一つ、思い出した事がある。
――湯孕に遭いながらも憑き物筋の家に嫁いで難を逃れ、平穏に生涯を終えた女性がかつて存在した。
垂乳女の湯で聞いた過去の風聞。湯元の憑き物筋は途絶えてしまったそうだが、犬神憑きを名乗る犬飼一玻璃が麻幌の前に現れた。
――運命の導き? それとも……。
湯気の籠もる浴室で熱い湯に浸かりながら、麻幌はぼんやりと思考を巡らせた。
ステンレス製の浴槽は足を伸ばせるほど広くはない。ラムネ色のタイルに覆われた壁は年代を感じさせるが、丁寧に手入れされている印象だ。
「麻幌さん」
模様入りの曇りガラスが嵌まった引き戸越しに、耳触りの良い青年の声に呼ばれた。
「はいっ!?」
とっさに顎まで湯に沈む。返事をする声が引っくり返った。
曇りガラスに黒っぽい人影がぼんやりと浮かんでいる。
「タオルと着替え、ここに置いておきますね。ゆっくり温まって下さい」
「あ……ありがとうございます」
もごもごとお礼を伝えると人影が見えなくなった。
溜め息を吐いて浴槽に凭れかかる。
透明な湯の水面でJカップの豊乳がたぷたぷと揺れている。編み目模様の陰影が波打つ色白の裸体はスラリとした細身なだけに、絶妙なアンバランスが危うい色香を放っている。
陶磁器を思わせる素肌に体毛らしい体毛は見当たらず、臍の窪みから続く恥丘すら未踏の雪原のようにつるんと滑らかだ。抜けるように白い裸身の中で、水面で浮き沈みしているぷっくりとした肉厚のパフィーニップルだけが鮮やかなチェリーピンクに色づいていた。
乳輪の先端には陥没乳首の窄まりが刻まれ、たわわな乳房をそっと撫ぜると薄っすら母乳が湯に滲んだ。
「ん……はぁ……」
麻幌は悩ましげに眉を顰めた。頭に巻いたタオルの中に伸びた黒髪を押し込み、ほっそりとした首筋を晒して汗の玉を光らせている。
白魚のような両手の指を広げても、豊満過ぎる双乳は到底掴み切れない。柔く揉み込むと下腹部がずくりと熱くなり、きつく太腿をこすり合わせていた。
桃花色の唇が籠もった吐息を漏らす。とろんと蕩けた瞳を睫毛の陰に隠し、麻幌は右手を恥丘に伸ばした。
恥骨の上をくるくると掌で撫で回し、固く熟れた陰核を指の腹で躊躇いがちに転がす。熱がビクビクと突き上げるように子宮が打ち震え、前後の蜜壺の内側からドロぉ……と蜜が溶け出した。
「ふ――ひ、ぁ……」
戯れのような自慰に耽り、麻幌は微かな喘ぎ声を浴室に響かせた。
ここは一玻璃の自宅だ。山犬の背にしがみつき、疾風のように夜の街を駆け抜けて辿り着いた。
同じ都内の、麻幌の自宅から電車で四十分程離れた繁華街の路地裏に建つ三階建ての古いビル。元は何かのテナントが入っていたらしい一階は間仕切りを取り払ってガレージとして使用され、大きさの異なるバイクが二台停まっていた。
ビルの二階と三階が住居になっていて、麻幌は真っ先に二階の浴室へ案内された。そして冒頭へ至る。
「あ、ぁ……ひっ……くぅ……」
右手で陰部を愛撫し、左手で乳房を捏ね回す。張り詰めた爪先が湯を搔き、後頭部が浴槽とこすれてタオルが解けた。
濡れた黒髪がパラパラと水面に落ちた。
快感がある一点に到達すると、熱がじんわりと全身に広がった。麻幌は乳房を揺蕩わせながら放心していたが、絶頂の余韻にぱくつく肛門から生温い湯が腸内に入り込んできた感覚に短く呻いた。
直腸の深奥、S状結腸が熱を帯びてずくずくと疼いている。人生で味わったものの中で最も太くて堅い屹立がポルチオを穿つ感覚が甦り、引いた筈の快感がむくむくと頭をもたげた。
「は……ッ、ふ……ぁ……」
タイルの壁に寄りかかりながら立ち上がり、身を屈めて浴槽の縁に左手を突いた。
高く突き出された桃尻が艶めかしく照明に光る。
浴槽の縁を掴んだ左手の横でJカップの爆乳がぶるんぶるんと弾み、下向きになりながら張りのある美しい球形を描いていた。
麻幌の右手が尻の割れ目を押し広げ、薄赤い菊の花のような肛門へ指先を潜り込ませる。腸液を掬った人差し指と中指がずぷずぷと沈んでいく。
「あッ、ぅ、ふぅ……っ」
ぐちぐちと泥濘を搔き回すが、腸壁が細い指を締めつけても物足りない感覚ばかり募った。
「うぅ……はぁ……一玻璃君の……」
一玻璃の陰茎でないと、この寂しさは埋まらない。麻幌はくしゃりと顔を歪めた。
「一玻璃君、一玻璃君……ひばりくんっ」
夢中で一玻璃の名前を連呼しながらアナルを撹拌し、はちきれそうな乳房を激しく揺らす。
絶頂に続く螺旋階段を駆け上る麻幌の耳に、脱衣所からガタンッという物音が届いた。
息を呑んだ拍子に直腸がキュッと収縮する。左手が滑って体勢を崩した。
「きゃあ!?」
ざぱんッと水音が上がった。
湯の中に落ちた麻幌がパニックになってもがいていると、物凄い力で引き上げられた。
「麻幌さん、大丈夫ですか!?」
逞しい腕に縋りついた麻幌は何度か咳き込み、腕の持ち主を呆然と見上げた。
百九十センチメートルに迫る上背と、黒いフード付きのトレーナーの上からでも分かるがっちりとした筋肉質な体躯の青年が浴槽の傍らに膝をつき、麻幌の体を抱きかかえている。
ボサボサの黒髪から伸びる頬や顎のラインはシャープだが、日焼けした首は雄々しく太い。前髪の隙間から焦りを浮かべて見つめてくる瞳は、灰色狼のように色素が薄い琥珀色だ。
しかし、麻幌の目を引いたのは青年の口の両端から伸びる、歪な赤い傷痕だった。青年が口を開くと、ぱっくりと爆ぜた柘榴の実を連想させた。
