※この作品はR-18です。

俺の鑑定スキルがなんかおかしい ~女性のエロステータスが丸見えなんだが~   作:フレキシブルコーギー

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19.知らない花なんですけど珍しかったので一応持ってきたんですが……

 翌朝。

 

 俺はいつものようにミレーヌさんの朝食を食べた。

 

 今日のメニューは、ふわふわのオムレツとカリカリのベーコン、それに焼きたてのパン。

 

 相変わらず美味しい。

 

「今日も森へ行かれるんですか?」

 

「はい。友達に約束したので」

 

 ミレーヌさんが優しい笑顔で俺を見送ってくれた。

 

(レンくん、今日も頑張ってるなぁ……)

(お友達のためにあんな重いお肉を……本当に優しい人……)

(私も、レンくんのためにもっと美味しいご飯を作ってあげなくちゃ)

 

 心の声が聞こえる。

 

「じゃあ、行ってきます」

 

「いってらっしゃい、レンさん」

 

 俺は宿を出た。

 

 なお、20キロの肉を背負っている。

 

 ……重い。

 

 昨日も思ったが、改めて重い。

 

「よっこいしょ……」

 

 だけどこれは俺が背負うべき重さだ。

 

 俺は街を歩き始めた。

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

 ギルドの前を通りかかった。

 

 どうせなら依頼を受けてから行こう。

 肉を届けるついでに、薬草採取でもしようと思っていたんだ。

 

 俺はギルドに入った。

 

「あっ、レンさん! おはようございます!」

 

 エマさんが俺に気づいて、笑顔で手を振った。

 

「おはようございます。今日も依頼を受けに来ました」

 

「あら、今日もすごい荷物……」

 

「友達への差し入れです。これを届けた後、依頼をこなそうかと」

 

 エマさんがニコニコと笑った。

 

(レンさん、本当に優しい)

(私もあんな風に大事にされたいなぁ)

(……でもこんなに沢山のお肉、変なの。お友達が沢山いるのかな?)

 

 心の声が聞こえる。

 

「今日は薬草採取の依頼はありますか?」

 

「はい、ございます。回復草の採取、解毒草の採取、止血草の採取……色々ありますよ」

 

 エマさんが依頼票を並べた。

 

「じゃあ、全部探してみます。見つかった分だけ持ってきますよ」

 

「わかりました! 頻張ってくださいね、レンさん!」

 

「はい、行ってきます」

 

 俺は依頼票を受け取り、ギルドを出た。

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

 街を抜け、森への道を歩く。

 

 20キロの肉が、肩にずっしりとのしかかる。

 

「ふぅ……ふぅ……」

 

 息が上がってきた。

 

「あと……どのくらいだ……」

 

 森の入り口が見えてきた。

 だが、まだ先は長い。

 いつもベルと合流する場所まで、あと15分はかかる。

 

「頑張れ、俺……ベルのためだ……」

 

 俺は自分を奮い立たせて、歩き続けた。

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

 森の中に入った。

 

 木々の間を抜け、いつもの待ち合わせ場所へと向かう。

 

 肉の重さで、足がガクガクしてきた。

 

「く……っ、重い……」

 

 汗が滲んでくる。

 

 Fランク冒険者の体力では、これが限界に近い。

 

 だが──

 

 ベルの喜ぶ顔を思い浮かべると頑張れる気がした。

 

 あいつは俺を助けてくれている。

 

 だから俺もベルのためにできることをしてあげたい。

 

「あと……もう少し」

 

 木々の間から、開けた場所が見えてきた。

 

 いつもの待ち合わせ場所だ。

 

 そして──

 

「レン」

 

 ベルが嬉しそうに駆け寄ってきた。

 

 地面が揺れる。

 いつもの光景だ。

 

「おはよう、ベル……」

 

「オハヨウ。 レン、待ッテタ レン、汗カイテル」

 

 ベルが心配そうに俺の顔を覗き込んだ。

 

「いや……ちょっと、重くて……」

 

 俺は肩から荷物を下ろした。

 

 ドサッ。

 

 重力から解放された肩が、軽くなる。

 

「これ、お前へのお土産だ」

 

「オミヤゲ?」

 

 ベルが首を傾げる。

 

 俺は袋を開けて、中身を見せた。

 

 20キロの肉の塊。

 ボアピッグのモモ肉だ。

 

 ベルの目が大きく見開かれた。

 

「ニク……! 」

 

「昨日より多いだろ? たくさん食べて、元気出せ」

 

「レン……ベルノ為ニ……コンナニ……」

 

 ベルが俺に近づいてきた。

 

 そして俺を優しく抱きしめた。

 

 ……いや、優しくというか巨体なので普通に圧迫されている。

 だが、力加減は精一杯控えめにしているのが分かる。

 

「レン……アリガトウ……ベル、トテモ嬉シイ」

 

(レン……ベルノコト、大事ニシテクレル……)

(コンナニ重イモノ、担イデキテクレタ……)

 

 心の声が聞こえる。

 

「お前はいつも俺を助けてくれてるからな。これくらい当然だ」

 

「レン……」

 

 ベルが俺を見つめている。

 

 その目には純粋な愛情が溢れていた。

 

「さあ、食ベな。せっかく持ってきたんだから」

 

 ベルが肉に手を伸ばした。

 

 そして──

 

 ガブッ!

