※この作品はR-18です。

管理されたい管理人   作:霧里

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チェンと遊びたい

:訓練場

 

 

「では、ご存分に……」

 

呆れを含んだ溜息を一つ。いささか投げやりにペリカが声を漏らすと、管理人の顔が輝いた。両手に抱えた工業爆弾を、チェンに向かって投げつける。下から上へと掬い上げるように。まるで、子供のキャッチボールだ。緩やかな放物線を描いたそれが、爆弾でなければ。

 

そうくると思った。

 

今更爆弾の一つで驚きはしない。演習という名目で始まった催し。実際は、管理人のストレス発散が主だった。

 

だからって、手は抜かないけどね。

 

5投目……。ううん、3投目には踏み込める。ペリカには悪いけど、ただの標的をやってやるつもりはなかった。管理人と本気で打ち合える機会を逃す手はない。

放物線の内側へ。剣を構え直したチェンは、姿勢を低くして突貫した。

 

けれど、様子がおかしい。

 

急にスカートの端を摘んで見せた管理人。

視線誘導のつもり? ペリカじゃあるまいし、そんなのに引っ掛かるわけ……。

とはいえ、あまりに奇妙な行動を追ってしまう。下心は抜きにしても、その意図から目が離せない。

 

ボト……ボトボトボトボト。

 

一つ、加えて二つ、重ねて四つ。スカートの裏から転がり出た爆弾の山に、チェンは目を丸くした。「げっ!」思い切りに踏み込んだ足は、急に止まらない。

たたらを踏みながらも、なんとか軌道を捻じ曲げる。

 

「これなら、どうかな?」

 

ニヤリ……管理人の口元が持ち上がった。一斉に生えた源石柱。挑発するように指先が宙を掻く。瞬間、巻き上げられた爆弾が一斉に降り注いだ。

絨毯爆撃。まさに雨霰。降り注ぐ爆弾の隙間を縫うようで、チクチクと体力が削られていく。

 

「しぬしぬしぬしぬってっ!! ちょっとたんまっ。待てってのっ、このバカっ!! ペリカぁぁぁっ、管理人とめてぇぇぇっ!!」

 

爆風に髪を揺らされながらも、ペリカは涼しい顔を崩さない。

タブレットに視線を落としたまま、どこ吹く風と、書類の山を捌いていた。

 

「安心して、チェン。ちょっと痛いだけだから。死ぬほどではないわ」

 

その時、初めてペリカを疑ったかもしれない。

精々が強めの閃光弾。本当に? 本当にそうか? 髪を焦がす炎も、背中に叩きつけられる衝撃も真に迫りすぎている。そりゃ、ちょっとした爆竹程度じゃ管理人は満足しないだろうけど。

 

「あははははっ♪ 流石だね、チェン。まだまだ余裕がありそうだ」

 

時間との戦いだった。

 

逃げる? それもいい。けど、こっちも勝ちにきてるんだ。

次の爆弾が投射されるまでの僅かな一瞬。そこに踏み込めなければ、このまま削り取られる。やられっぱなしじゃ終われない。愉快そうに手なんて叩いてさ。あの爆弾ペンギン。せめて一撃は叩き込まないと、気が済まなくなった。

 

ホント……最悪。

 

運が良かっただけ。たまたまだ。足元に転がってくる爆弾を見つけてしまった。

周囲の派手な爆発に紛れて、ただ一つ。たったの一個。転がるボールのようにコロコロと。これが本命だ。数百発の爆弾を囮にした一投が、確実にあたしを取りにくる。

 

「だからってぇぇぇ!!」

 

咄嗟に剣を投げつけた。爆発をくぐり抜けて、一気に突っ込む。

これ以上はダメだ。今度は常に足元の警戒まで強いられる。半ば直感。今動かなければ、完全に攻め手を欠いてしまう。

 

さらにもう一本。管理人に剣を投げつけた。

 

当たるなんて思わない。そのくらいの信頼はある。一拍で良かった。管理人の動きを止めるだけ。半身を引いて躱される。逆手で柄を掴んで剣を構え直された。

 

器用が過ぎる。

 

だけど、その遊び心が付け入る隙だ。

 

飛び上がって、直上から。脳天めがけて尻尾を叩きつけた。

賭けには勝った。管理人の手から弾かれた剣を……取らない。このまま手刀を伸ばして、まずは一つ!

