アフリカ砂漠の熱砂が、爆炎と共に舞い上がる。
「くっ……このままじゃ!」
キラのストライクが、バクゥ2機の連携による波状攻撃に防戦一方となっていた。上空ではムウのスカイグラスパーが、ラゴゥの対空砲火に阻まれ、援護の糸口を掴めずにいる。
その均衡を、空を切り裂くメガ・ビーム・ライフルの閃光が貫いた。
ドォォォォォン!!
砂漠の王、バクゥの1機が、爆発すら許されず一撃で蒸発する。
「なっ……何事だ!?」
バルトフェルドが驚愕し空を見上げた瞬間、太陽を背に三つの巨影が急降下してきた。
「――全機、査定(戦闘)開始。手加減は無用だ、徹底的に叩け」
ユウゲツの冷徹な号令と共に、ベースジャバーに跨った3機のグスタフ・カールが、三つ巴の渦中へと突き刺さった。
2. 空戦の蹂躙:対スカイグラスパー
「なんだあいつら、あの巨体でなんであんなに動けるんだ!」
ムウが機首を向け、ミサイルを放つ。だが、ユウゲツの操るベースジャバーは、機体下面のスラスターを爆発的に噴射し、空中で「横滑り」して全弾を回避。
「――当たらなければ、ただの空火だ」
ユウゲツはベースジャバーのステップからグスタフ・カールを跳躍させた。
空中で放たれた10門の腕部ミサイルが、スカイグラスパーの翼をかすめる。さらに、ベースジャバー自体が自動操縦でムウの機体に肉薄し、その巨大な翼端でスカイグラスパーを「物理的に」弾き飛ばした。
「うわっ!? 飛行板自体が格闘戦を仕掛けてくるのかよ!」
ムウは体勢を崩し、戦域の外縁まで押し流されていく。
3. 質量の暴力:対ストライク
地上では、着地したもう一機のグスタフ・カールが、ストライクに襲いかかっていた。
「やめてください!」
キラがアーマーシュナイダー振り回す。だが、グスタフ・カールはそれを避けることさえせず、巨大なシールドを突き出した。
キンッ!!
火花が散るが、分厚いガンダリウム合金は斬り裂けない。
逆にグスタフ・カールは、空いた左手でストライクの頭部を掴み、そのまま砂漠の地面へと叩きつけた。
「パワーが……違いすぎる! 重機に押し潰されているみたいだ!」
キラが絶叫する中、グスタフ・カールはさらに胸部ミサイルをゼロ距離で発射。ストライクのフェイズシフト装甲が激しく波打ち、キラの意識を衝撃が揺さぶる。
「アイシャ、左だ! こいつら、動きが合理的すぎる!」
バルトフェルドのラゴゥが、砂を蹴ってユウゲツの機体に肉薄する。背中のビームキャノンを連射しながらの突撃。
だが、ユウゲツは冷徹だった。
「――足元の注意が散漫だよ」
ユウゲツが指先で操作すると、上空にいたベースジャバーが超低空でバルトフェルドの死角へダイブ。ラゴゥの脚部を文字通り「轢き飛ばした」。
前のめりに転倒するラゴゥ。そこへ、ユウゲツのグスタフ・カールが頭上から着地。両足のスラスターを逆噴射し、数トンの質量でラゴゥを砂の中に沈め込む。
「ぐっ……!? どんな出力をしてやがる……!」
「――アナハイムの技術(ちから)だ。噛み締めなさい」
ユウゲツはラゴゥの頭部にライフルの銃口を突きつけた。
周囲を見渡せば、バルトフェルド隊のバクゥは全滅。ストライクは膝をつき、スカイグラスパーは高度を維持するのが精一杯。
「……よし、全部門のデータ収集完了。撤退するぞ」
ユウゲツの合図で、3機のグスタフ・カールは再びベースジャバーへと飛び乗った。
反撃の隙すら与えない、一方的な蹂躙。
砂塵を巻き上げ、巨影たちはゼネラル・レビルの艦影へと消えていく。
戦場に残されたのは、ただ呆然とするキラとムウ、そして砂に埋もれたラゴゥの絶望だけだった。