TS娘が支配欲の強い先輩に無理やり孕まされる話 作:世界一位
小鳥のさえずりと、カーテンの隙間から差し込む朝日で目が覚めた。
意識が浮上すると同時に、下腹部にずしりとした重みを感じる。
「……ぅ、ん……」
身体を起こそうとして、腰に走る鈍痛に顔をしかめた。
シーツが擦れるたびに、昨夜の記憶が鮮明に蘇る。
そして、中出しされた瞬間のあの感覚。
お腹の中には、まだ先輩が注ぎ込んだものがたっぷりと残っているような違和感があった。
(……結局しちゃったんだ、僕)
隣を見ると、響也先輩が規則正しい寝息を立てて眠っていた。
整った顔立ち。長く伸びた睫毛。
昨夜、獣のように僕を貪っていた人と同一人物とは思えないほど、その寝顔は無防備で、幼くさえ見えた。
(……悔しいけど、やっぱりイケメンだよね、この人)
あんなに乱暴に、酷いことをされたのに。悔しいけれど、同性の僕から見ても非の打ち所がないほど綺麗な顔をしている。
そんなことをひとりでごちながら見つめていると、ふと、掛け布団がずり落ちて、先輩の広い肩が冷たい空気に晒されているのに気がついた。
(……風邪、引いちゃう)
怒りや後悔よりも先に、そんな心配が湧いてきてしまう自分が恨めしい。
僕は痛む身体を引きずって起き上がり、はだけていた布団を先輩の肩までそっと掛け直した。
床には、昨夜の残骸が散らばっている。
破れたゴムの箱、丸められたティッシュ、脱ぎ捨てられた僕の服。
それを一つ一つ拾い上げ、ゴミ箱に捨てていく。
ほいっ、ほいっと。
丸めたティッシュを捨てながら、小さく息を吐く。
昔から、誰かの世話を焼くのが僕の性に合っていた。幼い頃から女の子みたいだと甘やかされて育った分、それに反発するように「僕がみんなの役に立ちたい」と自然に身体が動いてしまう。そうやって立ち回るのが、僕にとっての当たり前の日常だったから。
無防備に眠る先輩を見ていると、昨夜の痛ましい記憶や、自分自身の無知な失敗すらも脇に置いて、つい甲斐甲斐しく尽くしたくなってしまうのも、きっとただの僕の性格だ。
僕がちゃんと、この人の役に立てるように。お世話をしてあげられるように。
それが、幼い頃から与えられていた愛情に対する『弁済行為』のような強迫観念であり、他人から付け入られる隙だらけの危ういコンプレックスだなんて、僕自身はこれっぽっちも気づいていなかった。
「……ん。……ゆき?」
片付けを終えた頃、ベッドから寝ぼけた声がした。
振り返ると、先輩が薄目を開けてこちらを見ている。
「あ、おはようございます。先輩」
「……おはよう。何をしてるんだい? そんな格好で」
「えっ? あ、ちょっと部屋を片付けてて……」
「馬鹿だなぁ。そんなことはホテルマンに任せればいいのに」
先輩は呆れたように笑って、手招きをした。
僕がおずおずと近づくと、その長い腕が伸びてきて、力強く抱き寄せられた。
「わっ!?」
「でも、嬉しいよ。……君は本当に、いいお嫁さんになりそうだ」
「な、なに言ってるんですか……」
耳元に落ちた低く甘い声に、僕はカッと頬を熱くして俯くしかなかった。
ただ
ましてや「お嫁さん」だなんて。まだ自分のことを男だと思いたい僕にとっては、ちっとも褒め言葉じゃない。ただからかわれているようにしか聞こえない、不本意な言葉のはずだった。
――それなのに。
その単語を鼓膜が拾った瞬間、頭の奥で昨夜の焼け付くような記憶がフラッシュバックする。たっぷりと先輩のものを注ぎ込まれたお腹の奥の重みが、その言葉を待っていたかのように、きゅん、と勝手に甘く疼いたのだ。
(どうして……っ)
