※この作品はR-18です。

俺の鑑定スキルがなんかおかしい ~女性のエロステータスが丸見えなんだが~   作:フレキシブルコーギー

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46.レン……ウサギノ、匂イガスル……

 俺は森に来た。

 

 もちろん、マルタさんから買った肉を荷台に乗せてだ。

 

 ガラガラと荷車の音が響く。

 木々の間を抜けて、獣道を進む。

 

「ふぅ……ふぅ……」

 

 重い……。

 荷車に載せた肉が、想像以上に重たい。

 

 俺は荷車の取っ手を握りながら、息を切らして進んでいた。

 普通のEランクの冒険者ならこんな荷物なんともないのかもしれないが、俺には重すぎる。

 

 筋力がないんだよな、俺。

 

 前世でも運動なんてほとんどしてなかったし。

 

 転生してもその辺は変わらないらしい。

 

(普通、転生したらもっと無双できるスキルが貰えるんじゃないのか?)

 

 勇者スキルとか、最強魔法とか、無限ステータスとか。

 

 そういう、チートっぽいやつ。

 

 どうして俺だけこんな変な鑑定スキルが……。

 

 戦闘には全く役に立たない。

 荷物を軽くする魔法もない。

 ただの非力な一般人。

 

 ……まぁいい、文句を言ってもしょうがない。

 

 もう一度あの女神に会えた時は延々と文句と嫌味を言いたい気分だが、ここで愚痴っても意味がないからな。

 

 俺は深呼吸をして、再び荷車を引いた。

 

 森の中は静かだ。

 鳥のさえずりが聞こえる。

 木漏れ日が、地面にちらちらと降り注いでいる。

 空気が澄んでいて、気持ちいい。

 

 街の喧騒とは違う、穏やかな時間が流れている。

 

 ここに来ると、少しだけ楽になる。

 

 ベルとリノが待っているから。

 俺をまっすぐに信頼してくれる二人がいるから。

 

 俺は足を進めた。

 

 しばらく歩いていると──

 

「レン」

 

 前方から声が聞こえた。

 

 見ると──

 

 ベルだ。

 

 大きな身体を揺らしながら、こちらに走ってくる。

 

「レ……ン……」

 

 その隣には、小さな影。

 

 リノ。

 

 ベルの後ろを、一生懸命に走ってついてきている。

 

「ベル、リノ。待たせたな」

 

 俺が声をかけると、ベルが俺の前で止まった。

 

「レン 来テクレタ」

 

 ベルが嬉しそうに尻尾を振った。

 

 その瞳は、キラキラと輝いている。

 

(レン……今日モ会エタ……♡)

 

 心の声が聞こえる。

 ベルが本当に喜んでくれているのが伝わってくる。

 

「ギギッ! ギッ!」

 

(嬉シイ……嬉シイ……♡)

 

 リノが俺の足元に駆け寄ってきた。

 小さな手で、俺の服を掴む。

 

「リノも、待っててくれたのか」

 

「ギ……♡」

 

 リノが嬉しそうに目を細めた。

 昨日よりも、さらに表情が明るくなっている。

 

 ベルと一緒に過ごすことで、少しずつ元気を取り戻しているようだ。

 

「ベル、リノ、今日も肉を持ってきたぞ」

 

 ベルの目が一気に輝いた。

 

 毎回この反応だな。

 

 どうやらベルが俺の匂いと肉の匂いを嗅ぎつけてくれたようだ。

 

 さすが鼻が利くオークだ。

 

「ギギッ!」

 

 リノも肉を見て目を輝かせている。

 

 小さな身体なのに食欲はあるようだ。

 

 よかった。

 

 ちゃんと食べてくれるなら持ってきた甲斐がある。

 

 

「洞窟ニ行ク?」

 

「ああ。そこで、肉を焼こう」

 

「ワカッタ 行コウ」

 

 ベルが先頭を歩き、俺がその後に続く。

 

 リノは俺の足元についてきた。

 小さな足で、一生懸命に歩いている。

 

 可愛いな。

 

 森の中を進む。

 

 ベルが道を覚えているのか、迷うことなく進んでいく。

 

 木々の間を抜けて、岩場を越えて。

 

 しばらく歩くと──

 

 見覚えのある洞窟が見えてきた。

 

 ベルとリノが暮らしている洞窟だ。

 

「着イタ!」

 

「ああ」

 

「よし、早速肉を焼こう!」

 

「ウン!」

 

「ギギッ!」

 

 二人が嬉しそうに声を上げた。

 

 俺は洞窟の外で焚き火の準備を始めた。

 

 石を並べて簡易的な炉を作る。

 

 その中に枝と薪を積む。

 

 準備完了。

 

「リノ、火を頼む」

 

「ギ……!」

 

 リノが前に出てきた。

 

 小さな手を薪に向ける。

 

「……ギィ」

 

 ぼっ!

