俺の鑑定スキルがなんかおかしい ~女性のエロステータスが丸見えなんだが~ 作:フレキシブルコーギー
「ここのレストラン、お気に入りなのよねー」
「……」
テラス席の白いテーブルクロス。大通りを行き交う昼の人波。降り注ぐ陽光はちょうどよく、風も心地いい。
ロケーションだけ切り取れば最高なんだが。
問題は向かいに座っているエルフが、俺に視線すら向けずメニューの羊皮紙をじっと睨んでいるという点だ。
(俺はなんで美少女エルフと昼食を食べてるんだろうか……)
……遡ること、二時間ほど前。
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──あの後。
ギルドの受付で目があった後、彼女は言ったのだ。
『……ちょうどいいわ! レンだっけ!? アンタ、私のパーティよね!?』
ギルドの中が一瞬だけ静まり返った気がした。
『はい?』
俺は間の抜けた返事をした。
パーティ?なんの話だろう。
俺と彼女は洞窟で一度会っただけで、その後に連絡を取ったことも、改めて話し合ったこともないんだが……。
『あのう、リーシャさん……ですよね。パーティなんて組んでない……』
そう言おうとしたら。
『前に私のこと助けたってことはパーティみたいなもんじゃない』
リーシャが一息で捲し立てた。
『はい決まり! 私が決まりって言ったら決まりなの! じゃあパーティだからクエスト受けるわね! 文句ないでしょ!』
『えっ、いや──』
『文句あるの?』
なかった。いや、あるけど言えない。
物理的に言葉を挟む余地がなかった。
ギルドの中にいた冒険者たちが遠巻きにこちらを見ていて、エマさんは「あ、あの……」と助け舟を出そうとして出せないまま固まっていた。
俺は完全に流れに呑まれた。
こうして俺は、気づいたらリーシャ・シルヴァーウィンドのパーティに強制的に編入されていたわけである。
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クエストの前に昼食を、ということで。こうして一緒に昼食を食べているというわけだ……。
……なんかこうして改めて見ると、めちゃくちゃ綺麗だなこの人。
リーネさんもそうだったし、エルフはみんな美人なのかもしれない。
怒鳴り散らしていた時の勢いはどこへやら。今は至って静かで、座っているだけなのに妙な存在感がある。127歳のハイエルフというのは、こういうものなんだろうか。
とはいえ、俺の心境は穏やかではない。
Aランク冒険者。
そのAランクと明らかに実力不足の俺が組む。
……どういうクエストを受けるつもりなんだ、この人は。
「……」
向かいのリーシャはラムのソテーを無言で切り分けている。
俺もスープに口をつけながら、なんとなく顔を眺めた。
……初めて会った時のことを、ふと思い出した。
ベルが嗅ぎつけなければ、絶対に気づかなかった洞窟。倒れていたリーシャ……。
──あの時の鑑定が、自然と蘇ってくる。
【鑑定結果】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【基本情報】
名前:リーシャ・シルヴァーウィンド
年齢:127歳(エルフなので見た目は20代前半)
種族:ハイエルフ
職業:Aランク冒険者
身長:168cm
体重:49kg
スリーサイズ:B74/W56/H84
処女:Yes
経験人数:0人
【バスト情報】
カップサイズ:Aカップ(ぺちゃぱいと言われると激怒)
乳房の形状:形が良い、弾力あり
乳首の形状:小さめ、薄ピンク
乳首感度:S(超敏感、未開発)
乳首開発度:未開発
【外性器情報】
陰毛:薄い、銀色
クリトリス:小さめ、感度SS(触れられたことがない)
処女膜:あり(完全な状態)
【膣情報】
膣深度:15cm
Gスポット:入口から6cm(未開発)
ポルチオ:あり(感度不明、未経験)
締め付け力:9/10(処女なので非常にきつい)
現在の濡れ具合:乾燥
【性的嗜好・弱点】
性癖:不明(経験なし)
隠している性癖:支配されたい願望(本人無自覚)
性感帯ランキング:
1位:耳(感度SS)←エルフの最大弱点
2位:クリトリス(感度SS)
3位:乳首(感度S)
弱点部位:耳を舐められると完全に力が抜ける
イキやすさ:未経験だが素質は超高い
【経験・履歴】
初体験:なし(127年間処女を守り続けている)
