※この作品はR-18です。

TSF:保健の実技授業   作:おくらいりーOh9lawinー

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とある教員のレポート

セックスというのは、寂しさを分け合う作業のような気がする。そして、男がセックスでそれを埋めようとすると、あまりいい顔をされず、それは女性の特権である――というような認識が、何となく、感じられる。

 

入れ替わりの授業は、そのあたりの、「とにかく自分の肉欲を満たしたい男子」と、「寂しさや人恋しさを、お互いに体を許しあう特別な関係によって埋め合いたい男子」とをより明確に浮き彫りにする。

 

そして、理想の女子を演じられる男子は、大体が後者のような気がする。

 

 

 

体育館に、クラス分のベッドと、仕切りが持ち込まれている。数年前の、コロナワクチンの接種会場を思い出す。

 

天井は区切られていないから、声は筒抜けで、ぎしっ、ぎしっ、とベッドが軋む音が聞こえてくる。

 

「自分のでしょ、チンコくらい舐められるようになりなさいよっ――」

 

なんて、さすがに何時も聞こえてくるわけではないけれど、結構きわどいことを言う、野太い男子の声が響くこともある。大体、女言葉、口調は女子のそれだ。

 

二人きりにさせられて、一つのベッドの元に放り込まれて――あとは、どんな風に体を重ねるかも自由だから、普通に向かい合って、犬のように舌を出し合って、ぴちゃぴちゃと唾液を交換しながら、秘裂にペニスを押し込む男女がいる。

 

もっと深くつながりたい一心で、胡坐をかいた男の肉体、その膝の上に乗って、急角度で食い込んでくる肉棒の刺激に悲鳴を上げながら、ペアの首筋に腕を回す男女もいる。

 

ベッドなんて使わない猛者は、女子を抱き上げてくし刺しにして、その状態で涙と唾液で顔中べとべとになるさまを、酷薄な笑みを浮かべて見守る者もいる。

 

ただ相手を貪りたいだけの男役は、相手に尻を突き出させた状態で、肉棒を後ろからねじ込んで、ひたすらに腰を打ち付けている。

 

男女の反応も様々だ。

 

優しくしてね、なんていうお決まりの言葉で微笑んで、たったそれだけで男を射精寸前にまで持っていく、魔性の「女子」がいたりする。痛い、痛い、と転げまわる女子と、うるさいわね、あんたの体がへたくそなのが悪いのよ、と滅茶苦茶な理論で体のせいにする男子がいる。意味のある言葉を呟ける男女は珍しい。ああん、ああん――んっ、んっ――などという、喘ぎ声や呻き声、状況に流されて、それで精一杯という男女は多い。

 

 

肉棒が、女子の中に突き立てられる。それだけで、腰ががくがくがくっ、と震えだす男子は多い。咄嗟に声が漏れないように口を押さえながら、自分が貸し出した体が、女子の体がどれだけ繊細で、どれだけ気持ちよいのかわからなくなる生徒も多い。

 

やはり性行為は、女子の方が負担が多い。けれど、荒々しく体を重ねてくる男子――つまり、入れ替わった元女子なのだけれど――に、気遣いを見せながら、痛みを全く感じていないように振舞って、相手を思いやりぎゅうっとしがみついて、幸せだよ、なんて囁ける異性が、人気者になる。体が戻ってから、そんな男女のカップルが、成立することはよくある話だ。

 

自分の体についていた時はまったく魅力的に思えなかったおっぱいに夢中になる女子があちらこちらで見られる。胸を揉みしだき、乳首に吸い付き、その谷間に顔を埋める――自分の体、というのが、免罪符になる。気になる?なんて言いながら差し出せる男子は、わりと少ない。

 

セックスが終われば、ピロートークの時間である。この時間を大事に出来ない男子――つまり、元女子――は、ブラックリストに載ることが多い。あー、気持ちよかった、と自分の肉欲が解消されることを優先にした証明とみなされることが多い。荒い息遣いの男の体に、そっと体を寄せて、言葉もなくじっと傍にいるだけでもいい。寄り添いあい、抱き合い、見つめ合い――そういった細かなところが、次へつながる。

 

 

実のところ、肉欲を満たすのが主な目的だったとして、相手を満足させられれば、それでいいのである。少なくとも、自分が自分が、ばかりでなければ、腰使いが巧みなだけでも十二分に人気者になれる要素がある。それでもやはり、異性の体で、異性の気持ちに寄り添える方が、人気を集める。ミラーリングではないが、その体に相応しい動きができる者が。

 

 

髪を搔き上げる。唇を強引に奪われて、落ち着いてくすぐるような口づけを返す。しっとりとした喉を流れる一筋の汗、息遣いで、ゆっくりと上下する腹に、しわの寄ったヘソ。投げ出された太腿に、教師にナイショでこっそりつけたペディキュアーー

 

自分の体、自分の顔とセックスするとか、ナルシストじゃないし、と言っていた女子が、それはそれとしてセックスできる自分に気づく。すべてが男である自分を惹きつけることに動揺する。動揺が衝動的な性欲と結びつき、気が付けば押し倒している。

 

むしろ、入れ替わった元男の方が、負担が大きい。自分の顔の男が、自分の体にのしかかってきて、犯してくる。この性教育では、男子の負担が大きいことが、かねてから指摘されている。しかしそれこそが、この授業の趣旨である、と誰もが言う。

 

生徒の中には、頻繁な入れ替わりについて行けずに、擬似的な性同一性障害に陥るものがいる。少数の例ではあるが、見過ごすわけにはいかないであろう。課題は多い。

 

ただ同時に、授業の満足度自体は、男女ともに高い傾向を示す。相手の気持ちに寄り添えるようになった気がする、という意見は強い。

 

とにかく性欲を発散できるだけでもありがたい、元の自分では一生、異性と付き合えなかっただろうから、この経験だけでも今後の人生生きていけるような気がする――そんな闇深い感想も、時々見られる。

 

 

今日も、男子が女子の上に覆いかぶさって、一心不乱に体を打ち付けている。本当に相性の良い男女の仲には、「自分という境界がなくなって、お互いの体を借り合う、本当のパートナーを見つけられたような気がする」という感想を寄せる男女もいる。角ばった体で押さえつけている自分と違って、おずおずと、自分の体にそっと抱き着いてくれる男子の優しさ。じっと見つめあう仲に感じられる、相手の思いやり、背中をさすってくれる、入れ替わった男子――もしこのまま入れ替わった状態なら、恋人にしたい。そんな魅力が、自分の体で発揮される。

 

男女の違いを知ったうえで、それでも強い結びつきと相互理解を得られるようになる――それが、この授業の目指すところである。

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