天真爛漫なハーフエルフ姫との入れ替わり 作:おくらいりーOh9lawinー
「なんだかよくわからないけど、入れ替わったらしいな」
へへ、へーーと少女が邪悪に笑う。ヨダレを垂らさんばかりに口を半開きにして、真っ先に、自分の乳房を鷲掴みにした。
「すげえっ、オッパイ、柔らけえっ」
マジかよ、マジかよ、と少女は下品な言葉遣いで盛り上がる。しかしそれが、彼女の言うように入れ替わりであるのなら、当然相手がいるはずなのだ。
「や、やめて!私の体で、何をするのっ」
妙にナヨナヨした男子が慌てて制止に入る。しかし、その手をひらりと避けて、少女は、怪しい一人遊びに没頭する。はあはあと息を荒げて、自分の体に欲情する姿は、まごうことなき変態である。
「やめてっ」
「うるせえなあ、大声出してやろうか」
少女が舌打ちせんばかりに、憎々しげに少年を睨む。これほどまでに直接的な敵意や悪意をぶつけられたことがなく、少年は、たたらを踏む。
「今の状態で、ちょっと半裸になって襲われた、って言ったら、捕まるのはお前なんだぜ。少しは頭を働かせたらどうなんだよ、エルフのお姫さま?」
「無礼者っ、野蛮人っ。あなたみたいな人間に、私の身体が辱められるなんて、耐えられないっ」
「おーおー、言いたきゃ幾らでも言ってなよ。それで、身体がもとに戻るんなら別だけどよぉ」
少女はぎこちない手つきで、制服を脱いでいく。白い二の腕が露わになった頃、彼女が身に着けているのはワインレッドのブラジャーとショーツだった。
そのブラの下に手を潜り込ませて、直接胸をもみしだく。そしてもう片方の手は、とうとう、少年の目の前でショーツの中にねじ込まれてしまった。あまりにもあっけない顛末に、少年は思わず絶望する。
「はははっ、高慢ちきなお姫さまも形無しだなっ。なんなら、俺が慰めてやってもいいぜ、この体でなっ」
「下種っ、そんなの、余計なお世話ですっ」
「ふん、なんだよ、そのクセチンポを固くしてるくせによ」
エルフの少女は、素早く少年の元に駆け寄った。そして、ズボンの上から、容赦なくペニスをぐにっ、と握った。
ひっ、と少年の口から悲鳴が漏れて、見目麗しい少女の、醜悪な嘲笑が響いたーー。
「みたいにならなくて、ホントに良かったぁ」
うむうむ、と頷いて、僕にのしかかってくるのは、もちろん我らが殿下、エレンである。昔から演技が好きだった彼女は、ここのところ「もしどちらかがクズだったら」というプレイにすっかりハマっているらしかった。
「旅行先でまで、偽りの自分でエッチなことはしたくないかな」
僕は押し倒されながらも、エレンの体にぎゅっと抱きつく。
「それは……うん、そうだね」
何度も頷くエレンであったが、一向に離れようとしない。僕も仕方がないので、じっと抱きついたままである。
「……したいの?」
「えっ、なんでわかったの!?」
エレンがガバっと顔を上げる。マモル大好き!と叫びながら、エレンはグイグイと身を寄せてきた。
旅行先は、何の変哲もない家族風呂のある温泉旅館である。
僕らの世界、科学の世界でまだ解明できないし大きく後れを取っている、魔法という異色の法則を用いてやれば、「無双」できるといえる。それをうまく使えば、ほとんど人間界に警護の依頼をすることなく、誰にもVIPとバレることなく、普通の旅行を楽しむことができる。
警護はある程度自由裁量を与えられている、妖精国側の、ほとんど存在さえ悟らせないやり方で、実質僕らは2人きりの旅行を楽しめるというわけだった。
「マモル、ちゃんと買って、ちゃんと着てくれてたんだ……その、赤い下着」
「うん、まあ着てほしいから買ったんでしょ?」
「そうだよ?」
入れ替わりと言えば、何かがおかしいこういう会話である。でも当人たちからすれば、時間が経てば入れ替わった状態が普通になっていく。
一応公式な場では体に合わせた振る舞いだったり言葉遣いを用いたりするのだが、2人だけ、あるいは事情をよく知る人の前なら、僕らは相変わらず僕らのまま、特にエレンは女の子らしい言葉遣いで僕の体を用いたりする。
ただし性欲に関しては、基本的に体に合わせて解消することになる。
見事な刺繍が編み込まれた赤いブラジャーの凸部を指でなぞりながら、下着と肌の境界をつつく。くすぐったさに身を捩る僕の体をまたいで、仰向けの僕に対して真正面から背丈を合わせるようにして、のしかかってくる。少し硬い唇が何度もこちらの唇を押してくる。混ざり合うことは、僕もエレンも、嫌いではない。
「私はずっとプレッシャーに感じてたはずなんだけどね」
というのはエレンの言葉である。
「一番若いハーフエルフで、ハーフエルフは始祖のためにもその血筋を絶やすわけにはいかなかったから、誰かお相手を見つけて、必ず子供を、って」
