少子化対策入れ替わりクラスに来たのが幼なじみの母親だった
「正直、お母さんがこちらに来るとは思いませんでした」
「あら、そんなに意外?」
「ええ、まあ」
僕は内心の胸の高鳴りを、緊張によるものだ、と自分に言い聞かせながら、言う。
入れ替わりセックス選抜クラス、素行良く、実技も極めて優秀とされる生徒のみが選ばれる。
その内容はと言えば、子どもが欲しいが、自分の体でのセックスを苦手とする人々のための手伝い、要は、子作りである。
異性の体について知ろう、程度の保健の授業からすれば、かなり思い切った内容だと言えるだろう。
かつての富国強兵策のような、貧しくとも「産めよ増やせよ」ではなく、さらに手厚くなった子ども手当は、福祉や教育費、家計負担をプラスにさえ転換させるほどで、人口増加に向けた強力な後押しとなっていた。
特に、その子作りに貢献するこの選抜クラスは、「実績」に伴い学生の身からその恩恵にあずかれるとあって、人気であると同時にかなり難度は高かった。
しかしまさかーー幼なじみの母親がーー時に、母親代わりに可愛がってくれた人と閨を共にするというのは、考えたことがなかった。
子供の頃の初恋の相手といえば、やはり身近な異性だ。特に、既に大人の美を完成させている女性たち。それは幼稚園や小学校の先生かもしれないし、クラスメイトの母親かもしれない。
しかし、年を食えば、そのような幻想が、いかに幻想であったかを知るものだ。
ところが今、その幻想が突如として現実になろうとしている。
「正直に言えば、ちょっと困惑してます」
「おばさんが若くないから?」
「知りすぎているからです。……旦那さんは、このことを?」
「ええ。同意もなしには利用できないでしょ?」
ポリアモリーの認知がようやく広まってきたとはいえ、それは若い世代での話で、すでに家庭を築いた人々は、自分のパートナーが他の相手と過ごすことを嫌うものだ。
「じゃあ、チェンジしちゃう?」
「いえ、むしろ嬉しいので、ぜひともお相手をお願いしたいのですが、その」
「なあに?」
「直美には、黙っててください……」
お母さんは目を丸くして、ふふっと大人の余裕で笑う。
「でも、もし子供ができたら、あなたの子にもなるのよ?」
「遺伝子操作で、受精卵の遺伝情報を書き換える術は整っています。妊娠させた=実の子ども、という図式はもう古いですから……第一クラスメイトが自分の母親を妊娠させて、生まれてくるのが弟だか妹だか……そんな複雑な状況に置かれたら、直美がどんな顔をするやら」
「あの娘なら喜びそうだけどねぇ」
「家系図がひどいことになりそうですし、遺産相続がめんどくさそうですね」
そんな風に軽口を叩いても、お母さんの決心は変わらず。
僕は、母同然の人を抱くことになってしまった。
「随分と体が軽くなっちゃったわ」
ふふふ、と頬に手を当てて笑うお母さんは、今僕の体になっている。肩に手を当てながら腕をくるくると回して、軽く首をひねる。僕は何とも言えずにただ笑みを浮かべて両手をスカートの上に乗せて待つ。
「あら、恥ずかしがらなくていいのに。いいのよ?私の体をいくらでも触っても」
「あー、まあ、はい」
「ちゃんとほぐしておかないと、困っちゃうわよ?」
「それもまあ、理解してはいるんですけれど」
ダメだ。どうも、ペースを持っていかれてしまう。僕は照れながら、どう言い訳したものかと言葉を探す。
「その、僕、入れ替わった女性の体で、自分自身で愛撫するのはあんまり慣れてなくて」
「そうなの?」
「はい。大体、入れ替わった相手任せになります」
