天真爛漫なハーフエルフ姫との入れ替わり 作:おくらいりーOh9lawinー
「マモルが悪いんだもんっ」
我らが殿下は、卑怯にも僕に責任を丸投げしつつ、僕にのしかかり、股を開かせ、そして、腰を振っていた。へこっ、へこっと腰が前後する度に肉と肉がぶつかり合い、ぱんぱんっ、と淫らな音を立てて弾ける。
「マモルがいっつも優しくするからっ。マモルが優しいからっ。私のワガママを全部受け止めてくれるからっ」
じゃあ今度から彼女が何か言う度に反論するか、或いは話し始めの一言をいっそ、「いや」という否定形で始めるべきか、なんで僕は皮肉っぽく考える。もっともそんなあまのじゃくな考えは本当にただ、いたずらに思いつくだけで、すぐに頭から流れ落ちる。
代わりに僕は何をするかと言えば、彼女のほうに手を伸ばして、そっと頬に手を添える。どこか、未だに迷子のような面差しを携えるこの少女に、大丈夫だよという万感の思いを込めて。
「ああもうっ」
とエレンは、僕の足に腕を通して、ぐいと引っ張った。体がずるっと引き寄せられ、秘所が男の秘所で覆われる。生徒用の机に押し倒される、ブラウスを着崩す形になった僕と、詰襟にスラックスという出で立ちで、器用にペニスだけチャックの中からスルッと引っ張り出して僕に叩きつけているエレン。窓の外では太陽が沈もうとしていた。
「インタビュー部の戸成と申します」
やたらとローテンションな少女が、放課後のアポを求めて去っていった。僕とエレンはちらっと顔を見つめて、どちらともなく首を振っていた。
このクラスには、妖精国の姫君エレンと、その婚約者がいる。
といっても僕らのことではない。注目を浴びているのはカリーナと、その相手であるエルフの男性である。
カリーナは元からエレンに似ている。そして僕の影武者はと言えば僕とは全く似ていないのだが、そういう風に認識されるような魔法で誘導されている。いったん学園がエレン殿下の再留学先、と盛り上がったところで、少し落ち着いてから僕らが転校するという計画は、おおむね成功を納めたらしかった。
とはいえ。
「今日は二組の転校生をご招待しております。皆様は学園生活に慣れてきましたか?」
戸成は空き教室に、殿下留学計画の関係者をほぼ全員集めた状態で司会を始めていた。
どうしてこうなったんです?と言わんばかりのカリーナの視線。
貴様のせいで姫様に近寄る虫が増えたらどうする、と言わんばかりの影武者エルフの視線。
この状況を打開してくれそうな殿下はと言えば。
「新聞部とか広報部とかは聞いたことはあるけど、インタビュー部というのは聞いたことがないかなあ……?」
違う、そうじゃない。
しかし、殿下が目をキラキラさせているだけで、影武者組が嬉しそうな顔をしているので、結果オーライなのかもしれない。
「活動内容は普通の新聞部なのですが、パンチに欠けるので改名しました」
と身も蓋もない答えが返ってくる。戸成はちらっとエレンから視線を外して、カリーナの方へ視線を向け直す。それから少し、居住まいを正した。
「それでは色々と質問をさせていただきたいのですが……もちろん、無理のない範囲での答えで構いません」
「ふふ。私はこれと言って秘密もないし、何でも聞いてもらっていいけれどなぁ?」
カリーナの笑みは、まさに殿下の完コピと言えた。僕の影武者が瞠目し、エレンが自慢そうに胸を張る。では早速、と戸成がペンを回した。
「入れ替わる前と、入れ替わった後の、お二人の関係の変化について、教えてください」
ぴし、と二人が笑みを浮かべたまま一瞬固まった気がする。
本人の目の前で、何度もシュミレートしたであろう惚気話というか、設定を語らせるとは、酷なこともあったものである。
「僕たちもぜひ聞いてみたいなあ。ね?」
「はい、私も……少しは」
いや、睨まないでください。殿下が聞きたがってるもんですから。
本物が偽物に、馴れ初め話を聞く。でも多分、いろいろと脚色されているだろうなぁ、というのが大方の予想。
「それは……ですね」
カリーナが目を白黒させながら、必死に思い出すように首を傾げる。
「実のところ、始めはあまり接点がなくて。マモル様も、私に興味がなかったようで」
「当時のエレン様は、文字通り雲上人でしたから」
目が笑っていない笑みが、俺を見据えている。そっとこちらは視線を外す。
「ベタですが、入れ替わったきっかけというのも、階段から落ちたことによるものです」
「そのあたりは、私も聞いています」
週刊誌で読みました、と戸成。いわゆる関係者は語る、と言うやつだったのだろうか。
誰だその関係者。僕らのプライバシーというのは、こんなにも脆いものだったのか。
「当初はやはり、困惑から、どうしたものかと。王族の一員として責務が果たせなくなることに危機感を抱き、体を返して、と彼に迫ったりもしてしまいました」
目を伏せて、頬に手を当てながら語るカリーナの姿に、同情するように戸成が頷く。僕はエレンの方に視線を向ける。
そんなでしたっけ、殿下。
僕の記憶が正しければ、「孕ませてあげるね!」やら「元気な赤ちゃん産もうね!」とか言いながら、速攻で元の自分の体にのしかかってペニスを入れてきたような気がする。
「僕もまた……自分の体に未練がありますし、突然女性に、しかも妖精国の姫君となったので、右も左も分からず、どのように振る舞えばよいのか、一挙一動に至るまで、指示を仰ぎました」
マモル、そんなに殊勝だったっけ。
エレンからじとっとした視線が向けられてくる。いやちょっと待ってほしい。
僕が受けた指示はと言えば「とにかく世継ぎを作ってください」とかだったような。
あれ、もしかして下の事情しか話されていないような???
