※この作品はR-18です。

俺の鑑定スキルがなんかおかしい ~女性のエロステータスが丸見えなんだが~   作:フレキシブルコーギー

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54.女ったらしだし、弱いみたいだけど

「ここのレストラン、お気に入りなのよねー」

 

「……」

 

 テラス席の白いテーブルクロス。大通りを行き交う昼の人波。降り注ぐ陽光はちょうどよく、風も心地いい。

 

 ロケーションだけ切り取れば最高なんだが。

 

 問題は向かいに座っているエルフが、俺に視線すら向けずメニューの羊皮紙をじっと睨んでいるという点だ。

 

(俺はなんで美少女エルフと昼食を食べてるんだろうか……)

 

 ……遡ること、二時間ほど前。

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

 ──あの後。

 

 ギルドの受付で目があった後、彼女は言ったのだ。

 

『……ちょうどいいわ! レンだっけ!? アンタ、私のパーティよね!?』

 

 ギルドの中が一瞬だけ静まり返った気がした。

 

『はい?』

 

 俺は間の抜けた返事をした。

 

 パーティ?なんの話だろう。

 俺と彼女は洞窟で一度会っただけで、その後に連絡を取ったことも、改めて話し合ったこともないんだが……。

 

『あのう、リーシャさん……ですよね。パーティなんて組んでない……』

 

 そう言おうとしたら。

 

『前に私のこと助けたってことはパーティみたいなもんじゃない』

 

 リーシャが一息で捲し立てた。

 

『はい決まり! 私が決まりって言ったら決まりなの! じゃあパーティだからクエスト受けるわね! 文句ないでしょ!』

 

『えっ、いや──』

 

『文句あるの?』

 

 なかった。いや、あるけど言えない。

 

 物理的に言葉を挟む余地がなかった。

 

 ギルドの中にいた冒険者たちが遠巻きにこちらを見ていて、エマさんは「あ、あの……」と助け舟を出そうとして出せないまま固まっていた。

 

 俺は完全に流れに呑まれた。

 

 こうして俺は、気づいたらリーシャ・シルヴァーウィンドのパーティに強制的に編入されていたわけである。

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

クエストの前に昼食を、ということで。こうして一緒に昼食を食べているというわけだ……。

 

 ……なんかこうして改めて見ると、めちゃくちゃ綺麗だなこの人。

 

 リーネさんもそうだったし、エルフはみんな美人なのかもしれない。

 

 怒鳴り散らしていた時の勢いはどこへやら。今は至って静かで、座っているだけなのに妙な存在感がある。127歳のハイエルフというのは、こういうものなんだろうか。

 

 とはいえ、俺の心境は穏やかではない。

 

 Aランク冒険者。

 

 そのAランクと明らかに実力不足の俺が組む。

 

 ……どういうクエストを受けるつもりなんだ、この人は。

 

「……」

 

 向かいのリーシャはラムのソテーを無言で切り分けている。

 

 俺もスープに口をつけながら、なんとなく顔を眺めた。

 

 ……初めて会った時のことを、ふと思い出した。

 

 ベルが嗅ぎつけなければ、絶対に気づかなかった洞窟。倒れていたリーシャ……。

 

 ──あの時の鑑定が、自然と蘇ってくる。

 

 

【鑑定結果】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

【基本情報】

名前:リーシャ・シルヴァーウィンド

年齢:127歳(エルフなので見た目は20代前半)

種族:ハイエルフ

職業:Aランク冒険者

身長:168cm

体重:49kg

スリーサイズ:B74/W56/H84

処女:Yes

経験人数:0人

 

【バスト情報】

カップサイズ:Aカップ(ぺちゃぱいと言われると激怒)

乳房の形状:形が良い、弾力あり

乳首の形状:小さめ、薄ピンク

乳首感度:S(超敏感、未開発)

乳首開発度:未開発

 

【外性器情報】

陰毛:薄い、銀色

クリトリス:小さめ、感度SS(触れられたことがない)

処女膜:あり(完全な状態)

 

【膣情報】

膣深度:15cm

Gスポット:入口から6cm(未開発)

ポルチオ:あり(感度不明、未経験)

締め付け力:9/10(処女なので非常にきつい)

現在の濡れ具合:乾燥

 

【性的嗜好・弱点】

性癖:不明(経験なし)

隠している性癖:支配されたい願望(本人無自覚)

