トリオンの蟲惑魔、シトリスの蟲惑魔、アティプスの蟲惑魔も登場しています。
僕には年の少し離れた兄がいる。
兄ちゃんはカードゲームが好きで、お父さんとお母さんが働いていて平日は帰りが遅めなのもあって、学校から帰ったら一緒にデュエルをして遊んでいた。
その日もランドセルを部屋に置いてリビングに行くと、先に帰っていた兄ちゃんがうんうん唸っていた。
いつもご飯を食べる大きめのテーブルの上には、カードが何枚も並べるように広げられている。
「兄ちゃん、ただいまぁ」
「おかえり、ってもうそんな時間か!? 悪い、もうちょっと……もうちょっとだけ待ってくれないか。展開の確認もそろそろ終わるから。
えっと、この効果で――」
兄ちゃんは並べられているカードの一枚を手に取り、テキストを噛み締めるように小声で読み上げる。
ちらっと見てみると、カードの中には僕の知っているものはもちろんとして、知らないものも少なからず混ざっていた。そちらはちょっと前に発売されたらしいストラクチャーデッキで追加されたカードなのだろう。
そのテキストを呟いて確認している兄ちゃんはとても楽しそうで、見ている僕までワクワクしてくる。
しばらく経って準備ができたと言われ、僕は兄ちゃんの向かいのイスに座る。
もうすぐ中学生になる兄ちゃんは、学校に通い始めたばかりの僕よりもお小遣いをいっぱいもらっているので、カードをたくさん持っている。僕がいまから使うデッキも兄ちゃんが持っているカードを借りて組ませてもらったデッキだ。
僕もいつか自分だけのデッキを持ちたいと思っているけど、そのためにはお小遣いをもっと貯めなくちゃいけないから、実現するまでは時間がもうちょっとかかりそうだった。
「――よし、俺が先攻だな。早速いくぜッ! フィールド魔法カード発動、『蟲惑の園』!」
テーブルの上に置かれたそのカードを見て、思わず目を大きく見開いた。
あるいは、身体中を電流のような刺激が一気に駆け巡ったとか、心臓を見えない矢で射抜かれたようだったとか言えばいいのだろうか。
その瞬間に感じたことをどんな言葉を使ったら言い表すことができるかは、やっぱりどれだけ考えても分からないのだけど、いずれにしても僕はいままで経験したことないような衝撃を受けていた。
「兄ちゃん、ちょっとタンマっ。えと、えっと……そのカード、見せてもらってもいい?」
心臓がバクバク鳴っている音がとても速く大きく聞こえるのを感じながら、僕は半ば前のめりになって尋ねる。
兄ちゃんは次のカードを繰り出そうとしていた手を止めると、そのまま僕のことを真正面から見つめ、間もなく何かに気付いたかのようにうんうんと頷き始めた。
「あぁ、そっか……今回新しく加わったカードだもんな。いいよ、じっくり見てくれ」
兄ちゃんがオーケーしてくれたので、僕は置かれているそのカード――「蟲惑の園」を手に取らせてもらって、じっと観察するように眺める。
薄暗くも仄かに明るい草原にひとり佇んでいるのは、セラの蟲惑魔。セラの蟲惑魔といえば、粘毛を手にぺたんと座り込んであどけない笑顔を浮かべている姿が印象的だけど、このカードに描かれている彼女は目を閉じていて寂しそうに見えた。
だからだろうか、僕は手にしたカードに描かれている彼女の姿を指でそっとなぞっていた。
「いいカードだよなぁ、『蟲惑の園』」
そんな言葉をかけられ、僕はハッと我に返る。
兄ちゃんがニヤニヤ笑っているのに遅れて気付いて、恥ずかしさが一気に込み上げてきたけど、むしろ兄ちゃんは気にするなと言わんばかりに手をひらひらと振っていた。
「このデュエルが終わってから渡そうと思ってたんだけど、いまの方がよさそうだな。ほら、俺からのプレゼント」
そう言いながら兄ちゃんが差し出したのは、シトリスの蟲惑魔とアティプスの蟲惑魔が表紙に描かれている箱。兄ちゃんが買った、蟲惑魔の森というタイトルを冠したストラクチャーデッキだった。
実はもうひとつ買っていたことに驚きながら顔を上げると、兄ちゃんが応えるように大きく頷く。
僕は手をおずおずと伸ばし――、そして初めての自分だけのデッキを手にした。
カードを自分の手で集めて完成させるというような思い描いていたそれとはちょっと違っていたけど、嬉しいことにはまったく変わりがなくて、許されるのならこのまま全力で飛び跳ねたいくらいだった。
「兄ちゃん、ありがとう! 僕、大切にするねっっ!!」
「――おうッ!!!」
そのとき両手で感じた初めて手にしたデッキの言葉では言い表すことのできない重みと、手をグッと握って親指を立てながら眩しい笑顔を浮かべる兄ちゃんのカッコいい姿を僕は決して忘れることはないだろう。
これが僕にとっての始まりの日。
兄ちゃんのように蟲惑魔デッキを愛用するデュエリストとしての第一歩を踏み出した日であり、面と向かって口にするのはさすがにちょっとだけ恥ずかしいんだけど、セラの蟲惑魔という女の子に一目惚れした日なのだった。
