※この作品はR-18です。

異世界迷宮でTS転生した俺に男の娘奴隷ハーレムを!!   作:毛のないおじさん

1 / 21
1話 TS転生

《自殺の決意をする前に》

 

ウェブサイトのバナーにその文字を見つけ、俺は目を見開いた。

それはある小説で読んだ事のある言葉だ。

 

『異世界迷宮でハーレムを』

 

その作品で主人公が異世界に行くきっかけがそのバナーだったはずだ。

 

なぜそれが俺の目の前に現れた?

……これはひょっとしたら、小説の世界に行けるかもしれない。そうすれば、俺も美少女ハーレムを作れるかも。

男として生まれてン十年、モテたことはなかった。女の子と肌の触れ合いができたのは、そういうお店に行ったときのみ。

 

……だが、物語のなかでなら。

 

そんな期待からそのバナーをクリックすると、原作と同じように異世界の選択をする画面になった。

色々あるな……。でも原作の知識を活かすためには同じ世界がいい。

 

さすがに細かいところは覚えていなかったので、原作を本棚から持ってきて、サイトに表示された項目を読みながら選んでいく。

文化の数、国の数、戦争の頻度……。

原作で明記されていない項目を選ぶ時は緊張したが、まあ最悪少しなら違っても仕方ない。

 

そうして進めていくと、今度はボーナスポイントの設定画面になる。

 

来た。ここからが本番だ。 

心臓が妙に早くなる。

 

なにせボーナスポイントは異世界生活の鍵と言っていい。ハーレムのために妥協は許されないのだ。

 

振り直しを選ぶ度にボーナスポイントが変化する。

15、18、21、17、26、33、25……。

低い数字が続く。

何回も、何回も、何回も……。

俺は取り憑かれたように振り直しをクリックし続け、99を狙っていく。

61、58、72、43……。そこそこ高い数字が出ることもあるが、99以外には興味はない。

何時間も、何時間も俺はクリックし続ける。

 

……出ない。

 

カチ、カチ、カチ、カチ……。

クリックする音が続く。

気がつけば部屋が暗くなってきた。日が沈んできたのだろう。

だが構わない。ハーレムを作れるというのだ。妥協はできない。まだまだ俺はやれる。

そう言い聞かせ、またクリックを続ける。

カチ、カチ、カチ、カチ……ピッ!

 

ん?

 

パソコンから電子音が鳴った。

それはクリックする音しか聞こえなかった部屋によく響いた。

マウスから一度手を離し、画面をよく見てみる。

 

《連続クリックキャンペーン!》

《思ったようにボーナスポイントが出ないあなたに!》

《今ならボーナスポイントを好きに選べます!》

 

俺はパチクリと目を瞬かせた。

そんなの原作にあったっけ? 原作通りに進めていたはずなのに……。

俺は混乱したが、ふと気付く。

いや、原作よりはるかに時間が経っている気がする。つまりはそれだけ何回もクリックしたわけで……。

これはひょっとして、救済措置ってやつだろうか?

画面にはまだ文字が並んでいる。

 

《ただし!》

《異世界に旅立つ時、あなたに変化があるかも知れません》

《それでも良ければこちらを選んで下さい》

 

むう……。

俺は悩んだ。どんな変化があるのか書いていない。

ひょっとして種族がランダムとかだろうか。あるいは容姿を変えられちゃったり?

うーん……。

 

だがボーナスポイントを振り直すのに疲れてきたのも確かだ。

 

……ボーナスポイントがあれば、なんとでもなるか。

 

いい加減、何時間もの振り直しに疲れた俺は、そちらを選ぶ事にしたのだった。

 

ちょいちょいちょい、とボーナスポイントを割り振っていく。

最初に村襲撃イベントが起こると予想して、ボーナス武器6を始め、即戦力となるボーナス防具を選んでいく。経験値系は魔物と戦い始めてからでいい。

後はセカンドジョブと、鑑定と、キャラクター再設定。

何よりキャラクター再設定があれば、後でいくらでも変えられるからな。何も恐れる必要がない。

 

《警告!》

《あなたはこの世界を捨て異世界で生きることを選択しました》

《二度とこの世界に帰ってくることはできません》

《続けますか?》

《はい いいえ》

 