麻幌はぼんやりと瞬き、両手を青年の口元に伸ばした。
指先で傷痕に触れると、青年――一玻璃の腕にグッと力が入った。
「麻幌さん……?」
痛々しく引き攣れた表面を撫でさすり、両頬を包み込む。
一玻璃が警察犬のようにクンクンと鼻を動かし、右掌の匂いを嗅いだ。
「……お尻の穴でオナニーしました?」
麻幌は赤面して視線を彷徨わせたが、素直に頷いた。堅い胸板にすり寄り、狼のような双眸をジッと注視する。
一玻璃の喉仏が音を立てて上下した。麻幌の火照りに中てられたように青年の頬が紅潮する。
「さっき、俺の名前を呼んでいましたよね?」
「盗み聞きしてたの?」
「ぬっ……人聞きの悪いことを言わないで下さい! 小さめのサイズの着替えがあったから、そっちの方が良いか確認しようと思って――」
一玻璃は眉間に皺を寄せた。
「貴女こそ、俺に聞こえるようにわざと声を出していませんでしたか? 俺が犬並みに鼻や耳が利くって分かっていますよね?」
皮膚の硬い、熱くて大きな掌が麻幌の尻を躊躇いがちに撫でた。
尻の割れ目に溜まった女の蜜を指先で掬われ、肛門の皺を数えるようにゆるゆると周辺をなぞられる。
麻幌の唇から甘ったるい声が漏れる。熱に潤んだ瞳がふわりと微笑んだ。
「こんないやらしい真似、一玻璃君の前でならいいよね……?」
「……性悪過ぎますよ」
一玻璃は呻くように呟き、繊手に誘われるまま顔を寄せて麻幌の唇に噛みついた。
「ンっ、ふ……あむっ」
牙を剥いた狼に食いつかれるような、深くて荒っぽいキスだった。
山犬のものと同じザラザラした長い舌が口腔の隅々まで舐め回し、麻幌の舌を搦め捕ってしゃぶる。だが決して暴力的ではなく、仕草の一つひとつに麻幌の反応を窺いながら怯えさせないようにと気遣う慎重さが滲み、頭がクラクラするほど気持ちが良い。
無骨な指が尻の割れ目を往復し、麻幌がすっかり体重を預けた辺りでくぷりと肛門へ挿し込まれた。
「ふ――ァ、んッ!」
待ってましたとばかりに腸壁が蠕動し、男の指を奥深くへ引きずり込もうとする。
一玻璃は片眉を持ち上げると、麻幌の柳腰を強く抱き寄せた。たわわな乳房が精悍な胸板に押し潰され、白くて丸い肩が大きく跳ねる。
「んぅ……ッ」
節榑立った長い指が優しく直腸を犯す。ぬぷぬぷと抜き差ししながら深く潜り、すっかり性感帯と化したS状結腸の窄まりに触れる。
麻幌は涙の溜まった両目を瞠り、一玻璃の腕の中で声もなく果てた。
ぷしゅ、と炭酸飲料の栓を抜くような音を漏らし、麻幌は潮を噴いた。浮き上がっていた爪先がタイル張りの床にぺたりと落ちる。
一玻璃の肩口に頭を乗せ、麻幌は静かに泣きながら浅い呼吸を繰り返した。額に軽くキスされた後、温かいシャワーを掛けられてぴくんと腰が跳ねた。
「……このままだと湯冷めしますから、ある程度温まったら上がりましょう」
自分が濡れるのも構わずシャワーを掛けながら、一玻璃は諭すように告げた。
麻幌は緩慢に睫毛を上下させた。
てっきりこのまま抱いてくれると思ったのに、彼は予想以上に理性的な男らしい。欲望のままに麻幌を犯し尽くそうとした化生とは天と地ほども違う――あるは意識して振る舞っているのか。
それは犬飼一玻璃という人間の良心であり、矜持であり、抗いなのかもしれない。
麻幌が異界の闇に引きずり堕とされる事を恐れているように、彼もまた、黄昏時の境界線の上で必死に踏み止まろうと足掻いているのかもしれない。
麻幌を可愛い人間の女だと言い切った、誠実な人間の男がひどく愛おしかった。
伸び上がって一玻璃の口元の傷に口づける。ぽかんと固まる青年の首に抱きつき、麻幌は子供じみた口調で強請った。
「だっこ」
何故か一玻璃の体温が跳ね上がる。無言でシャワーを止めると、壊れ物を扱うように麻幌を横抱きにして持ち上げた。
バスタオルを敷いた脱衣所の床に下ろされる。ぺたんと座り込んだ麻幌をバスタオルでぐるぐる巻きにすると、丁寧に水分を拭き取っていく。
腰まで伸びた黒髪もタオルドライの後にドライヤーで乾かして梳られる。ぬくぬくとバスタオルに包まれて微睡んでいると、「麻幌さん」と耳元で囁かれた。
「ふみゃっ!?」
「……俺ので良ければ、ボディーローション使いますか? 一応全身使えるタイプですけど」
目の前に差し出されたボトルを反射的に受け取ると、一玻璃は小さく咳払いをした。
「濡れた服を替えてくるので、その間に支度してもらっていいですか? 迎えに来ますから」
「……うん」
こくりと頷くと、傷のある口元が綻ぶ。唇に触れるだけのキスを残し、浴室から出ていった。
麻幌は暫く放心していたが、もそもそとバスタオル中から這い出した。
一先ずボディーローションを借りて顔と体を保湿する。男物のTシャツとトランクス(おろしたての新品だった)を身に着け、その上から灰色のスウェットシャツを被った。
セットのズボンはぶかぶか過ぎて穿けなかった。スウェットシャツ自体が大きくて、ミニ丈のワンピースのようだ。
袖を捲って調節していると、脱衣所のドアがノックされた。
「麻幌さん、入ってもいいですか?」
「どうぞ」
ドアから顔を覗かせた一玻璃の視線が麻幌の生足に吸い寄せられる。思わずスウェットシャツの裾を引っ張った。
「大き過ぎて穿けなかったの」
「ああ……なるほど。足、寒くないですか?」
「とりあえず、今は平気」
「暖房全開にしてるけど、古い建物だから隙間風がひどくて。ちょっとでも寒かったら言って下さいね?」
「うん」