*
「わわっ。マスター、こっちのターンになったよ。大丈夫だよね? セラたち、勝てるよね?」
セラが僕の手元に置かれているタブレットを覗き込んで不安そうに尋ねる。
僕もできるのならその不安を払拭するような言葉をかけたかったんだけど、おそらく意識せず僕の顔に当たっているセラのほっぺたがあまりにもぷにぷにしていたので、意識の大半がそちらに向けられてしまって上手く答えられなかった。
ベッドの縁に僕と並んで座っている彼女、セラの蟲惑魔はデュエリストの間で密かに噂されている不可思議な存在で、カードの精霊なんて呼ばれているらしい。
僕と同じくらいの、小さな背丈。顔立ちはあどけなく、その目はくりくりとしている。薄くも鮮やかな色合いをした豊かな髪は後頭部でふたつに分けられ、それぞれまとめられている。また、華奢な身体は黄色が印象的な服に包まれていて、胸元や腰の辺りに花をモチーフにしたアクセサリーを身につけていた。
そんな姿はまさにカードの中から抜け出て来たようで、精霊と呼ばれるのも自然と納得できた。
「マスター……?」
気付けばしばらく見つめてしまっていたからだろうか、セラが首をこてんと傾げる。その顔にはきょとんとした表情が浮かんでいた。
彼女がまとわせている仄かに甘い香りもふんわりと漂ってくる。小さく開いた薄めの唇に視線が自然と吸い寄せられ、むずむずしたような気持ちになり――かけたけれど、僕は何とかぐっと堪えることができた。
「うぅん、何でもないよ。って、そろそろ操作しないと放置って判定されちゃうね」
手元のタブレット上で繰り広げられているデュエルもいよいよ大詰めだ。
とは言っても、僕のターンをすでに迎えているから、アティプスの効果で攻撃力が上がっているセラで直接攻撃すれば僕たちの勝利が決まる状況だ。でも、こういう状況だからこそ操作ミスに一番気を付けなくちゃいけない。操作ミスがきっかけで逆転負けしてしまうことだって決してあり得ない話じゃない。
僕は息を小さく吐いてから操作を再開し、セラで対戦相手に直接攻撃して、そのデュエルを無事に勝利で終えた。
「やったあ、マスターの勝利だね! すごいすごいっ、おめでとう!」
セラが嬉しそうに微笑みながらぱちぱちと拍手して労ってくれる。
先攻だったこともあって終始優勢ではあったと思うけど、手数の多さで覆されそうになった場面もあったから、勝つことができて本当に良かった。
「ありがとう、セラのおかげだよ」
実際その通りで、僕は言うなれば指揮官みたいなものだから、戦ってくれている蟲惑魔のみんなの方がずっとすごいと思う。
もちろん実在するカードやゲーム上に存在しているみんなと精霊として現在隣にいるセラが必ずしも同一の存在ではないことは分かっているんだけど、何と言うか……そういうのは理屈じゃないって思うんだ。だって、僕にとっては同じように大切な蟲惑魔のみんなだから。
そして、その中でもセラは蟲惑魔がデッキとして成立するうえで絶対に欠くことのできない中心的な存在だ。蟲惑魔デッキが回るのは彼女のおかげと言っても決して過言ではないし、僕がデュエルを続けられている原動力は間違いなくセラの蟲惑魔という存在があるからだ。
だから、僕の方こそセラにいつもありがとうって感謝の言葉を伝えたかった。
「そ、そっかぁ。そうなんだぁ。えへっ、えへへぇ♥ マスター、今日はずっと一緒にいようね♥」
セラが蕩けるような笑みを浮かべて身体をぴとっと密着させるように近づけてくれる。
僕が彼女からの誘いに頷いて答えて小さな手を握ろうとした、そのときだった。
「マスター!!!! ねぇねぇ、ボク大活躍だったでしょ! ホメてホメて♥」
明るく大きな声と共に突然現れた女の子に、セラに向かって伸ばそうとしていたのと反対側の手を握られ、その勢いのまま上下に思いっ切りぶんぶんと揺らされた。
頭から生えた角と色素が薄めなショートヘア、天真爛漫な笑顔が印象的な彼女はトリオンの蟲惑魔。
セラと同じように僕の元にやって来てくれた、カードの精霊のひとりだ。
「それを言ったら、私たちだって頑張ったわよね?」
「そうね。私達もマスターからのご褒美が欲しいわ♥」
突然激しく揺らされた勢いで倒れそうになった僕の身体を支えるように、背後からすぅっと伸びてきた四本の腕が首に回される。
左目がある辺りを豊かな髪で覆い隠している女の子が僕の背中に大きなおっぱいをむにゅぅぅ♥と潰すように押しつけ、深みを感じさせる色合いのロングヘアを幾つにも分けてまとめている小柄な女の子が僕の耳にふぅ♥と息を吹きかけて悪戯っぽく微笑む。
シトリスの蟲惑魔とアティプスの蟲惑魔、彼女たちもまた僕の元にやって来てくれたカードの精霊だった。
「~~~~っっっ!!」