性感帯ランキング:

 1位:耳(感度SS)←エルフの最大弱点

 2位:クリトリス(感度SS)

 3位:乳首(感度S)

弱点部位:耳を舐められると完全に力が抜ける

イキやすさ:未経験だが素質は超高い

 

【経験・履歴】

初体験:なし(127年間処女を守り続けている)

恋愛経験:片想いが1回(100年前に失恋、相手に振られてトラウマ)

トラウマ:男性に対して強い警戒心と不信感がある

性格:プライドが高く、素直になれない。典型的ツンデレ

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 思い出した。127歳で処女だったな……。

 

 いや、別にどうでもいいけど。

 どうでもいいんだけど。

 

 取り合えず傷も塞がって、元気になってるようで良かった。

 本当に良かったんだが。

 

 「……」

 

 な、なんか間が持たない。

 スープをもう一口飲んだ。

 

 リーシャは無言。

 俺も無言。

 

 石畳の向こうで荷馬車が通って、子供が数人その後ろを走り抜けて。テラスに風が一度通った。

 

 それだけだった。

 

 何か喋るべきなんだろうか。でも何を喋ればいいんだ。「その後どうでしたか」とか聞いたら間抜けすぎる。

 クエストの話はまだ何も聞かされていない。かといって天気の話をしても……。

 

 ……ていうか、食事に誘ってきたのリーシャの方だからな。

 

 俺がリードする必要もないだろ。

 

 そんなことを思いながらパンを一口かじっていると。

 

 その時──鑑定が、唐突に発動した。

 

 

【鑑定結果】━━━━━━━━━━━━【リアルタイム】━━

 

恩を押し付けず、対等に接することが重要。

助けてもらったことは認識しているが、素直に感謝することに強い抵抗がある。

「ありがとう」と言えた瞬間が突破口。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 ……なるほどな。

 

 助けてもらったことはちゃんと認識しているのか。

 それでいて、素直に感謝できない。

 

 俺はもう一度、リーシャをこっそりと見た。

 

 彼女は皿に視線を落としたまま、ラムをフォークで刺して黙々と口に運んでいる。

 

 特に何も言わない。

 言わないけれど。

 

(……)

(なんか喋りかけてくるかと思ったのに)

(こいつ、なんで黙ってるの……)

 

 心の声が聞こえる……。

 

 喋りかけてくるの、待ってたんですか。

 俺は心の中で静かにツッコんだ。

 

 そっちも間が持たなかったんですね。

 

 その時。

 

 鑑定が、また動いた。

 

 

【鑑定より警告】━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

【現在の状況】

沈黙が続いている。

相手は内心で「話しかけてくるのを待っている」状態。

このまま放置すると「つまらない男」判定が確定する。

 

【警告】

リードしない男は嫌われる。

今すぐ話しかけること。

 

【推奨トピック】

・相手の得意分野(冒険・ランク・実力)に触れる

・過去の冒険談を引き出す質問

・「すごいですね」系の素直な称賛

 

★推奨台詞★

「Aランクって、どれくらいで取れるもんなんですか?」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 ……別にギャルゲーしてるわけじゃないぞ。どうして好感度を稼ぐことになってんだ。

 

 俺は内心でツッコみながらも、スープのカップをそっと置いた。

 

「Aランクって、どれくらいで取れるもんなんですか?」

 

 リーシャの手が一瞬だけ止まった。

 

 それからゆっくりフォークを置いて、俺を見た。

 

「何年もかかるわよ。普通は」

 

「普通はってことは早い人もいると」

 

「まあ……ね」

 

 少しだけリーシャの表情が動いた。

 

 完全に無表情というわけじゃなかった。どこか、話の入り口を探しているような間があった。

 

 

【鑑定】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

【心の声】

(……聞いてくるんだ)

(ランクの話か。まあ……悪くない話題)

 

【次の推奨台詞】

「早かった方ですか?」と聞くこと。

相手に「自分の話をさせる」流れを作れ。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 ……分かったよ。

 

「早かった方ですか?」

 

 リーシャがまた俺を見た。

 

 今度は少し、違う目だった。

 

「まあ」

 

「どれくらいで?」

 

「三十年」

 

「三十年で!?」

 

 思わず声が出た。

 

