※この作品はR-18です。

おっさんが若い美女にラブラブされる、冴えない男たちの短編集   作:Mr.Claude

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 娘の親友で敬語クールな美人秘書が「おちんちんで子宮とんとんしてください♡」って還暦手前の社長のぶっとい指とちんぽでイかされた後「精液ほしいです子宮で飲みたいです♡」って名前呼びで懇願してくれるお話♡


下半身が卑猥なクール系社長秘書のエロすぎる残業時間

 金曜の夜、ビルの九階で残業しているのは社長の俺だけだ。

 いや、もう一人いる。ていうか、そいつがいるから俺も帰れない。

 

 氷室リン。二十六歳。俺の秘書であり、世間的には「クールビューティ」で通っている女。社員の連中は「氷の女王」なんて呼んでるが、俺に言わせれば……まあ、その話はあとだ。

 

 社長室のデスクに向かって決算報告書に赤ペンを入れていると、ノックが三回。コンコンコン。リンはいつもきっちり三回叩く。

 

「どうぞ」

 

「失礼します。社長、来週の株主総会のアジェンダを最終確認していただきたいのですが」

 

 入ってきたリンはいつも通りの紺のタイトスカートスーツに、黒のストッキング、七センチヒール。ボブカットの黒髪がシャープな顎のラインに沿って揺れている。切れ長の目は伏し目がちで、表情に余分な感情がない。

 

 完璧だ。金曜の夜九時だぞ。俺なんかネクタイもジャケットも脱いで腹をぼりぼり掻いてるってのに。

 

 リンはうちの娘のアヤネと同い年で、小学校からの親友だ。二十年前に女房を亡くしてからは、アヤネとリンちゃんがランドセルを並べて登校するのを見送るのが、俺のささやかな日課だった。二人して俺の家に帰ってきては、キャッキャと笑い転げていたもんだ。

 

『パパ、リンちゃんにおやつ出して!』

『黒田のおじさん、ありがとうございます』」

 

 あのころのリンちゃんは、緊張すると声が小さくなるおとなしい女の子だった。それが今は……。

 

「ああ、ありがとう。そこ置いといて」

 

「はい」

 

 リンがデスクの端に書類を置く。白い指先がトントンと紙の端を揃える所作は、何度見てもゾクッとする。ランドセルからセーラー服を経て、タイトスカートに着替えた十何年かのあいだに、「ゾクッとさせる女」に成長したわけだ。

 

 ただし今日は、少しだけ違う気配がある。リンの動きには刺《とげ》があった。

 書類を置くときの指先がいつもより硬い。視線が俺に触れない。いつもなら「他にご用件は」と一拍待つところを、今日はもう踵(きびす)を返そうとしている。

 

「リンちゃん」

 

「リンちゃんはやめて下さい」

 

「コーヒー淹れてくれない? もうひと踏ん張りしたいんだ」

 

「……かしこまりました」

 

 コンマ五秒だけ返事が遅い。だけどこの娘にしてみれば、そのコンマ五秒は異常値だ。

 アラフィフまで生きてると、女のご機嫌の変化にはそこそこ敏感になる。亡くなった妻で五年、短かったが濃かった。娘で二十六年。トレーニングを積んできた。要するに、これは怒っている。

 

 なんでだ? 今週、俺は何かしたか。セクハラまがいのことは……まあ絶対にないとは言えないが、心当たりはない。秘書としての仕事ぶりは常に褒めているし。

 

 あ。

 昨日、娘のアヤネから電話があったんだった。

 

『パパ、お仕事でヤなことあったから慰めて』

『いいよ。会社の近くに新しいイタリアンのお店ができたから、一緒に行こうか』

 

 俺が女好みの店を即答したことに、アヤネのやつ、キャッキャと笑って『え~なに、彼女できたの?』とかなんとか言ってたな。適当にあしらったが、リンに何か報告したんじゃないか。

 

 二人は今でも互いを「アヤネちゃん」「リンちゃん」と呼びあう。小学校からの呼び方を変えない二人を見るたび、俺はひどく複雑な気持ちになる。なにしろ、その片方とベッドインしてるんだから。

 

 リンがキッチンコーナーでサイフォンに湯を注いでいる。背筋はまっすぐだが、肩にだけ力が入っている。あの肩を揉んでやりたい。揉むだけじゃ済まないのは、半年の経験が証明している。

 

 サイフォンから上がってくるコーヒーの匂いが、社長室に広がっていく。深煎りの、苦くて甘い匂い。これをかぐと、俺はいつもリンのことを思い出す。もっと正確に言えば、この女の身体の奥からにじむ液の匂いを。

 

 コーヒーに似ているのだ。苦みの下に隠れた、発酵した果実のような甘酸っぱさ。

 初めて舐めたとき、俺は正直に「高い豆みたいな味がする」と言ってしまって、頭をポカポカされたのだ。

 

「どうぞ、社長」

 

 リンがカップを差し出す。視線は合わせない。

 