あんなに痛くて、酷いことをされたのに。逃げ場のない腕の中に閉じ込められ、大きな手で優しく髪を撫でられていると、恐怖や怒りよりも先に、どうしようもないほどの『安心感』が身体の芯からじんわりと溶け出していく。
頭では否定しているのに、身体だけがご褒美をもらったように喜んで、この腕の中にすがりつこうとしている。
自分の意志と身体がちぐはぐに分離していくような、恐ろしいほどの戸惑い。
それが、僕という人間が根本から壊れ――先輩にとって都合のいい『メス』へと書き換えられ始めている証拠だとも気づかずに。
週明けの学校。
放課後の廊下は、文化祭の準備に追われる生徒たちで活気づいていた。
「あー、もう! これ、一回じゃ運びきれないよね」
「あと三往復くらいかなぁ……誰か手の空いてる人いない?」
実行委員の女子たちが、山積みになった段ボールの前で途方に暮れている。
それを見た瞬間、僕は自然と足が向いていた。
「あ、あの……よかったら、僕も手伝おうか?」
「えっ? 雪兎ちゃん!」
女子たちがパッと顔を輝かせる。
けれど、すぐに申し訳なさそうな表情で僕の顔を覗き込んだ。
「でも、これ結構重いよ? ……雪兎ちゃん、なんだか今日、顔色悪い気がするし」
「そうだよ、無理しなくていいよ。……でも、いいのかな? 助かるけど……」
みんな、優しい。
僕を気遣いながらも、断りきれない僕の性格をどこかで見越して、期待の入り混じった視線を向けてくる。
それが負担だなんて、微塵も思わなかった。
「平気だよ。……これ、あっちの資料室までだよね?」
「うん、そうなの! ほんとにごめんね、いつも。……あ、ありがとう!」
「雪兎ちゃんがいてくれて良かったー。助かる!」
当然のように受け入れられた感謝に、僕は曖昧に笑って段ボールを持ち上げた。
「……よいしょっ」
ずしり、と重みが腰や腕にのしかかる。
(……おもっ)
男の身体だった頃なら、これくらいの段ボール、なんてことなかったはずなのに。
女の子の華奢な骨格と筋力では、想像以上に負荷がきつい。安請け合いしてしまったことを一瞬だけ後悔するほど、あっさりと腕が震え始める。
おまけに、昨夜の激しい行為で酷使された腰がギリッと悲鳴を上げ、下腹部の奥でたぷん、と何かが重たく揺れた気がした。
精液の名残か、あるいは錯覚か。
脂汗が滲む。足が震える。
けれど、僕は笑顔を崩さなかった。
(これくらい、大丈夫。……それに、こんな重い荷物を女の子たちに持たせるわけにもいかないし)
自分だって、今やすっかりその非力な『女の子』の身体なのだが。
内心でそんな自嘲めいた皮肉を浮かべながらも、僕は荷物を抱える腕にぐっと力を込めた。
昔からの癖だ。無理をしてでも誰かの役に立って、他人を助けてあげる。そうやって誰かのために動いている時だけは、自分の中の何かが保たれている気がして落ち着くのだ。
それが、失ってしまった本来の自分――男としてのちっぽけな尊厳を埋め合わせるための、無意識の代償行為だとは気づかないまま。
僕はよろめきながらも、一歩を踏み出した。
その時だった。
「――貸してごらん」
スッ、と。
僕の手から、嘘みたいに軽く荷物が取り上げられた。
ふわりと漂う、知っている香り。
「あ……」
「せ、生徒会長!?」
そこに立っていたのは、涼しい顔をした響也先輩だった。
先輩は僕が抱えていた段ボールを片手で軽々と持ち、穏やかな笑顔を女子たちに向けた。
「みんな頑張っているね。でも、これだけの量を彼女一人に任せるのは、少し酷じゃないかな?」
「す、すみませんっ! 雪兎さんがやってくれるって言うから、つい……」
「あはは、気にしてないよ。ゆきは優しいからね」