 

 薪に火が灯った。

 

 リノの魔法だ。

 

 昨日も見たけど、やっぱりすごいな。

 ゴブリンが魔法を使えるなんて。

 

 もしかしたら俺よりも強いんじゃないか?

 ……い、いや。考えるのはよそう。

 

「ありがとう、リノ」

 

「ギ……♡」

 

 リノが嬉しそうに笑った。

 

 俺は肉の包みを開けた。

 

 今日もマルタさんから買った上質な肉だ。

 

 たっぷりと入っている。

 

 今日は少し多めに買ってきたんだ。

 

 俺は肉を適当な大きさに切り分けて、木の枝に刺した。

 

 そして、火の上にかざす。

 

 じゅうっ……。

 

 肉から脂が滴り、火が揺らめく。

 

 香ばしい匂いが立ち上ってくる。

 

「オオ……!」

 

 ベルの目が輝いた。

 

「イイ匂イ……!」

 

「ギギッ!」

 

 リノも興奮している。

 

 俺は慎重に肉を回しながら焼いていく。

 

 表面がこんがりと焼けて、いい色になってきた。

 

 よし。

 

「焼けたぞ。ほら、ベル」

 

「ウン」

 

 俺は焼けた肉を木の皿に載せて、ベルに渡した。

 

 ベルが肉に齧りついた。

 

 もぐもぐ……。

 

「オイシイ! 今日モ、オイシイ!」

 

 ベルが感動したように叫んだ。

 

「ヤッパリ、焼イタニクハ、サイコウ!」

 

(ウマイ……ウマイ……!!♡)

 

(レンノ、ニク……サイコウ……♡)

 

 心の声が聞こえる。

 

 ベルが幸せそうに肉を頬張っている。

 

「リノも、はい」

 

「ギギ……!」

 

 俺は小さめに焼いた肉をリノに渡した。

 

 リノが肉を受け取り、口に運ぶ。

 

 もぐっ。

 

「……!」

 

 リノの目が輝いた。

 

「ギ……ギィ!!」

 

 リノが嬉しそうに肉を食べている。

 

 昨日よりも遠慮がなくなってきているな。

 

 ガツガツとしっかり食べている。

 

 まぁ元気になった証拠か。

 

 よかった。

 

 俺も自分の分を焼いて、食べ始めた。

 

 パチパチと火が音を立てている。

 

 肉を焼く香ばしい匂い。

 

 ベルとリノの幸せそうな顔。

 

 温かい雰囲気に包まれていた。

 

 俺は火を見つめながら、ふと言った。

 

「今日は俺のEランクの昇格祝いだからさ、少し多めに肉を持ってきたんだ」

 

「Eランク?」

 

 ベルが首を傾げた。

 

「Eランク……クイモノ?」

 

「ギィギィ?」

 

 リノも不思議そうに俺を見ている。

 

「まぁ、食い物みたいなもんかな」

 

 俺は苦笑した。

 

 ベルとリノには冒険者のランクなんて理解できないだろう。

 

 そもそも人間社会のシステムを知らないんだから。

 

 でも、それでいい。

 

 そんな名ばかりのシステムに価値なんてない。意味なんてない。

 

 でも、この肉はせめてもの恩返しだ。

 

 ベルには本当にお世話になっている。

 

 薬草採取も月光蘭の発見も、リーシャさんの救出も。

 

 全部、ベルがいてくれたから成功した。

 

 俺一人じゃ何もできなかった。

 

 でも、俺にはベルに恩返しする方法が限られている。

 

 戦えるわけじゃない。

 

 魔法が使えるわけでもない。

 

 俺にできることは──

 

 こうやって、美味しいものを持ってきてあげることくらい。

 

 他に恩返しする方法もあればいいんだけど……今の俺にはこの方法しか思いつかない。

 

 でも──

 

「オイシイ レン、アリガトウ」

 

 ベルが満面の笑みで言った。

 

「ベル、レント一緒、嬉シイ」

 

(レン……優シイ……♡)

 

(ベル、幸セ……♡)

 

 心の声が聞こえる。

 

「ギギ……レン……♡」

 

 リノも小さな声で言った。

 

(レン……イツモ、アリガトウ……)

 

(美味シイ……嬉シイ……)

 

 リノの心の声も聞こえる。

 

 ……二人とも、本当に喜んでくれている。

 

 それだけで俺は報われた気がした。

 

