美容スキルでクラスの女の子を可愛くしたい【4/1第1巻発売】 作:pelca
自分に『鑑定』のギフトが授かったとわかったのは小学生の時だった。
『鑑定』はギフトを授かった瞬間に何のギフトが授かったのかが自然とわかるもののようで、そういう事例もあるのだと子供ながらに理解した。
そして、この『鑑定』を授かった瞬間、私の将来の収入は約束されたようなものだった。
『鑑定』は日本国内でも度々見られるギフトではあるが、多いとは言えない。
冒険者ギルド協会に関わる仕事につけば、安定的に高収入をもらうことができ、それが約束されているから、ほとんどの『鑑定』持ちは冒険者ギルドに就職する。
かくいう私もその一人になった。
そんな私は小さい頃から勉強や仕事に対しては真面目だった。
いや生真面目と言った方が良いだろうか。
そんなこともありながらも、女子というのは恋バナが大好きな生き物。
小さな頃から人より胸が大きかった私は、それなりに目立っていた。
胸以外の容姿のこともあったけど、やっぱり胸の大きさは特に目を惹くらしい。
だからなのか、年齢を重ねていくと男子から告白することも増えていった。
その中で付き合った男子もいたのだが、結局は最後まで至らなかった。その理由はなかなか私の性格を見てくれる人がいなかったからだ。つまり体目的ということになる。
それがあってから私はこじらせた女のような生き方になっていった。
女子の友人もそれなりに多いし、一人の女として美容についても興味を持ち出した。
綺麗でいたいという気持ちは、誰のためだったか。
男のためだったというのは絶対にないだろう。
ただ、自分の趣味の一つのようなもの。
綺麗でいれば女子の友人とも色々と会話のネタにもなるし、綺麗と言われることが嬉しかったから。
大学卒業後に就職した冒険者ギルドの仕事は、それなりにやりがいがあった。
基本的には『鑑定』専用の受付フロントにやってきた一般人や冒険者の『鑑定』をしてその人が持つギフトの説明をすることが仕事。
その人に合わせてアドバイスしたり、聞かれた質問に対して答えたり、必要事項をPCにまとめたりもしていた。
私の性格上、真面目に見られていたらしいが、特に男性は私目当てでやってくることも多々あり、ため息をつきたいと思いながらも対応したことだてあった。
その中で、今思えばおかしいと思うことをしていたのが、勝手に自分のタブレットに冒険者のギフト情報をまとめていたことだ。
いつか何かの役に立てばと、自分の仕事に役に立てばとそう思い、まとめていった。冒険者ギルドとしては、禁止されていることではなかったとはいえ、私は危機管理が甘かったと今では思う。
そんなことをしながらも私にとっての転機となりえる人物との出会いがやってきた。
『——高梨弘世さん、あなたのギフトは『美容』です』
受付に来た時のワクワクした顔。
冒険者になりたいのだと、すぐにわかった。しかし、私がギフト名を伝えた瞬間、冒険者になれるギフトではないと理解したのか、彼の顔色は一変した。
でも、私はそのギフトに希望を持っていた。
今まで仕事をしてきて聞いたことがない『美容』というギフト。
お金をかければ美容医療だって受けられるが、それは一般人にとっては馬鹿にならない金額だし、必ず綺麗になると保障されたものではない。
でも、ギフトの効果は絶対。
彼が最初持っていたスキルは『肌質改善』と『脂肪燃焼』。これだけでも、とんでもない能力を持つスキルだった。
やってほしい。彼に能力を使って欲しい。
そう思い、落ち込む彼に少しでも前向きになってもらい、いつか自分に使ってもらう日がくれば良いと思い、言葉を告げた。
『——女子は『美容』が大好きですから。恐らく私たち女子にとっては最強バフ効果のSランクギフトですよ』