先輩は爽やかに笑って、ふと、思いついたように問いかけた。
「ゆきは、いつもこんな風に手伝いを引き受けているのかい?」
「はいっ! 雪兎ちゃん、誰のお願いでも嫌な顔ひとつしないで聞いてくれるんです!」
「そうそう! この前も一人で残って作業手伝ってくれたし、ウチのクラスの救世主っていうか……本当に便利で、いつも頼りっぱなしで!」
悪気のない、無邪気な称賛。
僕にとっては息をするのと同じくらい些細な日常を、クラスメイトたちは特別なことのように嬉々として先輩に語って聞かせた。
(そんな、大げさな……)
大したことをしたつもりはないのに過剰に褒め上げられているようで、なんだか気恥ずかしい。次第にひどく居心地が悪くなってきて、僕は照れ隠しに、助けを求めるようにふと先輩の顔を見上げた。
「……へえ。そうなんだ。ゆきはずいぶんと『みんなに優しい』んだね」
先輩は爽やかに笑っている。
誰もが憧れる、理想の生徒会長の笑顔だ。
けれど、僕にだけはわかった。
女子たちの無邪気な言葉を聞くにつれて、その笑顔の奥にある瞳が、みるみるうちに氷のように冷たく凪いでいくことに。
……。
背筋を冷たい汗が伝う。僕は何か、先輩の気に障るようなことをしてしまっただろうか。
ただ困っているクラスメイトを手伝おうとしただけなのに。怒られるような心当たりはまったくない。
それなのに、僕一人にだけ向けられているその静かで底知れぬ怒気にあてられ、心臓が不安で嫌な音を立てて早鐘を打つ。
「でも、残念だけど彼女は借りていくよ。生徒会で急ぎの用事があってね」
「は、はいっ! どうぞどうぞ!」
「雪兎ちゃん、ありがとうね! 会長も、ありがとうございます!」
女子たちは頬を染めて手を振り、先輩はそれに優雅に会釈で応えた。
そして、僕の肩を抱き寄せると、耳元で低く囁いた。
「……行くよ。少し、お説教が必要みたいだね」
その声の冷たさに、僕は背筋が凍りついた。
連れてこられたのは、放課後の静まり返った生徒会室だった。
鍵をかける音が、カチャリと響く。
「あの、先輩。急ぎの用事って……」
僕が言い終わるより早く、腕を引かれ、冷たい革のソファへと押し倒された。
そのまま先輩が上から覆いかぶさってくる。
翻った制服のスカートの裾から、大きな手が滑り込み、下着越しに僕の秘部を撫で上げた。
「うわっ……!? ま、待ってください、先輩っ!」
「……名前」
僕を組み伏せたまま、ひどく冷ややかな声が降ってきた。
見上げた瞳には、先ほどの廊下での作り笑いなど欠片もない、底知れぬ暗い怒りが渦巻いている。
「有象無象の連中と同じ『先輩』なんてどうでもいい肩書きで、俺を呼ぶな。……俺の名前は?」
「あ、ぅ……せ、響也、さん……っ」
「いい子だ」
満足げに細められた瞳に射すくめられながら、僕は慌ててその手を止めようと言葉を紡いだ。
「こ、ここ、学校ですよ!? それに僕、まだ段ボール運ぶの途中だし……っ」
「あ、あのっ、頼まれごとが終わってからなら、ちゃんと……せ、セックスも付き合いますから。いくらでも中に出していいから、だから今は待って……響也さんっ」
僕なりに必死に宥めようとした。
響也さんはただ性欲を持て余して、急に僕を抱きたくなったのだと思ったからだ。後でちゃんと奉仕するから、今はみんなの手伝いを優先させてほしい。
それは僕にとって、ごく当たり前の提案だった。
しかし、その言葉を聞いた響也さんは、ピタリと動きを止め――ひどく冷ややかな、それでいて呆れたようなため息をついた。
「……何もわかってないね、ゆきは」
「えっ……?」
「まぁ、そこが最高に可愛いんだけど」
ちゅっ、と。