 

雷が落ちた。

 

「そこまでですよ、チェン」

「ぁぃったぁぁ!? ちょっ、ペリカっ。横槍はズルいんじゃないっ!!」

「熱くなりすぎです……まったく」

「へ? あ、あぁぁぁぁっ!? ごめん管理人っ!?」

 

嘆息するペリカ。その視線の先には「きゅぅぅっ……」と目を回して倒れている管理人の姿があった。

 

 

*******

 

:医務室

 

「お大事に……」

 

ペリカが医務室を後にすると、残されたチェンは管理人と二人きり。

少しだけ違和感だ。その言葉が向かう先。やりすぎたあたしにだったのか、はしゃぎすぎた管理人にだったのか。呆れたような視線だけが引っ掛かる。

 

「ごめんね、管理人……」

 

眠ったままの彼女の頭を撫でた。

 

これじゃあ二人きりと言うより、一人ぼっちだ。

ただの過労だって聞いて、少しは安心した。でも、疲れてるならそう言ってほしかったな。ペリカにも心配掛けちゃった。ほんとなら、一番そばにいたいだろうに……。お仕事、変わってあげられるならそうしたい。けど、あたしにペリカの変わりは務まらない。出来るのは精々、管理人の寝顔を眺めるだけ……。

 

「結構……可愛い顔してるよね」

 

柔らかそうなほっぺた。薄く引かれた唇。マスクの上からでも、その輪郭は愛らしい。こうして寝てる分には、ただの女の子だ。皆が期待を寄せる管理人なんて、本当は何処にもいないんじゃないかな……。

 

「笑えって言うなら……そうするけどさ」

 

胸が重い。

 

たった一人から向けられる期待でもこうなんだ。管理人の立場を想像するだけで足が竦んでしまう。無作為な期待に息が詰まりそうだ。

開口一番に口説かれた。思えばそれも、絶対に過去の自分と重ならない虚像を演じてみたんだろう。そのズレの大きさは、ペリカの顔に描いてあった。あんな苦々しい顔見たの初めてだったかも。

 

「ありがとうね、管理人」

 

管理人が目覚めてから、ペリカの表情が増えた。思い出の中のあなたとは重ならないんだろうけど、年相応の顔が見られるようになって、あたしも嬉しい。

 

管理人とペリカ。

 

ペリカと管理人。

 

「やだなぁ、あたし。すっごくイヤ……」

 

大好きな二人が仲良くしてるだけなのに、それがイヤだなんて考えてしまう。

ううん。イヤじゃないんだ。なんかモヤモヤするだけで。管理人の隣で、子供のように眠っていたペリカ。裸ん坊で違うも何も……。好きなら好きで、それで良いじゃないか。誤魔化される方が悲しくなる。「こんな時に……」とは言うけれど「こんな時だから……」って、あたしは思う。

 

「浮気者め。結婚しようって、言ってくれたじゃんかさぁ……」

 

まぁ、ペリカにも言ってたんだけど。

指で突いた管理人のほっぺたは、龍泡泡みたいにモチモチしてた。

 

ペリカを押しのけてまでとは言わない。でも、ペリカを取られたみたいな感じも何処かにあって。あたしも慰めてって言ったら、管理人は受け入れてくれるだろうか? 甘えさせてって言ったらペリカは困るかな?

 

ペタリ……。

 

自分の胸に触れてみた。容姿に不満があるわけじゃない。管理人だって可愛いって言ってくれる。いや、誰にでも言ってるなコイツは。誰かと比べるものでもないけど、でもやっぱり。女の子って言葉の意味を伝えるなら、あたしよりペリカの方が断然良いわけで……。

 

澄んだ水を湛えた青い瞳。

 

白波を思わせる長い髪。

 

綿草みたいに白い肌。

 

芽針のように細い手足にも。

 

ふと、目を奪われる時はある。あたしにもせめて、コータスみたいな長い耳があったらな、とか。流石に卑下し過ぎか。頭を振って邪念を追い払ったつもりで、ペリカの寝顔が頭から離れない。

 

任務で一緒になる時だって、あたしより後に寝て、早くに起きて。まるで自分が寝坊助になったみたいだ。あんな幸せそうな顔するんだ。それは管理人と一緒だったから? 置いていかないでほしい。見ていられなかったのは、気遣いからじゃない。咄嗟に目を逸らしたのは疎外感からだった。

 

ぎゅっと、自分の尻尾を抱きしめる。

 

