※この作品はR-18です。

俺の鑑定スキルがなんかおかしい ~女性のエロステータスが丸見えなんだが~   作:フレキシブルコーギー

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6.ブゥ……ンモォ……♡

 森を抜けて、どれくらい歩いただろうか。

 

 太陽は頭上高く昇り、額には汗が滲んでいた。

 

 リーネに教えてもらった道を辿り、俺は街を目指して歩き続けている。

 

「まだかなぁ」

 

 独り言を呟きながら、俺は周囲を見回した。

 

 左右には背の高い草が生い茂り、遠くには緑の丘陵が連なっている。

 

 穏やかな風景だ。

 

 だが、リーネは言っていた。

 

『この道は比較的安全だけれど、油断しないでね。たまに魔物が出ることもあるから』

 

 魔物──

 

 ファンタジー世界の定番。モンスター。

 

 俺には戦う力がない。武器もなければ、魔法も使えない。

 

 あるのは、あのバグったエロ鑑定スキルだけ。

 

 魔物に襲われたら──

 

 そう考えた瞬間だった。

 

 

 ドスン。

 

 

 地面が揺れた。

 

「……は?」

 

 振り返ると、そこに巨大な影があった。

 

 身長2メートルを優に超える巨体。

 

 筋肉の塊のような身体。緑がかった茶色の肌。

 

 豚のような鼻。鋭い牙。

 

 手には──ぶっとい棍棒。

 

「オ、オーク……!!」

 

 俺の口から悲鳴が漏れた。

 

 オーク。

 

 ファンタジー世界における代表的な魔物。

 

 知能は低いが、パワーは圧倒的。人間程度なら、一撃で叩き潰せるだろう。

 

「ブモォォォォッ!!」

 

 オークが咆哮した。

 

 その声は地を揺るがし、俺の身体を震わせた。

 

 逃げなければ。

 

 だが、足が動かない。恐怖で、完全に硬直していた。

 

 オークが棍棒を振り上げる。

 

 俺はその光景をスローモーションのように見つめていた。

 

 ああ、終わった。

 

 異世界に来て、たった半日で終わりか。

 

 リーネにまた会うって約束したのに。

 

 女神エリシアの顔が脳裏に浮かぶ。

 

 あの人(神だけど……)のせいだ。こんなバグったスキルを渡すから──

 

 そんなことを考えた瞬間。

 

 俺の視界に、例の情報が流れ込んできた。

 

 【鑑定】が自動発動したのだ。

 

 

 

【鑑定結果】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

【基本情報】

名前:なし(命名されていない)

種族:オーク(上位種)

性別:メス

年齢:28歳(人間換算)

身長:215cm

体重:180kg

 

【バスト情報】

カップサイズ:Iカップ相当(人間基準)

乳房の形状:重量感のある垂れ乳

乳首の形状:大きく突出

乳首の色:暗褐色

乳首感度:B(やや敏感)

 

【外性器情報】

陰毛:濃い茶色の剛毛

クリトリス:大きめ、露出

クリトリス感度:A(敏感)

 

【発情・ホルモン状態】

現在の発情度:発情期(オーク特有の周期)

性欲レベル:92/100(極めて高い)

最後の交尾からの経過期間:3年

興奮の原因:オスの不在による慢性的な欲求不満

 

【心の声】

(ニンゲン……!コロス……!)

(デモ、オス……!)

 

【性的嗜好・弱点】

性感帯ランキング:

 1位:首の付け根(背面)(感度SS)

 2位:耳の裏(感度S)

 3位:内もも(感度A)

弱点部位:首の付け根を優しく撫でられると攻撃本能が消失

興奮時の反応:理性崩壊、従順化

 

【特殊情報】

・知性:高い(人語を理解する上位種)

・状態:発情期の中でも特に欲求が高まる「絶頂期」

・危険度:通常時A級、発情時は攻撃的になりS級相当

 

【攻略ヒント】

首の付け根(背面)は上位種オークの最大の弱点。

ここを刺激されると、オークは攻撃意志を完全に喪失し、

刺激を与えた相手に対して従順になる本能がある。

発情期のメスは特にこの傾向が顕著。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「………」

 

 俺は目を疑った。

 

 こいつメスかよ。

 

 そして発情期?