優しく、けれど一切の逃げ場を塞ぐような、重たいキスが降ってきた。
「んんっ……ふ、ぁ……っ」
「俺を優先しなきゃダメだよね。ゆきは俺だけのものなんだから」
「は、あ……っ。でも、響也さん、みんな困ってて……僕がやれば、早く終わるし……っ」
唇が離れた隙に抗議する僕を、響也さんは暗く濁った瞳で見下ろした。
「ほら、また他人の話だ。君は本当に、無自覚に他人に自分を安売りするね」
「安売りなんて、してません……っ! ただ、普通に手伝おうとしただけで……」
「それがダメだと言っているんだよ。……言葉で言っても理解できないなら、身体の奥までわからせないとダメみたいだな」
バリッ、と。
下着が乱暴に剥ぎ取られる。
昨夜の行為でいまだに熱を持ち、敏感になっている秘部に、長い指が容赦なく侵入してきた。
「あっ……! い、やっ……だめっ……!」
「ほら、昨日の俺の精液が、まだこんなに残ってる。こんなにだらしなく濡らして、俺のモノを欲しがっているじゃないか」
クチュッ、ジュプッ……と、静寂の生徒会室に、およそ似つかわしくない卑猥な水音が響き渡る。
外の廊下からは、まだ文化祭の準備をしている生徒たちの足音が微かに聞こえてくるのに。
「あ、あぁっ! や、だめ、おかしくなっちゃうっ……!」
くちゅくちゅくちゅくちゅくちゅ……♡
激しい愛撫に、あっという間に視界が白くチカチカと明滅し始める。
指が一番敏感な場所を執拗に抉り、僕の思考を真っ白に染め上げていく。
ダメだ、我慢できない。昨夜教え込まれた強烈な快感が、残っていた理性をあっさりと呑み込んだ。
「あ……いくっ、せんぱい、いきま――っ!」
僕の身体は「待て」の命令を聞く前に、勝手に限界を超えてしまった。
「あぁぁっ! はぁっ、あ、ぁんっ……♡」
ガクガクと背中を反らせ、指先だけで情けなく絶頂してしまう。
息を乱し、涙目で響也さんを見上げる。これで許してもらえる、満足してくれる。そう思ったのに。
彼の瞳は、氷のように冷たいままだった。
「……俺、イっていいなんて一言も言ってないけど?」
「え……あ……」
スッ、と指が引き抜かれる。
満たされたはずの身体が、突然放り出された虚無感でブルッと震えた。
「俺を後回しにしようとしたくせに、俺の指で勝手にイってしまうんだね。……君の身体は、君の理屈よりもずっと素直だ」
「あ、ちが……っ、せんぱ、響也さんが、気持ちよく、するから……っ」
「違うよ。君が俺を欲しがっているんだ」
響也さんはそう言って、ズボンの上からでもわかるほど硬く反り立ったおちんちんを、僕の太腿に押し当てた。
その圧倒的な熱量に、絶頂したばかりの秘部が、ヒクッと卑猥に収縮して涎を垂らす。
「ほら。指なんかじゃ全然足りてないじゃないか。本当に欲しいのはこっちだろう?」
「あ、ぅ……っ」
「欲しいなら、俺の目を見てちゃんと言いなさい。……『お手伝いなんてどうでもいいから、響也さんのおちんちんでイかせてください』って」
「……」
文化祭のお手伝いがどうでもいい訳がない。みんな大変なんだ。
でも、響也さんは絶対に引いてくれない。このままじゃ、いつまで経っても解放してもらえない。
この時、僕の頭の中は完全にショートしていた。
(……そうだ。早く終わらせて、手伝いに戻らなきゃ)
ぐるぐると回る思考の中で、僕はひどく的外れな結論に行き着いた。
彼が何を怒っているのか、理屈はまったくわからない。でも、響也さんがそういう言葉を欲しがっているなら、口先だけでも合わせて、さっさと満足してもらえばいいんだ。
そうすれば、早くみんなのところへ戻れる。
「きょう、や、さん……っ、おてつだい、なんて……どうでもいい、からっ……」