恋愛経験:片想いが1回(100年前に失恋、相手に振られてトラウマ)
トラウマ:男性に対して強い警戒心と不信感がある
性格:プライドが高く、素直になれない。典型的ツンデレ
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思い出した。127歳で処女だったな……。
いや、別にどうでもいいけど。
どうでもいいんだけど。
取り合えず傷も塞がって、元気になってるようで良かった。
本当に良かったんだが。
「……」
な、なんか間が持たない。
スープをもう一口飲んだ。
リーシャは無言。
俺も無言。
石畳の向こうで荷馬車が通って、子供が数人その後ろを走り抜けて。テラスに風が一度通った。
それだけだった。
何か喋るべきなんだろうか。でも何を喋ればいいんだ。「その後どうでしたか」とか聞いたら間抜けすぎる。
クエストの話はまだ何も聞かされていない。かといって天気の話をしても……。
……ていうか、食事に誘ってきたのリーシャの方だからな。
俺がリードする必要もないだろ。
そんなことを思いながらパンを一口かじっていると。
その時──鑑定が、唐突に発動した。
【鑑定結果】━━━━━━━━━━━━【リアルタイム】━━
恩を押し付けず、対等に接することが重要。
助けてもらったことは認識しているが、素直に感謝することに強い抵抗がある。
「ありがとう」と言えた瞬間が突破口。
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……なるほどな。
助けてもらったことはちゃんと認識しているのか。
それでいて、素直に感謝できない。
俺はもう一度、リーシャをこっそりと見た。
彼女は皿に視線を落としたまま、ラムをフォークで刺して黙々と口に運んでいる。
特に何も言わない。
言わないけれど。
(……)
(なんか喋りかけてくるかと思ったのに)
(こいつ、なんで黙ってるの……)
心の声が聞こえる……。
喋りかけてくるの、待ってたんですか。
俺は心の中で静かにツッコんだ。
そっちも間が持たなかったんですね。
その時。
鑑定が、また動いた。
【鑑定より警告】━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【現在の状況】
沈黙が続いている。
相手は内心で「話しかけてくるのを待っている」状態。
このまま放置すると「つまらない男」判定が確定する。
【警告】
リードしない男は嫌われる。
今すぐ話しかけること。
【推奨トピック】
・相手の得意分野(冒険・ランク・実力)に触れる
・過去の冒険談を引き出す質問
・「すごいですね」系の素直な称賛
★推奨台詞★
「Aランクって、どれくらいで取れるもんなんですか?」
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……別にギャルゲーしてるわけじゃないぞ。どうして好感度を稼ぐことになってんだ。
俺は内心でツッコみながらも、スープのカップをそっと置いた。
「Aランクって、どれくらいで取れるもんなんですか?」
リーシャの手が一瞬だけ止まった。
それからゆっくりフォークを置いて、俺を見た。
「何年もかかるわよ。普通は」
「普通はってことは早い人もいると」
「まあ……ね」
少しだけリーシャの表情が動いた。
完全に無表情というわけじゃなかった。どこか、話の入り口を探しているような間があった。
【鑑定】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【心の声】
(……聞いてくるんだ)
(ランクの話か。まあ……悪くない話題)
【次の推奨台詞】
「早かった方ですか?」と聞くこと。
相手に「自分の話をさせる」流れを作れ。
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……分かったよ。
「早かった方ですか?」
リーシャがまた俺を見た。
今度は少し、違う目だった。
「まあ」
「どれくらいで?」
「三十年」
「三十年で!?」
思わず声が出た。
百二十七歳のエルフにとっての三十年がどれくらいのものか、正直よくわからない。でも冒険者のAランクという概念が普通じゃないことくらいは分かる。
リーシャが少しだけ唇の端を上げた。
「そんなに驚くこと?」
