天真爛漫なハーフエルフ姫との入れ替わり 作:おくらいりーOh9lawinー
「体返してっ」
潤んだ瞳が切なげに揺れる。僕はその目に吸い寄せられて、視線を逸らすことができない。
「責任取ってよっ。絶対、絶対に許さないんだからっ」
顔全体に悲愴感が現れていた。僕の体で発せられる、低い声の女口調。そのミスマッチが、かえって不気味な感じを押し上げている。その瞳に確かに宿る執念には迫力があった。
僕は視線を逸らすことも許されず、思わず目を閉じる――
「と、こんな感じかなっ」
瞬きの瞬間に、僕に迫っていたはずのエレンはニコニコ笑顔に戻っていて、というか少し誇らしそうで、ハンディカムを手に装着したアンナがしげしげと僕ら二人を見比べていた。
「さすがは殿下。ヤンデレの素養もバッチリってことですね」
「ふっふー、アンナ?殴るよ?」
「というか、アンナさんはなんでカメラを……?」
「殿下に撮影を頼まれまして」
「いやそれは構わないんですけど」
そう、それ自体は問題ない。学芸会の続きだか家庭内劇場だかをカメラに収めることは、勝手にしてくれと思う。
「でもですね、僕ら閨事の最中なんですよ」
僕もエレンも裸で、僕は彼女から預かった、雪のように白い肌を惜しみなく晒し、エレンは僕の足の間に自分の体を押し込んだ状態で、言うまでもなく邪魔な竿まで秘所に押し込んでいる状態だった。一連の演技に興奮したのかエレンの男根がびくびく脈打ちながら横に広がっていき、僕は正直変な喘ぎ声を漏らさないように息を止めるので精いっぱいだった。
「とはいえ、その、殿下の希望でしたので……」
「ハメ撮りが?」
「いやー、やっぱり情事の最中じゃないと、リアリティがでないかなって」
「流出したらどうするんですかね」
僕やだよ。「エロフ(笑)」とか「エルフはやっぱり夜は淫乱(笑)」とか冷やかされるの。
「エルフってもっとこう、潔癖で選民思想の持主、みたいなイメージがあったんですが」
「※イメージはあくまでもイメージです」
「それに私はハーフエルフだしっ」
とん、と胸を叩いたり胸を張ったり忙しい男子が一名。僕はすべての元凶にじとっとした目を向ける。
「うるさいサオ役」
「さ、竿!?こともあろうに私を、竿役って!?」
がーん、とショックを受けたように呆然とするエレン。
「主演女優に言われたくないし!」
「カメラ回したのはエレンだよね?」
「もう怒った。私怒りましたからね。あーあ、マモルくんはこのエレン様を怒らせたから、ヒィヒィ喘ぐまで許してあげないからっ」
とまあ、なんともマッチポンプな感じで押し倒されていたのが、少し前までのこと。
今となっては僕も、エレンの体でエレンを求めることに抵抗がなくなってきて、普通に誘ったり、押し倒すようになっている。
それが進歩と言えるかどうかは謎だ。単に、淫乱になっただけかもしれない。
押し倒したエレンは、もうすっかり慣れたと言わんばかりに動じず、こちらをしっかりと見上げてくる。僕は彼女とぎゅっと両手を握り込んだまま、ぐいっと腰を動かした。杭のように屹立する肉棒を、押し込むのではなく体重をかける。自然とペニスが膣を掻き分けて、奥深くまで刺さっていく。
「んっ……」
ズンッ、と確かな手ごたえと共に、動きが止まった。
「大丈夫?苦しくない?」
「まあほら、違和感は感じたりするけど」
と、僕はペニスが入っているあたりのお腹を、軽くさすってみる。さすがにここから肉棒を感じることはできない。
「でも、僕はエレンの体に慣れてきたし、今のエレンは、僕の体だし」
「そう……そうなんだよね。ふふ、私たち、体を共有してるんだよね」
――あるいはお互い、自分によく似た双子がもう一人できたか。そんな感じに解釈すると、なんだかぴったりくるものがある。
「じゃあエレン、行くよ」
「うんっ、マモル、来てえっ」
と、腕を広げたまでは良かったのだが。
「あっ」
「ふえ?」
次の瞬間、ぐるんっ、と視点が変わっていて。
「「また変な入れ替わり方しちゃったよ……」」
と、僕らはため息をつく。
入れ替わり状態を解消する薬のサンプル。サンプルなのはまあ、構わないのだが、元の体に戻ったり、また入れ替わったり、お互いの体の滞在時間が3分になってしまった。ここのところ僕とエレンはいつも以上に行動を共にしている。こんな時じゃないと一緒になれないでしょ、とお風呂や、どうかしたらトイレまで一緒である。最近、エルフというのは実は潔癖なのではなく、露出狂の間違いじゃないかとすら思えてくる。