一玻璃は白い長袖シャツと黒のスウェットパンツに着替えていた。先程のトレーナーよりも薄手のシャツのお陰で、格闘家のような無駄なく引き締まった体つきがよく分かった。
青年の腕が伸びて、麻幌の踵がふわりと浮き上がる。
当然のように横抱きされた麻幌は困惑した。
「一玻璃君?」
「何ですか?」
「……重くないの?」
一玻璃は小さく笑った。
「犬神憑きの男は人外並みの膂力を持っているから、麻幌さんぐらいなら羽根みたいに軽いですよ」
「何かスポーツをやってた訳じゃなくて?」
「生まれつきの体質です。餓鬼の頃から先々代の祖父の仕事に付き合わされて、化生と殴り合いをしながら育った影響もあるかもしれないですけど」
言葉の端々に覗く過酷な家庭環境に、麻幌はなんと声を掛ければいいのか分からず黙り込んだ。
一玻璃は気にした素振りを見せず、麻幌をリビングまで運んだ。
モノトーンで統一された、殺風景とまではいかないがどこか物寂しい印象の部屋だ。
コンクリートが剥き出しの壁、薄いグレーのラグマットの上にはアイアンのローテーブルと黒い布張りのカウチ。他には、ブラインドカーテンが垂れ下がった窓際にぽつねんと置かれた観葉植物ぐらいしか見当たらない。
一玻璃は麻幌をカウチの上に下ろすと、リビングと続いているキッチンに向かった。
チャコールグレーを基調としたキッチンはこぢんまりとしているが、一玻璃の身長に合わせてリノベーションしているらしかった。ぼんやりと広い背中を見つめていると、一玻璃がマグカップを携えて戻ってきた。
「麻幌さん、甘いの大丈夫ですか?」
「うん……?」
「ホットレモネードです。飲めますか?」
湯気を立てるマグカップを差し出される。黙って受け取って顔に近づけると、蜂蜜と檸檬の甘い匂いが鼻腔をくすぐった。
ちびちびと舐めているうち体が内側から弛緩する。ほうっと息を吐き、麻幌は視線を上向けた。
カウチの前で膝を折った一玻璃と目が合った。レモネードに似た琥珀色の瞳の奥で、劣情が熾火のように燻っている。
一玻璃が空になったマグカップを取り上げ、ローテーブルに置いた。
「……何か食べますか? 簡単なもので良ければ作りますけど――」
パッと瞬き、一玻璃は睫毛を伏せて視線を逸らした。
麻幌は眉根を寄せると、一玻璃の鼻先で両足を大きく広げた。
尻を浮かせ、勢い良くトランクスを脱ぎ捨てる。唖然とする一玻璃の眼前に麻幌の股間が曝け出された。
「わたしのせいにしていいよ」
「麻幌さん」
「一玻璃君に抱かれたいの。わたしの心なんてどうでもいい化け物なんかじゃなくて、わたしの心も大事にしてくれる貴方が触って、安心させて」
一玻璃の頬が上せたように真っ赤になった。
真っ直ぐ通った鼻梁を歪め、麻幌の太腿の横に両手を置いた。筋骨逞しい長躯を両足の間に割り込ませ、麻幌に覆い被さる。
「俺を殺したいんですか」
「え?」
「家に帰って来てから四、五回は死んでいます。貴女の言葉で、俺の息の根は簡単に止まりますよ」
カウチの背凭れに押し倒されて口づけられる。檸檬の味が残る口腔を貪りながら、一玻璃は麻幌のスウェットシャツの裾を捲り上げた。
臍の下まで露わになり、麻幌は流石に羞恥を覚えた。閉じようとした足を押さえられ、ゴツゴツとした指がしとどに濡れた陰裂を掻き分ける。
「麻幌さん。力、抜いて……大丈夫、痛くないようにするから」
キスの合間に囁かれて、自分が緊張している事に気付いた。思わず首に縋りつくと、そっと腰を抱き寄せられて背中をさすられた。
「抱いてって事は、正真正銘の麻幌さんの処女を俺が貰っていいって意味ですよね?」
「……うん」
一玻璃は短く息を吐いた。
「麻幌さんのように湯孕の寵愛を受けた生娘を垂乳女と言います。垂乳女は特別な神嫁で、豊穣神でもある湯孕の気を宿した母乳は化生にとって極上の甘露になる。だからこそ化生は垂乳女に惹かれ、純潔を奪って我が物にしようとする……垂乳女の破瓜の血を浴びた者は、神嫁を妻として下賜されたと見なされるんです」
「え……んっ、ふ、ぁ……」
一玻璃の人差し指がゆるゆると腟内を搔き回す。それだけで軽い絶頂に達して震えていると、堪らないとばかりに首筋に噛みつかれた。
「……処女を貰ったら麻幌さんは俺の
子宮がずくんずくんと脈打っている。麻幌は一玻璃の首に回した両腕に力を込め、膣に挿入されている指を締めつけた。
「一玻璃君がいい。……一玻璃君こそ、年上のアラサー女なんて嫌じゃないの?」
「嫌な筈がない」
一玻璃は食い気味に即答した。
同時に恥骨の裏側を指の腹でグッと押される。声も出せずに果てた麻幌の頬を一玻璃の左手が撫でた。
「最初は一目惚れでした。でもどんなにエロい容姿より、猿猴に犯されても最後まで理性を投げ出さず、諦めようとしない貴女の目が……堪らなかった」
一玻璃の左手が麻幌の首筋を辿り、大き過ぎるスウェットシャツの襟刳りを胸元まで引き下げた。無防備なJカップの豊乳がぽよんッと飛び出す。
体格に恵まれた青年の手にも余る乳房を鷲掴むと、マシュマロめいた白い乳肉を揉みしだく。
麻幌は一玻璃の肩にしがみついて雌猫のように啼いた。
「あぁ――……ひば、り、ひばりく……ひばりくんッ」
左乳房を揉みながら、一玻璃は麻幌の膣へ挿入する指を二本三本と増やしていった。じゅぶじゅぶと粘っこい水音が麻幌の股間から響き、絶えず一玻璃の名前を泣きながら呼ぶ声に彼の表情に苦み走った色が混ざる。