僕が赤面しながら背筋を無駄にピンと正すと、アティプスがくすくすと楽しそうに笑い、シトリスがあらあらと呟いて微笑む。
ふたりがそんな反応をする理由も何となく分かるんだけど、身体が真っ先に反応しちゃうんだから、どうしようもない。
「アティプスもシトリスもそんなに密着しててズルい! マスターは一番頑張ったボクのなんだからなぁっ!!」
トリオンが僕の手をぐいっと引っ張り、薄めの身体を擦り寄せる。腕に彼女の小ぶりなおっぱいが当たって、むにゅ♥という柔らかな感触が伝わり、僕は身体を再び大きく震わせてしまった。
そんな僕の横顔を眺めながら、アティプスが息を小さく漏らす。唇を緩めて微笑を浮かべているその表情は大人の色気みたいなものを強く感じさせた。
「それはどうかしら。ねぇ、シトリス?」
「トリオンが頑張っていたというのはその通りだと思うけれど、マスターを独り占めしていいのかどうかはまた別の話よね」
僕が囲まれながら何とか落ち着きを取り戻そうと内心奮闘している間にも、トリオンとアティプスとシトリスは言い合うように言葉を交わしている。
三人のやりとりが本格的な熱を帯びる前に、それに加わっていないセラに助けを求めようとして、彼女がいつの間にか姿を消していたことに気が付いた。
(あれ……っ、セラがいない!? もしかして、僕の態度がセラに誤解をさせちゃって――)
とはいえ、目まぐるしく変わる状況に翻弄され、僕がセラに気を配る余裕を失っていたのは事実だ。
そのせいで気付くことができなかっただけで、セラもメッセージを発していたかもしれない。何にせよ、そんなつもりはなかった、なんて言い訳にしかならない。
「――だからぁ、セラもアティプスもシトリスも、ボクみたいな蟲惑魔がいなかったらフィールドに出ることができないんだよ! すなわち、マスターはボクこそ一番ホメるべきだと思うんだよねっ!!!」
「マスター、トリオンの言うことに乗せられちゃダメよ?」
「アティプスの言う通り、これは私たち各々のできることが違うというだけの話なのですから。まあ、マスターが私から順々にみんなを満たしてくれるくらいにご褒美をくださるのであれば、何も問題はないのですけれどね♥」
アティプスがシトリスの提案を聞いて驚いたように息を呑む。
その細やかな息遣いが耳の表面をくすぐるように撫でたのも束の間、続けて彼女は呆れたように溜め息を吐いた。
「……シトリスってば、さも名案かのように言っているけれど、その通りにしたとして私達の分を残すつもりなんて微塵もないのよ。だって、どれだけあっても、結局ひとりで全部いただいちゃうんだから。
マスター、だからご褒美は私に――」
立ち上がろうとした僕の腕をトリオンがぶんぶん振りながら声高に主張し、アティプスが惑わすように耳元で囁き、シトリスが背後から抱きついたままおっとりとした笑みを浮かべている。
トリオンたち三人に悪気がないことは百も承知なんだけど、このままじゃ姿を消したセラを探しに行くことはできそうにない。
彼女を探しに行くためには、みんなをまず宥めなくちゃいけなさそうだ。
*
薄暗くも仄かに明るい空の下、見渡す限り一面の草原が広がっている。
その所々に沼のような水たまりが見られ、水辺には草花が咲き誇っている。咲いている花はいずれも白っぽく、吹き抜ける風に揺れる草も先端に透明な粘液の玉を生じさせているそればかりだ。
広大な草原なのにほぼ一種類の草花だけしか見られないことには違和感を覚えそうになるけれど、この場所においてはむしろ当然であると言えるだろう。
だって、ここは蟲惑の園と呼ばれることもある、セラの蟲惑魔の縄張り。
不用意に足を踏み入れた者は二度と出ることの叶わない、蟲惑魔の森の一角にある湿地なのだから。
僕はトリオンたちを説き伏せたその足で蟲惑の園にやって来ていた。
本来であればこの園は訪れた人の動きを鈍くして足止めするようになっているのだけど、セラからマスターとして認められているおかげで、ありがたいことに僕に対してはそれが発動しない。しかし、少なくとも目に見える範囲内には人影らしい人影が一切見えなかったので、僕は彼女のことを走って探すほかなかった。
「もうマスターのバカ……」
ようやく見つけたセラはムスッとした表情を浮かべて、水辺にひとり立ち尽くしていた。
遠く映るその光景はまさに「蟲惑の園」のイラストを思い起こさせて、心臓が冷たい手でギュッと鷲掴みにされたかのような心地を覚えた。
(セラ、セラっ、セラ……ッッ!)
もしかしたら声をかけるのは頃合いを見計らったりするべきだったのかもしれないけれど、最早居ても立っても居られなかった。
確かに、僕はあのカードでセラが見せていた表情の普段とのギャップに心を奪われた。だけど、セラ本人にそんな表情をして欲しいわけじゃあ、決してないっ! むしろ、セラの笑顔をもっと見たいと思ったから、だから――ッ!!