「いや、だって……Aランクですよ。すごいじゃないですか」
「当然の結果よ」
口ではそう言いながら。
(……褒められた)
(べつに、嬉しくないけど)
(嬉しくないけど……)
耳の先が、ほんのわずかに赤くなっていた。
【鑑定】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【状況更新】
好感度:微上昇
相手の警戒レベル:やや低下
【次の推奨行動】
「どんな武器を使うんですか?」と聞くこと。
装備・戦闘スタイルは冒険者が最も気軽に話せる話題のひとつ。
相手のペースに乗せること。
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「どんな武器を使うんですか?」
「弓よ。遠距離がメインで、接近されたら短剣。基本的には近づかせない動きをする。そういうスタイル」
「一人でそれ全部こなすんですか」
「そうよ。すごい?」
「えぇ、凄いと思います。俺にはとてもできない」
「そ、そう……?」
【鑑定】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【状況更新】
好感度:上昇中
相手の警戒レベル:さらに低下
【心の声】
(なんでこんなに話しやすいの)
(さっきまで黙ってたくせに……)
(急に話し出して、聞き方がうまいし……)
【次の推奨行動】
「今日のクエスト、何を受けたんですか」と聞くこと。
ただし、クエストの内容に深入りしすぎないこと。
「あなたと行けるなら安心ですね」という流れに持ち込むのが理想。
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「今日のクエスト、何を受けたんですか?」
「Bランクの討伐依頼。魔獣の群れ。大した相手じゃないわ」
大した相手じゃない、と言った。
Bランク相当の魔獣の群れを。
……この人の感覚どうなってるんだ。
「リーシャさんが言う大した相手じゃないって、俺にとっては普通に死ねる相手だと思うんですが」
「アンタは遠くから見てればいい。私がやるから」
「それ、俺いる必要ありますか」
「いるわよ。このクエスト、パーティじゃないと受けられなかったし……それに……」
リーシャが少し黙った。
「……一人よりはいい、でしょ。なんとなく」
なんとなくって言った。
(なんでそんなこと言ってるの私……)
(べつに、一人でも全然平気なのに……)
(でも、なんか……)
(この人間、話してると……うるさくなくて……)
【鑑定】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【次の推奨台詞】
「じゃあ、頼りにしてますよ」と言うこと。
力の差を認めつつ、対等に扱う姿勢を見せる。
相手は「見下されること」を極度に嫌うが、「頼られること」には弱い。
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「じゃあ、頼りにしてますよ。本当に」
リーシャがふっと視線を逸らした。
「……当然でしょ」
エルフの長い耳が赤くなった。
さっきよりはっきり赤い。
グラスを手に取って、水を一口飲む動作が少しだけ早かった。
(な、なんで急にそういうこと言うの……)
(もしかしてこの人間……女ったらし……?)
(さっきまで黙ってたくせに、急に話し上手になって……)
(こういうシチュ、慣れてるの……?)
おい、鑑定。
俺は心の中で呼んだ。
お前のせいで女ったらし認定されてるぞ。
俺は内心で盛大にため息をついた。
リーシャはまだ少し耳を赤くしながら、ラムのソテーの残りを黙々と片付けている。
「あなた、普段は何してるの」
唐突にリーシャの方から聞いてきた。
「採取とかですね。薬草とか、素材とか」
「採取? Eランクなの?」
「そうです。俺、弱いんで」
「弱い……」
リーシャが少し黙った。
それから、なぜか小さく笑った。
笑った。
一瞬だったけど、確かに笑った。
「まあ……邪魔にならなければいいわ!」
口では相変わらずそういうことを言う。
(なんか、いいかもしれない)
(うるさくないし、変に絡んでこないし……)
(女ったらしだし、弱いみたいだけど)
最後に余計なひとこと入ってるぞ。
俺は何も言わず、スープの最後の一口を飲み干した。