真っ赤に膨らんだ陰核をコリコリと転がされ、麻幌の視界が明滅する。
一玻璃が山犬そっくりな仕草で口を開いて右乳房の先端に食らいつくと、両足がピンッと突っ張った。
「は、あ、ゃあぁぁぁぁぁ……ッ」
迸る潮が一玻璃の右腕を濡らす。身悶えながら快楽から逃げようとする女體にのしかかり、一玻璃は休む間を与えず麻幌を責め立てた。
宣言通り痛みを感じない、しかし抗いがたい強さで膣と陰核を刺激され、左乳房を揉み込まれ、右の乳輪をじゅるじゅると吸い上げられる。人外の化生からもっと激しい快感を教え込まれた筈なのに、全身が燃え盛っているように神経が高ぶって絶頂から下りられない。
「ひっ、ひゃりく……ひばりくん、ひばりくんッ……!」
親を探す迷子のように泣きながら名前を呼ぶと、背中を抱き寄せられて唇を塞がれた。
唾液を混ぜ合わせるような深いキスに溺れていく。一玻璃の呼気が頬に触れ、鼻先が触れ合う距離で熱に烟る琥珀色の瞳が麻幌を見つめていた。
「好きです」
ひゅう、と喉が鳴った。
「会ったばかりの男に告白されても信じられないだろうけど、貴女が堪らなく好きです。同じ気持ちを返してくれとは言いません。半分人間を辞めている化生もどきの俺でも惚れた女を守れるんだって、夢を見させてくれませんか」
「……夢にしないで」
両手で一玻璃の顔を包み込み、口元に刻まれた傷痕を親指の腹で撫でる。
「正直言って、恋愛的な意味で一玻璃君が好きかなのかどうかまだよく分かんないけど……一玻璃君に好きって言われて、凄く嬉しいよ」
初めて男の子に告白されたと打ち明け、えへへと笑う。勢い良く口に噛みつかれて目を白黒させていると、陰裂から指が引き抜かれた。
一玻璃が長袖シャツを脱ぎ捨てた。鍛え抜かれた雄々しい肉体が露わになり、麻幌は思わず息を呑んだ。
筋肉によろわれた上半身のあちこちに大小様々な傷痕が刻まれていた。大半が口元の傷と同じく、皮膚が引き攣れて歪に歪んでいる。
一玻璃は眉尻を下げて苦笑した。
「見苦しい体ですみません。化生退治の時にこさえてしまって……」
「あ、ううん……その……痛くないの?」
「天気が悪い日とか、たまに。実際こんな見た目なので、人付き合いで苦労する方がしんどいですけど」
「一玻璃君って大学生?」
「いえ……進学はしたんですけど、家の事情で半年で退学しました。今は母から引き継いだ不動産の家賃収入や投資とか……後は家業で生計を立てているので一応自営業ですね。麻幌さんは会社員でしたっけ?」
「安月給の事務員だよ。しかも契約社員だし……一玻璃君みたいに立派な仕事には及びもつかないわ」
自虐を込めて笑うと、するりと頬を撫でられた。
一玻璃は真顔で囁いた。
「嫌なら無理に働かなくてもいいですよ。俺が養いますから」
「……一玻璃君って、奥さんには専業主婦になってもらいたいタイプ?」
「おっ……いえ、別にそこまでこだわりがある訳じゃ……麻幌さんが仕事を続けたいと言うなら構いませんし、亭主関白に抵抗意識があるので麻幌さんを家庭に縛りつけたい訳でもないです。ただ……今の麻幌さんの体質的に仕事を続ける事が苦痛なら、俺の扶養に入ってもらって構いません」
麻幌は両目を瞬かせた。
「ありがとう。とりあえずまだ大丈夫、かな」
彼の好意を受け入れたばかりなのに、既に結婚後の生活について話が飛躍している事が妙におかしくて吹き出してしまった。麻幌の表情につられて一玻璃の頬も緩んでいる。
夜の帳のような影が差して、麻幌は男の長躯の下へ押し倒された。
逆光の暗がりで琥珀色の
「麻幌さん」
低く穏やかな声に麻幌の腰から力が抜けた。劣情に潤んだ瞳がはにかみ、白い繊手が差し伸べられる。
一玻璃は迷いなく彼女の手を取って引き寄せると、ズボンごと下着を引き下ろした。
飛び出した陰茎が麻幌の腹をべちんッと叩く。まじまじと凝視すると、山犬のものとまったく同じ屹立がググッと血管を浮き上がらせた。
「わぁ」
麻幌の口から感嘆の声が漏れた。一玻璃は目元を赤らめて息を押し殺し、片手で口元を覆った。
「恥ずかしいんで、あんま見ないで下さい……」
「あぁ、ごめんね……立派過ぎて観賞しちゃった。わたし、おちんちんの平均値とかさっぱりだけど、これは絶対規格外だよね?」
「……ゴムのサイズは標準以上ですね」
「やっぱりそうだよね!? お尻の穴に入ってきた時もやけにおっきいな!? ってびっくりしたもん」
感心し切って語っていると、一玻璃の顔面から今にも湯気が立ちそうになっていた。
鋼で出来ているような陰茎をゴリッと恥丘に押しつけられる。口を噤むと、苦しげな一玻璃の吐息が首筋を撫でた。
「もう、入れてもいいですか?」
麻幌は無言で足を広げ、一玻璃の腰に絡めた。
背中の下でカウチが軋む。堅い腹筋が下腹部に密着し、だらだらと先走りを垂らす亀頭部が陰裂に押し当てられた。
肉襞が広がった刹那、屹立がぐぷんッと泥濘に沈んだ。
雷に打たれて真っ白になる。
「――」
文字通り息が詰まる。麻幌は口をパクパクと開閉させ、男の腕の中で女體を仰け反らせた。
厖大な陰茎は驚くほど滑らかに腟内を突き進み、呆気なく処女膜を引きちぎった。微かな痛みは圧迫感に一瞬で塗り潰された。
屹立はあっという間に最奥に到達し、鋭い雁首がポルチオに食い込んだ。麻幌はJカップの乳房を激しくを揺らし、舌を突き出してビクビクと痙攣した。
ゴポンッと亀頭部が子宮口を突破した。麻幌の両足が爪先まで張り詰め、男性器との接合部から盛大な潮が噴き上がった。
