異世界迷宮でTS転生した俺に男の娘奴隷ハーレムを!! 作:毛のないおじさん
村はすでに盗賊と村人の乱戦になっていた。
そんな中をオレは進み、手近な盗賊から切り捨てていく。
オレは原作主人公のように剣道を習った経験はないが、技術がないのは盗賊たちも同じようだ。
とにかく当てる事を念頭にコンパクトに振り回していけば、盗賊どもは一刀のもとに切り捨てられていく。
一人、また一人と殺していくうちに、オレは一番レベルの高い盗賊にたどり着いた。
「な、なんなんだテメエは!」
おそらく盗賊の頭目だろうそいつの下には、死体になった村人が転がっている。
原作でも亡くなってしまった、なんか強い人だろうか。名前忘れたけど。
ともあれ、この盗賊も殺さなければ。オレは切りかかった。
ギン!
頭目は持っていた鉄の剣でオレの攻撃を受け止めた。
さすがのデュランダルでも、どうやら武器破壊はできないらしい。残念。
「くそっ、くらえ!」
今度は頭目がオレに切りかかり、きれいに胴へ攻撃が入った。ニヤリと頭目は笑った。
痛い。
昔、そう学生の頃、野球の打球が体に当たった事を思い出す。試合中によそ見をしていたら、こっちにボールが飛んできたんだよな。あの時も痛かったな。そんな事を思い出す。
だが、その程度だ。
ボーナス防具のおかげだろう。頭目の剣の一撃は、オレに痛みは与えたが、それで終わりだった。
お返しと頭目の胴を横薙ぎにすれば、デュランダルは頭目の着ている鉄の鎧を素通りした。鎧はそのままに、頭目の体だけを半分にする。
そういえばデュランダルって防御力無効だっけ。こんな感じになるんだな。
「そんな……攻撃が完全に入ったのに……」
体が上半分だけとなった頭目は、そう言って動かなくなった。
「お頭がやられた! なんだアイツは!」
「クソ、逃げるぞ!!」
まだ動ける盗賊達は全員逃げ出していく。
追撃するのも面倒なので、オレはそれを見送った。
ああ疲れた。
初めての殺し合いを終え、大きく息を吐いたオレはその場に座り込む。
ついでにキャラクター画面を開き、ちゃんとセカンドジョブに英雄がセットされているのを確認する。
よしよし、このためにわざわざ介入したんだからな。骨折り損にならなくて良かった。
「※※※※※」
気がつくと、村長らしき人物が隣に立ってオレに話しかけていた。
「言葉がわからない」
「失礼、ブラヒム語の話者でしたか」
原作と同じようなやりとりだな。たしかこんな感じのシーンがあった気がする。
「お礼を申し上げます、騎士様。この度は村を救っていただきありがとうございました」
「……オレは騎士ではなく、ただの旅の者だ。ユウと呼んでくれ」
「そうなのですか? ……わかりました、ユウ様。いずれにしても、お礼をさせて下さい。どうぞ私の家へ」
「わかった、世話になる」
道すがら、村長から様々な話を聞いた。
この村はレオノ村という名前だということ。
近くの街はドルセアといい、2時間ほどで着くこと。
迷宮はこの村の近くにないが、ドルセアの近くにあること。
街なら奴隷商もあること。
原作と同じく、この国は皇帝が治める帝国ということ。
……そういった様々な事を、旅の者ということで、ずいぶん親切に教えてもらえた。
一通りの情報が聞け、村長の家に着いた。
これから夕飯も出すので、今日はゆっくり休んで良いそうだ。
そう言うと、村長は戦いの片付けがあるからと出ていった。
「はぁ〜〜〜」
用意された部屋で横になると、オレは大きく息を吐いた。
原作のように最初の盗賊襲撃イベントを乗り切り、英雄のジョブを手に入れた。
片付けが終われば盗賊共の装備はオレのものになり、礼金も手に入るだろう。
ここまでを見れば、順調に進んでいる……と、言えるだろう。
性別が変わった事を除けば、だが。
ムニムニ、と自分の大きな胸を揉んでみる。
どう考えても、自分の体だ。自分は女になったのだと、現実が突きつけてくる。
「はぁ〜〜〜〜〜〜」
セックスとは、ちんちんをおまんこに入れることだとオレは思う。
キスでもクンニでもフェラでも、セックスの最中に行われる行為だが、それがセックスではない。
本質は入れることなのだ。
ゆえに……ちんちんがなくなった今、オレはセックスできない。
ハーレム……作りたかったな。
女の子を取っ替え引っ替え好きにするような人生……欲しかった……。
「どうすっかなぁ……」
女として、男の性奴隷を買う?