「セラぁぁあぁっっっ!!!」
草原に響き渡る大声で名前を呼びながら駆け寄ると、セラは小さな身体を震わせて、ゆっくり振り向く。
その顔に嬉しそうな表情が浮かんだ……と思ったら、彼女は急に何かを思い出したかのように険しい表情を浮かべ、そしてそんな変化さえも隠すかのように顔をぷいっと背けてしまった。
「ふっ、ふんっ。マ、マスターってばこんなところまで何しに来たの? マスターは、セラのことなんて放って、トリオンたちにご褒美をあげるんでしょ? いっぱい、いっぱいあげちゃうんでしょ!?」
セラは唇を尖らせて怒っている感じを出そうとしているのがひしひしと伝わってくるのだけど、声色に嬉しさが表れているのが抑えきれていなくて、僕は思わずニヤニヤしてしまいそうになった。
(――――いや、違う。違うだろう、僕ッッ!!!!)
僕の態度がセラを不安にさせてしまったんだから、すべきなのはそんなことなんかじゃない。
何よりもまず先にしなきゃいけないのは謝ることだ。笑い合うのは許してもらった後にだっていくらでもできるんだから!
僕は頭を左右に軽く振り、そして謝罪の言葉と共にセラに向かって頭を勢いよく下げた。
「マスター!?」
「セラ、不安にさせちゃって本当にごめんっ。トリオンと続けて現れたシトリスとアティプスに驚かされちゃっただけで、セラからの誘いを無視するようなつもりなんてまったくなかったんだ。
だから、セラが許してくれるのなら、今日はこの後ずっと一緒にいてくれると……嬉しい、です」
反応を窺うために少しだけ顔を上げてみたら、セラは心の底から安堵したような微笑を浮かべていた。
淡く緩んだ薄めの唇と零れる吐息が間もなく花開く蕾を思わせるようで、好きな子のそんな可憐な表情を目にして、見惚れてしまわないはずがなかった。
「そっか。そう、だったんだぁ。でも、だとしたら……セラ、逆に心配になっちゃった。
だって、蟲惑魔はセラたち四人以外にもたっくさんいるんだよ? もしみんなもトリオンたちみたいに精霊として顕現することができるようになったら、マスターのことを、その……気に入っちゃうだろうし。
だから、マスターがそんなに押しに弱いままだと、間違いなく搾り尽くされて干からびちゃうんだからねっ!」
「みんなのことは大好きだけど、干からびるのは……困っちゃうなぁ。でもね、セラ――」
セラが言うような未来が容易く想像できてしまって、思わず苦笑いを浮かべてしまう。
これからが実際にどうなるかは少なくとも現在の僕には分からないけれど、たとえどんな未来が訪れるのだとしても、間違いなく断言できることがひとつだけあった。
だから、セラのことを真正面から見据えて、その想いをはっきりと口にする。
「たとえ姿を見せてくれる蟲惑魔がどれだけ増えたとしても、僕のパートナーはセラだけだ。それだけはあの日からずっと、そしてこの先も絶対に変わらないよ」
そう伝えた次の瞬間、セラと向き合っていたはずの僕は何故か眩く輝いてる空を見上げていた。
あまりにも突然の出来事すぎて、何が起こったのかと混乱していると、ひょいっとセラが落とし穴の中を覗き込むかのように眼下から姿を現した。
それによって、僕は彼女に押し倒されたのだとようやく理解できた。
「マスター、ごめんね。我慢した方がいいのかもって思ったんだけど、嬉しくなっちゃうことをたっくさん言ってくれたから。我慢、できなくなっちゃった♥
だから……ねっ、セラと気持ちいいことしよっ♥」
顔を真っ赤に染めたセラが息を荒く零しながら舌なめずりしている。
僕も身体が熱くなるのを感じつつ、首を大きく上下にぶんぶん振って答えた。
*
「マスター……んぅ、ちゅっ♥ ちゅるっ、ちゅぅ……ちゅぷぅ♥ んちゅっ、ちぅ……ちゅう♥」
セラが僕に覆い被さりながら顔を寄せてきてくれて、お互いの唇同士が重なり合う。
ほんのちょっとだけ触れ合うようなキスなのに、そこから生じたびりびりが身体中にじんわりと広がっていって、とっても気持ちがいい。
草原に寝そべっているはずなのに、まるで背中に羽が生えてそのまま空に浮き上がったみたいな心地だ。
そんな気持ちよさに頭の中が染め上げられて、キスすることしか考えられなくなる。
「あぁむ、ちゅるぅ……ちゅっ、んんっ?!♥ んふぅ、れぇろ……ちゅるっ♥ れろれろぉ、れぇ……ちゅる、ちゅぅっ♥」
誘われるようにセラの口内に舌を差し入れれば、彼女は一瞬だけ驚いたように目を丸くしたけれど、すぐに蕩けた微笑を浮かべて舌を絡ませてくれた。その口の端っこから混ざり合った透明な滴がゆっくりと流れ、僕の顔に向かってぽたぽたと垂れ落ちる。