 こうやって二人が笑顔でいてくれるなら。

 

 それだけで俺が肉を運んできた意味がある。

 

 火がパチパチと音を立てている。

 

 落ち着くな……。

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

 

 肉を食べ終えた頃には、俺もベルもリノもすっかり満腹だった。

 

「ふぅ……食った食った」

 

 俺は火の前に座り込んで、満足のため息をついた。

 

 腹が満たされると、心も満たされる。

 

 幸せだな。

 

「レン、オイシカッタ」

 

 ベルが満足そうに腹を撫でていた。

 

 豊満なお腹と胸が揺れる……。

 

「ギギ……♡」

 

 リノも小さな腹を撫でながら、幸せそうな表情を浮かべていた。

 

 小さな身体なのに結構食べたな。

 

 よく食べる子だ。

 健康的でいい。

 

 俺たちはしばらく火の前でのんびりと過ごした。

 

 パチパチと火が音を立てている。

 

 温かい。

 落ち着く。

 時間がゆっくりと流れている。

 

 ……でも、いつまでものんびりしているわけにはいかない。

 

 俺は今日、依頼を受けてきたんだ。

 

 ホーンラビットの討伐。

 それを果たさないと。

 

 俺は深呼吸をして、二人に話しかけた。

 

「なぁ、ベル、リノ」

 

「ン?」

 

「ギ?」

 

 二人が俺を見た。

 

「実は……ホーンラビットを倒したいんだ」

 

「ホーンラビット?」

 

 ベルが首を傾げた。

 

「俺は見たことないんだけど……ツノが生えたウサギらしい。ベル、見たことあるか?」

 

 俺の言葉に、ベルは何かを思い出したかのようにハッとした。

 

「ウン ヨクミカケル」

 

 ベルが頷いた。

 

「アレ……ツノガアッテ、速イ ケド、弱イ」

 

「弱いのか」

 

「ウン ベルヨリ、ズット弱イ」

 

 ベルが自信ありげに胸を張った。

 

 頼もしい。

 

「レン、アレヲ倒シタイ?」

 

「あぁ、ベルの力を借りたいんだけど……大丈夫か?」

 

「ベル、レンノ為ナラ ナンデモスル」

 

 ベルが真剣な眼差しで言った。

 

(レンガ、頼ッテクレタ……)

(ベル、レンノ役ニ立チタイ……)

(ダカラ、頑張ル……!)

 

 心の声が聞こえる。

 

 ベルが俺のために本気で協力してくれようとしている。

 

 何でもする……。

 

 大袈裟だな。

 

 嬉しいけどウサギごときでそんなに気張らなくてもいいのに。

 

 でも、ベルの気持ちは本当に嬉しい。

 

「ありがとう、ベル」

 

 俺はベルの頭を撫でた。

 

 ベルが嬉しそうに目を細めた。

 

「ギギッ!」

 

 リノが俺の足元で声を上げた。

 

 小さな拳を握りしめて、何か言いたそうにしている。

 

「リノも……一緒ニ……行ク……!」

 

 リノが片言で言った。

 

 小さな身体を精一杯に大きく見せようとしている。

 

「リノ……お前も?」

 

「ギギ! リノモ……レンノ……役ニ……立チタイ……!」

 

 リノが一生懸命に言葉を紡いだ。

 

(レン……優シイ……)

(リノ……ヤル……)

 

 心の声が聞こえる。

 

 リノも、俺のために協力してくれようとしている。

 

 小さな身体で。

 まだ虐められた傷も癒えていないのに。

 それでも、俺のために頑張ろうとしてくれている。

 

 ……嬉しいな。

 

 本当に嬉しい。

 

「ありがとう、リノ。でも、無理はしないでくれよ」

 

「ギギ!」

 

 リノが力強く頷いた。

 

 よし。

 

 これで、準備は整った。

 

 ホーンラビットの討伐。

 

 ベルとリノが一緒なら、きっと大丈夫だ。

 

 ウサギを倒したら肉は二人にあげて、俺はツノだけ討伐証明として持って帰ればいいし……。

 

 楽勝だな!

