※この作品はR-18です。

美容スキルでクラスの女の子を可愛くしたい【4/1第1巻発売】   作:pelca

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第92話 親友リリー

「やっほー!!」

「リリー。突然ごめんね、神奈川から」

「いーのいーの! ミサキのこと大好きだからっ!」

 

 翌日、日曜日。

 美咲は親友の深澤・リリー・春奈を、彼女の住む神奈川から東京まで呼び出していた。

 もっとも、朝からの部活を終えてからだったので、待ち合わせは午後三時になっている。

 

 リリーは天真爛漫という言葉をそのまま体現したような少女だ。

 陽光を思わせる白に近いプラチナブロンドの髪には、上品なカチューシャ。

 整った目鼻立ちはイギリス人の血を引く証で、そのお嬢様然とした雰囲気と、眩しいほどの明るさは、そこにいるだけで周囲をぱっと明るくさせる。

 

「リリーは今日も可愛いね」

「でっしょー! リリーちゃんは今日もキラキラだよー!」

「だね。じゃあ、行くよ」

「はーいっ!」

 

 ミニスカートをひらりとはためかせたリリーは美咲のあとについていき、繁華街のカフェに入った。

 

 

「それでー? 今日はどったのー?」

「リリーは世間話って言葉知らないよね」

「いいじゃーん! なんの話するか知らされてないんだから、気になるじゃんっ!」

 

 美咲は話したいことがあるから会えないか、とだけ連絡していた。

 なので、今日何の話をするのか知らないのだった。

 

「まあ、いいけど……リリー、あんた腰はどうなの? 高体連は問題なく出られるの?」

「え、こんな明るいカフェで私の腰の話!? 暗《くら》ーい!」

「いいから話しなさいよね……!」

 

 こうしてよくおどけたりもするため、美咲はやれやれという態度で接することが多い。

 しかし、真剣な美咲の態度に、結局はリリーが折れるという形だ。

 

「うーん。どうだろ。良くはない……けど、高体連はちゃんと出られるよ! 関東……それに全国まで持つかどうかはわからないけどね!」

「ほんとリリーって、そういうところあるよね。その腰のお陰で最後まで試合が出られないかもしれないのに。しかも全国行く気満々だし」

「色々言ったってしょうがないじゃん? 私、全国選手だし、今回も出るよ!」

「ふーん。今回は私に負けるかもしれないのに」

 

 美咲もリリーも関東大会常連。ただ、美咲は関東大会が最高成績で、リリーは美咲に勝ってその後の全国大会に出たことが何度かあった。

 ライバルとはいえ、実績に差はあった。

 

「ミサキが私に勝てるかなー? 勝ったことないのに」

「ヘルニアが悪化したら勝てるかもしれないよ」

「もー、ミサキのイジワルー!!」

 

 美咲の煽りにぷんぷんするリリーだが、本気で怒ったわけではない。

 こういった会話は日常茶飯事なのだから。

 

「…………本当は、ヘルニア辛いんじゃないの?」

 

 美咲は話を戻して、本気で心配するように聞いた。

 

「それはね……癖みたいなものだし……酷い時はホントに酷いよ」

「だろうね……」

 

 聞かなくてもわかっている。

 なぜなら、ヘルニアで大会を休んだ時、「テニスしたい」なんてメッセージが送られてきたことがあったから。

 

「私からは詳しいことは言えない……言えないことになってる…………でも、今からならギリギリ大会に間に合う」

「ん、どゆこと?」

「ヘルニア、治したいんだよね?」

「治したいは治したいけど、再発しちゃうから半分諦めてるなー」

 

 リリーの言葉に美咲は椅子から立ち上がった。

 そして――

 

「私も万全なリリーと戦って高校最後のテニスを終わらせたい……だから――このあと私の家まで着いてきて」

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

「――昨日の今日でごめんね、高梨」

 

 二人は美咲の家に向かい、そしてそのすぐ後に弘世が家に訪れていた。

 そして弘世を見たリリーはというと……

 

「ええええええ!? ちょっとミサキぃ!? これどういうこと!? ボーイフレンドできたの!?」

 