「ありがとう。……なあ、リン」

「なんでしょう」

「怒ってる?」

「いいえ」

「ウソつけ」

「嘘ではありません。私は秘書として適切に」

「アヤネに何か聞いたか?」

 

 リンの白い指が、わずかに震えた。それだけだ。表情は動かない。さすがは氷の女王。だが指先は正直だった。

 

「……アヤネちゃんからは」

 

 リンが唇を一度だけ舐めた。

 

「社長に、新しいお付き合いされている方がいらっしゃると」

 

「いない」

 

「そうですか」

 

「いないよ。ほら、お前と行った新しいイタリアンの店。あそこにアヤネを誘ったら、あいつが勘違いして話を盛ったんだ。知ってるだろ、あいつの悪い癖」

 

「……知ってます。高校のときも、リンちゃんに彼氏できたよって男子に触れ回って、私を一週間泣かせました。彼氏なんかいなかったのに」

 

「ああ……あったな、それ」

 

「アヤネちゃんは昔から、人の恋愛に火をつけるのが趣味なんです。……迷惑です」

 

 リンの声のトーンが変わらない。まだ怒ってる。いや、怒ってるんじゃないな、これは。

 

「リン。嫉妬してる?」

 

 氷に、ぴしりとヒビが入った。

 初めて視線が合った。切れ長の目の奥に、押し殺した熱が揺れている。リンが怒りと呼びたがっているものの正体だ。

 

 かわいいな、と思う。アラフィフまで生きてきて、二十代の美女に嫉妬されてる。しかも相手は娘の親友で、ランドセル背負ってた頃から知ってる子なのだ。高校の入学式では、初々しいセーラー服の美少女として一緒に写真を撮ってくれた。

 

 あー、たまらん。これ会社のホームページに沿革として書いてもいいか? 

 

「してません」

「そうか」

「していません。私は社長の秘書であり、社長のプライベートに口を挟む立場には」

「リン」

 

 俺は立ち上がって、デスクを回り、リンの前に立った。

 身長差はヒール込みで十センチ以上ある。彼女が見下ろし、俺が見上げる。格好のつかない絵面だが、男と女になってからの半年で分かったことがある。リンは俺を見下ろすとき、瞳孔がわずかに開く。

 

「お前だけだよ」

「……社長」

 

「他にいるわけないだろ。俺みたいな、腹が出て髪も薄い五十路手前のオッサンを相手にしてくれる奇特な美人は」

 

「……自虐は、やめてください」

「じゃあ言い方を変える」

 

 リンの手を取った。細くて冷たい指だ。いつも完璧にネイルケアされている仕事のできる手。この手が俺の身体を掴むとき、どれだけ熱くなるかを知っている。

 

「お前がいい。お前じゃなきゃ嫌だ」

「っ」

 

 リンの目が潤む。たった一秒。次の瞬間にはもう制御されている。だがその一秒を、俺は見逃さない。

 

「社長、ここは会社で」

「みんな帰ったよ」

「監視カメラが」

「社長室にはない。設計したの俺だし」

「……卑怯です」

「許してくれよ。卑怯じゃなきゃ経営者はできないし、お前みたいな最高の美女は抱けないの」

 

 リンの顎に手を添え、少しだけ引き下ろす。俺より頭ひとつ高い女を、腹の出た男が導く。滑稽な絵かもしれない。

 だがリンは逆らわなかった。自分から顔を傾けて、俺の唇を受け入れてくれる。

 

 ◆

 

 リンのキスには段階がある。

 最初は薄い唇をきゅっと結んで、触れるだけ。秘書の矜持、とでも言いたげだ。

 それが五秒もすると力が抜けて、上唇と下唇のあいだに隙間ができる。そこに俺の舌を滑り込ませると、こいつは必ず小さく「んっ」と鼻から息を漏らす。自分では気づいてない。

 

「ん……っ」

 

 ほら。

 リンの手が俺のワイシャツの胸元を掴む。押し返すためじゃない。キスで膝が緩んでいるのを隠したいんだろうが、俺はもう分かってる。こいつはキスに弱い。

 

 じゅるっ、ちゅ、んちゅ。

 

 あー、たまんねえ。唾液がうまいんだよ、こいつの。コーヒーの残り香がして、甘くて。

 窓の向こうには新宿の夜景がチカチカしていて、なんだか映画みたいだなと思う。主演がこのルックスじゃなければ。

 

「おお……リン、舌使い上手くなったな」

「……っ、誰のせいですか」

「俺のせいだ。責任取るよ」

 

 リンの首筋に唇を滑らせる。鎖骨の窪みに舌先を這わせると、スーツの肩パッドの下で鎖骨がかすかに浮いた。

 

「社長……っ」

 

「いい匂いだ。首筋からコーヒーの香りがする。ここに鼻押しつけて、毎朝起きたいくらいだよ」

 

「……やめてください、汗臭いです」

 