なんのかんので管理人はペリカの希望を叶えようとはするし、ペリカにしたってそれはそう。絶対に自分を裏切らない。よくケンカしているのだって、そういう遊びなんだ、アレは。二人の仲を取り持っていたようで、あたしがいなくたって関係は成立しちゃってる。それに気づいた時の恥ずかしさと言ったらない。

 

何、考えてんだろう……。

 

嫉妬だったら、どれ程分かりやすかったか。

感情の出どころが分からなかった。管理人に甘えたいわけでも、ペリカに束縛されたいのでもない。ふいに思い浮かんだのは、二人の間に挟まる自分の姿。

 

尻尾の先に口付けて、舌で舐めた。ゾクゾクとした高揚が付け根にまで伝わって、背筋を昇ってくる。引き寄せた太ももが擦れ合う。気の抜けるようなさざ波に溜息が漏れた。

 

「あむっ……」

 

歯を立ててみると、やっぱり痛い。あんなに噛み跡残ってて、管理人は痛くはなかったんだろうか? 腕まで縛られててさ。なんでちょっと嬉しそうだったんだろう……。

 

あたしは……やだなぁ。

 

噛むのも、噛まれるのも、もうちょっと普通に……ふつう、に?

気づけば、友人たちを良くない目で見てしまっていた。止めよう。これ以上は流石に気まずくなる。

 

トレーニングでもしてこよう。

 

この手に限る。モヤモヤした時は体を動かすのが一番だ。

 

席から立ち上がろうとして、気づいてしまった。ベッドの縁から零れ落ちる管理人の小さな手。「管理人……?」声を掛けても、静かなまま。寝返り一つ打つ気配はなかった。

 

冷たいな。

 

それに、小さい。

 

触れた管理人の手は、あんまりに頼りない。ペリカと比べても、まだ子供みたいだ。布団の中へ戻そうとして、つい心配になってしまうほど。

 

生きてる……よね?

 

胸に耳を押し当てた。

 

とくん……。伝わる微かな鼓動。

生きてはいる。でも、それだけみたい。このまま起きなかったらどうしよう? 外の空気に晒された指先は、氷のような冷たさだった。ちょっとだけ。管理人を温めたくて、布団の中へと潜り込む。

 

よかった……。

 

しばらくすると、抱きしめた管理人の体に体温が戻ってくる。

冷え性っていうには、ちょっと冷え過ぎな気もするけど。弱々しかった鼓動の音も落ち着いて、静かな寝息が耳にくすぐったい。

 

ペリカにも言われたっけ?

 

「チェンの指は温かいですね」なんてさ。ひんやりとした指先は、作り物めいていて。その時は、少しだけペリカを羨ましく思ったものだけど。まぁ、いいか……。湯たんぽでも何でも、しばらくこうしていよう。

 

ぽんっ、ぽんっ、ぽんっ……

 

子守唄を歌うように、尻尾の先が揺れ動く。

なんだかムズムズして落ち着かない。舌の置き場所に困るような、あの感覚。いつもは、どうしてたっけ? 気になれば、気になるだけ気にかかる。

 

ここは……足首かな?

 

あたしのじゃない。尻尾が勝手に動いてしまう。

巻き付けた尻尾で、きゅっと締め付けた。筋肉の影もない。柔いだけのふくらはぎ。

 

「っぁ……」

 

薄い唇から漏れた吐息に、鼓動が跳ねた。

ドキッとした。ドキドキする。ウロコに巻き込まれたタイツの繊維が引っ張られて、ビリっと嫌な感じ。どれほどの音も聞こえない。布団の隙間から僅かに空気が逃げただけ。

 

一瞬でも想像してしまった。

 

管理人の素肌に残る尻尾の跡。

 

噛みつきたいわけじゃない。傷つけたいわけではもっとない。

でも、新品の道具に、自分の名前を刻むような高揚感は確かにあって……。

 

ちがう ちがう ちがう ちがうっ……

 

首を振っても邪念は纏わりついたまま。

だから違うんだって。これは、だって、ペリカが……急にあんなの見たせいで、気持ちがちょっと流されてるだけ。だから……

 

破れたタイツの穴に尻尾の先が潜り込んでいく。

 

何をやってるんだろう?

 

考えると、余計止められなくなった。

どうしても、意識してしまう。素肌と、タイツに挟まれる自分の尻尾。ふくらはぎから、太ももへ。タイツの締め付けは強くなる。ビリっと、奥に進むほど裂け目は広がっていった。

 

これ、ペリカどうしてたの?