 

「じゃあ、行くか」

 

「ウン!」

 

「ギギ!」

 

 俺たちは火を消して、森の中へと向かった。

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

 森の中を歩く。

 

 木々の間を抜けて、草むらを進む。

 

 ベルが先頭を歩き、俺がその後に続く。

 

 リノは俺の足元についてきた。

 

 ベルが時々立ち止まって、鼻を動かしている。

 

 匂いを嗅いでいるのだろう。

 

 さすが、鼻が利くオークだ。

 

 しばらく歩いていると──

 

 ベルが突然立ち止まった。

 

「……!」

 

 ベルが鼻をヒクヒクと動かした。

 

 何かの匂いを感じたようだ。

 

「ベル?」

 

「レン……ウサギノ、匂イガスル……」

 

 ベルが小声で言った。

 

 俺は緊張した。

 

 ついに、見つけたのか。

 

 ホーンラビット。

 

「どこだ?」

 

「アッチ……」

 

 ベルが前方の茂みを指差した。

 

 俺は目を凝らした。

 

 茂みの向こう。

 

 何かが動いているような気がする。

 

「よし、行くぞ」

 

 俺は小声で言った。

 

 ベルが頷いた。

 

 リノも緊張した面持ちで俺の足元にしがみついている。

 

 俺たちは慎重に茂みに近づいた。

 

 足音を立てないように。

 

 息を潜めて。

 

 そして──

 

 茂みをかき分けた。

 

 その先には──

 

「……え?」

 

 俺は目を疑った。

 

 いた。

 

 ホーンラビットだ。

 間違いない。

 

 ウサギのような姿。

 そして額には──

 

 鋭い角が生えている。

 

 でも──

 

「なんかデカくないか……」

 

 俺は呆然と呟いた。

 

 デカい。

 

 すごくデカい。

 

 俺が想像していたウサギとは、全然違う。

 

 体長は優に1メートルを超えている。

 

 いや、1メートル50センチくらいあるんじゃないか?

 

 しかも筋肉質。

 

 ムキムキだ。

 

 ウサギのはずなのに、猛獣のような体つき。

 

 しかも凶暴そうだ。

 獲物を狙う肉食獣のような眼差し。

 

 額の角も、想像以上に鋭い。

 

 槍のように尖っている。

 

 あれで突かれたら確実に死ぬ。

 

「……マジかよ」

 

 俺は冷や汗をかいた。

 

 これがホーンラビット……?

 

 可愛いウサギを想像していたのに。

 

 完全に化け物じゃねぇか。

 

 ギルドの依頼書には「Eランク向け」と書いてあった。

 

 Eランクなら倒せるって意味だよな?

 

 ……本当に?

 

 俺にはとてもそうは思えない。

 

 あんなの一撃で殺されるだろ。

 

 角で突かれたら、即死だ。

 

 つーかゴブリンの群れと同じくらいの難易度なの?あれ?

 

「レン……」

 

 ベルが小声で俺を呼んだ。

 

「ベル、あれがホーンラビットか?」

 

「ウン……」

 

 ベルが頷いた。

 

 その表情は、いつもより少し緊張している。

 

(イツモヨリ、デカイ……?)

(ナンデ……?)

 

 心の声が聞こえる。

 

 いつもよりデカい?

 

 個体差?

 

 どちらにせよ、厄介だ。

 

「ギ……ギギ……」

 

 リノが震えている。

 

 小さな身体で俺の足にしがみついている。

 

(コワイ……)

 

 心の声が聞こえる。

 

 リノも怯えている。

 

 無理もない。

 あんな化け物、誰だって怖い。

 

 俺だって怖い。

 

 ホーンラビットが、ゆっくりとこちらを向いた。

 

 赤い目が俺たちを捉えた。

 

 そして──

 

 グルルル……。

 

 低い唸り声を上げた。

 

 ウサギの鳴き声じゃない。

 

 やばい。

 

 気づかれた。

 

 ホーンラビットが、こちらに向かって足を踏み出した。

 

 俺は息を呑んだ。

 

 どうする……?

 逃げるか?

 

 いや、でも──

 

 依頼を果たさないと。

 

 それにベルがいる。

 

 ベルなら、きっと──

 

「ベル……」

 

 俺がベルを見るとベルは既に戦闘態勢に入っていた。

 身体を低くして、牙を剥いている。

 

 目は真剣だ。

 

(レン……守ル……)

(アイツ……倒ス……)

 

 心の声が聞こえる。

 ベルが俺を守るために戦おうとしている。

 

 ……頼もしい。

 でも、大丈夫だろうか?

 あんなデカいウサギ、本当に倒せるのか?

 

 俺の不安をよそに──ホーンラビットが、突然跳んだ。

 

「うわっ!」

 

 俺は反射的に飛び退いた。

 

 ドスン!

 

 ホーンラビットの角が俺がいた場所に突き刺さった。

 

 地面に深い穴が開いている。

 

 ……やばい。

 

 直撃したら死んでた。

 

 間違いなく死んでた。

 

「レン!」

 

 ベルが叫んだ。

 

 そして──

 

 ホーンラビットに向かって突進した。

 

 戦いが始まった。

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