※この作品はR-18です。

俺の鑑定スキルがなんかおかしい ~女性のエロステータスが丸見えなんだが~   作:フレキシブルコーギー

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51.ありがとう──

 イザベラが応接間に入ってきた。

 

 深紅のドレス。

 胸元の大きく開いた、大人の女の装い。

 

 濃厚な薔薇の香りが、部屋の空気を塗り替えていく。

 その瞬間、俺の鑑定スキルが反応した。

 

 

【鑑定結果】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

【基本情報】

名前:イザベラ・ヴァン・クロイツェル

現在の状態:完堕ち済み、表面を取り繕っている

 

【発情・ホルモン状態】

現在の発情度:強発情(視認と同時に急上昇)

性欲レベル:78/100(上昇中)

身体反応:下着が濡れ始めている、乳首が微かに立ち始めている

フェロモン分泌:意図的に抑制中

 

【心の声】

(レン……レンがいる……♡)

(また会えた……会いたかった……)

(今すぐここで跪いて、おちんぽを咥えたい……)

(だめ……旦那が邪魔だわ……早く、私だけを見て……♡)

 

【依存ステータス】

レンへの執着度:極大

命令服従意欲:MAX

表面態度との乖離:極めて大

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 すごいことになってる……。

 

 俺はそれを表情一つ変えずに受け止め、立ち上がって頭を下げた。

 

「イザベラ様。お邪魔しております」

 

「……あら、レンさん。今日もいらしていたのね」

 

 イザベラが扇子で口元を隠しながら、柔らかく微笑んだ。

 微笑みは完璧だった。どこにも隙がない。

 

 そして彼女はソフィア嬢に視線を向けた。

 

「ソフィア、顔色がよくなってきたわね」

 

 声が穏やかだった。

 ソフィア嬢が少し驚いたように目を瞬いた。

 

「……はい、お母様」

 

(お母様が……優しい……?)

(どうして……いつもと違う……)

 

 ソフィア嬢の心の声が聞こえる。

 継母から穏やかな言葉をかけられることが、そんなに珍しいのだろう。

 

 戸惑いが隠せていない。

 イザベラはそのままソファに腰を下ろし、優雅にドレスの裾を整えた。

 

「ソフィアの為に毎日来てくれてありがたいわ。お忙しいのに」

 

「いえ……」

 

「ふふ、良かったわねソフィア」

 

「は、はい……」

 

 ソフィア嬢が、どこか緊張した面持ちで頷いた。

 

(どうして急に……レン様が来てるから……?)

(でも、お母様の目が……いつもと何か違う気がする)

(怖いような……怖くないような……)

 

 ソフィア嬢が戸惑っている。

 無理もない。

 普段どんな目で見られているか、想像できる。

 

 俺は何も言わず、ただ静かに状況を見ていた。

 

 伯爵が嬉しそうに目を細めた。

 

「イザベラもソフィアの回復が嬉しいんだろう。随分機嫌がいいようだ」

 

「機嫌がいいだなんて……私は普段からこうですよ?うふふ」

 

 イザベラが柔らかく答えた。

 扇子をゆっくりと揺らしながら。

 

(レン……早くこっちを見て……♡)

(伯爵の前で我慢するの、もう限界に近いの……)

(レンの匂い……また、頭がぼうっとしてきた……♡♡♡)

 

 完璧な仮面の裏でぐちゃぐちゃになっている。

 

 だが……

 

 俺はお茶を一口飲み、頭を回転させた。

 

 ポーション。

 

 今日中に飲ませなければならない。

 ソフィア嬢と二人きりになれる状況を作る必要がある。

 

 そして──伯爵を連れ出せる人間が一人いる。

 

 この部屋に。

 

 その時だった。ちょうどいいタイミングで、メイドさんがお茶を持ってきた。

 

「お茶のお代わりを持って参りました……」

 

 伯爵とソフィア嬢の注意が、運ばれてきたお茶に向いた。

 

(──今だ!)

