※この作品はR-18です。

俺の鑑定スキルがなんかおかしい ~女性のエロステータスが丸見えなんだが~   作:フレキシブルコーギー

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12.冒険者ってのはろくでなししかいねぇからな

 街の門をくぐり、真っ直ぐギルドへと向かう。

 

 肩にずっしりと食い込む袋の重さ。

 成果の重さだ。

 

 ギルドの扉を開けるとまだ昼過ぎだというのに、中はそこそこ賑わっていた。

 依頼を終えて戻ってきた冒険者たちがカウンターに列を作っている。

 

 俺も列に並んで順番を待った。

 

「次の方どうぞ……あっ、レンさん!」

 

 俺の番になると、エマさんが嬉しそうな声を上げた。

 

(もう帰ってきた! 無事だったんだ……良かった……)

 

 心の声が安堵を示している。

 本気で心配してくれていたらしい。ありがたいことだ。

 

「ただいま戻りました。依頼完了です」

 

「お帰りなさい! えっと、薬草採取の……」

 

 エマさんが書類を確認しようとした時、俺が袋をドサッとカウンターに置いた。

 

 パンパンに膨れ上がった袋。

 明らかに通常の採取量じゃない。

 

「……え?」

 

 エマさんが目を丸くした。

 

「それ、全部……ヒーリングハーブですか?」

 

「はい。あと、ついでにマナハーブも少し」

 

「少しって……」

 

 エマさんが袋を開けて中を確認し、絶句した。

 

「ちょっ……待ってください。これ、数えますね」

 

 彼女は手際よく薬草を取り出し、カウントしていく。

 

「ヒーリングハーブ……10本……20本……30……40……52本!? それにマナハーブが……28本!?」

 

 声が裏返っている。

 

 周囲の冒険者たちも何事かとこちらを見ている。

 

「レンさん、これ全部お一人で……?」

 

「え、ええ、まあ……運が良くて」

 

 とは言えない。ベルの手助けがあってこそだ。

 だけど「メスオークに手伝ってもらった」なんて言ったら、頭がおかしいと思われる。

 

「信じられない……Fランクで、しかも初日でこの量……」

 

 エマさんが呆然としながらも計算を始めた。

 

「えーと、ヒーリングハーブ52本。基本報酬が銀貨5枚、成果報酬が1本につき銅貨5枚……」

 

 ソロバンをはじく音がパチパチと響く。

 

「銀貨5枚……プラス……銀貨26枚……」

 

「え、そんなに?」

 

「はい。成果報酬、馬鹿にできませんよ」

 

 エマさんがニコリと笑った。

 

「さらにマナハーブは依頼外ですが、ギルドで買い取りができます。品質も良いですし……1本につき銅貨8枚。28本で……銀貨2枚と銅貨24枚」

 

 つまり──

 

「合計で、銀貨33枚と銅貨24枚になります」

 

 !?

 

 銀貨33枚!?

 

 昨日の荷物運びが銀貨2枚だったことを考えると、とんでもない額だ。

 宿代が一泊銀貨2枚だから……16日分以上!

 

「すっ、すごい……」

 

「レンさんの方がすごいですよ! この量を半日で……信じられません」

 

 エマさんが感心した表情で俺を見ている。

 

(この人、本当にすごい……鑑定スキル持ちってだけじゃない……)

(Fランクなのにこの働き……どんどん出世しそう……)

(う、羨ましいじゃなくて、尊敬……うん、尊敬よね……)

 

 心の声がちょっと複雑そうだ。

 羨ましいのか尊敬なのか、本人も分かっていないらしい。

 

「あ、そうだ。図鑑、ありがとうございました。すごく役立ちました」

 

「いえいえ、どういたしまして。また明日も使いますか?」

 

「はい、お願いします」

 

「じゃあ、取っておきますね。……あ、報酬です」

 

 エマさんが銀貨と銅貨を差し出した。

 ずっしりと重い。

 

 これが、俺の働きの対価か。

 

「ありがとうございます」

 

「いえ、こちらこそ。……レンさん、あの」

 

 エマさんが少し言いづらそうに口を開いた。

 

「なんですか?」

 

「えっと……これだけ稼げるなら、いい装備買った方がいいですよ。今の服装だと、森で何かあった時に危険ですし」

 

 そう言って、彼女は俺の私服姿を見つめた。

 

(この人普段着みたいので森に入ってる……心配……)

(もっとちゃんとした装備があれば、安全なのに……)

(でも、お節介って思われたくないし……)

 

 心の声がモジモジしている。

 俺のことを心配してくれているのは伝わる。

 

「そうですね。装備……どこで買えますか?」

 

「この通りを少し行ったところに、武具屋がありますよ。バルト武具店って看板が出てます。値段も良心的で、冒険者に人気なんです」

 

「ありがとうございます。寄ってみます」

 

「はい、ぜひ! ……あ、あと」

 

 エマさんがさらに何か言いかけた。

 

「はい?」

 

「い、いえ! なんでもないです! お疲れ様でした!」

 

 彼女は顔を赤らめながら、ペコリと頭を下げた。

 

(今日の夜、ご飯一緒にどうですかって……言おうと思ったけど……)

(やっぱり無理……! まだ二日しか会ってないし……!)

