異世界迷宮でTS転生した俺に男の娘奴隷ハーレムを!! 作:毛のないおじさん
奴隷商を出たオレ達は屋台で昼食をとり、生活雑貨を揃え、後は武器防具屋へ向かった。ドワーフなのだから、鍛冶師になるために棍棒を使わせないと。後は革の防具セットを買って、と……。
そういった様々な買い物が終わったところで、オレはローズとリゼルに今後の予定を話した。
「まずは探索者や村人のレベル上げだな。しばらくは七階層でオレとローズの戦い方を見学して、村人をLv5、探索者をLv10にすることを目指す」
「はい」
「はい……あの」
「ん?」
ローズは素直に頷いたが、リゼルは意見を述べた。
「レベルというものがあるのは、探索者だけです」
「……あー」
さっそく常識を指摘してきたか。偉いぞ、リゼル。
とはいえここは訂正するべきところだな。
「このあたりの常識だとそうなっていたな。実際は全てのジョブにレベルがあるんだが」
「……そうなのですか?」
「まあオレ以外の人間でそれを知っている奴はほとんどいないだろう。だからこのあたりの常識としてそれを指摘したのは正しい。
これからもその調子でどんどん指摘してくれ」
「は、はい」
戸惑いながらもリゼルは受け入れてくれた。
細かい話もそのうちしないとなー。
「ところで、リゼルは男の名前だよな」
「はい、そうです。ドワーフの男は短く詰まった感じの名で、女は伸ばす感じの名になります。僕も赤子の頃は胸も膨らんでいなかったので、男として名付けられました」
「ふーん……じゃあさ」
「何か?」
「リリーって呼んでいい?」
「…………。好きにお呼びください」
見た目も大事だけど、やっぱり呼び名もそれっぽい方が良いよね。
そんな感じでオレは女性っぽい呼び名をつけることにした。
まあちょっとリゼルには葛藤があったみたいだけど……ちゃんと迷宮討伐に挑戦するから許してほしい。
「よし。じゃ、準備も出来たところで迷宮に行こう」
ワープを使って迷宮に移動すると、リゼル改めリリーが常識外の魔法に驚いていた。冒険者のフィールドウォークも、探索者のダンジョンウォークも、どちらも迷宮に直接移動できないからな。
ローズはそういう驚きがなかったから、なんだか新鮮な感じだな……。と思ったら、ローズとリリーで何やら話していた。
「あの、ローズさん」
「何ですか?」
「ご主人様は、いつもこうなんですか? 正直、常識が通じなさすぎてどうしたらいいか……」
「そうなんですか? 私は気にならなかったので……」
「ええ……?」
「私はユウ様のなさることは全て受け入れると決めていますから」
「ええぇぇ……??」
「ふふふ」
え、だからローズは疑問を出すことが少なかったのか。てっきり知らないから聞いてこないだけかと思ってた。
そこまで受け入れてくれているのか……ありがたい話だ。
「あー、リリー。先程も言ったが、常識は常識としてどんどん指摘してくれ。オレが出来ても他人が出来るかは別だからな」
「……なるほど。わかりました」
七階層の入り口で、オレたちは改めて確認をした。
「タルクールの七階層で出てくる魔物は最大三匹。スローラビット、ミノ、コラーゲンコーラルの三種だ」
「あ、はい。ボスはラピッドラビットで、とても速い動きをするのですよね」
へえ。勉強しているんだな。
感心しながら、オレは追加で質問する。
「ドロップ品の種類と特徴はわかるか?」
「はい。コラーゲンコーラルからはコーラルゼラチンが取れ、これは主に接着剤として利用されています。ミノは皮を落とし、装備品の材料として鍛冶師が利用します。スローラビットはウサギの毛皮を落とし、衣料品店でも売れるそうです。ボスのラピッドラビットはウサギの肉を落とし、祝いの日などで食べられています」
……完璧じゃん。
リリーは淀みなくスラスラと解説してくれた。
「凄いな。オレもそれなりに迷宮の事は調べたが、そこまでハッキリとは言える自信がない」
「いつか迷宮を探索する時のため、学んでいました」
「そうなのか。なら、これからも機会があったら知識を蓄えてくれ。図書館などに行くのもいいな」
「え、と……図書館は預託金などの費用がかかりますが……?」
「知識は力だ。パーティーのためにもしっかり学んでくれ」
「……ご主人様は、本当に色んな事が常識外れなのですね。承知しました」
なんとなく、リリーが尊敬の目でオレを見ている気がした。……呆れているわけじゃないよな?