「……ッ、ぐ……」
処女を失ったばかりの膣がギチギチと陰茎を締めつけ、一玻璃は眉根を寄せて汗を滴らせた。
青年の腰が緩やかに動き出した。
子宮口を貫く亀頭部が暴力的な鈍重さで抜き差しされ、ポルチオを何度も掘削する。麻幌の両目がぐるんと裏返り、海老反りになって両足を突っ張らせたまま爆乳を弾ませている。
スウェットシャツの襟刳りに強調されて今にもはちきれそうな双乳が飛び上がる度、チェリーパイのようにぷるんとしたパフィーニップルが青年を誘惑する。陥没乳首から母乳が飛沫き、口元に飛んだ雫を舐め取った一玻璃はぐわりと大口を開いた。
左乳房にしゃぶりつき、喉深くまで咥え込んで頬張るように吸い上げる。長い舌が乳頭部に巻きつくと恭しく乳首を引っ張り出した。
右乳房は大きな掌に揉みしだかれ、親指と人差し指がぷっくりと熟れた乳輪をやわやわと押し潰した。薄皮が弾けた葡萄の粒のように乳首がぷりんっと飛び出す。
「……はっ、ひ――ンぁあァァァァァァァァァッ!!!」
意識を引き戻された麻幌は甲高い嬌声を上げ、ずぷんと子宮口を穿たれるとまた気絶した。しかし容赦なく母乳を搾られながら再び胎内まで抉られると、壊れたラジオのように甘い悲鳴を垂れ流した。
「あ――あッ、オッ、ふぃ、ひば、ひばりく、あっ、いあ、いって、る、ぃ、てぇる、てばぁ、あぁ、あァァっ……!」
豊かな黒髪を振り乱して連続絶頂の凄絶さを訴えても、一玻璃は左右の乳房を入れ替えて口と手で母乳を搾り上げる。子宮を突き上げる屹立の律動は深さを増し、ずっぷんずっぷんと落雷のような快感を打ち込んでくる。
「いぁ、ひゃめ、だめ、あ、ぁ、でちゃ、あ――ふぅンあァァァァァァァァァあッ!!!」
麻幌の両腿が激しくわななき、潮と共に小水が迸った。濃い陰毛に覆われた陰嚢や八つに割れた腹筋までびっしょりと濡れ、一玻璃は瞬くと乳房から口を離した。
「麻幌さん?」
「ば、ばかぁ! おっ、おしっこ、でちゃうからだめって、いおうとしたのに!」
ひぐひぐと泣きながら詰ると徐ろに唇が重なり、慰めるようにたっぷりと口腔を愛撫される。
「ふ――んぅ、うむ……ッ」
長い舌でれろれろと粘膜を掻き回されると、麻幌は一瞬で絶頂に達してぐんにゃりと脱力した。熱く蕩けそうな乳房を優しく捏ねられ、膣壁が陰茎を巻き締める。
「……ハ、顔、真っ赤ですよ」
一玻璃は唇を触れ合わせたまま笑った。
「気持ち良くて漏らすなら幾らでも。むしろご褒美みたいなもんです」
「へ……変態じゃん」
「貴女に関しては馬鹿にも変態にもなるしかないです。気持ち良くってションベン漏らして恥ずかしがる麻幌さん、最高に可愛くてエロいです」
琥珀色の熱視線に嘘など微塵もなかった。麻幌はぶわっと全身紅潮させると、背筋を震わせた。
「またイキました?」
「ひっ……ん――ッ!」
耳元で囁かれるだけでオーガズムの波に呑まれた。途方もない快楽にパニックになり、麻幌はしゃくり上げて一玻璃の首にしがみついた。
「きも、きもちいのが、と、まんなくて、こ、こわ、ぅ、え……」
「……イキ過ぎて辛い?」
乳房を揉んでいた手が離れ、するすると背中を撫でられる。必死に頷くと、一玻璃が溜め息をついた。
「すみません、がっつき過ぎました。……目標は達成したから、ここで止める?」
「や! ぃや、あ……ちがっ、やめなぃで!」
グッと腰を力強く抱き寄せられた。胸の谷間から首筋を辿るように口づけられ、最後に口唇を食まれる。
優しくて深いキスに尾骶骨が痺れ、頭がクラクラする。夢中になって一玻璃の口に舌を入れると、彼の喉がくぐもった笑声に震えた。
「麻幌さん」
「ぅ、んッ」
「……おっぱいが辛いなら、お尻揉んでもいい?」
こくんと頭を上下させると、左右の尻たぶを鷲掴まれて揉みくちゃにされた。放置されていたアナルがきゅんと疼く。
「お尻の穴は触っても平気?」
もう一度頷く。
一玻璃の右の人差し指が割り開かれた尻の割れ目をなぞり、ひくつく肛門の縁をくるくると撫で回す。
麻幌が吐息を震わせていると、青年の人差し指がぬぷ……と潜り込んできた。
「は、ぁ、ン……あぁッ」
直腸の泥濘を掻き分け、長い指の先が容易にS状結腸へ届く。皮一枚隔てたポルチオをぐっと押され、麻幌は零れ落ちそうなほど目を見開いて絶叫した。
「ひぅあぁァァァァァァァァァァァァッ!!!」
二本目の中指も挿し込まれ、子宮口を突き上げる陰茎の動きに合わせてつぷつぷと指圧される。
抽送の度に屹立の根元で陰核が磨り潰され、脳裏にスパークが飛ぶ。泣きじゃくる麻幌の耳元で、一玻璃が静かに告げた。
「大丈夫――麻幌さんはもう俺の
ぐぽんッと胎内の奥底まで亀頭部がめり込んだ。
S状結腸越しに強くポルチオを突かれ、麻幌はひゅっと喉を鳴らした。
膣がきつく陰茎を締め上げる。一玻璃はグルルッと唸って腰を低く落とし、雌の香気を迸らせる女體を掻き抱いた。
亀頭部が膨張し、子宮口を塞ぐ。大量の精液が胎内に溢れ返った。
「くっ、は……はぁ……」
熱い吐息が降りかかり、麻幌はひくんと震えた。青年の抱擁の中、茫洋とした表情で小刻みに痙攣している。
射精はいつまでも続き、その間に意識が徐々に引き戻されていった。
肥大化した陰茎がドクドクと脈打つ感覚が狂おしいほど気持ち良い。抱き竦められて乳房が潰れ、鋭敏な乳首がひしゃげて母乳がどぷどぷ押し出された。
「ん、ァ、ひぁ……!?」