「嘘つけ。ここからリンの本当の匂いがするんだ。コーヒーと、あと少しだけ色っぽい匂い」

 

「色っぽいって……社長、言い方」

 

「事実だろ。お前のこの匂い嗅ぐと、俺のちんぽがビクついちまうんだ」

 

「っ……下品です」

 

「うん。お前の前でだけ下品なんだ」

 

「耳元にささやくのもダメ……」

 

 デスクの端にリンの腰を当てさせ、両手で腰を支えて少しだけ持ち上げる。

 

「あ……社長」

 

「ここに座って」

 

「デスクに、ですか。書類が」

 

「もう読んだ。大丈夫」

 

 リンがデスクの天板に腰を下ろす。タイトスカートの裾がほんの少しだけ上がり、ストッキングに包まれた太ももが露わになった。

 

「おお……」

 

 声が出た。何度見ても惚れ惚れする脚だ。長くてまっすぐで、膝から上には柔らかな肉がついている。スーツのときは分からないが、この娘は腰から下がマジでいやらしいんだ。本人はそれをコンプレックスにしているが、俺にとっては宝の山である。

 

 ランドセル背負ってた小学生がここまで育った。セーラー服の下に、こんな色っぽい太ももが育ってたんだぞ。俺は罰が当たるかもしれん。

 

「……そんなに見ないでください」

 

「いや、見るよ。てかガン見する。このスケベな太ももをガン見するのは俺の特権だ」

 

「スケベって……私の太ももは普通です」

 

「普通じゃねえよ。この太ももで顔はさまれたら窒息死できる。最高の死に方だ」

 

「死なないでください……っ、あっ」

 

 膝の内側に手のひらを当てた。ストッキング越しでも、ぬるい体温が伝わる。リンがかすかに息を吸う。

 

 ここからだ。急がない。急がないのが俺のやり方。亡くなった女房と磨いた技術は、確実に俺の財産だ。あのひとが教えてくれたこと、女の身体は焦らすほどに応えてくれる。まあ、会社の手順書には書けないけどな。

 

 膝の裏を指の腹でゆっくり撫でる。関節の柔らかいところを、力を入れずにさすってやる。

 

「ふ……っ」

 

 リンが唇を噛む。目を逸らす。

 膝から少しだけ上へ。太ももの外側を包むように手を這わせる。ストッキングの繊維の目が指先に引っかかるその感触がいい。

 

「社長……っ、どこを、触って……」

 

「太もも」

 

「分かってます。なぜ、と聞いています」

 

「いい質問だ。リン、どこが気持ちいいか教えてくれるか」

 

「っ……そんなの、言えません」

 

「言えないか。じゃあ当てっこしよう。ここか?」

 

 太ももの外側を強めに握る。リンは首を横に振る。

 

「じゃあ、ここ?」

 

 太ももの内側を、指の腹でなぞる。下から上へ。ゆっくりと。

 

「ぁ……っ」

 

「お、当たりだ。内側が好きなんだな」

 

「言わないでください……」

 

「でもこの太もも、俺の手に吸いつくみたいに熱くなってきてるぞ。ストッキング越しでも分かる」

 

 リンがスカートの裾を押さえようとする。だが俺の手はすでにスカートの下に入り込んでいて、太ももの内側に辿り着いている。お、ストッキングの下が汗ばんでる。今日もいい反応だ。

 内ももをゆっくり上へ。リンの呼吸が浅くなっていく。鼻から細く吐く息に、甘い熱がこもり始める。

 

「あ……っ、社長、ここは……」

 

「会社だな」

 

「はい……ですから……」

 

「じゃあ静かにしないとね。社長命令」

 

「っ……それは、卑怯」

 

 指が下着の縁に触れた。おいおい、紫のレースだ。

 

「リン、勝負下着じゃないか」

 

「違います。たまたまです」

 

「金曜の残業に紫のレースを履いてくる秘書がいるか。お前、今日ヤるつもりで来ただろ」

 

「……っ」

 

「答えてくれよ。嘘はダメだ」

 

「…………少しだけ、期待して、ました」

 

「ほお……」

 

 そう、これ。この瞬間。俺より若い社員たちが「氷の女王」とか呼んで遠巻きにしている美女が自分の欲望を認めて、唇の端が震えるこの一秒が、俺の全身をぶわっと粟立たせる。

 

「嬉しいよ。くそ、嬉しい。リンがレースのパンツ履いて俺を待っててくれたの、おっさん冥利に尽きる」

 

「やん、大げさです……あ、っ」

 

 下着のクロッチに指を沿わせる。湿ってる。しかも結構な量。

 

「リン、ここ」

 

「言わないでください」

 

「言うよ。びしょびしょだ。レースのパンツの真ん中が、お前の本音で濡れてる」

 

「……っ」

 

「ぞくぞくするよ。お前のここがこうなってるの、俺のせいだろ?」

 

「……はい。社長の、せい、です……」

 

