俺の鑑定スキルがなんかおかしい ~女性のエロステータスが丸見えなんだが~ 作:フレキシブルコーギー
森を抜けて、どれくらい歩いただろうか。
太陽は頭上高く昇り、額には汗が滲んでいた。
リーネに教えてもらった道を辿り、俺は街を目指して歩き続けている。
「まだかなぁ」
独り言を呟きながら、俺は周囲を見回した。
左右には背の高い草が生い茂り、遠くには緑の丘陵が連なっている。
穏やかな風景だ。
だが、リーネは言っていた。
『この道は比較的安全だけれど、油断しないでね。たまに魔物が出ることもあるから』
魔物──
ファンタジー世界の定番。モンスター。
俺には戦う力がない。武器もなければ、魔法も使えない。
あるのは、あのバグったエロ鑑定スキルだけ。
魔物に襲われたら──
そう考えた瞬間だった。
ドスン。
地面が揺れた。
「……は?」
振り返ると、そこに巨大な影があった。
身長2メートルを優に超える巨体。
筋肉の塊のような身体。緑がかった茶色の肌。
豚のような鼻。鋭い牙。
手には──ぶっとい棍棒。
「オ、オーク……!!」
俺の口から悲鳴が漏れた。
オーク。
ファンタジー世界における代表的な魔物。
知能は低いが、パワーは圧倒的。人間程度なら、一撃で叩き潰せるだろう。
「ブモォォォォッ!!」
オークが咆哮した。
その声は地を揺るがし、俺の身体を震わせた。
逃げなければ。
だが、足が動かない。恐怖で、完全に硬直していた。
オークが棍棒を振り上げる。
俺はその光景をスローモーションのように見つめていた。
ああ、終わった。
異世界に来て、たった半日で終わりか。
リーネにまた会うって約束したのに。
女神エリシアの顔が脳裏に浮かぶ。
あの人(神だけど……)のせいだ。こんなバグったスキルを渡すから──
そんなことを考えた瞬間。
俺の視界に、例の情報が流れ込んできた。
【鑑定】が自動発動したのだ。
【鑑定結果】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【基本情報】
名前:なし(命名されていない)
種族:オーク(上位種)
性別:メス
年齢:28歳(人間換算)
身長:215cm
体重:180kg
【バスト情報】
カップサイズ:Iカップ相当(人間基準)
乳房の形状:重量感のある垂れ乳
乳首の形状:大きく突出
乳首の色:暗褐色
乳首感度:B(やや敏感)
【外性器情報】
陰毛:濃い茶色の剛毛
クリトリス:大きめ、露出
クリトリス感度:A(敏感)
【発情・ホルモン状態】
現在の発情度:発情期(オーク特有の周期)
性欲レベル:92/100(極めて高い)
最後の交尾からの経過期間:3年
興奮の原因:オスの不在による慢性的な欲求不満
【心の声】
(ニンゲン……!コロス……!)
(デモ、オス……!)
【性的嗜好・弱点】
性感帯ランキング:
1位:首の付け根(背面)(感度SS)
2位:耳の裏(感度S)
3位:内もも(感度A)
弱点部位:首の付け根を優しく撫でられると攻撃本能が消失
興奮時の反応:理性崩壊、従順化
【特殊情報】
・知性:高い(人語を理解する上位種)
・状態:発情期の中でも特に欲求が高まる「絶頂期」
・危険度:通常時A級、発情時は攻撃的になりS級相当
【攻略ヒント】
首の付け根(背面)は上位種オークの最大の弱点。
ここを刺激されると、オークは攻撃意志を完全に喪失し、
刺激を与えた相手に対して従順になる本能がある。
発情期のメスは特にこの傾向が顕著。
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「………」
俺は目を疑った。
こいつメスかよ。
そして発情期?
しかも「首の付け根を撫でると攻撃本能が消失、従順化」だと?
棍棒が振り下ろされる。
俺は咄嗟に横へ転がった。
ドゴォン!! と、さっきまで俺がいた場所に棍棒が叩きつけられる。
地面が抉れ、土埃が舞い上がった。
やばい。一撃でも喰らったら終わりだ。
だが──チャンスはある。
この鑑定結果を信じるなら、こいつの弱点は「首の付け根(背面)」。
そこを触れば、従順になる。
問題は、どうやってそこに手を伸ばすかだ。
相手は身長2メートル超の巨体。しかも棍棒で暴れている。
正面から近づくのは自殺行為。
「ブゴォッ!!」
オークが再び棍棒を振り上げた。
俺は必死で逃げ回りながら、頭を回転させる。
背後に回れ。
そして、首の付け根に触れろ。
それができれば、生き残れる。
オークの動きを観察する。
力任せに振り回しているが、動きは単調だ。振り下ろして、振り上げて、また振り下ろす。
そのサイクルに隙がある。
振り下ろした直後、次の動作に移るまでに一瞬の間がある。
そこを狙う。
「ブモォォォッ!!」
オークが棍棒を振り下ろした。
俺は身体を沈めて躱し、そのまま相手の懐に飛び込んだ。
「おおおおおっ!!」
巨体の脇をすり抜け、背後へ回る。
オークが振り返ろうとするが、巨体ゆえに動きが遅い。
今だ!