「ま、いいかあ」
と、僕の上に馬乗りになっているエレンが、ようやく本来の笑顔を取り戻して笑う。エレンの笑顔は魅力の一つだが、僕の体の時と本人の笑顔とでは雲泥の差がある。
「こうしてマモルと一緒なのは変わらないんだし……」
それに、ときゅっと下腹部に力を込めたのがわかる。連動して膣が吸い付くように僕のペニスにまとわりついてきた。そうだ、元の体に戻ったということは、当然ながら僕が彼女をリードできるわけで。
改めて互いの指を握り直しながら、僕はさっき彼女の体で彼女を押し倒していたのに、今度は下から突き上げる。んんんっ、とエレンが一瞬、全身の産毛を逆立てる。背筋がゾクッとしたんだろうなぁ、と何となく見当がつく。
「やっ、はっ、ああんっ」
と、エレンが体の上で身を捩る。おかしな話、生まれて十数年行動を共にしてきた僕本来の体なのだが、こと性行為に関しては、エレンの方が男の方に慣れていて、逆に僕は女の体、要はエレンの体の方で、どうご奉仕したらいいかわかっていたりする。
つくづく入れ替わりとは二者関係をへんてこなものに書き換えてしまうのだから、困ったものである。
「マモルっ、中っ。中に出してぇっ」
「はいはい、お姫様……っく」
正直、まだまだ余裕はある。でもせっかく男の体に戻ったのだから、エレンの言うところのマーキングと言うか、この少女は僕のものだ、という証を刻み込みたい、という情欲が湧かないわけでもない。
ただ、これに関しては彼女がかなり鍛えているのもあって、3分ちょっとではそう簡単に達したりしない。
「やあっ、マモル、イク、イクうっ」
「やば……の、残りはっ」
ああ、このインターバルではエレンにマーキングできなかったなあと思うのが半分。
「ちょちょ、ちょっと待って、今この状態で入れ替わったらっ」
「そんなこと言われてもおっ」
切なげに目を細め、太腿やふくらはぎをぷるぷるさせて、今にも崩れ落ちそうだ。彼女の宣言通り、ほとんどイク寸前で。
「「あっーー」」
ぐるんっ、と視界が入れ替わった、次の瞬間。
「いぎゅっーーっ!」
「わ、マモルが漏らしたぁ!」
その口ぶりは非難するようで、でも口元は緩みきっている。僕は突然イク寸前の体を押し付けられて。意志の力でどうにかできるはずもなく、肉体が寄越す快楽の波に押し流された。涙を流し、唾液もぽたりと垂れ流す。ぷしゃっ、と潮を吹く。ぐぐっ、と体が反り返り、背筋がぴん、となってから、へなへなっと崩れ落ちるところを、エレンに受け止められる。力強い鼓動が、男の胸板から伝わってくる。
「もー、マモルはすぐにイクんだからぁ。マモルはアレだね、雑魚まんこだね。雑魚まんこ」
「あのねーー」
それに関しては抗議の声を上げざるを得ない。爆弾をキラーパスされた身にもなってほしい。しかしそんな言い分がこのわがままお姫様に通るはずもなく、エレンは容赦なく両者のいいとこ取りをしようとする。
「マモルっ!出す、出すからねぇっ!」
「ふぎゅーーっ!」
どく、どく、どく、と脈動とともに注ぎ込まれた。ふうーっ、と満足げに彼女がため息をついてから、ぐるんっ、と視点が変わって。
僕は射精直後の気だるい感じに包まれて、額に腕を押し付ける。
「うう……マモルに中出しされたぁ……」
「人聞きの悪いことを……しかもいいとこ取りかよ……」
「ふふーん、女の子の特権だねっ」
「普通の女の子はそんな特権ないから」
ぼやこうとする僕の口に、ちゅぱ、ちゅぱっ、と音を立てて口づけしてくる。股間からとろとろと、精液を逆流させて、僕の方に抱きついてくる。そっと抱き寄せると、むぎゅっとおっぱいがぶつかってつぶれた。
それだけで、まあいいか、と思ってしまう僕ってちょろいのだろうか。
「エレン」
「なに?」
こんな時に言うことではないかもしれないけれど。
「好きだよ」
「……わ、私のほうが好きだもんっ。大好きだもんっ」
なんか勝手に対抗心を燃やされていた。
「ほら!私なんかマモルのことが好きすぎてお尻を突き出して誘っちゃえるもんね!マモルにはできないもんね!」
ガバっと体を起こしたと思ったら、そのままベッドに四つん這いになって、言葉通りお尻をぐっとこちらに突き出してくる。
「いや……最初にそれやったの僕なんだけど」
「私だもんっ」
今度は一体何を企んでいるのやら。
苦笑しつつも僕は、せっかく元に戻ったので、そのまま後ろから貫いて、覆いかぶさる。あう、と間抜けな声を出すエレン。
これが僕らの日常で。
なかなかどうして、飽きない日々であったりする。