 リンが一瞬だけ目を閉じた。睫毛がふるっと震えて、吐息が漏れる。

 

 俺のこの太い指が、お世辞にもスマートとは言えない節くれだった中年のこの指が、この女の一番柔らかいところに触れている。ショーツのレース越しでも分かる。ぷっくりと膨らんだ陰唇が、薄い布地の下で脈を打っていた。

 

 クロッチの上から、親指の腹で割れ目をなぞる。上から下へ、下から上へ、ゆっくりと一往復だけ。

 

「ぁんっ……」

 

 かつてセーラー服を着ていた秘書(おんな)が、三十歳年上のおっさん社長に股を開いて、敏感な花弁をまさぐられて、こぼした最初の吐息。こんな色っぽいこと、世の中にあっていいのか。

 

「もう一回、聞かせてくれ。今の声、すげえ可愛かった」

 

「いや、です……っ」

 

 いや、ってお前。その割に脚が開いてるんだが。

 

「リン、どこを触られるのが好き? 正直に言ってくれ」

 

「……言ったら、してくれるんですか」

 

「もちろん。お前の秘書検定一級の正確な申告に基づいて、精一杯サービスする」

 

「……上の、ほう。豆みたいな……ところ……」

 

「クリトリスだな。ここか」

 

 親指の腹で陰核の位置を探る。ショーツのレースの上から小さな隆起を見つけ、くりくりと円を描く。

 

「ぁっ、あ、っ……社長っ……」

 

「うお、すげえ硬くなってる。勃起してるよ、リンのクリ」

 

「やぁ、ん、言わないで……くださ……あっ」

 

「いいや言う。だってエロすぎるもん、リンのウーマンペニス。パンツの上から分かるくらいコリコリだ」

 

 リンの手がデスクの端を掴む。白い爪先に力が入って、血の気が引いている。

 俺はもう片方の手でブラウスの第一ボタンを外した。いつもきっちり留めている喉元のボタンだ。外すと、汗でしっとり湿った鎖骨が覗く。その窪みに唇を寄せ、舌先で舐め取る。

 コーヒーと、ほんの少しだけ甘い汗の味。

 

「はぁ……っ、社長、ボタンは……」

 

「ん?」

 

「……二番目も、お願い、します……」

 

 俺は笑った。声には出さないが、顔はにやけていたと思う。氷の女が自分から脱がせと言っている。こいつの中でもう、報告(おねだり)を始めていい気分になっているのだ。

 

 ふたつめのボタンを外す。みっつめ。よっつめ。ブラウスの合わせが左右に開いて、紫レースュのブラジャーに包まれたEカップの乳房が現れた。スーツのときはそこまで目立たないが、こうして晒されると、その重みと形がはっきり分かる。

 

「うお……いつ見てもすごいおっぱいだ」

 

「社長、うおって」

 

「仕方ないだろ。本音が出るんだよ、このおっぱいを見ると。毎回初めて見たみたいに興奮する。おっさんの心臓に悪い」

 

「……可笑しい人」

 

「おかしくていい。さわるよ」

 

 ブラのカップを下にずらし、乳首を親指と人差し指で挟む。硬い。もう勃起している。

 ──つんっ。

 指先で弾くと、リンの腹筋がひくっと引き攣った。

 

「この乳首の色、好きだよ。ピンクとベージュの中間。色っぽい」

 

「色の話は、しないで……あっ」

 

「嫌か?」

 

「嫌じゃ、ない、けど……恥ずかしい……っ」

 

「恥ずかしがってるのに乳首こんなにコリコリなんだ。正直だな、リンの身体は」

 

「社長の、せいです、全部……っ」

 

 先端をきゅりっとつまみ、ゆっくり引っ張る。リンの背中がしなる。

 

「んっ……く……っ」

 

「声、我慢してるだろ」

 

「当たり前です……会社ですから……っ」

 

「もう誰もいないよ」

 

「私の、プライドの問題です……あっ」

 

 乳首を舌で舐める。円を描くように、ゆっくり……にゅるっ、ちゅるっ。リンの乳輪は大きすぎず、舌で触れるとぷっくり膨らんで表面に鳥肌が立つのが分かる。

 

「はぁ……はぁ……っ」

 

 リンの呼吸が乱れてきた。

 

「乳首舐められるの好きか」

 

「……好き、です。社長のベロ、あったかくて……っ、ぅっ」

 

「んっ、言えたな。ご褒美だ。もっと舐めてやる」

 

 ──ぐりっ、ぐりぐり。

 

「ぁウッ」

 

 舌先を硬くして乳首を押し潰すように舐め回すと、リンのお(・)と(・)が(・)い(・)が浮いた。

 乳首を吸いながら、下の手は休めない。ショーツの脇から指を滑り込ませ、直に秘裂に触れる。

 

「っ!」

 

 リンの腰がびくんと跳ねた。ヒールのかかとがデスクの脚に当たって、カンッと硬い音がする。

 

「おお……こりゃあすごい。ぐっしょりだ」

 

