俺の鑑定スキルがなんかおかしい ~女性のエロステータスが丸見えなんだが~ 作:フレキシブルコーギー
イザベラが応接間に入ってきた。
深紅のドレス。
胸元の大きく開いた、大人の女の装い。
濃厚な薔薇の香りが、部屋の空気を塗り替えていく。
その瞬間、俺の鑑定スキルが反応した。
【鑑定結果】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【基本情報】
名前:イザベラ・ヴァン・クロイツェル
現在の状態:完堕ち済み、表面を取り繕っている
【発情・ホルモン状態】
現在の発情度:強発情(視認と同時に急上昇)
性欲レベル:78/100(上昇中)
身体反応:下着が濡れ始めている、乳首が微かに立ち始めている
フェロモン分泌:意図的に抑制中
【心の声】
(レン……レンがいる……♡)
(また会えた……会いたかった……)
(今すぐここで跪いて、おちんぽを咥えたい……)
(だめ……旦那が邪魔だわ……早く、私だけを見て……♡)
【依存ステータス】
レンへの執着度:極大
命令服従意欲:MAX
表面態度との乖離:極めて大
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すごいことになってる……。
俺はそれを表情一つ変えずに受け止め、立ち上がって頭を下げた。
「イザベラ様。お邪魔しております」
「……あら、レンさん。今日もいらしていたのね」
イザベラが扇子で口元を隠しながら、柔らかく微笑んだ。
微笑みは完璧だった。どこにも隙がない。
そして彼女はソフィア嬢に視線を向けた。
「ソフィア、顔色がよくなってきたわね」
声が穏やかだった。
ソフィア嬢が少し驚いたように目を瞬いた。
「……はい、お母様」
(お母様が……優しい……?)
(どうして……いつもと違う……)
ソフィア嬢の心の声が聞こえる。
継母から穏やかな言葉をかけられることが、そんなに珍しいのだろう。
戸惑いが隠せていない。
イザベラはそのままソファに腰を下ろし、優雅にドレスの裾を整えた。
「ソフィアの為に毎日来てくれてありがたいわ。お忙しいのに」
「いえ……」
「ふふ、良かったわねソフィア」
「は、はい……」
ソフィア嬢が、どこか緊張した面持ちで頷いた。
(どうして急に……レン様が来てるから……?)
(でも、お母様の目が……いつもと何か違う気がする)
(怖いような……怖くないような……)
ソフィア嬢が戸惑っている。
無理もない。
普段どんな目で見られているか、想像できる。
俺は何も言わず、ただ静かに状況を見ていた。
伯爵が嬉しそうに目を細めた。
「イザベラもソフィアの回復が嬉しいんだろう。随分機嫌がいいようだ」
「機嫌がいいだなんて……私は普段からこうですよ?うふふ」
イザベラが柔らかく答えた。
扇子をゆっくりと揺らしながら。
(レン……早くこっちを見て……♡)
(伯爵の前で我慢するの、もう限界に近いの……)
(レンの匂い……また、頭がぼうっとしてきた……♡♡♡)
完璧な仮面の裏でぐちゃぐちゃになっている。
だが……
俺はお茶を一口飲み、頭を回転させた。
ポーション。
今日中に飲ませなければならない。
ソフィア嬢と二人きりになれる状況を作る必要がある。
そして──伯爵を連れ出せる人間が一人いる。
この部屋に。
その時だった。ちょうどいいタイミングで、メイドさんがお茶を持ってきた。
「お茶のお代わりを持って参りました……」
伯爵とソフィア嬢の注意が、運ばれてきたお茶に向いた。
(──今だ!)