「うん」
「早く……っ、僕を、響也さんの、おちん、ちんで、イかせて、くださいっ……! そうしたら、すぐ……っ」
すぐ戻れるから。そう続けようとした僕の言葉は、鋭い突き上げによって悲鳴に変わった。
「あぁぁぁぁぁっ……!!」
制服のズボンのジッパーが下ろされる音がしたかと思うと、焦らされ続けて限界を迎えていた僕の最奥に、硬く熱い楔が、慈悲もなく打ち込まれたのだ。
「よく言えたね、ゆき。……お前はもう、俺だけのものだ」
「あ、あぁっ! ひ、ぐっ……あぁんっ!」
容赦のないピストンが始まる。
早く終わらせるためだ。そう頭ではわかっているのに、僕の身体は響也さんが与える強烈な快楽に、あっさりと飲み込まれていく。
何度も急所を抉られ、あっという間に視界が白く弾けた。
「あ、また、いくっ、いきま……っ」
「あぁ、俺も出すよ。ゆきのお腹の奥に、たっぷりと」
ぷちゅ、と。
限界まで深く押し込まれた響也さんの熱い肉棒が、僕の最奥――固く閉じていたはずの子宮口に、ピタリと押し当てられた。
逃げ場のない、完全な密着。
その瞬間、僕の意志とは無関係に、僕の中の『メス』の器官が勝手に反応した。
ちゅぅっ……♡
まるで、愛しい恋人に甘いキスをねだる唇のように。
僕の奥の柔らかい粘膜が、彼の亀頭の先の鈴口を迎え入れ、ぴったりと吸い付いたのだ。
「あっ、あぅっ……!? だ、だめ、おくに、くっついてるっ……!」
「いい子だ。……ほら、たっぷりと受け取れ」
――ドクンッ!!!
「あ、ぁぁぁぁぁぁっ……!!!」
膨大な熱量が、吸い付いた結合部から直接、僕の子宮の中へと解き放たれる。
びゅくん、びゅくんっ!
脈打つたびに吐き出される濃密な白濁を、僕の奥底は一滴もこぼすまいと、ごくり、ごくりと飲み干していく。
昨夜の恐怖がフラッシュバックした。
僕の身体の最も深い大切な場所に、異物である響也さんの遺伝子が、ダイレクトに注ぎ込まれていく生々しい感覚。
妊娠してしまうかもしれない。僕が僕じゃなくなってしまう。
その本能的な恐怖に全身が粟立つ。……なのに。
僕の子宮は、その恐ろしい熱の侵入に歓喜して甘く収縮し、今までで一番激しい絶頂を迎えてしまっていた。
(こわい……っ、のに……っ、イ、くっ……!)
ビクビクと痙攣しながら、僕は彼の背中にしがみついて涙を流した。
トク……トク……、トク……。
長い、長い射精が終わる。
ちゅる、ちゅる……と、キスを終えた唇が名残惜しむような、いやらしい水音が結合部から響く。
僕のお腹の奥は、重たくて熱いスープで満たされたような違和感に完全に支配されていた。
「はぁっ……はぁ……っ」
息を整えながら、僕はぼんやりとした頭で考える。
(終わった……。早く、服を直して……段ボール、運びに……)
響也さんも満足したはずだ。これでやっと、お手伝いに戻れる。
そう思って、彼の胸を軽く押し返そうとした。
けれど――。
「……んっ!?」
ズチュッ、と。
抜けるどころか、僕の子宮口が吸い付いたままのおちんちんが、ダメ押しのようにさらに深く、ぐりんと蠢いたのだ。
「え……きょう、やさん……っ? もう、終わっ……」
「ん? 何を言ってるんだい。まだ一回目だろう?」
「えっ……ぁ、ひゃっ!?」
嘘だ。
響也さんのモノは、僕の中で吐き出したばかりの精液を潤滑油にして、いっそう硬く、熱く膨張し始めていた。
「ま、まって……っ、僕、もどらなきゃ……みんな、待ってて……」
「まだそんなことを言っているのか。君のその無自覚な奉仕精神は、本当にしぶといね。……完全に壊してあげないと」
「い、やっ……あぁぁっ!」
再び、激しい乱杭打ちが始まる。