 嘘じゃない。俺の中指が陰唇のあいだに滑り込んだ瞬間、とろっとした液が指の関節まで伝ってきた。体温より少し高いぬるい液で、匂いが立つ。コーヒーの苦みの下の、果実の甘さ。

 

「リン、この匂い」

 

「やだ、言わないでぇ……」

 

「お前のおまんこの匂いだろ。高い豆みたいな匂い。俺の大好物だ」

 

「おまんこって……社長が、そんな……っ」

 

「すまんな。お前の前でだけ口が悪くなる。でもクセになるんだ、この匂い。鼻の奥にこびりつく」

 

 中指の腹で、膣口のすぐ上にあるざらついた場所を撫でる。リンの弱点だ。ここに触ると、こいつは。

 

「あっ、あっ、社長っ……そこ、ダメです、そこは……っ」

 

 丁寧な言葉遣いが崩れないまま、声が跳ね上がるんだ。

 

「どうダメなんだ? 教えてくれよ。どう気持ちいい?」

 

「ざらざら、してるところ……指で、押されると……頭がっ、熱くなってぇ、ぼーっとぉ……」

 

「ほお、正直だなあ。ここか、ここをこうするとどうだ」

 

「あっ、ああっ、そこっ、そうですっ、そこを、そうやってっ、押されるのが、いい……っ!」

 

 ぐぢゅっ、にちゅ、ぐぢゅっ。

 Gスポットを中指の腹でこする。ゆっくり、ゆっくり。指の太さがここでは利点になる。面積が広いぶん、壁にまんべんなく圧がかかる。

 

「あっ、あっ、はぁっ……社長、指、太いっ……」

 

「悪いな。お前ほどピアノ向きじゃないんだ、この手は」

 

「ピアノの、話を、してません……っ、でも、太いの……すき、ですっ……」

 

「言えたじゃねえか。太い指が好き。もっと聞かせてくれ」

 

「太い指で……中を、かき回されるの……すごく……あぁっ」

 

 リンのヒールが宙でカクカク震えている。七センチのピンヒールが、蛍光灯色の照明を反射して揺れる。長くて筋の通った美しい脚が、今は膝の内側をかすかに痙攣させている。

 こいつの脚がこうなるのは、イキかけのサインだ。

 だから、止める。

 

「っ! なん、で」

 

「まだだよ」

 

「……っ」

 

 リンが焦れた目で俺を見下ろす。潤んだ目に、怒りと懇願が同居している。

 ここだ。この顔が見たかった。氷の女王の仮面の下から漏れ出す、本物のリン。

 

「リン、聞いていいか」

「……なん、ですか」

「さっきの話。嫉妬してたんだろ」

「……して、ません」

「したんだろ。正直に言ったら、続きをしてやる」

「……っ、それは、ズルい」

「ズルくていい。言って」

 

 リンはしばらく唇を噛んでいた。身体は火照って汗ばんでいるのに、視線だけ鋭い。秘書としてのプライドと、女(おんな)としての欲望が、切れ長の目の中で戦争をしている。

 やがてリンは小さく、本当に小さく呟いた。

 

「……嫉妬、しました」

 

「うん」

 

「社長に、他の方が、できたのかと思って……っ、仕事が手につかなくて……おじさんのバカぁ」

 

「ごめんなリンちゃん」

 

「バカ、って言ったの、初めてです……」

 

「知ってる。嬉しい」

 

「どこが嬉しいんですか……もうっ」

 

 リンが俺のワイシャツの胸元に額を押しつけてきた。

 

「アヤネちゃんにもし知られたら、私たちの関係……って考えたら、怖くて」

 

「うん」

 

「でも、他の人におじさんを取られるのは、もっと怖かった……」

 

 冴えないアラフィフに、三十近く年下の美人秘書がこんなことを言ってくれるなんてな。世界って、俺に甘すぎる。いや、リンが甘すぎるのか。

 

「続き、してあげようか」

 

「…………お願い、します」

 

 リンは俺のワイシャツの第二ボタンを引っ張って、唇を耳に近づけた。

 

「おじさんの……指じゃ、なくて」

 

「ん?」

 

「……おちんちんを……中に、入れて、ください」

 

「おお……」

 

「おじさんのおちんちんで……奥を、突いて、ほしい、です……」

 

 くそ、脳みそが痺れた。半年前は「あれ」「それ」としか言えなかったこの娘が、ですます口調のまま「おちんちん」と「奥を突いて」を言い切ったのだ。それ言われたら、もう勃起が治まらんわ。

 リンを社長椅子に導く。革張りのでかい椅子に俺が座り、リンは立ったままだ。

 

「スカート、上げてくれるか」

 

「……はい」

 

 タイトスカートの裾を自分の手でたくし上げていく。ストッキングに包まれた太ももが露わになり、ショーツの前面が見える。紫レースの真ん中だけに濃い染みがある。

 