 

 しかも「首の付け根を撫でると攻撃本能が消失、従順化」だと?

 

 棍棒が振り下ろされる。

 

 俺は咄嗟に横へ転がった。

 

 ドゴォン!! と、さっきまで俺がいた場所に棍棒が叩きつけられる。

 

 地面が抉れ、土埃が舞い上がった。

 

 やばい。一撃でも喰らったら終わりだ。

 

 だが──チャンスはある。

 

 この鑑定結果を信じるなら、こいつの弱点は「首の付け根(背面)」。

 

 そこを触れば、従順になる。

 

 問題は、どうやってそこに手を伸ばすかだ。

 

 相手は身長2メートル超の巨体。しかも棍棒で暴れている。

 

 正面から近づくのは自殺行為。

 

「ブゴォッ!!」

 

 オークが再び棍棒を振り上げた。

 

 俺は必死で逃げ回りながら、頭を回転させる。

 

 背後に回れ。

 

 そして、首の付け根に触れろ。

 

 それができれば、生き残れる。

 

 オークの動きを観察する。

 

 力任せに振り回しているが、動きは単調だ。振り下ろして、振り上げて、また振り下ろす。

 

 そのサイクルに隙がある。

 

 振り下ろした直後、次の動作に移るまでに一瞬の間がある。

 

 そこを狙う。

 

「ブモォォォッ!!」

 

 オークが棍棒を振り下ろした。

 

 俺は身体を沈めて躱し、そのまま相手の懐に飛び込んだ。

 

「おおおおおっ!!」

 

 巨体の脇をすり抜け、背後へ回る。

 

 オークが振り返ろうとするが、巨体ゆえに動きが遅い。

 

 今だ!

 

 俺は背伸びをして、オークの首の付け根──背面に手を伸ばした。

 

 触れた瞬間。

 

 

 

 ビクンッ!!

 

 

 

 オークの巨体が、大きく震えた。

 

「ブ……ブモ……?」

 

 困惑したような声。

 

 棍棒を持つ手が、だらりと力を失う。

 

 俺は構わず、首の付け根を撫で続けた。

 

 優しく、丁寧に。

 

 まるでリーネの耳を愛撫した時のように。

 

「ブゥ……ンモォ……♡」

 

 オークの声が、明らかに変わった。

 

 さっきまでの威嚇音ではない。甘い、蕩けたような声。

 

 鑑定結果が更新される。

 

【攻撃意志:消失】

【従順度:急上昇中】

【快感ゲージ:45%】

【心の声】

(ナニ、コレ……気持チイイ……)

(首、撫デラレテ……頭ガボンヤリスル……)

(コノオス……敵ジャナイ……?)

(モット……モット撫デテ……)

 

 効いている。

 

 明らかに効いている。

 

 俺はさらに手を動かした。

 

 首の付け根から、耳の裏へ。

 

 感度Sのポイントだ。

 

「ンモォォ……♡♡」

 

 オークの巨体がガクガクと震え始めた。

 

 膝から力が抜け、その場にへたり込む。

 

 2メートル超の巨体が、子供のように震えている。

 

「ブ……ブゴ……オマエ……ナニモノ……」

 

 オークが人語を発した。

 

 片言だが、確かに俺の言葉だ。

 

 やはり上位種──知性がある。

 

「俺は……ただの旅人だ。お前を倒しに来たわけじゃない」

 

「……タオサナイ?」

 

「ああ。だから、俺を襲わないでくれ」

 

 オークはしばらく俺を見つめていた。

 

 その目は、さっきまでの凶暴さが嘘のように、穏やかになっている。

 