 

 また生で齧り始めた。

 

「ウマイ! ウマイ! レン、コレ、サイコウ」

 

 ベルが幸せそうに肉を頬張っている。

 

 20キロの肉が、みるみるうちに減っていく。

 

 オークの食欲、すごいな。

 

 俺はその様子を眺めながら、木の根元に座った。

 

「ふぅ……」

 

 疲れた。

 20キロを担いで歩いてきたから、当然だ。

 

「レン、ダイジョウブ?」

 

 ベルが心配そうに俺を見た。

 口の周りが肉汁で汚れている。

 

「ああ、大丈夫。ちょっと休めば──」

 

「ダメ。レン、休ム。ベル、見テル」

 

 ベルがそう言って俺の隣に座った。

 

 巨体だから隣に座るだけで日陰ができる。

 

「ベル、肉食べていいから」

 

「ウン。デモ、レンモ休ム。ベル、守ッテルカラ」

 

 ベルが俺の頭を優しく撫でた。

 

 大きな手は、意外と温かかった。

 

「ありがとう、ベル」

 

「ベル、レンノ役ニ立テテ嬉シイ」

 

 ベルが嬉しそうに笑った。

 

 俺は木に寄りかかり、目を閉じた。

 

 風が心地いい。

 ベルの体温が近くにある。

 

 なんだか、安心する。

 

 しばらく休んでいると、体力が回復してきた。

 

 そして──

 

「ベル、今日は薬草採取の依頼があるんだ」

 

「ヤクソウ? ベル、見ツケル」

 

「頼んだ」

 

 俺たちは森の奥へと歩き出した。

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

 ベルの嗅覚はやはりすごかった。

 

「レン コッチ ヤクソウノ匂イ」

 

 ベルが鼻を利かせながら、森の奥へと進んでいく。

 

 俺はその後をついていった。

 

「あった。 回復草だ」

 

 茂みの中に緑色の葉っぱが群生していた。

 回復草だ。

 

 俺は次々と採取していった。

 

「ベル、もっと見つかる?」

 

「ウン アッチニモアル」

 

 ベルが別の場所を指差す。

 

 行ってみるとそこにも回復草があった。

 

「すごいな、ベル。お前の嗅覚、本当に役立つな……」

 

「ベル、レンノ役ニ立テテ嬉シイ モット探ス……」

 

 ベルが嬉しそうに尻尾を振った。

 

 俺たちは森の中を歩き回り、薬草を採取していった。

 

 回復草、解毒草、止血草……。

 ベルの嗅覚のおかげで次々と見つかる。

 

「今日も豊作だな」

 

 俺は採取した薬草を見て、満足した。

 

 かなりの量だ。

 これだけあれば、いい報酬になるだろう。

 

「ベル、もう少し探してみようか」

 

「ウン ……アレ」

 

 ベルが突然立ち止まった。

 

「どうした?」

 

「ヘンナ匂イ……嗅イダコトナイ……」

 

 ベルが鼻をヒクヒクさせている。

 

「どっちだ?」

 

「コッチ……」

 

 ベルが森の奥を指差した。

 

 俺たちはそっちへ向かった。

 

 しばらく歩くと──

 

「あれは……」

 

 岩陰に白い花が咲いていた。

 

 月光に照らされたかのように、ほのかに光っている。

 

 今は夜じゃないのに。月なんて出てないのに。

 

「なんだこの花……? 見たことないな……」

 

 俺は首を傾げた。

 

 白い花びら。

 神秘的な輝き。

 明らかに普通の花じゃない。

 

「ベル、見たことあるか?」

 

「ベル、コノ花、知ラナイ」

 

 ベルも首を傾げた。

 

 とりあえず珍しいものがあれば持って帰るか。

 エマさんに聞けば分かるだろう。

 

 俺は慎重に花を採取した。

 根っこを傷つけないように、丁寧に。

 

「よし、これで完璧だ」

 

 俺は花を大事に袋にしまった。

 