「リン……パンツの真ん中がお前の本音で染みてるの、見るだけで脳みそ溶けるわ」

 

「だから死なないでって……言ってるのに」

 

「長生きするよ。しなくっちゃあな……」

 

 リンは震える手でストッキングとショーツを下ろす。

 

「……失礼します」

 

「うん」

 

 リンが俺の上にまたがる。俺より背の高い女が、おっさんの腿に腰を下ろす。この体勢だとリンの胸が俺の顔の高さに来て、ブラをずり下ろした乳房が目の前で揺れている。

 俺はベルトを外し、ズボンを下げた。リンは慣れたもので、俺の勃起したモノを手探りで見つけ、細い指で包んだ。

 

「……硬いです、おじさん。すごく……」

 

「お前のおまんこ嗅いだせいだ。ビンビンだよ」

 

「おまんこの匂いって……もう、おじさん……」

 

「好きなんだよ。お前の匂いも、おまんこって言われて赤くなった顔も、全部好きだ」

 

 リンが「ばか」とつぶやく。俺のペニスを下から支え、自分の秘所に先端を当てた。

 ぬる、っ。

 熱くて濡れている。俺の亀頭がリンの陰唇に挟まれた瞬間、とろっとした愛液がカリ首を伝って垂れた。

 

「入れるよ」

 

「はい……」

 

「自分のペースでいい。ゆっくり降りてこい」

 

 リンが腰を沈めていく。

 

「ぁ……っ、ぁ、あ……っ」

 

 亀頭が入口を押し広げたとき、リンの目がぎゅっと閉じる。

 ぬぶっ。

 

「おお……っ、リン、中あっつい。すげえ……」

 

「ん、ぅ……はぁ……っ、太い……おじさんの、太い……」

 

 リンの膣壁がきゅうっと締まって、俺の幹を歓迎するように脈打っている。

 

「お……おくっ、……奥まで……入ってっ……あっ」

 

 ずぶぶぶ。

 根元まで収まった。リンの腰が俺の腹にぴたりと当たる。下腹部を俺の腹が押して、挿入の角度が微妙に変わった。

 

「っ、はぁっ……おじさん、お腹が……当たって……っ」

 

「ごめん、邪魔だよな」

 

「違い、ます……お腹が当たると、中の、奥の位置が変わって……おちんちんの先が、すごく深いところに……あっ」

 

「うお……そうか、腹が当たるのがいいのか」

 

「はい……恥ずかしいけど……おじさんのお腹と、おちんちんで、挟まれてるみたいで……すごく……っ」

 

 おう、太っててよかった。人生で初めて腹に感謝してしまう。

 リンが腰を前後に揺らし始めた。ベッドじゃないから動きは小さい。だがその分、内側のグラインドが濃密になる。俺のペニスを中で締めつけて、奥を擦る動きだ。

 

 ぐちゅ、にちゅ、ぐちゅ。

 にちゅ、にちゅ、ぐちゅっ。

 

 うーっ、いいリズムだ。ぴったしの動き方で一定のリズムを途切れなく刻む、こういうのが脳みそにガツンとくるんだよ。

 

「はぁっ……はぁっ……おじさん……っ」

 

「いいよ、リン。好きに動いて」

 

「好きに、って……ぁ、あっ」

 

 リンの腰が揺れるたびに、俺の腹とクリトリスが擦れ合う。

 

「あっ、あっ、おじさんっ……お腹、が、ここっ、当たるところが……っ」

 

「どこだ? どこが気持ちいい? 言ってくれ」

 

「クリ……が、お腹に、ぐって押されて……いっしょに中のおちんちんが動いて……あっ、あっ、ダブルで……きもち、いい……っ」

 

「ダブルか。そういう顔してるもんな。上も中も同時にイキそうな顔」

 

「見ないで、顔っ……やだっ、顔はやだ……あっ」

 

「見るよ。知ってるか、リンがイキそうな顔するとな、俺のちんぽがびくん、びくんって反応するんだ。お前の顔がいちばんのセックス・ドラッグだよ」

 

 俺はリンの腰に手を回し、リズムの補助をしてやる。太い指で腰骨を掴んで、ゆっくり引き寄せて、押し戻す。

 

「んっ、ぁっ、ぁあっ……おじ、さ……っ」

 

「ん?」

 

「おじさんの……おちんちん……奥、当たって……っ」

 

「どの奥だ? Aのとこ? もっと奥?」

 

「もっと奥……一番奥の、硬いところ……とんとんって、されるの……すごくっ、好き……好きです……」

 

「子宮口だな。ここか」

 

 腰を下から突き上げた。

 ばちゅんっ。

 

「ぁっ! ぁあっ! そこっ、そこですっ……!」

 

 子宮口を先端で突く。とんっ、とんっ、とんっ。リンの身体がそのたびに跳ねる。デスクの上のペン立てがカタカタ鳴り、革張りの椅子が軋む。

 