「ユウ様、魔物が三匹。近づいてきました」
「よし。じゃあリリーはオレ達の戦い方を、しっかり見ておけよ」
「はい」
現れたのはコラーゲンコーラル、ミノ、スローラビット。この階層で出る三種類が一匹ずつだった。
「サンゴとミノはオレが」
「はい!」
短くローズに声をかけ、オレは飛び出した。
ミノの方が手前に出てきたので、タイミングを合わせてデュランダルによるラッシュ・スラッシュをぶちかます。
ミノはその一撃で消えたが、その後ろからコラーゲンコーラルが体当たりを仕掛けてきた。
「ぐっ!」
避けきれず、腹にくらった。
だが間合いに入った。今度はオレの番だ。
ラッシュ・スラッシュ!
コラーゲンコーラルは消え、同時に太ももから痛みが消えていく。HP吸収様々だ。
オレが二匹を倒す間はローズがもう一匹を抑えていた。
片手剣と盾でスローラビットの攻撃を逸らし、受け止めていく。ローズに全ての攻撃をかわすような超人的な敏捷力はないが、防御に専念すればなんとかなる。
オレは後ろから斬りつけ、三体の魔物は消え去った。
「七階層だとこんな感じだ。だが八階層からはもう一匹増えるから、リリーにはそれを引きつけてほしい」
「……」
「リリー?」
「……あ、はいっ」
リリーはなんだか上の空だった。
一撃で魔物を倒したのがよほど衝撃的だったらしい。
「ご主人様はお強いのですね……」
「ん? まあ、そうだな。だがこれからは魔物も強くなる。一撃では当然倒せないだろうし、そうするとお前達の負担も増える。上手く引き付けてくれ」
「が、がんばります」
そしてオレ達は七階層の魔物を狩り続けた。午後からの狩りだったが、夕方にはリリーの村人のレベルを5に上げることが出来た。
七階層だったことと、経験値上昇十倍のスキルのおかげだろう。
……半日の間、ずっとリリーは後ろで見ているだけだったが、そろそろいいだろう。
「よし。じゃあリリーも戦ってみるか」
「はい! いよいよですか……!」
「ローズ、数が少ない魔物を探してくれ」
「わかりました」
ローズの案内で遭遇した魔物は、ミノが一匹だった。
よしよし、これならしっかりカバーできる。さすがだ、ローズ。
ミノを確認したリリーは、棍棒をしっかりと構えて前に出た。がんばれ。
「はっ!」
ブゥン!!
さすがはドワーフ。
重い棍棒もまるで苦にせず、まるで木の枝でも振るかのように扱っている。
棍棒が風を斬る音は、当たればただではすまない事を示していた。
……まあ、空振りなんだけどな。
「ぐぇっ」
ミノの突進に合わせて振った棍棒は、ミノのけっこう手前を空振った。その隙だらけのリリーに、ミノは容赦なく体当たりで攻撃した。
……ま、まあ初めての戦闘だしな。タイミングの掴み方が分からなくてもしかたない。
オレはリリーに手当てのスキルをかけながら、
「落ち着いて、良く見て当てるんだ!」
「くっ、くそぉ!」
ブゥン!
焦ったのだろう。オレの助言も耳に入らず、リリーは体勢が崩れたまま無理に棍棒を振った。
当然、当たるわけもなく、リリーはまたもやミノの攻撃を食らってしまう。
こりゃいかんな。
オレは手当てを使いながらデュランダルを構え、ミノに近づいた。
「たぁっ!」
ブゥン!
三度、棍棒は空を切った。
ミノはまた隙だらけのリリーを攻撃しようとした。
が、オレのラッシュ・スラッシュの一撃があたり、ミノはドロップ品に姿を変えることになった。
「リリー……」
「は、はい」
「アウト」
まずは素振りの練習が必要そうだなぁ……。
ドワーフの名前については独自設定です