異世界迷宮でTS転生した俺に男の娘奴隷ハーレムを!! 作:毛のないおじさん
オレ達は皮の装備の作成は一つだけにして、革の製造に移ることにした。
食材としてとっておいたコーラルケルプを大量に大鍋に入れ、じっくりと煮だしていく。
やがて煮汁は赤くなっていき、試しに一舐めしたら口中に渋みが広がってえずいてしまった。
「ユウ様、大丈夫ですか?!」
「ローズ……うぅ……おえぇ……」
「あの、僕、果物をお持ちしました!」
「ありがとうリリー……あー……口の中がすっとしてきた……」
食事に使う時はケルプの端を切って普通の鍋に入れていたからなあ。こんな量のケルプを大鍋に投入して煮出したことはなかった。渋さで死ぬかと思ったぞ。
「この渋みが革にしてくれるのか」
「そうです。よっと」
リリーはヒョイと鍋を持ち上げ、風呂場に運んでいく。
めちゃくちゃ重かったのに、流石はドワーフだな。まったく危なげなく運んでるぞ……。
そうしてオレたちは何度も煮汁を作り浴槽に貯め、次いで皮を投入していく。
後は翌朝まで待つだけだ。
日課の夜の営みを終え、グッスリと眠りにつく。
なお、今日はリリーが凄く頑張ってくれた。
おっぱいをいじられ過ぎて、メスにされるところだった。いや、今のオレは女だけれども……。
「おお……本当に皮が革に変化してる……」
翌朝、浴槽の中に入れた皮は全て変化していた。皮は元々は灰色がかった茶色だったが、今では綺麗な濃い茶色になっている。
鑑定してみてもちゃんと革と表示されているし、リリーも頷いて、
「良い色合いです。成功ですね」
「これで革の装備も作れるな」
「いえ、さすがに革の装備はまだ手に余るかと……」
「おっと、それはそうか」
成功に浮かれて皮算用をしてしまった。革だけに。
いずれにせよ、後はレベルを上げるだけ。
九階層に挑戦だな。
「八階層でも試したが、ここからは魔法を一発入れて先制し、それから接近する」
「私たちは魔法を打ったユウ様が走り出すまで待機する」
「そして僕らは必ずユウ様の後ろからついていく、ですね」
「ああ。オレはとにかく毒持ちのニートアントを優先して倒すから、他の魔物の足止めを頼む」
「お任せください」
「頑張ります」
九階層でまず出てきたのはニートアント二匹、ニードルウッド二匹の組み合わせだった。
ウォーターストームで一発、その後でラッシュ・スラッシュ。ニートアントの一匹は倒れた。
ヨシ!
魔法使いはまだLv10程度だが、しっかり効いている。これなら一撃で魔物をヤれる!
「サクサク狩らせてもらうぜ」
予想外だったのは水魔法が弱点のニートアントだけでなく、ニードルウッドもラッシュ・スラッシュの一撃で倒れたことだろうか。ニードルウッドは水魔法に耐性があるとリリーは言っていたんだがな。
まあ楽に倒せるならそれに越したことはない。
リリーのレベルをどんどん上げて、革の装備も作るだけだ。
「ん?」
順調にニートアントを含む魔物を狩っていると、思わぬドロップを見つけた。
「どうされたのですか、ユウ様?」
「……モンスターカードだ」
「えっ」
モンスターカード アリ
鑑定すると、間違いなくアリのモンスターカードだった。
「ほー。初めて見た」
「そうですね」
「私もです」
三人でまじまじと見つめる。
見た目は本当にカードだ。表も裏も魔物の様な模様があるが、他には何も書いていない。
そう言えば原作はWEB版がモンスターカードで、書籍版はスキル結晶だったか。まあどちらだろうと構わないが。
「アリのモンスターカードは、毒に関連していたよな?」
「そうです。武器につければ毒付与に、防具につければ毒防御です」
「コボルトのモンスターカードがあれば使いたいが……今は使わず取っておこう」
「それも悪くありませんね」
オレはアイテムボックスにモンスターカードをしまった。
「それにしても、今までずいぶんと魔物を狩ったのに、出てきたのは初めてだな」
「そうですね。数千は狩ったと思います」
「えっ。数千……?」
狩った数を聞いてリリーが引いていた。どうしたんだ?