一瞬の隙。
俺はイザベラの方へ。
そして彼女の首筋に──指先をそっと添えた。
「!?」
ほんの一瞬だけ。
誰にも気づかれないような、羽根が触れるほどの接触。
「ぁっ……♡」
イザベラの身体が、ぴくりと震えた。
扇子を持つ手が止まる。
俺は耳元に口を寄せた。
「──イザベラ、ソフィアと二人きりにさせてくれ」
イザベラが、ゆっくりと俺を見た。
一瞬だけ目が細くなった。
探るような目。
……かと思った次の瞬間には、もう違う目になっていた。
頬がじわりと薄紅色に染まる。
そして、呟いた。
「じゃあ、後でご褒美ちょうだい……♡♡」
俺は内心でため息をついた。
やれやれ。
本当に、やれやれだ。
でも今は使える手を使うしかない。
俺は小さく頷いた。
その瞬間のイザベラの顔を、うっかり直視してしまった。
……満面の笑みだった。
扇子で半分隠れていたが、完全に隠し切れていない。
幸い、伯爵とソフィア嬢はお茶の方を向いていた。
(やった……約束してくれた……♡)
(ちゃんと動かなきゃ……レンのために……♡)
イザベラがすっと立ち上がった。
先ほどまでと寸分違わぬ、完璧な貴族夫人の動作で。
「あなた」
イザベラが伯爵に声をかけた。
「東棟の改修の件で確認したいことがございますの。今よろしいかしら?」
「ん? ああ、そうだったな」
伯爵がカップをテーブルに置き、立ち上がった。
「では、レンくん。少し失礼するよ。ソフィアを頼む」
「はい、ありがとうございます。ごゆっくり」
伯爵がイザベラの隣に並ぶ。
二人が扉へと歩いていく。
イザベラが扉に手をかけたその瞬間。
振り返った。
ソフィア嬢に向けた目は、柔らかかった。
「ゆっくり話してらして、ソフィア」
「……はい、お母様」
ソフィア嬢が戸惑いながらも頷いた。
そしてイザベラの視線が、ほんの一瞬だけ俺に向いた。
誰にも気づかれない、一瞬だけ。
口元に微かな笑み。
「ふふ」
そして──伯爵の死角となる位置でイザベラは扇子をわずかにずらした。
人差し指と親指で作った卑猥な輪の中に、彼女は潤んだ舌先をゆっくりと突き入れ、何かをしゃぶるように艶めかしく動かしてみせる。
扉が閉まった。
(……)
俺は前を向いたまま、内心で苦笑いした。
全く、あの女は。
応接間に残ったのは、俺とソフィア嬢の二人だけになった。
静寂。
暖炉の薪がパチリと弾けた。
「……お母様」
ソフィア嬢が閉まった扉を見つめながら、ぽつりと言った。
「今日は……優しかった」
その声はどこか夢でも見ているような、不思議そうな響きがあった。
俺は何も言わなかった。
そっとソフィア嬢に向き直った。
「ソフィアお嬢様」
「はい?」
「実は今日、あなたに飲んでもらいたいものを持ってきたんです」
ソフィア嬢が、俺を見た。
俺は小さな瓶を取り出した。
前回のものと同じ色だが、今日のものは少し違った。
光の当たり方によって、仄かに輝いている。
金貨50枚のポーション。
ソフィア嬢の目が、瓶に引き寄せられた。
「確か湧き水でしたか……?綺麗……前回と少し違う気がします」
「今回は少し上等なものを」
「まあ」
ソフィア嬢が瓶をじっと見つめた。
前回飲んだ時のことを思い出しているのだろう。
あの日から、彼女の体調は改善し始めた。
歩けるようになった。
顔色が戻ってきた。
彼女自身が、一番よく分かっているはずだ。
「……また、飲んでもいいですか?」
ソフィア嬢が上目遣いで聞いてきた。
疑いはどこにもなかった。
「もちろん。そのために持ってきましたから」
「ありがとうございます、レン様」
ソフィア嬢が両手で瓶を受け取った。
細い指が瓶をそっと包む。
栓を外し、瓶を口元に近づける。
一口。
二口。
ゆっくりと、飲み下す。
「……」
ソフィア嬢が目を閉じた。
しばらく何も言わなかった。
俺は黙って見ていた。
やがて──
「あ……」
ソフィア嬢の唇から、小さな吐息が漏れた。
「温かい……」
彼女が目を開けた。
その目が、わずかに潤んでいた。
「前回もこうだった……でも今日は……もっと」
「もっと?」
「身体の中が……ぽかぽかするんです。前回より、ずっと」