……想像したが、却下だ。
例え体が女でも、オレは男だ。
男とセックスするなんて死んでも嫌だね。
女同士……もなぁ……。
セックスできないのに女の性奴隷買ってもなぁ……。
なんか違うんだよなあ……。
……あーあ、この世界で何しようかなぁ。
もちろん、強くなって迷宮を討伐すれば、貴族に叙せられるらしい。
だが、それはあまり魅力的ではなかった。
貴族になったところで貴族の仕事がある。働かないで済むようにはならない。
贅沢ができる? ……残念ながら文明レベルは日本の方が高い。日本の食には敵わないだろうし、娯楽の種類は比べるのも馬鹿らしい。
目的のないまま、その日の金銭だけ稼いで生きるしかないのか。
何のために異世界に来たのか……。
トントン。
嘆いていると扉がノックされた。
どうしたのかと扉を開けると、真剣な顔の村長がいた。
「ユウ様、相談があるのですが、よろしいでしょうか?」
「……どうかしたのか?」
「はい。実は盗賊の生き残りから聞き出したのですが、奴らの根城はこの村のすぐ近くにあるそうなのです」
「ほう。それは、困ったものだな」
「はい。それで、ですが……」
「……オレに根城を襲撃してほしい、と?」
村長は無言で頷いた。
頭目が死んだとあっては、生き残りはおそらく他の場所へ逃げ出すだろうが、確実ではない。もしも再度の襲撃があれば、次はこの村が耐えられるかわからない。
そして今なら盗賊退治を頼めるオレがいる、と。
「騎士団は動かないのか?」
「動いてはくれるでしょうが、それでも、すぐとはいきますまい。もし騎士団が来る前に何かあれば……」
「なるほどな。……しかし村長、それはオレにメリットがないのではないか? オレはすでにこの村を一度救っている。この村から十分な謝礼をもらう権利があると思うが? そして、この村にはそれ以上の余裕はないだろう?」
今回はオレも英雄のジョブを得る目的があった。
だが、これ以上は盗賊と戦うメリットがない。
なので、わざわざ根城へ行くのは断ろうと思ったのだが……。
「おっしゃる通り、我々はこれ以上の十分な謝礼を支払えません。しかし」
と、ここで村長は一つ息を吸った。
「盗賊達は財貨を貯めているようです」
「ほう?」
「騎士団が動けば、根城にある財貨は騎士団が押収します。時間はかかりますが、おそらく確実にそうなるでしょう。
あるいは奴らは逃げ出すかも知れません。その時は財貨を持っていくでしょう。
もしユウ様が財貨を狙うなら、今がよろしいかと」
なるほどな。村にとってもこれ以上金をかけずにリスクを減らせ、オレにとってもさらなるボーナスが狙えるということか。確かに最大戦力であろう頭目はすでに倒している。乗せられるのは少々気分が良くないが、それ以外は悪くない提案だな。
……どうせ目的もないしな。
盗賊に人権はないし、盗賊は財布だ。誰かそんな事を言っていた気がする。
オレはサブクエストを受けるくらいの気持ちで、軽く頷いた。
「では村長。少し打ち合わせようか……」
深夜を過ぎ、夜明け前。
森の中、光の差さない中をオレと村人は歩いている。
あたりの光源は、村人の持つロウソクだけ。日本で暮らしていた頃は経験しなかった、夜の闇だ。
「……そろそろ着くはずです。灯りを消しますね」
「わかった」
森の中、オレは狩人の村人と一緒に進んできた。
なにせ敵の根城を襲撃するのだ。夜明け前の、敵が一番寝ているだろう時間を、闇に紛れて奇襲するのが一番だ。
そう村長に提案し、こうして根城までの案内をつけてもらったというわけだ。
闇に目を慣らしながら、音の立たないようにゆっくり進む。
やがて木々の間から篝火が見えてきた。
盗賊共の根城だ。
捕虜にした盗賊が言った通り、自然にできた横穴を使っている。
「では行ってくる」
「お気をつけて」
狩人はここで待機し、万が一の時は村へ報告へ戻ることになっている。
オレはデュランダルを構え、根城の中へ飛び込んだ。