あまりにも記憶にない深刻な王家の様子に、僕は思わず首を傾げてしまう。呆れつつ聞いているうちに、話は終わりを迎え始めていた。
「でもですね、一心同体、二人三脚で、どんなことさえも共有したことで、逆に……僕らは、強い絆で結ばれた、と信じています」
「なるほど……」
「凄いなぁ、エルフのお姫様、かっこいいですね」
わざとらしくカリーナを持ち上げるのはエレンである。一応男の体なので、女言葉は使わないようにしている。
でも、それだけである。天真爛漫で悪戯好きと言うか甘えん坊なところは相変わらずで、カリーナでさえ何か言いたげにじっとりとした視線を向けていた。
「先ほどの話でも出ていましたが、やはり将来的にはお子様を産むことになるのですか?」
「そうなると思います」
「差別するつもりはありませんが、エルフと人間、それも、王族と一般人。この身分差や種族の違いは、障壁になると思われますか?」
戸成は、普遍的な疑問をカリーナにぶつける。カリーナは、膝の上に手をおいた。
「お互いがどれほど違うとしても、だからこそ、分かり合うための努力は必要だと思います。そして何より、愛というものがどのような人種にとっても普遍的な、壁を乗り越えるために与えられた祝福であり武器であると、私は信じています」
カリーナの言葉に、戸成は頷いた。
でも多分、本当に聞きたかったのは、今すでに、体を重ねているのかどうか、だっただろう。王室にとってもあまりにもデリケートな質問。
いくら同じ学生だからといって、軽々しく質問するわけには行かない。でも聞いてみたい。とはいえ、下手に聞いて、後々問題になったら困る、そんな葛藤を抱えている顔だった。結果、このインタビューはどこか消化不足で終わったのだった。
いや、正直に聞けばよかっただろうに。二言目には世継ぎやら言ってくるような王家に、毎日飽きもせず求めてきてセクハラも辞さない姫君。むしろ影武者たちが真面目すぎるのである。
「それにしても、さすがだね。カリーナさんとエレン、そっくりなのに誰も指摘しない」
「ふふー。それが魔法っていうものだからね。認識阻害や人払い、他にも、存在感を消すなんて魔法もあるんだから!」
「なるほど」
「で、それをいつまで悪用する気かな?エレン?」
隣には教師が立っていて、いつも通りに授業が行われている。僕は教卓に肘を置いて、お尻を突き出している。ズボンとパンツを地面に落としたエレンが、こちらの腰を鷲掴みにして熱心に腰を叩きつけていた。
「しーっ、バレちゃったら大変でしょ?」
「大変ならはじめからするべきじゃないと思うんだよね」
せめてこういうのは、放課後の空き教室でやるものだと思っていた。それをまさか、授業中の教師のお隣でさせられるとは思わなかった。
「……であるからして、ここの助詞は過去形の解釈をしたほうがより自然に読めることが理解できたと思う」
教師が熱心とは言わずとも、淡々と解説を担う。それに合いの手を打つように割り込む、僕とエレンの喘ぎ声。
生徒たちは退屈そうにこちらを見上げ、黒板を書き写し、ノートに視線を落とす。何人目の目がこちらに向く度に体が硬直するのはどうやら僕だけらしい。エレンは張り切って腰を振り、ペニスを奥へ奥へと突き立て、勢いのままお尻に腰をぶつけて、パチンパチンと互いの肌を鳴らしている。
「これバレたら一大スキャンダルだよなぁ」
「そう簡単にはバレないもんっ」
ぐりっ、とペニスをさらにねじ込んだエレンが、ぼくの身体に沿わせるように、ぐっと身体を倒した。エルフ特有の尖った耳は、やはりというか性感帯らしく、甘噛みされただけで、ピリッと快楽が、疼きが、下腹部からこみ上げてくる。僕の体は自然とわななく。
「マモルと一緒だと、何でも楽しい!」
エレンが吐息に笑みを含ませながら言った。
「そりゃセックスの方が、オナニーより楽しいだろうね」
「……お尻に入れるよ?」
その楽しさの大部分は、エッチなもので構成されてるんだろうなぁ、と呆れながらも納得せざるを得ない、久しぶりの高校生活だった。