※この作品はR-18です。

異世界迷宮でTS転生した俺に男の娘奴隷ハーレムを!!   作:毛のないおじさん

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6話 迷宮

「ん?」

 

生活用品を買おうとしていると、ある金物屋が目についた。

この店、どこかで見たような……?

 

「いらっしゃいませ。なにかお探しですか? それともお住まいをお探しでしょうか」

 

店から女性が出てくる。

 

あー!

この人、漫画で出てきた人だ!

 

原作主人公の家を世話した女性だ。金物屋だが地域の顔役という事で、不動産も紹介してくれる人だった。

原作とは違う世界と思っていたが、こんなところで共通点を見出すとは……。

 

「どうかしましたか?」

 

いかんいかん、つい感慨にふけってしまった。

 

「いやなんでもない。家を紹介してくれるのか?」

「ええ。どういった家をお探しですか?」

 

色々と聞いてみると、原作主人公と同じ家を紹介してくれることになった。ありがたい。

この世界だと珍しい水洗トイレだしな。村だと外の穴に出して土に埋めるし、宿屋だと部屋においてある瓶に出して捨てるんだぜ。股を拭くタオルも共用だし。日本人としてはなかなかに辛かった。

 

ただこの家だと井戸は遠いし遮蔽セメントは塗ってあるしで、今だとオレは水魔法が使えないし、ワープもMPの消費が重そうだ。

もう少しレベルを上げてから契約したほうが良さそうだな。

 

 

「よし、この家を契約したい。ただ準備があるから、明後日からとしていいか?」

「ええ、かまいませんよ。明後日にウチへ来てください」

 

宿屋も明日までの金は払ったしな。明後日の朝にここへ来ればちょうどいいだろう。

 

午前中に買い物を終わらせ、オレ達はドルセアの宿屋へ戻った。

 

 

「よし! では準備ができたところで、今から迷宮へ行く!」

「は、はい。ご一緒いたします」

「大丈夫だ。基本的に戦うのは俺の仕事。ローズは敵を探すのが仕事だ。あとはまあ、ドロップ品を運んでくれ」

「その……良いのですか?」

 

ローズは不安げにこちらを見た。

この世界の奴隷は、一般的に肉の盾として扱われる。すでにそんな事はしなくていいと否定したが、常識で考えて、自分もそうしなければと思っているのだろう。

オレはニヤリと笑った。

 

「そもそも必要ない。オレの強さをしっかり見るといい」

 

 

まだどのジョブもレベル1のオレは、ボーナスポイントが99のままだ。

なのでまずジョブ設定をいじり、オレが探索者、英雄、村人。ローズが村人だ。

そして最終的にはボーナスポイントは武器6デュランダルで63、サードジョブで3、獲得経験値上昇5倍で15、必要経験値減少1/5で15、鑑定1、ワープ1、キャラクター再設定1に設定。

準備を整えたオレ達は、迷宮に挑んだ。

 

 

「ここが迷宮かー」

「え? ユウ様は迷宮に来たことは?」

「無いな!」

 

漫画版も読んだから大体の雰囲気は知っていたが、やはり実際に迷宮に入ると、違う。

光源が無いにも関わらずぼんやり光る空間。洞窟のように閉じた空間なのに乾燥した空気。

現実のようで現実とは違う、小さな違和感を残すこここそ、迷宮だ。

 

ドルセアの迷宮の一階層で出てくる敵は、原作のベイルの迷宮と同じニードルウッド。漫画で見たように、樹齢数年程度の細い木が動いているような姿だ。

近づいてデュランダルを一振りすると、ほとんど抵抗がなくニードルウッドの体は断ち切られた。

うん、やはり一撃で倒せる。楽勝楽勝。

 

「ユ、ユウ様、凄いです!」

 

後ろで見ていたローズが興奮しながらこちらへ近づいてきた。褒められると気分いいな、やっぱり。

……まあ凄いのはオレ自身ではなく、ボーナスポイントで現れるデュランダルなんだが。

 

「ローズもやってみるか? このデュランダルなら当たれば倒せるぞ」

「えっ……」

 

今は荷物持ちだが、ローズがどこまで戦えるのか見てみたい。まあ原作の、敵の攻撃を150%避ける狼人族さんの動きは無理だろうが、いずれ普通に戦うくらいはしてほしい。

そう思って、オレはデュランダルをローズに握らせた。

 

「で、では……」

 

ゴクリとツバを飲んで、ローズは新たに遭遇したニードルウッドに対峙した。

 

「ええ〜い!」

 

気合一閃、ローズはデュランダルを大きく振り下ろした。

……ニードルウッドのかなり手前で。

へっぴり腰で振った剣はニードルウッドにカスリもせず、ただ空振られた。

そして隙だらけのローズに、ニードルウッドのしなる枝が襲いかかる。

バチンッ!