リリーは言いづらそうに、
「……平均すると、モンスターカードは千匹に一枚くらいで出現するそうです」
……。
つまり0.1%の出現率なのに、何千匹も狩って初めてモンスターカードを出したオレたちに驚いたのか。
そうだね、運の悪さにびっくりだね……。
「だ、大丈夫ですユウ様! きっとこれから何枚も出ます!」
「あくまで確率は確率です。偏ることもあります」
その慰めが逆に辛い……。
「それに出るまで狩れば実質100%出現します!!」
「モンスターカードは出なくも、ドロップで稼いだお金で買えます!!」
もう慰めになってないし。
勢いがつきすぎて空回ってんじゃん。
ハァ……。
うん、まあこの程度で落ち込むのも馬鹿らしいな。
今回はアリのカードが出たんだし。そのうち他のカードも何かで手にはいるだろ。
二人の頭を撫でながら、オレは落ち着きを取り戻した。
「ありがとな」
「「はいっ!」」
それはそれとして、アリのカードか……。コボルトのカードと一緒に合成したいのもあるが、革装備に付けるのはもったいない。オリハルコンや聖銀とまでは言わないが、できれば竜革や鋼鉄の装備がほしい。が、革の装備すらまだ作れないオレたちが竜革の装備なんて作れる訳もない。
となると店で買うしかないわけだ。
生活や税のための金を除くと、今は十万ナールほど貯金がある。
聖銀やオリハルコンでもなければ金額的には問題ないだろうが、竜革や鋼鉄の装備が並んでいるのを見たことがない。原作でもバラダム家との決闘騒ぎがあったら買えたはずだ。
「うーむ……せっかくのモンスターカードなのに、活かせる道が険しいな」
「鍛冶師ギルドに聞いてみましょうか?」
「そうだな……」
ギルドに行けば、なにかいいアイデアがあるかもしれないからな。
探索を切り上げ、鍛冶師ギルドに初めて入ったが、広いエントランスと受付窓口があるのは他のギルドと変わりない様子だった。
エントランスにいる人はドワーフが多かったが、他の種族の人も結構いる。
まあ装備に合成を依頼する人もいるんだし、それは当然か。
「行きましょう、ユウ様」
「ん、ああ、そうだなリリー」
ぼんやり観察しているとリリーに促された。
リリーと一緒に受付で竜革装備について聞いてみたが、残念ながらいい話は聞けなかった。
竜革はドライブドラゴンのレアドロップでしか手に入らないし、竜革の装備はあまりオークションで出回る事も少ないだとか、そんな話ばかりだ。
妥協して革装備に付けるか、あるいは竜革を自力で手に入れられる様なるまで取っておくしかないのかな……。
オレたちが諦め半分にそう思っていると隣の受付で何やら騒いでいるドワーフがいた。
「だから金なら十分に用意すると言っているだろう!」
「いえ、ですからそれは探索者ギルドか冒険者ギルドで依頼いただければ……」
「ここでも素材収集の依頼は受付ているのだろう?!」
「ですからそれは……」
「毒針の百個程度、鍛冶師ならば集められるだろう!」
「ですから……」
騒いでいる窓口を横目に、リリーがそっとオレに囁いた。
「毒針は鍛冶師ギルドでは扱っていない品ですね」
「そうなのか?」
「はい。素材ならなんでも扱っていると勘違いしているのでしょうか」
「ふーん」
ふと自分のアイテムボックスを開いて確認すると、毒針はゆうに百個以上存在していた。
今日はまだ換金していなかったからな。
普段なら面倒に首を突っ込んだりはしないのだが、あまりにうるさいので、つい、オレは口を挟んでしまった。
「毒針百個なら持っていますよ。十分な金額をいただけるのなら譲りましょうか?」
隣の窓口の男はピタリと騒ぎを止めて、こちらをじっと見つめた。
「……今、持っているのか?」
「ええ。オレは探索者ですから。すぐ出せますよ」
「そうか! では譲ってくれ!」
「あの、話の出来る部屋を用意しましょうか?」
はしゃぐドワーフに対し、受付が提案してくる。
わざわざ部屋に移動して話すのは面倒だと思うが、つい口を出したオレが悪いな。
案内に従って部屋に入ると、いそいそと騒いでいたドワーフが自己紹介を始めた。
「わが名はスチル・ハン。偉大なるハン伯爵家の次男である」
おいおい貴族かよ。
これはますます面倒そうだな。