(でも、毎日来てくれるなら、そのうち……そのうち……)

 

 心の声が暴露している。

 ……なるほど。俺を食事に誘おうとして、やめたのか。

 

 まだ二日目だから早いと思ったのだろう。

 だが、エマさんの好感度は確実に上がっている。

 もう少し通い続ければ、向こうから誘ってくるかもしれない。

 

 楽しみだ。

 

「じゃあ、また明日来ます」

 

「はい! お待ちしてます!」

 

 エマさんの笑顔を背に、俺はギルドを出た。

 

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

 

 さて、武具店か。

 

 エマさんに教えてもらった通りに歩くと、すぐにそれらしい店が見つかった。

 

 バルト武具店。

 

 看板には剣と盾のマークが描かれている。

 店の前には、鎧や武器がズラリと並んでいた。

 

 俺は中に入った。

 

「いらっしゃい」

 

 ガラガラ声の太い声が響いた。

 カウンターの奥には、髭面の大男がいた。腕が丸太のように太い。

 

 男か。鑑定は反応しない。

 男のエロステータスが表示されたら俺は発狂してたかもしれない。

 頼むから鑑定進化とかしないでくれよ。まじで。

 

「冒険者か? 新人っぽいな」

 

「分かりますか」

 

「見りゃ分かる。冒険者ってのはろくでなししかいねぇからな。だが……服がおかしい。それと顔つきが緩い」

 

 ズバズバ言われた。反論できない。

 

「装備が欲しいんですけど」

 

「何が欲しいんだ? 剣か? 鎧か?」

 

「えっと……森で採取を主にやってるので、動きやすくて、でも多少の防御力があるもの……」

 

「なるほどな。軽装鎧か」

 

 店主がゴソゴソと奥から品物を出してきた。

 

「これなんかどうだ。革製の胸当てとグローブ、ブーツのセット。Fランク向けだが、そこそこ丈夫だ」

 

 見ると、茶色い革の装備一式だった。

 シンプルだが、しっかりした作りに見える。

 

「銀貨20枚だ」

 

 今日の稼ぎで十分賄える。

 

「あと、護身用の短剣もつけとくか? 銀貨5枚」

 

「お願いします」

 

「よし。合計銀貨25枚な」

 

 俺は銀貨を支払い、装備を受け取った。

 早速、店の隅で着替えさせてもらう。

 

「おう、様になってきたじゃねぇか」

 

 店主が満足そうに頷いた。

 

 確かに、鏡を見ると、なんとなく「冒険者っぽく」なった気がする。

 革の胸当てが身体にフィットし、動きやすい。

 腰には短剣を差している。

 

「ありがとうございます」

 

「おう。また何かあったら来いよ」

 

 俺は武具店を出た。

 

 残金は銀貨8枚と銅貨24枚。

 宿代を払っても、まだ余裕がある。

 

 今日一日で、ずいぶん冒険者らしくなった気がする。

 装備を整え、路銀もできた。

 

 あとは……宿に戻って、ミレーヌさんの美味しい料理を食べよう。

 

 俺は「月明かり亭」へと足を向けた。

 

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

 

「お帰りなさい、レンさん。今日はお早いですね……あら!」

 

 宿に戻ると、ミレーヌさんが俺の姿を見て目を丸くした。

 

「装備……買われたんですか?」

 

「はい。今日、結構稼げたので」

 

「まあ、すごい……一気に冒険者らしくなりましたね」

 

 ミレーヌさんが嬉しそうに微笑む。

 

(レンくん、かっこよくなっちゃった……)

(昨日まで頼りなさそうだったのに、今日はなんだか凛々しく見える……)

 

 心の声がまた亡き夫と俺を重ねている。

 

「今日の夕食、少し豪華にしましょうか? お祝いですもの」

 

「いいんですか?」

 

「ふふ、任せてください。腕によりをかけますね」

 

 ミレーヌさんが厨房へと消えていった。

 その後ろ姿を見ながら、俺は部屋へと上がった。

 

 ベッドに腰を下ろし、今日一日を振り返る。

 

 朝、ミレーヌさんに見送られて出発。

 ギルドで依頼を受け、森へ行き、ベルと再会。

 ベルの協力で大量に採取し、ギルドで大金を得た。

 装備を整え、宿に戻った。

 

 充実した一日だった。

 

 そして明日も、ベルが待っている。

 

 俺の異世界生活は、順調に軌道に乗り始めていた。

 

 ……殆どベルのお陰だけどね。

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