一回目よりもさらに深く、乱暴に。僕が余計な思考を二度と持てないように、文字通り身体の芯から作り変えるような猛烈なピストン。
「あ、あぁっ! だめ、こわれちゃうっ、きょうやさん、も、だめぇっ!」
「誓おうね。もう誰の手伝いもしないって。俺だけのために尽くすって」
「ちか、ちかいますぅっ! だから、許し……ひぐっ!」
「なら、俺の精液を欲しがって、鳴いてごらん」
「ほし、ですっ……! せんぱいのっ、いっぱぃ、くださいぃぃっ!!」
それから、何度絶頂させられたのか、僕にはもうわからなかった。
二度、三度と、おちんちんが子宮にキスをするたびに、お腹の中に熱い白濁が注ぎ込まれる。
そのたびに恐怖で泣き叫び、けれど同時に押し寄せる暴力的な快感に脳が焼き切れていく。
「他の奴のことなんてどうでもいい。そうだろう?」
「ど、どうでも……いいですっ……! あぁぁぁっ!」
「そうだ、全部どうでもいいんだ。声に出して言ってみろ。他人のことなんて、どうでもいいって」
「どうでも、いいっ……! ひゃああっ、他人のこと、なんてぇっ……どうでも、いいですぅっ!」
「いい子だ。じゃあ、君は誰のものだ?」
「せんぱいのっ……! 響也先輩だけの、ものですぅっ……!!」
何度絶頂しても解放されない。奥を深く抉り抜かれるたび、弾けるような快感と一緒に『どうでもいい』という言葉を、何度も、何度も泣き叫ぶように繰り返させられる。
(みんなのことなんて、どうでもいい……っ)
(お手伝いなんて、どうでもいい……っ)
(どうでもいい、どうでも、いい、どうでもいいっ……♡)
絶頂の波の中で呪文のように誓いの言葉を絞り出させられるうちに、理屈じゃない、僕の心は、響也さんの偏執的な独占欲と暴力的な快楽の前に、完全にすり潰されてしまった。
ほかのみんなのことなんて、もう、あたまに入ってこない。
だって、僕のいちばん深いところにキスをして、お腹の奥をこんなに愛してくれるのは、この人だけなんだから。
だったら、僕のからだも、心も……。
ぜんぶ、ぜんぶ……響也さんだけのために、つかわなきゃ……っ♡
ズチュッ、ズンッ……と断続的に奥を抉られる快感に、難しい理屈はとうに吹き飛んでいた。
頭の中は、注ぎ込まれた白濁みたいに、ドロドロに甘く溶けきっている。
「はぁっ、あ……ぅ、ん……っ♡」
息をすることも忘れそうになる中、不意に、僕を貫いていた激しい動きがピタリと止まった。
「……ゆき。今度は自分で腰を振って、俺を気持ちよくさせてみろ」
「え……?」
命令の意図がわからない。頭はとうにふやけていた。
けれど、言われるがままに、僕は彼の熱を最も深い場所で咥え込んだまま、おずおずと自分の腰を動かした。
ぬちゅ、ぬちっ、にゅぷ……♡
自分から擦り付けるように動くたび、交わった結合部から、じんわりと甘いうねりがこみ上げてくる。
たっぷり注ぎ込まれた白濁が絡み合い、いやらしい音を立てた。
「あっ、あぁっ……ひゃあぁっ!!」
自分で腰を振りながら、僕はまたしても無様に絶頂を迎えてしまった。
ビュクンッ、とお腹の奥で何かが弾け、だらしなく快楽の波に呑まれる。
頭がまっしろだ。自分で動いて、奥を擦り合わせて、気持ちいいっ……♡
「ふぁっ、あぅ……っ、はぁっ……♡」
「よしよし、いい子だ。ちゃんと自分で腰を振れたな」
響也さんが、僕の身体をきつく抱きしめてくれる。
頭を撫でる手が温かくて、心地よい。僕もぎゅっと抱きしめ返そうとしたけれど、疲れ切った腕はうまく上がらず、ただ彼の胸に力なくすり寄ることしかできなかった。
それが無性に切なくて、同時にたまらなく安心する。