 

「あうっ!」

「ローズ!」

 

デュランダルを落として倒れるローズ。

オレは慌ててローズとニードルウッドの間に体を割り込ませた。

バチンッ!

 

「いってえな、クソがッ!」

 

床に落ちたデュランダルをなんとか掴み、オレはニードルウッドに斬りつけた。

ニードルウッドは消滅し、さらにデュランダルが持つHP吸収スキルのおかげでオレの体からは痛みが引いていく。

 

「ローズ!」

「う……ううー……」

 

オレは半ばべそをかくローズに駆け寄り、その体を抱き寄せた。

 

失敗した。

 

原作で出てきたヒロイン達は、全員が最初から戦う覚悟を持っていた。だからローズもそうだろうと無意識に思っていた。

だがそんなはずがない。盗賊に囚われていたのだ。戦う気持ちは、その時に折られたに決まっている。

 

なのに、オレがローズに無理をさせてしまい、怪我を負わせた。

オレのせいだ。

 

「ごめん……ごめんな……」

「うぅ……申し訳ありません……」

「いいんだ」

 

オレ達はしばらく互いの体を抱きしめていた。

 

ローズに戦わせない事を改めて約束し、オレは先頭に立ち続けた。

分かれ道の度にローズはクンクンと匂いを確認し、魔物のいる方へ案内してくれる。

それだけで十分助かる。試しに自分でも嗅いでみたが、魔物の匂いは全くわからなかった。狼人族の鼻は本当に犬並みらしい。

……まあ原作の狼人族さんは、いちいち嗅いでいるような描写はなかったと思う。ノータイムで敵の方向を当てていた。あの回避盾のヒロインさんは、嗅覚もチートだったんだな。

 

見つけては斬る、見つけては斬るの作業を繰り返す。

やがてドロップのブランチでオレたちの鞄はいっぱいになった。

 

 

「だいぶ狩ったなあ……」

「そうですね……」

 

数分に1回は戦ったと思う。多分百には届かないが、七十は超えたろう。

 

いやー疲れた。

精神的にもだし、肉体的にも。なにせ午後いっぱいはずっと迷宮で戦った。

デュランダルで体力も回復してくれれば良かったのだが、どうやらHP吸収のスキルはそこまではしてくれないらしい。

 

とはいえだいぶ稼いだ。レベルは村人が5、英雄が2、探索者が3だ。

これで戦士と剣士、商人は解放された。あとは……。

 

「よし。あと少しだけ付き合ってくれ」

「はい、ユウ様」

 

ボーナスポイントを操作して、武器6から5へ。さらにジョブを変えて戦士と剣士も追加。詠唱省略をチェック。余ったポイントは腕力に。

 

「魔物はこちらのようです」

 

ローズの案内で、ニードルウッドに遭遇した。

今日、何度もやったように、まずは接近して一太刀。

 

「えっ」

 

ローズが驚きの声を上げる。なぜなら、ニードルウッドが生き残っていたから。

今まで一太刀で倒していたニードルウッドだが、武器の性能を落としたせいで一撃では倒せないのだ。

だが、今はそれこそが狙い。

ニードルウッドの反撃がオレの顔を激しく叩く。

痛みに怯みそうになるが、オレは剣を手放し、素手で殴りかかる。

ラッシュ、スラッシュ!

心の中で唱えた二つのスキルがオレのMPをガリガリと削る。こりゃ今は4回くらいしか使えないな。なんとかそれまでに倒れてくれるといいんだが。

 

バチン!

 

ニードルウッドの反撃がまたさらにオレの体を痛めつける。

 

「ユウ様!!」

 

ローズから悲鳴が上がる。

まあ自分の主が、突然剣を手放して殴り合いを始めればそうもなるか。

だが必要だからな。

 

ラッシュ、スラッシュ!

 

渾身のボディブローがニードルウッドに決まると、それでニードルウッドは煙のように消え失せた。

 

「ユウ様……! なぜあんな事を……」

 

戦いが終わり、ローズが近づいてくる。

 

「必要な事だったからな」

 

オレはキャラクター再設定画面を操作し、ジョブを変更した。

 

「手当て」

「えっ……痛みが……」

「僧侶のジョブの取得条件は、素手で魔物を倒す事だ。覚えておくといいぞ」

 

ローズは驚いて言葉を失ったのか、口をパクパクさせている。

デュランダルで回復したオレと違い、ローズは殴られた痛みを抱えたままだった。ローズを回復させるためには、どうしても僧侶のジョブが必要だった。

 

「私の、ため……?」

「元々はオレのミスだし、そもそも僧侶の取得は最初から考えていた。ローズのためというわけでもないな」

「……ありがとうございます」

 

チュッ。

ローズとオレはキスをした。

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