「あっ、あっ、あっ、はぁっ、はっ、だめっ、そこっ、おじさんっ、奥の奥っ、とんとんっ、だめっ」

 

「だめって言いながら、おまんこがすっげえ締まってきてるぞ。正直に言えよ、気持ちいいんだろ」

 

「きもちいいですっ……とんとん、きもちいいですっ、おちんちんで子宮叩かれるの、きもちいいですぅ……!」

 

 ああ、正気を保てない。リンが自分から「おちんちんで子宮叩かれるの」って言いやがった。理性がもたん。

 リンの指が俺の肩に食い込む。爪が刺さって痛い。だがこの痛みは、こいつが本気で感じている証拠だ。

 

「あっ、イき、そう……イきそう、です、おじさん……っ」

 

「イっていいよ。でもその前にひとつ」

 

「えっ……っ、いまっ、それ、ずるっ……」

 

「おじさんじゃなくて、名前で呼んでくれよ」

 

「こう、ぞう、さ……」

 

「リン」

 

「こうぞうさんっ……こうぞうさんっ……好き、ですっ……好きっ♡」

 

 声に、甘い色がついた。理性の最後の砦を越えた瞬間だ。

 俺はたまらなくなって、リンの腰をがっしり掴み、下からグラインドして奥をこねあげる。

 

 ぐぢゅんっ、ぐぢゅんっ、ぐぢゅんっ。

 

「ぁあっ! あっ、こうぞうさっ、やっ、奥っ、おちんちん奥すぎっ」

 

「リンっ、リン、くそ、中でぎゅうぎゅう搾られてる、おまんこが離してくれねえ、俺もイく、一緒にイくぞ」

 

「いっ、イきますっ、こうぞうさ、イっ、イきそっ、イかせてくださいっ」

 

「イけイけイけっ、リンっ」

 

「あ゛っっ!」

 

 リンの背骨がしなった。膣壁が波打つようにうねって、俺のを根元からカリ首まで順繰りにしごいていく。きゅぅ、きゅぅ、と搾乳するような蠕動が止まらない。

 

「ん゛っ、ん゛ん゛ん゛っ」

 

 リンが声を殺そうとして殺しきれず、くぐもった呻きを漏らしている。涙がひと筋、頬を伝った。

 

「出す、っ」

 

 ──ビュッ、ビュルルッ、ビュ……ッ。

 

 リンの最奥に叩きつける。脈打つペニスが吐き出す精液を、子宮口がきゅうっきゅうっと搾り取る。

 

「んっ、ぁ……あったかい……なかにっ、出てるのっ、わかります……おじさんの、こうぞうさんの……っ♡」

 

 リンが俺の首にしがみつく。全体重を預けてくる。重い。だが、いい重さだ。この重さは信頼の重さだ。

 ランドセルを背負っていた子が、今は俺の腕の中で震えている。セーラー服を翻してアヤネと走っていた子が、俺の精液を子宮で受け止めている。

 

 罰が当たる? いいねぇ、喜んで受けてやる。この娘が産んだ俺の子が、立派に成人してからならな。

 

 

 ──十時五分──

 

 重たいデスクが軋んでいる。

 

「はぁっ、はぁっ……こうぞうさ、まだ……硬い、です……っ、すごい、抜いたのに、まだ硬い……」

 

「リンのせいだ。お前のおまんこ見てたら萎えるわけないだろ」

 

「見ないでって……言ったのに……ぁ、入れて……もう一回、今度は後ろから入れてください……奥が、寂しい、です……」

 

「おお。リンから言ってくれるのか」

 

「言わないと入れてくれないって、学習しました……っ、あっ、あっ、きたっ……あぁっ、おちんちんっ、おちんちんきたっ……っ」

 

 

 ──十時八分──

 

「あっあっあっ、はぁはぁ、こうぞうさっ、こうぞうさっ、おなかっ、おなかが当たるの、すきっ、押されるの好きっ、後ろからだと中が変わってっ、おちんちんが全部あたるっ、全部あたるぅっ」

 

「リンっ、自分で腰振ってるの分かってるか?」

 

「わかってますっ、わかってますけどっ、止まらないっ、きもちいいからっ、おちんちんきもちいから止まらないんですっ……」

 

 

 ──十時十五分──

 

「とんとんっ、とんとんしてっ、上から子宮のとこっ、叩いてっ……あっ、あっ、それですっ、それですっ……っ、こうぞうさんのおちんちんで子宮とんとんされるのっ、いちばんすきっ、いちばんきもちいっ……せかいでいちばんきもちいっ……はぁっ、あっ、またイくっ、イきますっ、イっていいですかっ、イかせてくださいっ、こうぞうさんのおちんちんでイかせてくださいっ……♡」

 

 

 ──十時十六分──

 

「あ゛っ、あ゛っ、あっ、いまイッたばかりなのにっ、動かさないでっ、動かさないでくださいっ……ぁ、うそ、またきもちいっ……いったのにっ、いったのにまたきもちいっ、なんでっ、なんでこんなにっ、セックスじょうずなの、こうぞうさんっ、セックスじょうずすぎるっ、おちんちんもゆびもベロも全部じょうず、ずるい、こんなのずるいぃっ……」