「僕じゃなくても、上手くやれたんじゃない?」
「でも、私の体になっても喜んで受け止めてくれるのは、マモルだけだと思うよ?」
また、唇が落ちてくる。エレンはこちらの足をぐっと掴んで、大きく股を開かせたあと、そのまま足首を掴んで熱心に腰を叩きつけるのが好きだ。視界の中央でエレンがドヤ顔をして、彼女の足が視界の端で揺れる。お互い裸になった状態だけれど、エレンの下半身は、見えそうで見えない。彼女がぐぐっと体を前に乗り出して、胸を掴む。ぐにぐにっ、と揉みしだく。肉まんのような乳房が掻き回される。
「マモル、好きっ、だいすきっ」
うわ言のように繰り返しながら、エレンは口づけを求めてくる。じゅるっ、と唾液と唾液が絡まる。しがみつこうとするエレンと、すでにしがみついている僕。ああ、あっ、と喘ぎ声が輪唱のように重なり、そして、弾ける。
熱いものが、中に出された事が分かる。ぼうっとした感覚の中で、唾液が流れ落ちそうになるのが分かるけど、すすれない。代わりに舐め取ったのは、やはりエレンだった。
「お風呂」
エレンが思い出したように言う。
「いっしょに、入ろっか」
かけ湯をして、お互いの情事の痕で湯船を汚さないようにした上で、二人で一緒に浴槽に身を浮かべた。ふう、とため息が漏れる。隣に座っているエレンの手を取って、ギュッと指を絡ませる。
「マモル?」
「今まで、正面から抱き合ったことは結構あったけど、隣で手を繋いだことはあまりなかったかなって」
かけ流しのお湯が、屈折も合わさって2人の繋いだ手と手を抽象的なものに書き換えてしまう。二人分の体温がお湯で均一化されて、握りしめる互いの感触だけが確かなものになる。
僕は、この体は華奢で可憐なエレンの体なので、少しは頼りがいがある(と思いたい)エレンの胸板に頭を預ける。エレンがお湯の中から手を出して、髪が濡れるのも構わずに、僕の頭を抱き寄せる。
どくん、どくん、と互いが一つの心臓になってしまったように、生きている、という実感が、銅鑼のように響く。
「ぎゅって、していい?」
「マモル、女の子みたい」
「女の子だもん」
僕は恥ずかしさなんて捨ててしまって、エレンの首筋に唇で痕をつける。ひゃっ、とエレンが慌てて、ざばっ、と水しぶきが上がった。僕は、エレンにしがみつく。エレンは負けじと抱きしめてくる。ぎゅうっと、密着する。
「これでいい?」
「もっと」
「はいはい」
エレンの声に、かすかに笑い声が混じる。かっこよく決めているくせに、股間のものはどんどん存在を主張して、僕にもバレバレだ。一応気づかないふりをしてあげるのがいい女というものなのだろうか。
「でも、マモルが私に甘えてくれるのは、正直嬉しいかな」
エレンが言う。真っすぐにこちらを見つめて、おでこをこちらのおでこにコツンとぶつけながら、尋ねる。
「他に、私にしてほしいこととか、なあい?」
「そうだね」
僕は、ずっと言おうとして、少し躊躇っていたことを、思い切って告げてみることにした。
「一応、入れ替わって以来、ちゃんと元に戻ったことはないから、言おうか迷ってたけどーー」
「うん」
「一度でも、ちゃんと元に戻ったら、一度でいいから、男の体で、僕本人の体で、エレンを抱きたい。男として、エレンが欲しい」
そう言うと、彼女は少し驚いた顔をした。それから、ゆっくり首を振った。
「一度だけ、じゃ嫌かなーー私、散々、マモルを抱いてきたけど……でも、ちゃんと女としてマモルとセックスしたこと、ないんだよね」
互いの足に、視線が向かう。股間は、男女の体の違いの、最たるものだ。
エレンの手が、そのつるりとした股間をなで上げた。
「男として、マモルを抱くまでーーエレンの頃は、ずっと、誰かのために、体を預けて、のしかかられる事を考えてたら、うん、怖かった」
「今は?」
「今は違うよ」
エレンは首を振った。そして、改めて僕を見て、告げる。
「1回だけ、なんて嫌。普通の恋人みたいに、マモルには何度だって抱かれたい。普通のセックスも、してみたい。マモルになら、マモルだから、私の全部を愛してほしいし、私をめちゃくちゃにしてほしい」
「ありがとう」
僕は彼女の頬に口づけする。それから、白魚のような指で、彼女の股間の睾丸をくすぐった。
「ちょおっーーマモルっ!」
「それまではお互い、今の体で、たくさんエッチなこと、しよ?」
「もう、マモルはエッチなんだからっ!」
ざばっ、と勢いよく立ち上がったエレンが、僕の手を引く。
「だめって言っても、やめてって言っても、アへ顔になるまで犯すからね!」
「うん、楽しみ」
僕は彼女に導かれるまま、部屋に戻る。どちらの体でのセックスも好き、と言うには経験が不足していたがーー僕は、エレンとのセックスが、大好きだった。