色々な人間を『鑑定』で見てきた。
彼は悪い人に騙されなければ、このギフトをうまく使える。そう感じた。
そんな彼と再会したのは半年後。
<天地ギルド>に所属する三人の美少女Aランク冒険者。その一人である宍戸亜澄さんが魔物にやられたと聞き、『鑑定』のために駆けつけた時だった。
私は焦ると周りが見えなくなる欠点を持っていたのか、守秘義務のことも忘れ、いつの間にか彼のことを話してしまい、法坂さん経由で呼び出してもらった。
現れた彼の周りには三人の美少女がいた。
どの子も可愛くて綺麗で、恐らくギフトを使ったのだと思った。
その一人がまさか氷堂霧乃さんだとはおもわなかったけど。
そうして彼が中心となり、『火傷の呪い』を受けていた宍戸さんはその後回復。
彼は彼女の命の危機を救った英雄となったのだ。
やっぱり凄い。
改めて直接見たことで、彼のギフトの凄さを思い知った。
ただ、それからしばらく私は謹慎処分となり、家で一人で過ごす生活が続いた。
「最近良い男いないのー?」
「いないよ。探してるわけでもないけどね」
大学からの仲の良い友人四人で集まった時の会話だ。
彼氏欲しいが口癖の彼女たちは、ある程度容姿は良いはずなのに、選り好みしすぎているのか、ちゃんとした彼氏ができていない。
私とどこか似ているからだろうか。類は友を呼ぶとも言うし。
「沙織はもっとがっつきなよ。女は若い時が一番大事なんだから」
「そうかもしれないけどね……」
「冒険者ギルドにくるお客さんとで、一人くらいは気になる人いたでしょ」
「仕事とプライベートは別だよ」
と言いつつ、個人的なアドバイスを送った人だってこれまでにはいた。
それが彼だけど……まだ十六歳という若さ。
優しくて温厚で……真っ直ぐに人のことを見てくれそうな性格。
「あ、今誰かのこと思い浮かべたでしょ!」
「教えろー!」
「沙織が気になってる人、すっごいレアじゃんっ」
とてもじゃないが、相手は高校生だなんて言えるわけもなかった。
そうしてさらに半年近く過ぎた頃。
その彼から連絡があった。
『すみません。随分連絡が遅くなってしまいました。――改めて、いつかの恩返しをさせてくれますか?』
時間は経っていたけど、私がお願いしたことを覚えていてくれてとても嬉しくなった。
彼は私の体が目当てじゃない。それがわかっているからこそすぐに承諾し、時間を空けた。
ちょっとむちっとした体。
痩せすぎているより、このくらいの体が好きな男性が多いそうだ。
少し恥ずかしかったけど、彼のためなら裸になって施術を受けても良いと思い、全てをさらけ出した。
男の人に肌を触れられたのだって、本当に久しぶりだった。
そもそも処女の私は、触れられることだってそれほど慣れていない。
けど、彼の手はスキルの影響か温かく、こちらに十分に配慮してくれた優しさで包まれていた。
ああ、だから皆彼の虜になってしまうんだ。
そう思ってしまった。
もちろんスキルの反動の影響もあるだろう。
けど、彼はスキルに必要な事以外は一切せずに、集中して施術を行ってくれた。
下心があっても、我慢できない男の人なら、そのまま女性に襲いかかったりもできるだろう。こんな反動を受けてしまえば、抵抗なんてできるわけがないのだから。
私はいつの間にか股を大きく広げ、大事な部分まで彼に触れさせていた。
もちろん綺麗になることが前提だ。
でも、触って欲しくて、気持ちよくしてほしくて。
最後には、疲れてソファで眠ってしまっていた彼のズボンを下ろして、淫らな行為をしてしまっていた。
二十四歳にしてやっと処女を失うことになったけれど、彼が初めての人で本当に良かったと感じた。
それから施術の日は必ず彼と体を重ね、女としての自分を自覚し、彼を求めていった。
どんどん自分がエロくなっていくの感じながらも、彼に奉仕したいという欲が勝り、彼をどこまでも攻め立てた。