うっとりと目を閉じていると、目と鼻の先で響也さんがまた甘く囁いた。
「そのまま、もっとおまんこをおちんちんに擦り付けてごらん。
「あ……ぅんっ……♡」
もう、難しいことは何も考えられない。理屈なんてどうでもいい。
ただ、自分で腰を動かすと、奥がとろけるように気持ちよくて。
何より、大好きな響也さんが「いい子だ」と笑って褒めてくれる。
(あぁ……僕、響也さんの役に立ててる……っ)
褒められた。認められた。
それが無性に嬉しくて。僕は完全に自我を書き換えられた、だらしない笑みを浮かべながら。
歓喜とともに自ら何度も、何度も、彼へと腰を振り続けた――。
翌日。
放課後の教室で、僕は帰りの身支度をしていた。
「あー、ごめん雪兎ちゃん! 日直の仕事なんだけど、黒板消しとゴミ捨て、手伝ってくれないかな? 今日このあとすぐ部活のミーティングがあって……」
クラスの男子が、申し訳なさそうに両手を合わせてくる。
いつもの僕なら、二つ返事で「いいよ、全部やっておくから部活行きなよ」と笑って引き受けていただろう。
実際、僕の口はいつものように、すべての作業を請け負う言葉を自然と紡ごうとしていた。
けれど。
「あ、う……」
喉まで出かかった「全部やっておくよ」という言葉が、不自然にピタリと止まってしまった。
(……え?)
言葉を紡ごうとするのに、どうしても声が出ない。同時に、下腹部の奥がきゅんと縮み上がって『ダメだ』と本能が強烈にストップをかけてきたのだ。
代わりに、まったく別の言葉がするりと口をついて出た。
「……うん、いいよ。でも、僕もこのあと生徒会に行かなきゃいけないから、全部は無理かも。黒板は綺麗にしておくから、ゴミ捨ては山田くんにお願いしてみたらどうかな?」
「あ、そっか! 山田に頼んでみる! 黒板だけでもほんと助かる、ありがとう雪兎ちゃん!」
男子はパッと顔を明るくして、山田くんの元へ走っていった。
(あれ……僕、いま、断った……?)
その背中を見送りながら、僕は自分自身の言葉にひどく驚いていた。
今までの僕なら、途中で誰かに仕事を振るなんて絶対にできなかった。特に断る理由もないはずなのに。
――きゅんっ、ずきんっ……♡
「……あっ」
罪悪感が湧き上がるよりも先に。他人のお願いを断った僕を褒め称えるように、下腹部の奥が甘く、ひどくいやらしく疼いたのだ。
まるで、昨日の響也さんに「いい子だ」と頭を撫でられた時のように。
誰かのお願いを突き放してしまったのに、僕のお腹の奥は、まるで『いいこと』をしてご褒美をもらったみたいに、きゅんきゅんと歓喜に打ち震えている。
(なんだか、おかしい……。断ってしまったのに、どうしてこんなにお腹の奥が、気持ちいいんだろう……)
自分という人間の根本にあったはずの何かが、昨日を境に、完全に取り返しのつかない形に書き換えられてしまったような。そんな得体の知れない違和感と恐怖が、一瞬だけ頭をよぎる。
けれど。
(……ま、いっか)
お腹の奥から湧き上がる甘い痺れが、そんな些細な疑問をあっさりとドロドロに溶かして塗り潰してしまった。
胸の奥にあったはずの、いつも僕を急き立てていた『何か』が、すっぽりと抜け落ちてしまったような不思議な感覚。
それが一体何だったのか。いくら思い出そうとしても、頭の中が甘い霧に包まれたように霞んでしまって、うまく思考が働かない。
ただ早く、響也さんの待つ部屋へ行きたい。そしてまた昨日みたいに優しく頭を撫でて、たっぷり褒めてもらいたい。
今の僕の空っぽの頭の中には、その熱い欲求だけがぽつんと残されていた。
僕は黒板消しを手に取りながら、早く生徒会室へ行きたくて、ふふっ、と一人で幸福そうに微笑んでいた。