セラはキスを続けながら小さな身体を擦りつけるようにふりふりと揺らしていて、片方の手が指同士を絡め合うように僕の手をぎゅっと握っている。応えるように握り返せば、彼女は真っ赤に染まった頬がちょっとだけ緩めて、更にぎゅっぎゅっと握ってくれた。
「ぷはぁ……はぁ、はぁ♥ マスター、おちんちんをもうこんなにおっきくしてくれたの?♥ 嬉しいっ♥」
唇を離したセラは色っぽく息を吐きながら空いている手を伸ばして、僕の股間をさすさすと撫でる。
意識しないように頑張っていたけれど、むずむずしたような気持ちはとっくのとうに熱に変わって集まっていて、僕のおちんちんを大きく膨れさせていた。
セラの細く綺麗な指で撫でてもらえたのを喜ぶように、脈打ちながらヒクヒクと跳ねているのが伝わってくる。
「セラがたっくさん気持ちよくしてあげるからね♥ マスターはそのまま寝てて大丈夫。あっ……でも、ズボンとかは脱がせちゃうから腰をちょっとの間だけ浮かせてて」
セラは名残惜しそうに握っていた手を離すと、するすると移動して僕の足の間に移り、ズボンに手を伸ばす。
腰を浮かせれば、穿いているズボンがパンツと一緒に勢いよく下ろされ、勃起しているおちんちんが露わになった。
おちんちんは大きく膨らんで反るように伸びているけれど、やっぱり先っぽまで皮をしっかり被ったままだった。その見た目は、正直に言って、小ぶりのバナナみたいだ。
もっと大人になったら自然と剥けるようになるらしいって調べたら分かったので、あんまり気にしないようにしているけれど、こんな姿のおちんちんを見られるのは何度経験しても慣れない。どうしても恥ずかしさが勝っちゃって、いまも顔が全体的に真っ赤に染まっているだろうことが容易に想像できた。
「マスターのおちんちん、セラがもっともぉっとカッコよくなるようにしてあげるね♥ くちゅ……、んちゅっ♥ ちゅくぅ……んれぇー♥」
セラは愛おしそうに微笑みながら囁きかけ、口の中で唾液を溜め始める。
それが終わると、可愛らしい舌を伸ばすように覗かせて、つっぅ♥と伝わせる形で唾液をおちんちんに向かって垂らしていく。
舌先とおちんちんの間に銀色の橋が薄っすらとかかっているのが淡い光に照らされて見えた。
ほんの少しだけ緩むように広がった皮の先っぽの内側に唾液が溜まり、セラは伸ばしている舌の先端をおちんちんの表面にちょんっと触れさせる。
くちゅ♥という水音と一緒に、痺れるような刺激が頭の方に向かって駆け抜け、僕は思わず情けない声を上げながら身体を震わせる。その間にも、セラは僕を上目遣いに見上げながら、溜まった唾液を皮と亀頭の間に塗り込むように舌をゆっくり動かしていく。
「ん、ふぅ……れぇ、れろっ♥ れろれろ、れろぉ……ちゅる、れるんっ♥」
時折漏れ出ている鼻息と見上げるように向けられているくりくりとした目、そして小さな舌がもぞもぞぉ♥と動く様が薄い皮越しにしっかり見えているのがとってもえっちだ。
その一方で、おちんちんを覆っている皮は根元の方からセラの手でゆっくり引っ張られていて、鮮やかな色をしている亀頭がじわじわと姿を見せつつあった。
そんな光景を見ている内に、口からは荒い息が自然と零れ出ていて、僕は堪えるために下腹部の辺りに力をグッと込める。
チロチロと馴染ませるように舐められながら皮をちょっとずつ剥いてもらうのが、こんなにも気持ちいいだなんて。少しでも気を抜けば、じんわり込み上げているむずむずに一気に飲み込まれて、ぴゅっぴゅって射精してしまいそうだった。
洗って清潔にするためにお風呂場で自分自身の手で剥くこともあるんだけど、何もかもがあまりにも違いすぎていて、作業のように済ましているそれはただただ刺激が強いだけなんだってあらためて思い知らされる。
こんなに気持ちいいやり方を知ってしまって、ひとりで洗って綺麗にすることに対して、虚しさを感じるようになってないかがちょっとだけ不安だ。
ずるぅ♥と皮が剥かれ終え、亀頭がついにさらけ出される。それは丁寧に舐めてもらっていたおかげですでに唾液に濡れ、薄い日の光に照らされてテカテカと輝いていた。
その一方で、セラにおちんちんの皮を剥いてもらえて僕は解放感を覚えていたけれど、チクチクしたような微細な刺激も同時に感じられて、身体をぶるりと震わせずにはいられなかった。
「わあ。マスターのおちんちん、更にカッコよくなったね!♥ あっ、先っぽからえっちなお汁が出てる。セラが舐めて綺麗してあげるねぇ♥
ん、ちゅ……ちゅう、ずずぅ♥ れろれろぉ、れぇ……ちゅぷぅ♥ んちゅっ、ちゅぅ……れろれろ、ちゅっ♥」
亀頭が露わになったのも束の間、セラはその表面に躊躇うことなくキスを落として、先っぽから溢れ出ている先走り汁を美味しそうに舐め取る。彼女はそのままそれを塗り広げるように舌を這わせ、ぷっくり膨れているカリをなぞるように舐め上げ、舌先で裏筋にちょんと触れて撫でた。