 百二十七歳のエルフにとっての三十年がどれくらいのものか、正直よくわからない。でも冒険者のAランクという概念が普通じゃないことくらいは分かる。

 

 リーシャが少しだけ唇の端を上げた。

 

「そんなに驚くこと?」

 

「いや、だって……Aランクですよ。すごいじゃないですか」

 

「当然の結果よ」

 

 口ではそう言いながら。

 

(……褒められた)

(べつに、嬉しくないけど)

(嬉しくないけど……)

 

 耳の先が、ほんのわずかに赤くなっていた。

 

 

【鑑定】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

【状況更新】

好感度:微上昇

相手の警戒レベル:やや低下

 

【次の推奨行動】

「どんな武器を使うんですか?」と聞くこと。

装備・戦闘スタイルは冒険者が最も気軽に話せる話題のひとつ。

相手のペースに乗せること。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「どんな武器を使うんですか?」

 

「弓よ。遠距離がメインで、接近されたら短剣。基本的には近づかせない動きをする。そういうスタイル」

 

「一人でそれ全部こなすんですか」

 

「そうよ。すごい?」

 

「えぇ、凄いと思います。俺にはとてもできない」

 

「そ、そう……?」

 

 

【鑑定】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

【状況更新】

好感度:上昇中

相手の警戒レベル:さらに低下

 

【心の声】

(なんでこんなに話しやすいの)

(さっきまで黙ってたくせに……)

(急に話し出して、聞き方がうまいし……)

 

【次の推奨行動】

「今日のクエスト、何を受けたんですか」と聞くこと。

ただし、クエストの内容に深入りしすぎないこと。

「あなたと行けるなら安心ですね」という流れに持ち込むのが理想。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「今日のクエスト、何を受けたんですか?」

 

「Bランクの討伐依頼。魔獣の群れ。大した相手じゃないわ」

 

 大した相手じゃない、と言った。

 Bランク相当の魔獣の群れを。

 ……この人の感覚どうなってるんだ。

 

「リーシャさんが言う大した相手じゃないって、俺にとっては普通に死ねる相手だと思うんですが」

 

「アンタは遠くから見てればいい。私がやるから」

 

「それ、俺いる必要ありますか」

 

「いるわよ。このクエスト、パーティじゃないと受けられなかったし……それに……」

 

 リーシャが少し黙った。

 

「……一人よりはいい、でしょ。なんとなく」

 

 なんとなくって言った。

 

(なんでそんなこと言ってるの私……)

(べつに、一人でも全然平気なのに……)

(でも、なんか……)

(この人間、話してると……うるさくなくて……)

 

 

【鑑定】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

【次の推奨台詞】

「じゃあ、頼りにしてますよ」と言うこと。

力の差を認めつつ、対等に扱う姿勢を見せる。

相手は「見下されること」を極度に嫌うが、「頼られること」には弱い。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「じゃあ、頼りにしてますよ。本当に」

 

 リーシャがふっと視線を逸らした。

 

「……当然でしょ」

 

 エルフの長い耳が赤くなった。

 さっきよりはっきり赤い。

 グラスを手に取って、水を一口飲む動作が少しだけ早かった。

 

(な、なんで急にそういうこと言うの……)

(もしかしてこの人間……女ったらし……?)

(さっきまで黙ってたくせに、急に話し上手になって……)

(こういうシチュ、慣れてるの……?)

 

 おい、鑑定。

 

 俺は心の中で呼んだ。

 お前のせいで女ったらし認定されてるぞ。

 俺は内心で盛大にため息をついた。

 

 リーシャはまだ少し耳を赤くしながら、ラムのソテーの残りを黙々と片付けている。

 

「あなた、普段は何してるの」

 

 唐突にリーシャの方から聞いてきた。

 

「採取とかですね。薬草とか、素材とか」

 

「採取? Eランクなの?」

 

「そうです。俺、弱いんで」

 

「弱い……」

 

 リーシャが少し黙った。

 それから、なぜか小さく笑った。

 

 笑った。

 

 一瞬だったけど、確かに笑った。

 

「まあ……邪魔にならなければいいわ!」

 

 口では相変わらずそういうことを言う。

 

(なんか、いいかもしれない)

(うるさくないし、変に絡んでこないし……)

(女ったらしだし、弱いみたいだけど)

 

 最後に余計なひとこと入ってるぞ。

 

 俺は何も言わず、スープの最後の一口を飲み干した。

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