 

 一瞬の隙。

 

 俺はイザベラの方へ。

 

 そして彼女の首筋に──指先をそっと添えた。

 

「!?」

 

 ほんの一瞬だけ。

 

 誰にも気づかれないような、羽根が触れるほどの接触。

 

「ぁっ……♡」

 

 イザベラの身体が、ぴくりと震えた。

 扇子を持つ手が止まる。

 

 俺は耳元に口を寄せた。

 

「──イザベラ、ソフィアと二人きりにさせてくれ」

 

 イザベラが、ゆっくりと俺を見た。

 一瞬だけ目が細くなった。

 探るような目。

 

 ……かと思った次の瞬間には、もう違う目になっていた。

 

 頬がじわりと薄紅色に染まる。

 

 そして、呟いた。

 

「じゃあ、後でご褒美ちょうだい……♡♡」

 

 俺は内心でため息をついた。

 

 やれやれ。

 本当に、やれやれだ。

 

 でも今は使える手を使うしかない。

 

 俺は小さく頷いた。

 その瞬間のイザベラの顔を、うっかり直視してしまった。

 

 ……満面の笑みだった。

 

 扇子で半分隠れていたが、完全に隠し切れていない。

 幸い、伯爵とソフィア嬢はお茶の方を向いていた。

 

(やった……約束してくれた……♡)

(ちゃんと動かなきゃ……レンのために……♡)

 

 イザベラがすっと立ち上がった。

 先ほどまでと寸分違わぬ、完璧な貴族夫人の動作で。

 

「あなた」

 

 イザベラが伯爵に声をかけた。

 

「東棟の改修の件で確認したいことがございますの。今よろしいかしら?」

 

「ん? ああ、そうだったな」

 

 伯爵がカップをテーブルに置き、立ち上がった。

 

「では、レンくん。少し失礼するよ。ソフィアを頼む」

 

「はい、ありがとうございます。ごゆっくり」

 

 伯爵がイザベラの隣に並ぶ。

 二人が扉へと歩いていく。

 

 イザベラが扉に手をかけたその瞬間。

 振り返った。

 

 ソフィア嬢に向けた目は、柔らかかった。

 

「ゆっくり話してらして、ソフィア」

 

「……はい、お母様」

 

 ソフィア嬢が戸惑いながらも頷いた。

 

 そしてイザベラの視線が、ほんの一瞬だけ俺に向いた。

 

 誰にも気づかれない、一瞬だけ。

 

 口元に微かな笑み。

 

「ふふ」

 

そして──伯爵の死角となる位置でイザベラは扇子をわずかにずらした。

人差し指と親指で作った卑猥な輪の中に、彼女は潤んだ舌先をゆっくりと突き入れ、何かをしゃぶるように艶めかしく動かしてみせる。

 

扉が閉まった。

 

(……)

 

 俺は前を向いたまま、内心で苦笑いした。

 全く、あの女は。

 

 応接間に残ったのは、俺とソフィア嬢の二人だけになった。

 静寂。

 暖炉の薪がパチリと弾けた。

 

「……お母様」

 

 ソフィア嬢が閉まった扉を見つめながら、ぽつりと言った。

 

「今日は……優しかった」

 

 その声はどこか夢でも見ているような、不思議そうな響きがあった。

 

 俺は何も言わなかった。

 そっとソフィア嬢に向き直った。

 

「ソフィアお嬢様」

 

「はい?」

 

「実は今日、あなたに飲んでもらいたいものを持ってきたんです」

 

 ソフィア嬢が、俺を見た。

 

 俺は小さな瓶を取り出した。

 

 前回のものと同じ色だが、今日のものは少し違った。

 光の当たり方によって、仄かに輝いている。

 金貨50枚のポーション。

 

 ソフィア嬢の目が、瓶に引き寄せられた。

 

「確か湧き水でしたか……?綺麗……前回と少し違う気がします」

 

「今回は少し上等なものを」

 

「まあ」

 

 ソフィア嬢が瓶をじっと見つめた。

 前回飲んだ時のことを思い出しているのだろう。

 

 あの日から、彼女の体調は改善し始めた。

 

 歩けるようになった。

 顔色が戻ってきた。

 彼女自身が、一番よく分かっているはずだ。

 

「……また、飲んでもいいですか?」

 

 ソフィア嬢が上目遣いで聞いてきた。

 疑いはどこにもなかった。

 

「もちろん。そのために持ってきましたから」

 

「ありがとうございます、レン様」

 

 ソフィア嬢が両手で瓶を受け取った。

 

 細い指が瓶をそっと包む。

 

 栓を外し、瓶を口元に近づける。

 

 一口。

 二口。

 ゆっくりと、飲み下す。

 

「……」

 

 ソフィア嬢が目を閉じた。

 しばらく何も言わなかった。

 俺は黙って見ていた。

 

 やがて──

 

「あ……」

 

 ソフィア嬢の唇から、小さな吐息が漏れた。

 

「温かい……」

 

 彼女が目を開けた。

 その目が、わずかに潤んでいた。

 

「前回もこうだった……でも今日は……もっと」

 

「もっと?」

 

「身体の中が……ぽかぽかするんです。前回より、ずっと」

 