男女入れ替わり授業は、僕より少し前の世代から始まったものだから、ここに来る女性たちのほとんどは、入れ替わりなんてまさに未知の体験だ。同じ選抜クラスの中では、一撫でで入れ替わった相手の体を開発して、当人の前で潮吹きまで披露したという猛者もいるけれど、あいにく僕はそんな超人ではない。
「基本的に、ここに来る女性たちは大抵好奇心が旺盛で……自分の体を自分で探りたい、という方が多いんです」
「それはそうかもしれないわね」
そして、女性の立場だったら絶対に関係を持たないような相手であっても、いざ自分が男の肉体を得たら、「今の自分の体の肉欲」を追い求めようとして、自分の体でも押し倒そうとしてくる。そういう女性は結構多い。
結局のところ、女性が男性の衝動的な肉欲を嘲笑えるのは、自分の性別が女の時点だけ、とでも言うべきか。
クラスメイトの一人がいい証拠だ。男はみんな汚らわしい、自分が男だったら、そんな風にチンコでものを考えたりしない――なんて言っていたのだが、僕と体が入れ替わるなり突撃してきて、トイレトレーニング中の三歳児より早く僕の中で「致した」レベルだ。
「入れ替わり選別クラスって要するに、異性の体のセックスが得意、というわけなの?」
「そうでもないですね。入れ替わりの実技の授業があるってことは、入れ替わらない実技の授業もあるわけですから」
「ふふ、どっちも得意、ってこと?」
「得意かはわかりませんが、巧いという評価はされてます」
技巧云々というよりは、女の子がその気になるまで待つという点で、だとは思うのだが。
「じゃあ、ゆっくり。大人の関係を試してみようかしら」
直美のお母さんはそう言って、椅子を軋ませて立ち上がった。こちらの頬に手を添えて、ゆっくりと顔を近づけてくる。
せっかちな女子は、わりと勢いのままに唇を奪ってくることが多い。それから思い出したように口の中を掻き回すから、あちこちに唾液が飛び散ってべちゃべちゃ下品な音がする。
しかし、厄介なのは、最後まで自分を見失わずにこちらを求めてくる相手だ。ゆっくりと、自分のペースに相手を引き込む。主婦の武器はこれだと言わんばかりに、弱火でコトコト、じっくり煮込むように焦らしてくる。徐々にボルテージを上げていくのが実に上手い。
いつの間にか優しく腕を取られて、すっぽりと相手の腕に絡め取られていた。ギュッと背後から抱きしめられて、視界半分を隠す豊かな胸の膨らみへと手が降りてくる。セーターに隠された胸が、無造作に揉みしだかれる。
「んっ……やっぱり、上手いですね」
「そりゃあ、それだけ付き合ってきた体だもの」
「旦那さんにも教えてもらったり、ですか?」
「ふふ、相変わらず控えめな言い方ね」
そういうのは、開発されたって言うのよ、と。直美のお母さんはセーターが伸びるのも構わずぐりぐりと手を突っ込んでくる。ちゅ、ちゅ、と槍のように、舌が口の中に突き立てられる。
「脱がしていい?」
「最初から、その気じゃないですか」
「そうよ。ふふ」
セーターにスカートという、脱がしやすい服装。するすると脱がされると、少しふくよかな女性の体が現れる。赤いブラとショーツが少しだけ、違和感を呼び起こす。
「下着がずいぶんと、その……」
「このサイズだと、派手なものが多いのよ」
そういうものなのかもしれない。僕はゆっくりとベッドに横たわる。それを見届けて、お母さんは手早く服を脱ぎ捨ててパンツだけになった。
「あら……やっぱり男の子の体って感じね。ごつごつとしてて、いつの間にかこんな風になっちゃうんだから」
「あまり、ジロジロ見ないでください……」
「そう?ちゃんと引き締まってて、お母さんステキだと思います」
ぎしっ、とベッドを軋ませて、彼女がベッドに上がってくる。最後の防具である、ブラとショーツも難なく脱がされた。
股間は少し、生い茂っている。
「失望した?」
「いえ、これは、その、これで……」