 

ペリカだったら、どうするんだろう?

 

ウロコ越しにも柔らかい、管理人の肌。

傷つけたくない。そう思う反面、もっと自分を押し付けたくもある。

 

とっとっとっとっ……

 

穏やかだった管理人の鼓動が、少し小走りに変わっていた。

吐息は深くなり、艶を増す。もうすぐにも起きてしまいそうなのに、止めれられない。彼女を求めて、その奥へ。下着の上から撫でただけ。くすぐるよりも、おっかなびっくりだった。

 

湿気を含んだ毛先が重たくなる。汗じゃない。もっと唾液にも近かった。その正体は多分、あたしと同じ。今、自分を落ち着かせなくしているもの。

 

もう少しだけ……。

 

良くない気持ちに背中を預ける。最後の一枚なんてあってないようなものだ。尻尾を折り曲げ、僅かな手応えを頼りに下着をずらす。溢れ出す熱気と湿気。さっきより近くなった管理人の気配に、生唾を飲み込んだ。

 

ぺちゃ、ぴちゃ……

 

粘り気をます水音。重くなった毛先が糸を引き、ひと撫でごとに管理人の肌がざわついた。呼吸は乱れて、肌が汗ばむ。それを見ていると、胸がモヤモヤして堪らない。ザワつくようなイラ立ちと、焼き付くような衝動に目頭が熱くなる。

 

「かんり……にん……っ」

 

何を我慢出来ないかも分からないまま、彼女のマスクに手を伸ばす。唇を奪うつもりだった……。欲望の後ろを、遅れて理性が追いかける。

 

だけど、そこから先に進めなかった。

 

腰が引けたんじゃない。

 

目が合ってしまったんだ。

 

涙を湛え、唇を戦慄かせる。今にも泣きそうな管理人を前に、頭が真っ白になった。なぁんにも思いつかない。ヤバいとか、まずいとか、どうしようとか、それすらも。

 

たった一言だ。

 

「チェンのえっち……」

 

耳まで真っ赤。唇を尖らせた管理人は、そう呟くだけだった。

 

 

******

 

:帝江号

 

どうしよう?

 

後悔と、罪悪感で、チェンの頭は一杯だった。

 

自分のことだけならまだいい。管理人の寝込みを襲ってしまった。

それ以上に、生真面目な友人の顔がチラついて離れない。

 

言わなきゃ……バレないかな?

 

耳元で悪魔が囁いた。言った所でペリカを困らせるだけ。そこに天使も乗っかってきた。管理人だって、デート中に別の女の子の話はしないだろうし。

 

イヤな信頼だ。

 

あたしはいい。管理人のイメージなんて、開口一番から変わってない。彼女なりの強がり。道化を演じている横顔が、たまに無理をしているようで困るくらい。

 

でも、ペリカはどうだろう?

 

「ごめん」と、素直に言うしか無いのは分かる。また気に病んでしまわないだろうか? この間はそれで爆発したばかりなのに。華奢な後ろ姿を盗み見た。タブレットを覗き込んだペリカは、相変わらず忙しそうだ。これ以上荷物を背負わせたら折れてしまいそう。

 

「チェン? さっきからなんですか、チラチラと……。言いたいことがあるなら」

「いや、べつに……」

 

言えない。急に声を掛けられて、抱えていた気持ちを背中に隠してしまった。

あんまり嘘は得意じゃない。問い詰められれば、すぐにバレてしまう。胸がドキドキしてた。聞きたくない。聞かないで。俯いて、顔を逸らす。次の瞬間、ペリカに何を言われるのか……。

 

「はぁ……。御覧なさい、チェン。アレがあなたの悩みの種よ?」

 

溜息を一つ。こめかみを押さえたペリカが、ペン先で指し示した先。そこには管理人と、アイビーエナの姿があった。

 

「へーい、アイビー♪」

「はぁい、管理人♥」

「ひっさしぶり~♪ ちょっと背伸びた?」

「本当? そうだと嬉しいのだけど♥」

「見違えたさ。一秒前のキミが霞んで見えるほどにね?」

「いいの、そんな事を言って? 明日にはアナタを置いていってるかもしれないわ?」

「追いつくさ。キミを一人にはしないよ、アイビー……」

「管理人……」

 

ちゅー♥

 