 ソフィア嬢が胸元に手を当てた。

 頬にじわりと赤みが差してくる。

 

「頭が……少し、ふわふわします」

 

「大丈夫ですか?」

 

「はい……不快じゃないんです。むしろ……気持ちいい、くらい」

 

 ソフィア嬢が少し戸惑ったように言った。

 頬の赤みが増している。

 鑑定スキルが反応した。

 

【鑑定結果】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

【基本情報】

名前:ソフィア・ヴァン・クロイツェル

現在の状態:ポーション投与直後

 

【体調ステータス】

全体的な体力→上昇中

毒素残存量:急激に減少中

血色:目に見えて改善中

魔力反応:体内魔力が活性化している(高揚感の原因)

 

【身体反応】

・体内から熱が広がっている

・毒素が分解される際の「浄化反応」が発生中

・全身の血流が改善している

・感覚が研ぎ澄まされている

 

【心の声】

(温かい……身体の中が、綺麗になっていく気がする……)

(ふわふわする……なんだろう、この感じ……)

(レン様が……また助けてくれてる……)

(なんで……こんなによくしてくれるんだろう……)

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 よかった。

 確かに効いている。

 

 前回より強いポーションだ。流石は金貨50枚。

 反応も前回より出ている。

 

 ソフィア嬢がゆっくりと深呼吸した。

 

「……不思議ですね」

 

「何がですか?」

 

「身体の中で……何かが溶けていく感じがして」

 

 ソフィア嬢が瓶を見つめた。

 

「長い間凝り固まっていたものが、少しずつほぐれていくみたい……」

 

 表現が妙に的確だった。

 毒が分解されている感覚を、彼女なりに言葉にしているのだろう。

 

「飲んでよかったです」

 

 ソフィア嬢が俺を見て微笑んだ。

 笑顔が前回より少しだけ明るかった。

 

 暖炉の炎が、穏やかに揺れている。

 ソフィア嬢が、ふと真顔になった。

 

「ソフィアお嬢様、この湧き水は……二人だけの秘密にしませんか?」

 

 俺はそう言った。

 

「二人だけの……秘密」

 

 ソフィア嬢が、その言葉を口の中で繰り返した。

 

 そして。

 

 頬が、さっと赤くなった。

 

(二人だけの秘密……レン様と、私だけの……)

(誰も知らない……私たちだけが知っている……)

(なんで……なんでこんなに、どきどきするんだろう)

(恥ずかしい……でも、嬉しい……)

 

 心の声が聞こえる。

 可愛らしい反応だった。

 

 俺は構わず続けた。

 

「……分かりました」

 

 ソフィア嬢が小さく頷いた。

 でも頬はまだ赤いままだった。

 

 ソフィア嬢がそっと窓の外に視線を向けた。

 窓の外には、屋敷の庭が広がっている。

 よく手入れされた花壇。整えられた芝生。

 

「レン様」

 

「はい」

 

「外の世界って……今の私には遠い話かもしれませんけれど」

 

 ソフィア嬢が窓から視線を俺に戻した。

 

「もし私が……もっと元気になったら」

 

「なったら?」

 

「外に出られるでしょうか」

 

 その声は、小さかった。

 

 でも真剣だった。

 

(ずっと……ずっと、外を見ていた)

(窓から見える空だけが、外の世界だった)

(レン様の話を聞いていると……そこに行けそうな気がして)

(連れて行って、もらえないかな……)

(一緒に……レン様と……)

 

 胸がじんわりと痛くなった。

 この娘はずっと、この屋敷の窓から外を見ていた。

 

 行けない場所として。

 触れられない世界として。

 

 俺は少し間を置いてから、答えた。

 

「行きましょう」

 

「え?」

 

「街くらいなら、すぐに案内できます。もっと元気になれば、もっと遠くにも」

 

 ソフィア嬢が俺を見た。

 大きく目を見開いて。

 瞳が揺れていた。

 

「約束です」

 

 俺は静かに言った。

 

「だから、今はちゃんと休んでください。貴女はもっと元気になれるから」

 

 ソフィア嬢が、まだ少し残っていた瓶を見た。

 そして最後の一口を飲み下した。

 

「……はい」

 

 彼女が瓶を両手に持ったまま、また窓の外を見た。

 

 横顔にさっきとは違う光があった。

 

 諦めではなく。

 期待の光。

 

「ありがとう──」

 

 ソフィア嬢が窓の外を見たまま、静かに言った。

 

 俺は何も言わなかった。

 

 ただ、横顔を見ていた。

 

 絶対に治す。

 心の底からそう思った。

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