俺は背伸びをして、オークの首の付け根──背面に手を伸ばした。
触れた瞬間。
ビクンッ!!
オークの巨体が、大きく震えた。
「ブ……ブモ……?」
困惑したような声。
棍棒を持つ手が、だらりと力を失う。
俺は構わず、首の付け根を撫で続けた。
優しく、丁寧に。
まるでリーネの耳を愛撫した時のように。
「ブゥ……ンモォ……♡」
オークの声が、明らかに変わった。
さっきまでの威嚇音ではない。甘い、蕩けたような声。
鑑定結果が更新される。
【攻撃意志:消失】
【従順度:急上昇中】
【快感ゲージ:45%】
【心の声】
(ナニ、コレ……気持チイイ……)
(首、撫デラレテ……頭ガボンヤリスル……)
(コノオス……敵ジャナイ……?)
(モット……モット撫デテ……)
効いている。
明らかに効いている。
俺はさらに手を動かした。
首の付け根から、耳の裏へ。
感度Sのポイントだ。
「ンモォォ……♡♡」
オークの巨体がガクガクと震え始めた。
膝から力が抜け、その場にへたり込む。
2メートル超の巨体が、子供のように震えている。
「ブ……ブゴ……オマエ……ナニモノ……」
オークが人語を発した。
片言だが、確かに俺の言葉だ。
やはり上位種──知性がある。
「俺は……ただの旅人だ。お前を倒しに来たわけじゃない」
「……タオサナイ?」
「ああ。だから、俺を襲わないでくれ」
オークはしばらく俺を見つめていた。
その目は、さっきまでの凶暴さが嘘のように、穏やかになっている。
「……オマエ、スゴイ。ワタシノ、弱点、知ッテタ」
「まあ、ちょっとした特技でね」
【鑑定】のことは伏せておく。
「ワタシ……オマエニ、負ケタ」
オークが言った。
「オーク、掟。負ケタ相手ニ、従ウ」
「え?」
「オマエ、ワタシ、従ウ。ドコ行ク?」
俺は面食らった。
まさか、このオークが味方になってくれるとは。
いや、でも──
「俺、街に行こうとしてるんだけど……お前、街には入れないだろ?」
「……ソウ」
オークは頷いた。
「ニンゲン、オーク、敵。街、入レナイ」
「だよな……」
俺は少し考えた。
「じゃあ街の近くまで案内してくれないか? 道がよく分からなくて」
「分カッタ。案内スル」
オークは立ち上がった。
さっきまでの威圧感は消え、どこか従順な雰囲気を漂わせている。
「コッチ。ツイテコイ」
オークが歩き始める。
俺はその後ろをついていった。
……なんだこの状況。
メスのオークに道案内されるとは、異世界転生の中でもかなりレアな展開じゃないか?
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オークの歩みは意外と速かった。
だが、時折俺の様子を確認しながら、ペースを合わせてくれている。
道中、俺は彼女(?)にいくつか質問をした。
「お前、なんでさっき俺を襲ったんだ?」
「発情期。オス見ルト、興奮スル。抑エラレナイ」
なるほど。鑑定結果通りだ。
「3年もオスがいなかったのか?」
「群レ、滅ボサレタ。ワタシダケ生キ残ッタ」
オークの声が、少し沈んだ。
群れを──滅ぼされた?
「人間に?」
「冒険者。強イ冒険者、来タ。ミンナ、殺サレタ」
なるほど。
彼女にとっては、人間は敵なのだ。仲間を殺した存在。
それでも俺に従うのは、オークの掟があるから。
「悪かったな。その、同族として……」
「オマエ、関係ナイ」
オークがぶっきらぼうに言った。
「オマエ、ワタシ、殺サナカッタ。ソレダケデ、違ウ」
俺は黙って頷いた。
しばらく歩くと、遠くに街の輪郭が見えてきた。
城壁に囲まれた、中規模の街。
門の前には、衛兵らしき姿も見える。
「アソコ。街」
オークが足を止めた。
「ワタシ、ココマデ」
「ああ、ありがとう。助かった」
俺はオークに向き直った。
見上げなければならないほどの巨体。だが、今の彼女に威圧感はない。
「オマエ、名前」
「え?」
「オマエ、名前、ナンダ」
「レン。黒崎蓮だ」
「レン」
オークが俺の名前を呟いた。
「ワタシ、名前、ナイ。デモ、オマエ、覚エテオク。レン」
「ああ。俺もお前のこと、覚えてるよ」
オークは満足そうに頷いた。
そして、踵を返して森の方へと歩き始めた。
「マタ会ッタラ、従ウ。ソレマデ、元気デ」
「ああ。お前も元気でな」
オークの背中が、草原の向こうに消えていく。
俺はその姿を見送りながら、一つの確信を得ていた。
──この【鑑定】スキル、魔物にも効くのか。
しかも、戦闘で役に立つ。
相手の弱点が分かれば、力がなくても勝てる。
いや、「勝つ」というより「味方にする」ことができる。
これは──思っていたより、使えるスキルなのかもしれない。
俺は街に向かって歩き出した。