 大はしゃぎしていた。

 そして美咲の彼氏だと勝手に思い込んでいた。

 

「あー、高梨。こういう子だから、慣れてね」

「うん、わかった……高梨弘世です。リリーさん、だよね?」

「リリーだよ! ……リリーだけど!」

 

 興奮しすぎてリリーは今の状況が呑み込めていなかった。

 

「ミサキが……あのミサキが……! ああ、今年最大のハッピーニュースだわ!」

「……早瀬さん……そろそろ」

「そうね……」

 

 二人は恋人関係だと勘違いしたままリリーは話を進めていた。

 しかし実際はそうではない。

 

「リリー、聞いて。私と高梨は――」

「もうセックスはしたの!?」

「なぁっ!?」

 

 リリーはオープンな性格だった。

 美咲の前ではよく男の話をするが、いつもスルーして聞いていた。

 

 そして、聞かれた美咲は、顔を真っ赤にしたのだった。

 

「バっ、バカ! 私たちはそういう関係じゃ……っ」

「だってもう家に招いてるくらいだし、良いトコロまでイッちゃってるんじゃないかって!」

 

(確かにそれに近いことはしちゃってるけど……だからといってセックスなんて……)

 

『そのまま襲われちゃうことが多いから』

 

 そんな時、昨日の弘世の言葉が美咲の頭に浮かび上がった。

 

(いや……私は、高梨と……ああ、もう……リリーが変なこと言うから……昨日一人でした時のことまで……)

 

「――リリーさん。俺と早瀬さんは恋人じゃないよ」

「そうだよ。高梨には立派な彼女さんがいるんだから……」

「うーーーーーーん? ………………じゃあ浮気じゃん」

「……だから、そういうことを話そうと呼んだんじゃないの!」

 

 しばらくその後もリリーの誤解を解くまで時間がかかったが、やっとのことでクラスメイトだと理解してもらい、本題に入ることに。

 

「リリー……ここにいる高梨が、あなたのヘルニア……治せるかもしれないの」

「お医者さんでも完治させられなかったのに?」

「うん……。実績もあるみたい……それと、昨日は体の疲労も完全にとってもらって、それが本当だって実感したの」

「ぬぬぬ……」

 

 リリーは疑っていた。

 それは当たり前のことだった。

 

 本来であれば、美咲がホクロを完全に除去し、その前後の写真を見せたりでもすれば、信じたかもしれない。

 しかし美咲は来たる大会に向けて、同時期にリリーのヘルニアも治したかったのだ。だからそれはできなかった。

 

「早瀬さん。気を遣ってもらってごめんね。でも大丈夫だよ。俺から言うね」

「高梨……」

「早瀬さんの大事な友達だと信じて言うね。俺は『美容』ってギフトを持ってるんだ――」

 

 弘世はリリーに向けて、全てではないが持っているスキルとその効果と施術方法、反動を伝えた。

 リリーはその間、真面目に話を聞いていて、そして最終的に一つの考えが頭をよぎった。

 

「――やっぱりえっちなことしてるじゃん!!」

 

 その通りだった。

 ただ、セックスはしていないだけで……。

 

 

「リリーさん。俺は早瀬さんが治してあげたいというから今日は来た。……でも、一番大事なのはリリーさんの気持ち。直接肌に触れなければいけないし、反動のことだってある。簡単に決められることじゃないはず」

「へえ……男を避けてきたミサキが惚れた男のわけだ……」

「ちょっ、惚れてない!」

「はいはい。そういうのはいいからー。……で、もしヘルニアが治ったら、私は自由にテニスができるってこと?」

 

 少し茶化しが入ったが、リリーはヘルニアについて聞き返した。

 彼女が中学に入ってから長く悩まされてきたことだから。

 

「うん。できると思う」

「…………嘘じゃ、ないよね?」

「自信を持って言える」

 

 リリーは少しだけ考えた。

 自分の腰に触れながら、もし治った時のことを考えたのだ。

 そうして出した答えは――

 

「ミサキの施術、見てから決めたい。今から見せて」

「…………うそ」

 

 あの恥ずかしい施術を親友であるリリーに見られると考え、美咲は再び顔を赤くしたのだった。

 

 

 

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