ソフィア嬢が胸元に手を当てた。
頬にじわりと赤みが差してくる。
「頭が……少し、ふわふわします」
「大丈夫ですか?」
「はい……不快じゃないんです。むしろ……気持ちいい、くらい」
ソフィア嬢が少し戸惑ったように言った。
頬の赤みが増している。
鑑定スキルが反応した。
【鑑定結果】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【基本情報】
名前:ソフィア・ヴァン・クロイツェル
現在の状態:ポーション投与直後
【体調ステータス】
全体的な体力→上昇中
毒素残存量:急激に減少中
血色:目に見えて改善中
魔力反応:体内魔力が活性化している(高揚感の原因)
【身体反応】
・体内から熱が広がっている
・毒素が分解される際の「浄化反応」が発生中
・全身の血流が改善している
・感覚が研ぎ澄まされている
【心の声】
(温かい……身体の中が、綺麗になっていく気がする……)
(ふわふわする……なんだろう、この感じ……)
(レン様が……また助けてくれてる……)
(なんで……こんなによくしてくれるんだろう……)
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よかった。
確かに効いている。
前回より強いポーションだ。流石は金貨50枚。
反応も前回より出ている。
ソフィア嬢がゆっくりと深呼吸した。
「……不思議ですね」
「何がですか?」
「身体の中で……何かが溶けていく感じがして」
ソフィア嬢が瓶を見つめた。
「長い間凝り固まっていたものが、少しずつほぐれていくみたい……」
表現が妙に的確だった。
毒が分解されている感覚を、彼女なりに言葉にしているのだろう。
「飲んでよかったです」
ソフィア嬢が俺を見て微笑んだ。
笑顔が前回より少しだけ明るかった。
暖炉の炎が、穏やかに揺れている。
ソフィア嬢が、ふと真顔になった。
「ソフィアお嬢様、この湧き水は……二人だけの秘密にしませんか?」
俺はそう言った。
「二人だけの……秘密」
ソフィア嬢が、その言葉を口の中で繰り返した。
そして。
頬が、さっと赤くなった。
(二人だけの秘密……レン様と、私だけの……)
(誰も知らない……私たちだけが知っている……)
(なんで……なんでこんなに、どきどきするんだろう)
(恥ずかしい……でも、嬉しい……)
心の声が聞こえる。
可愛らしい反応だった。
俺は構わず続けた。
「……分かりました」
ソフィア嬢が小さく頷いた。
でも頬はまだ赤いままだった。
ソフィア嬢がそっと窓の外に視線を向けた。
窓の外には、屋敷の庭が広がっている。
よく手入れされた花壇。整えられた芝生。
「レン様」
「はい」
「外の世界って……今の私には遠い話かもしれませんけれど」
ソフィア嬢が窓から視線を俺に戻した。
「もし私が……もっと元気になったら」
「なったら?」
「外に出られるでしょうか」
その声は、小さかった。
でも真剣だった。
(ずっと……ずっと、外を見ていた)
(窓から見える空だけが、外の世界だった)
(レン様の話を聞いていると……そこに行けそうな気がして)
(連れて行って、もらえないかな……)
(一緒に……レン様と……)
胸がじんわりと痛くなった。
この娘はずっと、この屋敷の窓から外を見ていた。
行けない場所として。
触れられない世界として。
俺は少し間を置いてから、答えた。
「行きましょう」
「え?」
「街くらいなら、すぐに案内できます。もっと元気になれば、もっと遠くにも」
ソフィア嬢が俺を見た。
大きく目を見開いて。
瞳が揺れていた。
「約束です」
俺は静かに言った。
「だから、今はちゃんと休んでください。貴女はもっと元気になれるから」
ソフィア嬢が、まだ少し残っていた瓶を見た。
そして最後の一口を飲み下した。
「……はい」
彼女が瓶を両手に持ったまま、また窓の外を見た。
横顔にさっきとは違う光があった。
諦めではなく。
期待の光。
「ありがとう──」
ソフィア嬢が窓の外を見たまま、静かに言った。
俺は何も言わなかった。
ただ、横顔を見ていた。
絶対に治す。
心の底からそう思った。