんじゃねえッ!」
いちいち報告してくるウザったさにも更にキレそうだったが、いつ終わるのかと言いたくなる物量にも腹が立つ。
そして行動時間の少なさにも、徐々に焦りが募っているのを自覚した。あと20分で全て殲滅しなければ、オールマインドの依頼を完了して戻ってもミシガンに何を言われるか分からない。
「クソが………!おい!まだあんのか!」
『はい。これで最後でしょう』
更に奥から輸送ヘリが一気に現れた。
舌打ちしながらアサルトブーストで進んで行き、護衛の鹵獲されたLC機体やHC機体を破壊していく。
「ゴミが一丁前に警告音なんざ鳴らすんじゃねえ」
『くそっ………話と違うぞ………!』
『旧型の強化人間で、ここまで、』
それが聞こえた瞬間に、自然と機体の手が動く。撃ち抜かれたHC機体が、下の川へと墜落していった。
「………」
『なんだ、怒ったのか?』
「はっ………」
そうだろう。
ナメてんじゃねえ、という言葉すら出ることはなかった。口角が上がる。随分とふざけたことを抜かしてくれたものだ。
「旧型に負ける気分はどうだよ、新型サマ」
返答を聞かずに最後の1機を撃ち抜いた。
感傷に浸っている場合ではない、輸送ヘリを撃ち落とせなければ全部が無駄になる。
マルチロックでヘリを追尾させつつ近づき、サブマシンガンとリニアライフルで撃ち抜いて落としていく。
「………ケッ………」
間に合わねえな、と思った1機が離脱した。
撃ち漏らしていいのはこれで、あと1機だけである。
焦りはあるが冷静である自分を確認し、ミサイルとサブマシンガンを構える。1機、また1機と落とし、最後の離脱間近の機体に向けて、白熱したリニアライフルを構えた。
「これで終わりだ」
発射音が響く。
コーラルの赤い爆発を伴って、最後のヘリが爆散した。
「………はァ………」
行動時間は残り10分だった。アサルトブーストなら戻れるだろう。そう思いながらヨルゲン燃料基地を後にしようとしたところで、オールマインドの声が響く。
『G5 イグアス、想像以上の働きでした』
「お眼鏡にかなって何よりだ、次はもっと早く依頼しろ」
『承知しました。報酬や今後の件に関しては、また連絡を差し上げます』
「使うなら今度はレッドやミシガンを誤魔化す理由もつけておけよ、面倒くせえ」
『そこは貴方にお任せします』
「チッ」
舌打ちを返して離脱する。
オールマインドにそれ以上声をかけられることはなかった。
とにかく戻らねば、あの2人が作った時間が無駄になる。
基地を飛び去っていくヘッドブリンガーを、オールマインドが用意した僚機“ケイト・マークソン”が崖上からジッとカメラを動かして見つめていた。
『ええ、本当に、予想以上の働きでした』
喜色を浮かべたオールマインドの声が、何も無くなった基地に静かに響いていた。