そして全て選び終わると、警告文が表示された。

連続クリックキャンペーンを除けば、ここまで全て原作通りと言えるだろう。

俺は《はい》を選ぶ。

 

《最終警告!》

《本当に二度と帰ってくることはできません》

《それでも続けますか?》

《はい いいえ》

 

もしこれがジョークサイトなら、ここではいを選んだところで何も起こらない。

だが本物だったら……俺は本当にこの世界から消え、異世界で生きていく事になるのだろう。

 

俺は大きく息を吸って、自分に問いかけた。

本当に行くのか? 安全な日本を捨てて、異世界へ?

 

……行く。

これは、チャンスなんだ。

ひょっとしたら、死ぬかもしれない。でも、異世界に行けば、ボーナスポイントというチートを得られる。

 

「俺だって、異世界迷宮でハーレムを作りたい!」

 

カチ。

 

クリックとともに、俺の意識は遠のいていった。

 

 

気が付けば、俺は藁の上で眠っていた。

辺りを見回せば、漫画でしか見たことのないような、馬小屋の中に俺はいた。

 

「っっっしゃあ!!!」

 

異世界だ!

間違いない、俺も異世界に来ることができたんだ!

俺は喜びの声を上げ、拳を突き出し……。

……?

 

そして、自分の腕が妙に細いことに気がついた。

いやそれだけじゃない、さっき出した声は妙に高い声じゃなかったか?

 

俺は自分の体を確かめる。

 

最上 優 女 17歳

村人Lv1

 

鑑定が発動し、情報が表示された。

 

……女? 17歳?

 

何かの間違いかと目をこすり、だが何度見ても、鑑定には女、17歳と書いてある。

視線をそらし、辺りを鑑定してみる。

《馬》《藁》《窓》《柱》《デュランダル》……。

もう一度、自分を鑑定する。

 

最上 優 女 17歳

村人Lv1

 

変わらない。

男 ン十歳だったはずの俺は、何故か女と表示されている。

恐る恐る、自分の体を確かめてみた。

 

髪が長くなっている。

筋肉が柔らかくなっている。

デカいおっぱいがついている。

腰が細い。

ケツがデカい。

 

なにより、ちんちんがなくなっている。

 

間違いない。

 

「TSしてるーー!!」

 

声も可愛らしくなっていた。

 

 

はー。

俺はデカいため息をつきながら、辺りに落ちているボーナス装備たちを身に着けていった。

 

ハーレムが作れると思ったのになー……。

 

原因はアレだろう。連続クリックキャンペーン。

ボーナスポイントを99にするかわりに、性別や容姿が変化してしまったということなんだろう。

若くてスタイルがいいのは良い変化だが……ちんちんをなくしてしまったのはあまりにも辛い。

そもそも奴隷は金で買える。ならば、モテないオッサンだった俺でも美少女ハーレムを作ることはできたはずだった。なのに……。

 

「ちんちんなくしちゃ、異世界来た意味がないだろうよ……」

 

はあ。十何度目かのため息をつきながら、俺はようやく装備をつけ終わった。

 

「……ん?」

 

その時、外が騒がしくなってきたのに気がついた。

馬小屋を出て外を確認すると、盗賊が襲撃してきたようだ。

 

「あー……盗賊襲撃イベントか……」

 

テンションが下がりきった俺は、ぼんやり馬小屋の陰から眺めていた。

英雄のジョブを取るためには必須のイベントと言えるのだが……。

TSしたショックで、やる気が出ないのだ。

もう英雄なしで生きてもいいんじゃないかなあ。

 

「……逆に考えるんだ。そう、逆に。女になってしまった俺が、この上さらに英雄のジョブを取りこぼす。その意味を」

 

女になってしまったというマイナス。

そこにさらに英雄を失うというマイナス。

俺はもう元の世界には戻れず、この世界で生きていかねばならないのだ。

ならば、せめて英雄という力は持っていないといけないのでは?

 

「……行くか」

 

やる気は出ない。

だが、英雄のジョブは取りこぼせない。

 

俺はノロノロと盗賊達の元へ向かった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。