一玻璃がぐいっと腰を押しつけ、屹立をより深く胎内に埋めた。カウチの背凭れに乗り上げた麻幌の胸元に顔を伏せ、射精の快感をやり過ごすように乳房を甘噛みする。
伏せた睫毛を震わせている青年の必死な様子に、麻幌はくすぐったさを覚えた。一玻璃の頭を抱き寄せてぼさぼさの黒髪を撫でると、右足を持ち上げられてガツンと屹立を咥え込まされた。
「ちょ、ひばりくっ、ぁんッ」
飛び上がった右乳房の先端に食いつかれ、気性の荒い子犬のように母乳を吸われる。S状結腸を突かれ、麻幌は背中をしならせて絶頂に達した。
一玻璃の指が肛門から引き抜かれたかと思うと、我慢出来ないとばかりに左乳房を揉みしだく。たわわな膨らみを夢中で味わう手つきに、本当に巨乳好きなんだなと暢気な感想を抱いてしまった。
「……一玻璃君、おっぱい美味しい?」
ボサボサの黒髪から覗く耳へ囁くと、一玻璃がパッと目を開いた。
琥珀色の双眸が一瞬泳ぎ、乳首を咥えたままの口がもごもごと答える。
「美味しい、です」
「じゃあ、好きなだけ飲んでいいよ。もう一玻璃君の、だから」
一玻璃の喉がゴクンと鳴った。
許しを得た勢いで左の乳首にもむしゃぶりつき、右の乳房をこれでもかと捏ね回す。
「んッ……ふぅ……っ」
舌で左の乳頭部を舐られ、ぢゅうぢゅうと力強く吸い上げられる。右の乳頭部はパフィーニップルの厚みを味わうように指の腹で愛撫され、時折乳首をつままれては溢れ出す母乳をぬちぬちと塗りたくられた。
長い長い射精は漸く終盤に入った。左足も持ち上げられると、膨らんだままの亀頭部で胎内を掻き回される。
「あ、ひっ……ァあァァァァンッ!」
麻幌は喉を反らし、一玻璃の頭を抱き締めて身震いした。二度三度潮を噴き、くたりと背凭れにしなだれかかる。
「……麻幌さん」
掠れた呼び声に睫毛を上下させると、そっと唇を重ねられた。
彼の舌で触れていない場所が見当たらないほど口内を愛撫され、頭の芯が痺れるような快感に腰がピクピクと跳ねる。
万歳するように促されてスウェットシャツを脱がされた。
スウェットシャツを剥ぎ取られた拍子に乳房がTシャツの内側に滑り落ちた。白地にシンプルな横文字がデザインされたTシャツは汗や母乳を吸って女體にぴたりと張りついている。
伸びた襟刳りから深い谷間が覗き、濡れた布地の下で丸々と熟れた双乳がたゆんたゆんと弾んでいる。ぽってりとしたパフィーニップルは薄赤く透けて、勃ち上がった乳首の輪郭がくっきりと浮かんでいた。
Tシャツの裾は中途半端に捲れ、陰茎と精液を孕んで膨らんだ腹とつるんとした恥丘が丸出しだ。幼女のような無毛の恥丘に男の陰毛が絡みつき、陰茎を根元まで飲み干す様は倒錯的なほど卑猥だった。
一玻璃は悩ましげに息を吐き、麻幌の下腹部をさわさわと無で回した。
「あー、糞、どこもかしこもエロ過ぎだろ……」
「ン、あぁ……」
「麻幌さん、場所を変えてもいいですか?」
恥骨の真上と陰核を優しく刺激され、麻幌はTシャツに透ける淫乳を小刻みに揺らした。
「……今更ですけど、ベッドに行きましょうか」
快楽に溶けた思考を掻き集め、なんとか首肯する。
背中と腰に腕を回され、軽々と抱き上げられた。挿入されたままの屹立が自重で深々と突き刺さり、声も出せず気絶する。
弱々しく痙攣する麻幌を抱きかかえた一玻璃はリビングを後にすると、迷いのない足取りで寝室に向かった。
麻幌が意識を取り戻したのは、一玻璃の匂いがするシーツの上に横たえられた直後だった。
「は……ぇ、あ……?」
麻幌が転がっているのはキングサイズのベッドだった。八畳程度の室内はベッドに占領され、他にはベッドサイドのシンプルなスタンドライトだけ。
コンクリートの壁を暖色の光がぼんやりと照らしている。薄闇に浮かび上がる、筋骨逞しい長躯のシルエット。
底光りする琥珀色の瞳が音もなく迫る。胎内に埋まったままの陰茎の角度を変えて抉られ、息も出来ない。
「好きな人を自分のベッドで押し倒しているってシチュエーション、堪んないですね」
無邪気に笑う一玻璃の表情に胸が高鳴った。両手をシーツに縫い留められてキスされると、まるで自分が恋愛ドラマのワンシーンを演じているような気分になる。
抱き合って口づけを繰り返しているうちに膨張していた亀頭部が萎んでいった。しかし、陰茎はガチガチに勃起したままだ。
胎内から屹立をずるりと引き抜かれ、麻幌は小さく身悶えた。溢れ出した精液が尻の割れ目を伝い落ちる。
厖大な陰茎が全て抜かれると、なんとも言えない物足りなさが下腹部を疼かせた。
へこんだ腹をさすっていると、一玻璃が腰の両側を掴んで体の位置を入れ替えた。
仰向けに寝そべった一玻璃に跨り、石畳のような腹筋にぺたんと両手と尻をつける。剛直の切っ先が尾骶骨をつっついて落ち着かない。
「あの……一玻璃君?」
一玻璃の顔に視線を向けると自然と前傾になり、むっちりとした双球が透けたTシャツの襟刳りから今にも転げ落ちそうに揺れる。一玻璃は無言で凝視しながら、Tシャツの襟を指先でくいっと引き下ろした。
「あっ」
Jカップの乳房が競い合って雪崩れ落ち――る寸前、乳頭部が襟刳りに引っかかって止まった。
バストの重みが先端に集中し、麻幌は短く喉を鳴らして倒れ込みになった。左手一本でがっちり腰を固定されてしまう。
「もうちょっとこのままでも良いですか」
「えぇ……」
一玻璃の右手が濡れた布地越しにぽよぽよと垂乳を揺らす。触れるか否かの距離で指先が乳首を掠め、堪ったものではない。
