入れ替わりで、しかも直後に実戦となれば、クラスは惨状と化すものだ。
イケメンなどに人気が殺到するのは一度目だけのこと。
「俺は性欲が旺盛やから」
なんて日頃フカしてるやつの実態が暴き立てられて、どうかしたら立ち直れなくなっている。女子も同じことが言える。顔が良くても性格が、と敬遠されたり、初めて体験する男子の肉欲に屈服してがっつくような子は、ひっそりとお断りされるものである。
その辺一期一会というか、マッチングに関して文句も言わず淡々と、「誰でもいいよ」のスタンスを崩さない人間は、後から人気が上がってきたりする。この授業においては、そのスタンスに関して「ヤリチン」だとか「誰にでも股を開く」なんて陰口がとんでこないのはかなり面白い。
「ふふふ、おじゃまします」
早速体を入れ替えた今回のお相手が、僕の体でペコリと頭を下げる。僕も僕でよろしくお願いします、とつられて頭を下げる。
色々なタイプがある。不特定多数の人間と肌を重ねることができる機会を与えられるというのは、いわゆるフリーセックスが促進させられているようで、なんというか背徳的なものだ。ただ、変わっているのは自分の肉体で、お相手は本来の自分の肉体、という点で、あんまり代わり映えしなかったりする。
「もったいぶってないで、早く入れさせなさいよっ」
と掴みかかってくるように押し倒されたことがあった。ふーっ、ふーっ、と鼻息は荒く、最初から出来上がっている。まさしくオトコの性欲に呑まれてしまったタイプで、我慢が利かない。愛撫と言うよりは女子の体に掴みかかる感じで、激しい。入れる前からそんな感じだから、当然挿入してしまえば、ものの数秒もたたないうちに暴発する。本当に、なんというかあっという間だから、どんな感じだったか振り返ることもままならない。
「あっ、くそっ、もったいぶって。くそっ、出るっ」
みたいな感じに言い捨てて、あっという間に僕のペニスを萎えさせるものだから、流石にその時は早漏癖がついたらどうしようかと思ったものである。
「お前、下手。痛いだけだし、乱暴」
ド直球に伝えた男子もいた。セックスは本来隠すべき自分をそのまま相手にさらけ出すから、
「何よ!普段はモテないくせに私の体でいい気になっちゃって!アンタみたいなのとヤったら、私の価値が下がるわ!」
ととんでもない方向に強がって、結局孤立する場合もある。もしも金持ちなら抗不安薬と一緒にバイアグラが処方されるところだ。
逆に、普段地味子とか根暗な感じ、と言われている娘が、株を上げる場合もある。理由はただ、一生懸命だから。これに尽きる。
「こ、こうかな?」
と、ぎこちない様子でこちらを愛撫して、恐る恐る尋ねてくる。小動物のような雰囲気と上目遣いは、たとえ自分の体が相手でも、元の彼女の人柄が前面に押し出されている感じがあって、「相手が自分ではない安心感」というのがすごい。
基本的に男子は、つまるところ入れ替わった女子はクンニをしたがらないけれど、こういう女子は結構頑張ってくれたりする。まじめに、頑張って、教科書的な知識を総動員させて相手にご奉仕するタイプで、結果的にあまりうまくできなくても、満足度が高い。
おっとりさんは、男子であろうと女子であろうと、どちらでも人気なタイプだ。包容力が並外れていて、気遣いがまめまめしい。このタイプは互いの鼓動だったり、相手のぬくもりだったりを重視してくれるから、時間切れのリスクはあるけれど、イチャイチャした、という実感はかなりある。このタイプの女子とパートナーになった男子は、少し熱に浮かされたようにぽーっとした感じで授業を終えることも多い。総じてセックスの主導権を握っているのがこのタイプだ。
僕も、経験人数を誇るわけではないけれど、それなりの女子と体を入れ替えてセックスしてきたわけだ。僕は省エネ男子なので、基本的に自分から動くことはしない。男子の時なら減点ものかもしれないが、女子の時はそれが却って評価点になることがある。