頭のてっぺんから足の先っぽまで燃えるみたいに熱くなって、それで溜まった熱が次から次へと下腹部の辺りに集まって膨れあがっていく。あまりの熱さに少し息苦しささえ感じられて、呼吸を浅く断続的に繰り返しながら、口が空気を求めるようにぱくぱく動いているのが分かった。
頭の芯も痺れるように締め付けられていて、靄が薄くかかっているみたいだ。セラに気持ちよくしてもらっているこの瞬間を一秒でも長く堪能していたいと思っているはずなのに、相反している射精したいという衝動が猛烈に沸き上がってそれを塗り替えていっている。
「わっ。おちんちん、すっごくおっきくなってビクビクって震えてる。マスター、そろそろぴゅっぴゅしそう?♥」
セラは驚いたように声を上げて顔を一度離すと、両手でおちんちんを包み込むようにそっと握ってくれる。
彼女の手の中で一回り膨れたおちんちんがビクンビクンと跳ねているのを見ながら、僕は首を何度も勢いよく縦に振って、ねだるように必死に頷く。
彼女がもう少しシコシコしてくれたり、優しく握ったまま息を吹きかけたりしてくれるだけで、堪えるのは限界に達して暴発してしまうだろう。その気持ちよさを想像するだけで身体が軽く震えてしまう。
裏を返せば、ほんのちょっとが足りていない、ひどく焦らされているような心地だった。その意味では、これ以上ないくらいに絶妙な加減とも言えるのかもしれないけれど、少なくとも現在の僕にとっては衝動ともどかしさが勝ってしまっていた。
そんな僕の胸中とは裏腹に、セラはおちんちんを添えるように包み込んでいた手を離して起き上がる。
握ってくれていた小さな手の感触さえ遠のいてしまったことがあまりにもショックすぎて、思わず縋るように彼女の名前を呼んでいた。
「えっと、マスター……違うの。別にこれで終わりっていうわけじゃなくて――」
セラが首を左右にぷるぷると振りながら慌てたように口を開く。
そんな彼女らしからぬ動揺っぷりを目の当たりにしてようやく、どうやら僕自身が余程残念そうな表情を浮かべているらしいことを理解できた。
残っている理性を総動員して何とか頷いて答えると、セラは安堵した表情を浮かべて、そのまま背中から草原に向かって倒れ込んだ。
仰向けに寝そべった小柄な身体をほどけた光の粒子が包み込む。
彼女はカードの精霊であるが故に衣服を着替える必要がないのだという。脱ぎ着をしなくていいのは便利そうで、実はちょっと羨ましいと思っている能力だったりする。
裸になったセラは僕に見せつけるように細い両脚を大きく開くと、ぴっちり閉じられているおまんこを指でくぱぁ♥と広げた。
「――マスターのおちんちんがぴゅっぴゅしちゃいそうなら、このままセラと一緒に気持ちよくなろ?♥」
セラのおまんこから愛液が涎のように溢れ出て、むわぁ♥と色気を帯びた濃厚な匂いが漂って広がる。
ごくり、と生唾を飲み込んだ音が耳に大きく響いた。
僕はこの瞬間まで堪えることができた自分自身を内心で労うのと同時に、そんな我慢を躊躇いなく放り捨てて、セラに覆い被さった。
*
「んんぅっ、マスター……んぅ、っあ♥ ァっ、スゴい♥ ぱんぱんに膨らんだおちんちん、セラの中でビクビクって震えてぇ♥ っうん、あっ……ぁんっ!♥ っあ、あッ……待って、マスター待って♥ 最初からそんなに激しくされたらぁ、イっちゃぅ♥ セラ、すぐイっちゃうからぁ♥」
愛液がすでに沢山溢れていたからなのか、ぬぷぷぅ♥と音を立てながら、おちんちんは滑るようにセラの中に受け入れられた。
その直後、セラのおまんこが歓喜したようにおちんちんを締め付け、ひだひだが吸い付くように絡みつく。
挿入しているおちんちんはそれこそ棒みたいに硬く膨らんでいるはずなのに、まるでドロドロに溶けてしまったみたいに気持ちいい。
このままその気持ちよさにすべてを委ねて射精したいけれど、いま一度グッと堪えて、腰を振り始める。身体の奥底から込み上げてくる熱が全身を沸騰したかのように熱くし、僕はその衝動が求めるままに、セラのおっぱいに顔を寄せた。
「まっ、マスター……いまそんなに情熱的に見られたらぁ、っっ……んぅ♥ セラ、それだけでむずむずしちゃってぇ……っあん!♥♥」
セラの身体はならだかな曲線を描いていて、おっぱいも慎ましやかな方だと言えるだろう。胸の辺りが微かに上下するのに合わせるように、膨らみがぷるぷるぅ♥と揺れている。
その乳輪は透き通るような綺麗な色合いを帯びていて、中央に見えている乳首は可愛らしくぷっくり膨らんでいる。そんな光景は儚さを時折漂わせるセラ自身を思わせて、僕は堪らずしゃぶりつくように彼女のおっぱいを口に含んだ。