林道さんも本当に心が広い人だ。
でも、人助けをしたいという気持ちは彼女にもあるようで、それ込みで反動による衝動はしょうがないと割り切っているようだった。
高梨さんの一番の愛を受け取っているのは彼女だから、それが根底にあるからこそ、広い心を持っていられるのだろう。
そうして私の体は、見違えるように綺麗になった。
職場では同僚の女子に言い寄られ、『鑑定』を担当したお客様にはいつも以上に声をかけられ、見た目が変わる影響は本当に凄まじかった。
変わった自分を見せる。
そのために、彼らに会うことを翌日に控えた仕事帰りだった。
まさか自分が拉致されるとは思いもしなかった。
冒険者による犯罪は、ないと言えば嘘になる。
しかしダンジョンの出現やギフトの能力によって、それが表沙汰にならないことも増えていった。
私が拉致された理由は『ダンジョン・コア』の『鑑定』が理由だった。
まだ、日本では確認されている超級レアの聖遺物。
もちろん発見者の所有物とはなるが、怪しげな冒険者を『鑑定』してあげるほど、冒険者ギルドも甘くはない。
どこで手に入れたのか、その入手経路だって定かではない。
少しでも犯罪に使われる確率がある相手を放ってはおかない。それをわかっているからこそ、こうして私を拉致したのだ。
私は真面目だ。それ故、自分の正義に従い、彼らに屈するわけにはいかなかった。
しかしその心配は杞憂に終わる。
『ゴールデンタイム』
まさか私に特別なバフ効果が付与されているとは思わず、笑ってしまった。
彼のギフトは本当に凄かった。スキルの効果が出た一週間限定ではあったけど、私はそれによって体に傷がつかなかったのだ。
それでも私の窮地には変わりなかった。
月曜になれば、私が出勤しないことが表沙汰となるはずなので、それまでには強硬手段に出る恐れがあった。
その恐怖がありながらも、私が心の中で助けを求めていたのは、高梨さん――弘世くんだった。
そしてその弘世くんが助けに来てくれた。
これは運命――そう思ってしまうヒーローのような登場だった。
実際に助けてくれたのは、黒ヤギの少女だったけど、椅子から転げ落ちそうな私を支えてくれたのは彼だった。
私は八個も年下の子相手に、恋をしてしまったのだと、この時思った。
だとしても、彼の一番になることはできない。
それなら他の少女たち同様、支えてあげることが私ができる唯一のことだった。
それを考えた時、私の中に一つの構想が浮かび上がった。
今、『ダンジョン・コア』は、黒ヤギの少女である彼女が持っている。
つまり弘世くんたちの手中ということだ。
もしこの先、私が何かの手助けができるとするなら、その『ダンジョン・コア』を使って、彼がダンジョンマスターとなり、ダンジョン運営ができれば良いと思ったのだ。
私は『鑑定』を使い『ダンジョン・コア』を視た。
『ダンジョン・コア』は自由にダンジョン内部を創造できたり、魔物やお宝も設置できる。ただ、魔力量によって制限もあるようだが、あの黒ヤギの少女がいれば解決するだろう。
そして、私が確認した中で、特に目を見張る能力が『ダンジョン・コア』にはあった。
それは、自分の持つギフトをダンジョンに付与できること。
つまり、弘世くんの持つそれぞれのスキルをダンジョンに付与することで、例えば挑んだ冒険者が条件をクリアすれば『肌質改善』の効果を受けられたりできるのだ。
絶対に儲かる。
特に女性冒険者は目の色を変えて挑むだろう。
彼がやると言うかはわからない。
でも私の中で、将来のための構想を広げておくことにした。
もしそれが叶えば、ギルド職員の仕事を辞め、ダンジョン運営に注力しても良い。
彼のために人生を捧げたいと思うほど、今の私は惹かれているのだから。