 

「リンっ、お前さいっこうだよ、おまんこ俺のちんぽ溶かしにきてる、吸い付いてくる、俺もイきそうっ」

 

「だしてっ、なかにっ、もっかいなかにっ、精液ほしいですっ、子宮で飲みたいですっ……ぁ、ぁっ、でてるっ、あったかいのでてるっ♡」

 

 

 ──十時三十分──

 

「ね、こうぞうさ……もう一回だけ……もう一回だけ、今度はソファで、いい? 私から、するから……ね、いい子にするから……おちんちん、しゃぶっていい? してあげたい……こうぞうさんの、おちんちんに、お礼、したい……いっぱい気持ちよくしてくれたから……私のお口で、きもちよくなって、ほしい……♡」

 

 

 ◆

 

 十一時。

 リンは社長室のキッチンコーナーに立っていた。乱れたブラウスのボタンを首元まで戻し、スカートを直し、ストッキングだけは伝線したので脱いで、素足にヒールという中途半端な姿でサイフォンに向かっている。

 

「コーヒー、いりますか」

 

「頼む」

 

 

 俺は社長椅子に深く沈んで、リンの後ろ姿を眺めていた。ヒールを履いた素足のふくらはぎがやけに色っぽい。……あのランドセルの子が、俺のザーメンをおまんこに入れたまま、コーヒー淹れてるんだよな。やっぱ罰当たるわ。

 

 サイフォンからコーヒーの匂いが立ち上る。深煎りで苦くて甘い。

 

 リンがカップをふたつ持って戻ってくる。ひとつを俺のデスクに置き、もうひとつを自分用に持って、さっきまで情事の舞台だったデスクの角に、何食わぬ顔で腰を掛けた。

 

「砂糖はいつも通り、なしで」

「ありがとう」

 

 ひとくち飲む。旨い。リンの淹れるコーヒーは、セックスの前でも後でも旨い。

 

「……こうぞうさん」

「うん」

「アヤネちゃんに、私たちのこと」

「話すよ。ちゃんと」

「……怒りますよ、アヤネちゃん。泣くかも」

「ああ、たぶんな。でもあいつは優しい子だ。お前が一番よく知ってるだろ」

「……知ってます。中学のとき、私がいじめられてたの、最初に気づいて助けてくれたのはアヤネちゃんでした」

 

 そうらしい。あいつ、自分じゃ言わないんだ。まあ、自慢の娘だと胸を張って言える。

 

「だから……裏切るみたいで、ずっと怖かった」

 

「裏切りじゃないよ。俺とお前が好き同士だってだけの話だ。まあ、土下座するかもしれんけど」

 

「社長が土下座する姿は、見たくないです」

 

「お、社長って戻った」

 

「会社ではやっぱり社長です。切り替えさせてください」

 

「はいはい」

 

「……ストッキング、買ってください」

 

「ん?」

 

「伝線しました。社長のせいです」

 

「ごめん。コンビニで」

 

「ブランドものじゃないと嫌です。月曜にネットで注文しておきますので、経費で」

 

「経費は無理だ」

 

「では福利厚生で」

 

「それも無理だ」

 

「……じゃあ、こうぞうさんのポケットマネーで」

 

「はいはい」

 

 リンがコーヒーを飲み干して立ち上がる。スカートの皺を掌で伸ばし、ブラウスの裾を整え、ボブの黒髪を手櫛で梳かす。三十秒で氷の女王に戻るのだから、プロだなと思う。

 

「では社長、お先に失礼します」

 

「ああ。気をつけて」

 

「明日のアジェンダの修正版は、月曜朝一にお届けします」

 

「頼む」

 

 リンがドアに手をかけて振り返る。

 

「……こうぞうさん」

 

「うん」

 

「来週も、残業、ありますよね」

 

 リンの目がほんの少しだけ柔らかくなっていた。

 

「ある。そのつもりでスケジュールを組んでくれ」

 

「かしこまりました」

 

 ◆

 

 リンが出ていって残されたのは、コーヒーの匂いと、革椅子に沁みた汗と、デスクの端で微かに傾いたペン立て。

 それから、もう一杯ぶんの少しだけ冷めたコーヒーカップ。リンが自分用に淹れて、飲み干して帰ったやつだ。カップの縁に、口紅がうっすら残っている。

 

 社長室に、コーヒーの匂いともうひとつ、かすかに甘い匂いが残っている。リンのコーヒーの匂い。身体の奥の、俺だけが知っている匂い。

 時計が午後十一時を指していた。今夜もリンは定時に帰れなかった。原因は俺にある。

 

「うし、来週も残業すっか。稼がねえとな!」

 

 コーヒーの最後のひとくちが、いつもより甘かった。

 

(了)

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