微かな膨らみ全体を引っ張るように吸い上げながら、乳輪をなぞるように舌を這わせ、硬さを帯びた乳首を吸い舐める。
「あぁっ、んぅ……やっ♥ 出ちゃうっ。マスターのちゅうちゅうが気持ちよすぎてぇ、先っぽから出ちゃうぅっっ♥♥」
煮え立った頭がセラの口した言葉に疑問を抱いたそのとき、飲み込んでいた唾液に微かな甘さが混ざったような気がして、僕は思わず顔をバッと上げた。
がむしゃらに打ちつけていた腰も振るのを止めて、寝そべっているセラを見下ろす。
彼女は悪戯を成功させたかのように無邪気な笑みを浮かべていた。
あどけない顔は上気して蕩けていて、大きな目の端には透明な滴が薄っすらと溜まっている。漂う色気が匂い立つかのようで、僕の身体は強張っているのに更に熱くならずにはいられなかった。
「えへへぇ♥ マスターに喜んで欲しくて、母乳……でいいのかな? とりあえず、そういうのがセラのおっぱいからも出るようにしてみたんだあ♥ マスター、どう? お口に合った?」
微かに首を傾けて尋ねるセラのことを見ながら、僕は「母乳が出るようにした」という彼女の言い回しに妙な違和感を覚えていた。
その正体を突き止めるのにさすがにちょっと考え込まずにはいられなかったのだけど、セラが蟲惑魔であるという原点に立ち返ったとき、ついに理解することができたような気がした。
蟲惑魔と一般的に呼ばれている彼女たちは、実は疑似餌にすぎず、本体と見なされる個体が別に存在しているというのはすでに知られていることだ。すなわち、蟲惑魔の女の子たちは本体が捕食対象である人間を誘き出すための餌であり、言うなれば「少女のようなモノ」なのである。
この先はあくまで僕の想像でしかないのだけど、蟲惑魔のそういう生態を踏まえると、彼女たちは標的の人間たちが魅力を感じる「少女のようなモノ」である必要があると言えないだろうか。何故なら、そうでなければ人間たちが誘き出されないからだ。
蟲惑魔のみんなの多様なあり方にもそれが表れているのではと思うのだけれど、その一方で、個々の個体においてもそれを深化させる能力――「少女のようなモノ」である彼女たちをより魅力的に見せるために作り替えるような能力――がないとは考えにくい。それが必要そうだって思えるくらいに人間の感じ方は千差万別だし、蟲惑魔たちはそんな人間を捕らえられないと飢えてしまうのだから、個々の蟲惑魔にも多様な人間の感性に適応する何らかの方法があるんじゃないだろうか。
もちろんこれらが想像というか妄想でしかないのは重々承知しているけれど、蟲惑魔にそれに近しいような生態があると考えると、違和感を覚えたセラの言い回しにも納得ができる。
つまり、セラはおっぱいから母乳が出るように自分自身の身体を作り替えたのではないだろうか。
誰でもない、僕のために。
僕だけの、ために。
(あぁ……っ、セラ! セラっ! セラぁッッ!!!)
そんな結論に至って、僕の興奮は最高潮に達した。いや、爆発したと言えばいいのだろうか。
ぞくぞくぞくと身体が経験したことのない歓喜に打ち震え、頭も興奮で燃えて沸騰してしまったかのように熱い。
もしかしたらセラにとってはお母さんが毎朝しているお化粧をするような感覚なのかもしれないけれど、人間の男子でしかない僕にとっては、あまりにも衝撃的だった。
僕と同じくらいの、小柄な女の子であるセラがおっぱいから母乳を出してくれているということもえっちすぎて、興奮に更なる拍車がかかる。
(……だけど、これを母乳と言っていいんだろうか?)
興奮している度合いが限界をついに突破してしまったのだろうか、関係のなさそうな疑問が唐突に脳裏を過ぎった。
でも、先ほど感じた甘さもミルクというよりかは蜂蜜のようなそれに近いような気がする。
そのことを踏まえれば、確かに母乳よりは蜜と表現した方が正確なのかもしれない。だけど、そんなのは些細な違いでしかない。
女の子のおっぱいから出ていて飲むことができるのだから、これは母乳なのだ。
僕の、僕だけのためのセラの母乳。
それを意識するだけで、身体の奥底から無限の活力が湧いてくるようだった。
溢れ出る母乳を堪能するようにセラのおっぱいを吸いながら、止まっていたピストンを再開する。母乳を吸えば吸うほどに口の中にじんわりとした甘さが広がって、身体の内側からセラで満たされていくかのようだった。
口の端っこから漏れた熱っぽい吐息がセラのそれと混ざり合い、身体同士のぶつかり合う音と水音が澄み渡った空の草原に響く。
(あぁ……あっ。もっと、もっとセラのことを気遣わなきゃいけないのに……っ! ダメだ……っ、だめっ。身体が全然言うことを聞いてくれないぃっっ!!)