「……オマエ、スゴイ。ワタシノ、弱点、知ッテタ」

 

「まあ、ちょっとした特技でね」

 

 【鑑定】のことは伏せておく。

 

「ワタシ……オマエニ、負ケタ」

 

 オークが言った。

 

「オーク、掟。負ケタ相手ニ、従ウ」

 

「え?」

 

「オマエ、ワタシ、従ウ。ドコ行ク?」

 

 俺は面食らった。

 

 まさか、このオークが味方になってくれるとは。

 

 いや、でも──

 

「俺、街に行こうとしてるんだけど……お前、街には入れないだろ?」

 

「……ソウ」

 

 オークは頷いた。

 

「ニンゲン、オーク、敵。街、入レナイ」

 

「だよな……」

 

 俺は少し考えた。

 

「じゃあ街の近くまで案内してくれないか? 道がよく分からなくて」

 

「分カッタ。案内スル」

 

 オークは立ち上がった。

 

 さっきまでの威圧感は消え、どこか従順な雰囲気を漂わせている。

 

「コッチ。ツイテコイ」

 

 オークが歩き始める。

 

 俺はその後ろをついていった。

 

 ……なんだこの状況。

 

 メスのオークに道案内されるとは、異世界転生の中でもかなりレアな展開じゃないか?

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

 オークの歩みは意外と速かった。

 

 だが、時折俺の様子を確認しながら、ペースを合わせてくれている。

 

 道中、俺は彼女(?)にいくつか質問をした。

 

「お前、なんでさっき俺を襲ったんだ?」

 

「発情期。オス見ルト、興奮スル。抑エラレナイ」

 

 なるほど。鑑定結果通りだ。

 

「3年もオスがいなかったのか?」

 

「群レ、滅ボサレタ。ワタシダケ生キ残ッタ」

 

 オークの声が、少し沈んだ。

 

 群れを──滅ぼされた?

 

「人間に?」

 

「冒険者。強イ冒険者、来タ。ミンナ、殺サレタ」

 

 なるほど。

 

 彼女にとっては、人間は敵なのだ。仲間を殺した存在。

 

 それでも俺に従うのは、オークの掟があるから。

 

「悪かったな。その、同族として……」

 

「オマエ、関係ナイ」

 

 オークがぶっきらぼうに言った。

 

「オマエ、ワタシ、殺サナカッタ。ソレダケデ、違ウ」

 

 俺は黙って頷いた。

 

 しばらく歩くと、遠くに街の輪郭が見えてきた。

 

 城壁に囲まれた、中規模の街。

 

 門の前には、衛兵らしき姿も見える。

 

「アソコ。街」

 

 オークが足を止めた。

 

「ワタシ、ココマデ」

 

「ああ、ありがとう。助かった」

 

 俺はオークに向き直った。

 

 見上げなければならないほどの巨体。だが、今の彼女に威圧感はない。

 

「オマエ、名前」

 

「え?」

 

「オマエ、名前、ナンダ」

 

「レン。黒崎蓮だ」

 

「レン」

 

 オークが俺の名前を呟いた。

 

「ワタシ、名前、ナイ。デモ、オマエ、覚エテオク。レン」

 

「ああ。俺もお前のこと、覚えてるよ」

 

 オークは満足そうに頷いた。

 

 そして、踵を返して森の方へと歩き始めた。

 

「マタ会ッタラ、従ウ。ソレマデ、元気デ」

 

「ああ。お前も元気でな」

 

 オークの背中が、草原の向こうに消えていく。

 

 俺はその姿を見送りながら、一つの確信を得ていた。

 

 ──この【鑑定】スキル、魔物にも効くのか。

 

 しかも、戦闘で役に立つ。

 

 相手の弱点が分かれば、力がなくても勝てる。

 

 いや、「勝つ」というより「味方にする」ことができる。

 

 これは──思っていたより、使えるスキルなのかもしれない。

 

 俺は街に向かって歩き出した。

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