「レアモノだったらラッキーだな」

 

「レン、イイモノ見ツケタ?」

 

「分からない。ギルドで聞いてみるよ」

 

「ウン」

 

 ベルが尻尾を振った。

 

 まあ、単なる野花かもしれないが。

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

 森と街の境目。

 

 いつもの別れの場所だ。

 

「ベル、今日もありがとう。明日もまた来るから」

 

「ウン マタ明日 レン、気ヲツケテ」

 

 ベルが手を振った。

 

「お肉、また持ってくるよ」

 

 ベルが満面の笑みを浮かべた。

 

(レン……ベル、レンガ好キ……)

 

 心の声が聞こえる。

 

 最初に会った時とは大違いだな……。

 

 まぁ、俺もベルは好きだ。女性として……というか、家族的な意味でだが。

 

 ベルが森の奥へ消えていく。

 

 俺は背中を見送ってから、街へと向かった。

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

 冒険者ギルドに到着した。

 

「お帰りなさい、レンさん! どうでしたか?」

 

 エマさんが笑顔で出迎えてくれた。

 

「今日も豊作でしたよ。ほら」

 

 俺は採取した薬草を見せた。

 

「わぁ! すごい量ですね! 回復草に、解毒草に、止血草まで……!」

 

 エマさんが驚いた表情で薬草を確認していく。

 

「それと、これも見つけたんですけど……変な花があったんですよね。これ、なんなんですかね?」

 

 俺は袋から白い花を取り出した。

 

「……っ!?」

 

 エマさんの目が大きく見開かれた。

 

「これは……月光蘭……!?」

 

「月光蘭? 知らない花なんですけど珍しかったので一応持ってきたんですが……」

 

「レンさん! これ、すごいものですよ!?」

 

 エマさんが興奮した様子で月光蘭を見つめている。

 

「実はこの花、薬草採取とは別にとある貴族の方が依頼を出していたんです! ご令嬢が病気で、この薬草がないとポーションが作れなくて……」

 

「そうなんですか」

 

「はい! ものすごく希少な薬草で、一年以上見つかってなかったんです!」

 

(信じられない……本当に見つけてきた……)

(しかも、知らずに見つけるなんて……レンさん、やっぱりすごい人……)

(どんどん好きになっちゃう……)

 

 心の声が聞こえる。

 

「この月光蘭の報酬なんですが……金貨10枚です!」

 

「金貨10枚?」

 

 俺は耳を疑った。

 

 金貨10枚って……リーシャさんを助けた時よりも多いじゃないか。

 とんでもない大金だ。

 

「それだけ希少なんです。貴族の方も、お嬢さまを救うために必死だったので……」

 

「そうですか……」

 

 俺はたまたま見つけた花がこんな大金に化けるなんて、想像もしていなかった。

 

「それと通常の薬草採取の報酬と対か報酬として銀貨15枚……。合計、金貨10枚と銀貨15枚です!」

 

 エマさんが報酬を差し出した。

 

 俺は受け取った。

 

 ずっしりと重い。

 金貨10枚は、そうそう簡単に稼げる額じゃない。

 

「ありがとうございます」

 

「いえ、レンさんが見つけてきてくれたおかげです。……あの、それで」

 

 エマさんが少し困った顔をした。

 

「実はお願いがあるんですが……」

 

「お願い?」

 

「はい。この月光蘭、教会でポーションに醸造するんですが……今、ギルドが人手不足で届ける人がいなくて……」

 

 エマさんが申し訳なさそうに言った。

 

「よければ、レンさんに届けていただけませんか? 追加報酬として、銀貨5枚をお渡しします」

 

「教会に届けるだけでいいんですか?」

 

「はい。教会のシスターに渡していただければ大丈夫です」

 

 シスター、か。

 

 教会には行ったことがないな。

 どんなところだろう。

 

「分かりました。やります」

 

「ありがとうございます、レンさん! 大変助かります!」

 

 エマさんがホッとした表情で微笑んだ。

 

(レンさん本当に優しい……)

(頼み事、快く引き受けてくれた……)

(やっぱりレンさんって素敵……♡)

 

 心の声が聞こえる。

 

 エマさん、また好感度上がったっぽいな。

 

 ……俺はなにもしてないけど。

 

 なんで上がるんだろう……。

 

「じゃあ、これを持って行けばいいんですね」

 

「はい。教会はギルドから東に歩いて10分くらいです。大きな白い建物なので、すぐに分かると思います」

 

「分かりました。行ってきます」

 

「よろしくお願いします、レンさん!」

 

 俺は月光蘭を受け取り、ギルドを出た。

 

 さて、教会か。

 

 どんなシスターがいるんだろうな。

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