「んぅ、ふっ……ちょ、一玻璃く、んぁ!?」
Tシャツの襟が引っかかったままの乳首をつまんでこすられ、麻幌は浮き上がった尻をビクッと震わせた。
「俺、濡れ透け白シャツの良さが今分かりました」
「は、ぁ、ンぇ?」
「AVのジャンルでなんでこんなのがあるのか不思議だったんですけど、需要を実感しました」
左乳房を下から掬われ、たぷたぷと揺すられる。たわわな双乳がぶつかり合って重々しく揺れ動き、ぞくぞくするような痺れが尾骶骨から背骨を這い上がっていった。
唇を噛み締めて快感にわなないていると、腰を掴む一玻璃の左手が尻を持ち上げるように動いた。
「麻幌さん、このまま入れてもいいですか?」
「こ……この姿勢で!?」
「俺の上で俺のちんこに犯されながら麻幌さんがおっぱいぶるんぶるんさせているところが見たいんです」
口早に懇願され、麻幌は当惑した。
一玻璃の表情は真剣そのものだ。真剣過ぎて怖い。
「……駄目ですか?」
クゥーン……と哀れっぽく鳴く子犬が脳裏を過ったが、実際には性欲盛んな大型の狼犬である。麻幌は視線をうろつかせていたが、不承不承に頷いた。
左右から腰を掴まれて体が浮き上がる。突然の浮遊感に驚いた直後、ヴァギナにずぶりと怒張する肉棒が突き立てられた。
「ひ、ぐッ……!」
濡れに濡れた蜜壺は一息に剛直を根元まで呑み込んだ。子宮口どころか胎内の天井まで突き上げられ、麻幌は天を仰いで剥きかけの豊乳を弾ませる。
白い太腿が男の腹筋を挟み込み、膣が陰茎を激しく締めつける。一玻璃は眉間に皺を寄せ、悦楽に打ち震える女體を眩しげに見つめた。
「麻幌さん……、自分で動けます?」
優しい声で理不尽な要求を突きつけられる。麻幌は涙目で青年を睨むと、呼吸を必死に整えてから緩慢に腰を上下し始めた。
ずるる……と亀頭部が恥骨近くまで下がり、腰を落とすとぬぷんッとポルチオを抉って胎内まで貫通する。しっかりと腰を支持されているお陰で浅い抽送に留める事が出来ず、より長く深いストロークを自分で打ち込む羽目になった。
「は、ふぅ! ……アッ、ぅんぁッ」
まるで一玻璃の体を使って自慰に耽っている痴態を視姦されているようだ。
Jカップのバストが弾み、Tシャツからまろび出るかと思えばまたもや内側に引っ込んだ。
柔肌を透かす布地が淫靡な円味を描き、麻幌の動きに合わせて肉感的に波打つ。谷間に寄った布地の端から赤く色づいた乳輪がちらつくが、見えそうで見えない。
じゅぽんッと一際深く子宮を突かれ、麻幌は子猫のように甘く啼いた。
上手く力が入らず、もう尻を持ち上げられそうにない。堅い腹筋の上で両手を突っ張り、腰を前後左右にグラインドさせる。
鈍間なロデオマシーンに揺られているような腰つきに一玻璃の喉が唾を飲んだ。緩慢な横の動作は予想外の刺激を呼んだのか、剛直はますます硬度を上げた。
「はっ……麻幌、さんっ……」
一玻璃の声調が乱れて熱を帯びる。麻幌は瞬き、身を乗り出すと胸の谷間を見せつけるように両腕を寄せた。
Tシャツの襟刳りが左肩からずり落ちた。左乳房の膨らみも徐々に露わになり、垂れ下がった襟刳りの奥で揺れる乳頭部も丸見えだ。
一玻璃の右手が襟刳りの内側へ潜り込んだ。
「ひゃあンッ!?」
左乳房を鷲掴まれて引っ張り出された。ミルクを漲らせてパツパツに張った乳肉を揉みしだかれ、指の間に挟んだ乳輪を乳首の先まで力強く扱かれる。
「あ、ぁあァァ……ッ」
前のめりに倒れかけると、Tシャツの裾が捲れた拍子に一玻璃が右乳房にむしゃぶりついた。荒々しく乳を吸われ、麻幌は黒髪を振り乱して喘いだ。
快感は高ぶる一方なのに、一玻璃が動く気配はまるでない。とうとう麻幌は羞恥を捨て去り、夢中で腰をグラインドし続けた。
濁った水音が秘部から溢れる。決定打が訪れない絶頂の細波に麻幌がぐすぐす泣き出すと、腰の動きに合わせて胎内を鋭く突かれた。
右乳首を犬歯でカリッと軽く噛まれ、左乳首をキュッと捻り上げられた。麻幌は一気に絶頂の階段を駆け上がり、失神した。
崩れ落ちた女體を青年の逞しい腕が抱き止めた。腹筋だけで上体を起こした一玻璃は長い濡羽色の髪を撫で梳き、乙女椿の花弁のような麻幌の唇を貪った。
「んぅ――ふ、ぁ、はっ」
舌を捩じ込まれて喉の奥まで舐られる。滲みるような快感と共に意識を引き戻され、麻幌の眦から涙の粒が転がり落ちた。
抱き締められたまま子宮をゆさゆさと揺すり上げられる。痛いほど凝った乳房と腫れぼったい乳頭部を揉みくちゃにされて脳味噌が煮え立ちそうだ。
「麻幌さん」
キスの合間に囁かれる。自分の名前の響きをした、限りない慈しみと情欲を秘めた言葉に鼓膜を凌辱される。
麻幌は泣き濡れた両目を見開き、一玻璃の陰茎をこれでもかと締めつけた。
「……ぐッ」
射精の衝動をやり過ごすように一玻璃が呻いた。彼の腕の中で麻幌が激しく痙攣し、くたりと脱力した。
生温い小水がシーツに流れ落ちる。麻幌のお漏らしで濡れた腹や太腿を目にすると、傷のある口元が薄く笑った。
「……漏らすほど気持ち良かった?」
麻幌の肩が小さく跳ねた。
ふやけた瞳が瞬き、ふいっと逸らされる。
「意地悪するなら、一玻璃君のお願いなんてもう聞いてあげない」
「えっ」
横目で睨むと、一玻璃の顔に焦りが広がっていった。
「調子乗り過ぎ」
「……ハイ」
「恥ずかしいのに頑張ったわたしに対して失礼でしょ」
「スミマセン」
「気持ち良くても恥ずかしいものは恥ずかしいの。そこをちゃんと理解して、わざとからかったりしないで。またやったら二度とお願い聞かないからね」