「最近はご無沙汰だから……あんまり気にしないのよねえ」
一方で、体は男を前にどうすればいいか覚えているようだった。太ももをぶるんっ、と揺らして足を開く。そこにお母さんが分け入ってきた。
彼女が手を握ってくる。僕も、その手を握り返した。
「まさか、お母さんとこんな関係になるとは……」
「私もよ」
少しだけ、いたずらっ子のような笑みを浮かべて。
「もしもあなたが直美と結ばれたら、あなたは母娘丼を楽しんだことになるわね」
「その体は、ですよね?」
「あら、私に抱かれるだけでいいの?」
「ちょ」
隙ありと言わんばかりにずぶり、とペニスが突き立てられた。異物が入ってくる、という感覚はあまりない。むしろお母さんが腰を進めるごとに、満たされていく感覚が強くなる。これが、母親というものなのだろうか。
「まさか直美を産んだおまんこに、あなたのおちんちんが入っていくなんてねえ」
「そうやって、いじめないでください」
「ふふふ。これでも、本当にあなたのこと、自分の子供みたいに思ってるのよ?」
「だったらますます、この指名はわざとじゃないですかっ」
「あらあら。ばれちゃったわ」
少し贅肉がついた体は、よく言えばかなり余裕のある体つきと言えた。じゅくじゅく、と直美のお母さんはすまし顔で腰を振っている。汗が飛び、それはエアロビクスでもやっているかのような、楽しそうな溌剌とした発汗だった。
それは、セックスに鼻を伸ばす男子とはまるで違う、潔癖症から男を拒絶しようとする女子とも違う、ただセックスをセックスと割り切り、楽しんでいるオトナの余裕のようなものがあった。
そして、その土台で勝負するとなると(僕は別に勝負する気は毛頭なかったが)、若造の僕が勝てるはずもなかった。
胸が揺れる。そこらの毛の生えていない女子のものとはまるで次元の違う大きな胸。これを吸って大きくなったのが、僕の幼なじみである直美だというのだから、やはり変な気持ちにさせられた。直美が吸ったおっぱい、直美を産んだ体、直美を育てた体。愛撫される体のすべてに、直美の成長の証が刻まれていた。
「早く直美を抱けるタイミングが来るといいわね」
と、お母さんは妖艶に微笑む。
「直美だって、相手を選ぶ権利がありますよ」
「あらそう?少なくとも直美は、あなたのこと、悪く思ってないと思うわよ?」
「そうですか?」
「ええ。ちょっと押し倒して食べちゃえばいいのよ。すぐに夢中になるわよ」
「どんな顔をしてお父さんに会えばいいんですか」
「あなたが相手だから、あの人も許してくれたと思うけどなあ」
さらり、と髪を掬って、撫でられる。突き上げられると同時に揺れる胸に、顔が沈み込む。すごく意地悪い顔で笑っていた。
お母さんの体は、弱火でコトコト煮られると、徐々に燃え上がるらしかった。まさしく彼女のテクニックと同じだ。お母さんの肉体に包まれ、お母さんに抱かれて。直美のお母さんが二人がかりで僕を襲っているような錯覚を覚える。
腰が大きくグラインドする。円を描くように、腰を押しつけながらぐりぐりと振り回す。口ではそんな風にしなかったのにペニスでは秘所をかき回してくる。ぞぷん、ぞぷん、と固まる前の寒天をゆっくり搔き回すように、お母さんが腰を動かす。
「じゃあ……直美の弟、作っちゃいましょうかっ」
そんな笑い声とともに、僕は容赦なく絶頂に導かれた。んんんっ、と悲鳴を殺しきれない口を、唇で塞がれた。体の中に熱い精液が放たれる。
声として外に放り出したかった快楽を口の中で元に戻されて、体内で爆発が起こった。ビリビリと、太ももが震えていた。
ぺろり、と僕の上にのしかかる僕がいた。口にお母さんのルージュをベッタリとつけ、どことなく中性的で、淫蕩な雰囲気を放っていた。