焦りにも似た思いとは裏腹に、興奮しきった身体は最早僕の制御を受け付けてくれなくて、突き抜けるまで止まれない暴走機関車みたいな状態になっていた。
快楽の階段を駆け上がるかのように腰を振る速度がどんどん速くなっていく。
「あぁっ……んっ、ぁん♥ マスターのおちんちん、更におっきくぅ♥♥ それに、ちゅぱちゅぱちゅうちゅうもすっごく上手すぎてぇ♥ セラっ、セラ……もう無理ぃ♥ イく、イっちゃうからぁ♥♥ ねっ、ねぇ……マスターも一緒にっ♥ 一緒に気持ちよくなろぉ?♥♥」
セラが両脚を僕の腰に巻きつかせて身体をグッと引き寄せ、おっぱいを吸っている頭を押し付けるように抱きかかえる。
打ち震えるような嬉しさが最後の一押しと言わんばかりに僕を満たす。
ちゅぅ♥とおちんちんに吸い付いたセラのお口を貫き、その奥まで届かせるように、腰の全部を彼女の身体に思い切り押し付けた。
「あぁん、あっ、っァ……マスター、ますたー♥ 好き、すき……大好きぃ♥♥ あぁァ、んんぅ、アっ……ンんっ、あッ、アぁあっ、あああ゙あぁア゙あ―――っっっ!!!♥♥♥」
びゅるっ、びゅびゅっ、びゅうううぅぅっっっ!!!♥♥♥ びゅくびゅっ、びゅっびゅっ、びゅぶううううううっっっっ!!!♥♥♥
瞼の裏が白く明滅し、膨らみに膨らんだ熱が激しい勢いで根こそぎ吐き出されていく。
僕は押し潰すようにセラの小さな身体に抱きつきながら、沸き上がる快楽の波が過ぎ去るまでただただ身体を震わせ続けていた。
「はぁ、はぁ……♥ マスター、お疲れ様♥ とっても気持ちよかったぁ♥」
しばらく経って、セラが両脚を僕の腰に絡めたまま、労うように頭をよしよしと撫で、背中をさすさすと擦ってくれる。ひだひだもおちんちんを撫でてくれたんだけど、射精したばかりで敏感だったからか、おちんちんはその拍子にセラの身体の中で跳ねて更にぴゅっ♥と射精してしまった。
セラは驚いたようにくりくりとした目を丸くしたけれど、愛おしそうに微笑んで、そのまま僕のことをしばらく撫で続けてくれた。
*
押し寄せた熱の波もようやく過ぎ去り、僕はセラをそっと抱いて横になっていた。
あらためて思うけど、蟲惑の園というあまりにも開けた草原で、裸で寝そべっているのはひどく解放的な心地がする。
誰かに迷惑をかけているというわけでもなく、向けられる視線を気にする必要もないのに、何故だか悪いことをしているような。
癖にならないように気を付けなきゃと思いながら、セラとじゃれ合いながらお互いにキスし合っていると、漂う穏やかな空気を突き破るように元気溢れる声が響いた。
「マスター、ちゃんと言われた通りに大人しくしてたんだから、次はボクの番だよね!」
ぱたぱたと駆けるトリオンを横目に眺めながら、一緒に現れたアティプスが溜め息を吐いた。
「トリオン、アピールするのは自由だけど、それを決めるのはマスター自身よ」
「ええ、そうね。ですけど、マスター。私はマスターがいいのでしたら、いつでも。むしろ、いますぐでも全然――って、あら?」
シトリスは僕を見て驚いたような声を上げ、続けてセラの胸元の辺りを見遣った。
呆れ顔を浮かべていたアティプスと元気いっぱいだったトリオンもシトリスの後を追うように視線を動かし、何かに気付いたようだった。
僕も続くように自分の口元を軽く触ったら、指先には白っぽい液体が付着していた。
どうやらセラが飲ませてくれた母乳の一部が口の端から垂れて、その跡が残ってしまっていたようだ。
「マスターったら、そういうことがお望みなら言ってくださればよかったのに」
「上手くはできるでしょうけど……、セラたちのようにすぐ適応できるかしら」
「これくらい、ボクにはお茶の子さいさいだかんな!! マスター、見てて! それで上手にできたら、いっぱいいっぱいご褒美ちょうだいっ!!」
シトリスたち三人が僕を囲うように座ると、それぞれの身体がほどけた光の粒子に包まれ、何も着ていない姿に変わる。彼女たちはそのまま各々のおっぱいを掬うように持ち上げ、僕の顔の方に近づけた。
すると、シトリスのおっきくてふわふわしているおっぱいの先っぽから、アティプスの小ぶりで均整の取れた美しい形をしたおっぱいの先っぽから、トリオンの健康的な色つやを誇るおっぱいの先っぽから――それぞれ乳白色っぽい液体がじんわりと染み出てきたのだ。
「ぇ、え……っ!」
思わず驚いてしまったけれど、セラの蟲惑魔にできることが同じ蟲惑魔である三人にできないはずがない。
つまり、シトリスたちも母乳のような蜜がおっぱいから出るように自分自身の身体を作り替えたのだ。
蕩けるような甘い匂いが風に乗って混ざり合いながら漂い、その美味しさをすでに知ってしまった身体が自然と熱を帯び始める。
さっきまで縮こまっていたはずのおちんちんはすでに大きく反るように勃起し、暴れるようにビクンビクンと跳ね回っていた。先っぽの亀頭なんて見たことないくらいに膨らんでいて、まるで大人のそれみたいだ。
「……セラっ!」
セラの方を振り向けば、寝そべったままの彼女は口元を軽く緩めて微笑んでいた。
僕が吸った跡がくっきりと残っているおっぱいの先っぽからは、シトリスたちと同じように母乳が滴っていて――。
「「「「さあ、マスター。お好きな母乳をどうぞ♥♥♥♥」」」」
ああ、こういう光景をきっと百花繚乱なんて言うのだろう。
それは蟲惑の園と呼ばれるこの草原にはあまりにもふさわしい。
僕はあらためて生唾を飲み込み、大好きな女の子たち四人を並べるように押し倒した。