「申し訳ありませんでした許して下さい!」
土下座する勢いで一玻璃が謝罪した。麻幌は溜め息を吐き、唇を尖らせて「分かればいいよ」と呟いた。
「……シーツ、汚しちゃってごめんね」
「後で洗いますから気にしないで下さい。俺のせいですし」
「シャワー浴び直さないと」
頬に口づけられ、流れるように首筋を甘噛みされる。
キスマークよりも噛み跡を残したがるのは山犬の性なのだろうか。情事の夜が明けたら、全身彼の歯形だらけになっているかもしれない。
「……シャワーの前に、あと一回、麻幌さんの中で出してもいいですか?」
一玻璃は唇を触れ合わせて伺いを立てた。挿入されたままの陰茎の切っ先で胎を小突かれ、「んぅッ」と鼻にかかった声が漏れた。
「麻幌さん」
強請るような声に思考をぐずぐずに溶かされる。麻幌は一玻璃の胸板に身を預けると、頬を染めて応えた。
「いいよ……」
食らいつくようにキスされた。
一旦陰茎を抜かれ、シーツの上で四つん這いの姿勢を取らされた。
Tシャツの裾は首元まで捲り上げられて豊満な淫乳を暴かれた。
背中に鋼の獣のような長躯がのしかかる。両手を上から押さえるように握り込まれ、息を殺す麻幌の陰裂を人外の域に達する巨根が貫いた。
「――ッ、……ぁ!」
掠れた悲鳴が零れ、椀形に垂れた双乳がぶるんっと浮き上がった。そのまま着地する事なく、ガツンガツンと子宮を突き上げる律動に合わせて忙しなく跳ね回る。
「待っ……ひ、ばりく、ぅ、アッ、あっ、あ――はッ、んひッ!」
力任せに胎内を突かれて視界に火花が散った。
カメラのフラッシュを焚いたように頭が真っ白になっては、ベッドの上で犬の交尾じみた体勢でまぐわう現実に引き戻される。下を向けば、いやらしく肥え太った爆乳が母乳を撒き散らして飛び跳ねている。
仄白く細い自分の指に絡みつく浅黒く無骨な指。行きずりで助けただけの女を一生かけて守ると請け負ってくれた、情け深い、麻幌の男。
恋人と呼ぶには期間も想いも足りず、夫婦と名乗るには気恥ずかしいけれど、この人は自分だけの存在なのだと思うと途方もない多幸感が込み上げてくる。
「ひばりくん、ひばり、く……ひばりくん、ひばりくんッ……!」
そして自分は、彼だけの女でいて良いのだ。麻幌は声を嗄らして一玻璃の名前を繰り返した。
「……っ、麻幌さ、……」
耳殻を食まれて掠れた呼び声を吹き込まれた。一玻璃の右手が右乳房を捕らえて握り潰す。
「んぅッ」
横を向いた拍子に噛みつくように唇を塞がれた。口から溢れた唾液が汗と混じり合ってシーツにシミを作る。
脳天まで突き抜ける勢いで子宮口を穿たれる。亀頭部が球形に膨張し、密室になった胎内へ精液の奔流を走らせた。
「ふぅあ……――ッ!!!」
麻幌は切れ切れに嬌声を漏らし、シーツに突っ伏して全身を打ち震わせた。
腹が今にも張り裂けそうだ。まるで真っ赤な溶岩の塊を孕んでいるように熱くて重い。
高く突き出した桃尻がぷるぷると震え、大ぶりの双乳が水風船のように躍っている。ぷくりと熟れた乳頭部から乳汁の小雨が降り、甘ったるいミルク臭が立ち込めた。
一玻璃は麻幌に覆い被さったまま、ボール状の亀頭部でゴツゴツと子宮を突いた。快楽の暴力から逃れようと身をよじるが、豊かな乳房が蠱惑的にうねるだけだった。
汗でぬるつく掌が左乳房を掬い上げ、駄々を捏ねる幼子をあやすように柔々と揉みしだかれる。思わず息を詰めて背中を突っ張らせると、同じリズムで膣の泥濘を掻き混ぜられた。
「……ッ、は、ひぁ、あぁァ、ぁあ……!」
麻幌はシーツに頬を押しつけてぼろぼろと落涙した。
重なった右手は固く握り込まれ、一玻璃の腕には血管が浮かび上がっていた。二度目の本懐を遂げた長躯からは湯気が立ち、汗が雨粒のようにポタポタと落ちてくる。
乳房を捏ねる手つきは段々と甘えるような色を帯びていった。絶頂の余韻を少しでも引き延ばそうとする抽送に、麻幌はうっすらと水の膜が張った双眸を瞬かせた。
「……ひばりくん?」
まさしく犬のような荒い呼気が項に吹きかかっていた。一玻璃は何度も唾を嚥下し、鼻先で麻幌の黒髪を掻き分けると肩や肩甲骨の盛り上がりに噛みついてくる。
むず痒い感覚に柳腰を揺らすと、胎内から亀頭部でポルチオをグリグリ圧迫された。
二人同時に息を呑む。一玻璃は麻幌を掻き抱き、精液の残り滓まで注ぎ込んだ。
「――……ぅ、は……」
麻幌は一玻璃の腕の中でぐったりと脱力した。僅かな瞬きですら性感を拾ってしまい、指先一つ動かせない。
漸々射精が終わり、一玻璃は麻幌の上に伏して息を吐き出した。
「……麻幌さん、大丈夫ですか?」
麻幌はぼんやりと一玻璃を見上げた。
目が合うと、汗まみれの顔が気恥ずかしそうに笑う。口元の傷痕が引き攣れて歪んでいるが、麻幌の胸は愛おしさで満たされていた。
一玻璃は麻幌をファムファタルだと言ったが、彼こそ麻幌にとっての
この運命の結末は幸福なのか、あるいは破滅なのか。差し伸べられた救いの手を取ったつもりで、自ら餓えた山犬の
――彼になら食べられても後悔しない。
悍ましい化生に骨の髄までしゃぶられるより、骨の欠片も残さず食べ尽くされて一玻璃の飢えを満たしてあげたい。
「大丈夫、よ」
麻幌は恍惚と微笑んだ。
視界に影が差し、爆ぜた柘榴のような口が大きく開きながら降りてくる。
貞淑な花嫁のように目を伏せ、麻幌は互いを食らい合うように貪欲なキスに溺れた。