基本的には、セックスは誰とやろうと大差がない。ある程度体を自由にさせて、息が荒くなってきたところに、股を開いて受け入れる準備を行動で示す。その反応もいろいろである。
わかってんじゃない、と当然顔で、力んだままペニスを突き立ててくる少女がいる。腰に、というか全身に力が入りすぎていて、すぐに自滅することは必至だったりする。男であろうと女であろうとセックスのヘタウマはあるものだけれど、基本「男のカラダ」でのセックスは失敗できない感じがある。どんな女子も、男の時に「セックスが下手」と言われると、言い訳したり逆上したりするタイプが多い。否定して、言い訳して、仕切り直し、もう一度、と挑んてくるのは典型的な自滅タイプだ。とにかく余裕がないから終始息が荒くて、でも不満足なまま終える。
どうかしたら、授業中はずっと早漏通しでこちらに文句を言うくせに、終わったら元の体の不完全燃焼を味わうことになって、それこそが授業中自分が感じていたことなのだ、と勘違いする女子もいたりする。まあ、男子からの評判は、よくない。
しょっちゅう息切れして、励まされるタイプは、少なくとも自信過剰で下手なタイプよりはマシだから、わりと好意的に見られることが多い。セックスも、禁欲的なわけではないけれど、控えめで、少なくともちゃんと愛撫ができるという一点で高評価する男子もいるので、ファンが多い。
理想の相手といえば、やはりイチャイチャ系だろう。お互いアソコをビンビンにした状態で、性欲に飲まれることなく、お互いに相手を焦らす。口づけだったり、愛撫だったり、あるいはゆっくりとしたスローテンポだったり、とにかく余裕がたっぷりなのである。男子の衝動的な性欲は、入れ替わりである程度解消されるから、がっつかない女子は理解してくれている、と男子たちからも評価が高い。
さらに、自分だったら性欲に負けるんじゃなかろうか、という不安を持った男子からは、余裕を見せつけるだけで神扱いされる。今までなら、男子はこうだから仕方ない、女子はこうだから仕方がない、で許されてきたものが、入れ替わりという新たな平等主義がそれを言い訳として一掃してしまったのである。次に人気になるのは、当然「相手の立場になれる人」なわけだ。
基本的に、こんな感じで男子も女子も分けられると思う。自分本位と、奉仕にいっぱいいっぱいになるタイプ、そして、一緒に楽しめるタイプ。少なくとも自分本位でなければ、どの異性からも好かれるものだ。
ただ、男子の僕が入れ替わった状態ーーつまり、「元男子視点」で相手を評価するように、同じく「元女子視点」でセックスを評価する時、どういう風に評価するか、されるかは永遠にわからない。そのあたりはまだ担保されている、というべきだろうか。入れ替わっても男女は永遠に対岸にある、とは真理である。
ただ、ごちゃごちゃ考えずに、人気者になる方法は、ある。盲点と言うか、落とし穴だが。
「もっと、もっと突いてぇっ」
とまあ、何のことはない。「女子の体」で、「エッチが好きな女の子」として振る舞えばいいのである。自分の胸を揉みながら、辛抱たまらんという感じで男子を押し倒し、男子に馬乗りになって腰を振る。そういう、「攻撃」に全振りした女子だ。
自分の体でそれをやられたらさすがに、クールダウンの後で怒るものだが、昔からよく言うように、「キンタマを握っているヤツが一番強い」わけである。男子のセックスは後ろめたさがつきまとうから、それが好きだと公言する女子強い。それはまあ、道理である。
「ほらっ、おいでっ」
ベッドで寝そべった状態で、腕を差し伸べて誘う。
いかに、自分の理想の女子になりきるか。男子の人肌の恋しさに寄り添えるか。それが、「入れ替わった元女子」から人気になる秘訣だと僕は思うのである。