流れるようだった。

 

腰を抱き、肩に手を回す。鼻先を突いたかと思えば、頬を撫でる。

重なる瞳に落ちていく。夢を見るように瞼を閉じた。どちらから、というわけじゃない。形式張った演舞(ダンス)のよう。一手ずつ、二人で組み上げていく空気はキラキラと輝きを増していく。

 

それが、あまりにも自然すぎた。

 

通りがかったオペレーターは、まったく気にも止めないか、一瞥をくれるかの二択。一瞬は驚くものの、なんだいつもの事かと、呆れて仕事に戻っていく。

いつもか? いつもこんな事してんのか? こいつら……。

 

「腹立つぅ……」

「でしょう?」

 

チェンの奥底から、何かがふつふつと湧き上がってくる。

悩んでいた自分がバカバカしい。ていうか、昨日の今日でよくナンパできるな、あの女。ペリカもペリカだ。呆れてないで、一言言ってやればいいのに。

 

「いいのっ、ペリカはっ。あの、アレっ、あんなのさっ!」

「見せつけているんでしょ? いちいち反応なんてしてやるもんですか」

 

言ったきり。またタブレットに視線を戻してしまう。

でも、だからって……。それでも納得できずにいると、不意に見えてしまった。

いや、見せてくれたのか。傾いたタブレットの画面。そこに映っていたのは、帝江号の簡単なマップと、ピカピカ光る光点が一つ。その軌跡は、ちょうど管理人に重なっているようだ。

 

「構いませんよ。見える所で遊んでいる内は……ね?」

「あ、うん」

 

首輪が付けられていた。

 

管理人は気づいているのだろうか? その上で放ったらかしにしているペリカもなんなんだ。一緒にいるだけが愛情とは思わない。だけど、流石にちょっと歪んじゃないだろうか?

 

「それよりもチェン?」

「え、なに?」

「医務室にはね、監視カメラが付いてるんですよ? 次から気をつけてくださいね」

 

医務室、監視カメラ、次ってなんだ?

 

グルグルと、チェンの頭の中で単語が舞っていた。

綿あめを作る機械みたい。言葉の一つ一つが、溶け出し、ぶつかって、絡まり合う。とっくにバレていた。ようやく形になった結論の甘さに赤くなったチェンは……。

 

「違うの……」

 

そう、呟くのが精一杯だった。

 

 

*******

 

おまけ

 

:その後

 

ペリカ「何も違ってはなかったでしょう?」

チェン「だから違うんだってっ」

ペリカ「別に、怒っているわけでは」

チェン「聞いてよっ。あれは、だって……。二人が仲良くしてたのが

    羨ましかったていうか、なんか良いなって……あたしもさ?」

ペリカ「ああ、随分可愛らしい顔していましたよね」

チェン「見たのっ!?」

ペリカ「さぁ? どうでしょう?」

 

 

***

 

:ぴろーとーく

 

チェン「管理人……いつから?」

管理人「ペリカが……お大事にって、だから私……」

チェン「最初からじゃんっ!? 言ってよ……もぅ、ほんと」

管理人「そんなのっ、急におっぱじめたのはチェンじゃないかっ!?」

チェン「おっぱじめるとか言わないでっ!」

 

***

 

:初対面

 

管理人「結婚しようチェンっ」

チェン「しないしないしないっ!? 初対面、あたし達。

    お友だちからでしょ。順番飛ばしすぎだってっ」

管理人「それはそう。じゃあ、デートに誘っても? ちょっと お茶にしない?」

チェン「いや、まぁ……それくらいなら」

ペリカ「いいわけがないでしょう。何をやってるんですか、アナタは……

    目を離せばフラフラと」

管理人「どうしたんだい、ペリカ? そんな怖い顔をして。結婚する?」

ペリカ「しませんよ。良いからこっちに来て下さい……

    食堂の場所もわからないで、お茶も何も無いでしょうが」

管理人「あははっ。ごめんね、チェン。ペリカが妬いてるみたいだからさ

    お茶はまた後にしよう。その時は、ペリカも一緒でいいかな?」

ペリカ「黙って、歩いて。あと、妬いてもいませんから。

    チェンもっ、いいですね? こんな人について行ったら、ダメなんだから。

    まったく、ほんとに、ほんとにもうっ。

    聞いてますか管理人? あぁっ、もう、また……」

チェン「お、おぅ……」

 

 




夜はお仕置きプレイ

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