美容スキルでクラスの女の子を可愛くしたい【4/1第1巻発売】 作:pelca
「――あっ!? 脇っ、だめっ……まっ!?」
黒で統一された大人っぽい水着。
仰向けになり両手を上に挙げた状態で気持ちよさとくすぐったさを必死に我慢していたのは紅林渚だ。
渚の上から前に手を伸ばし、スリスリ、スリスリと脇を撫でる。
ただでさえ脇は敏感なのに、スキルによってさらに敏感にされ、数秒耐えるもの大変だった。
「ひ、弘世くんっ! 一旦ストップ! ストップしてぇ!?」
「わ、わかりましたっ」
あまりの刺激に限界が来てしまった渚は弘世の手を掴み、強制的に施術をストップさせた。
「はぁっ、はぁっ……これっ……やばすぎるっ……どうしよっ……あと、何分やらなきゃならないの……?」
「えっと……五分はありますね」
「私……どうなっちゃうのぉ……?」
「でも、全身ってことなので……全部で一時間くらいありますけど」
「あぁぁぁぁぁぁ……っ」
快感だけならまだしも、くすぐったさに我慢できなかった渚。
残りの施術時間を聞かされると、複雑な気持ちを乗せた声を漏らした。
◇ ◇ ◇
――弘世が紅林渚を施術することになった数時間前。
紅林渚の家には、弘世とひびきの二人がやってきていた。
やはりというか、Sランク冒険者というのは圧倒的に稼いでおり、セキュリティにも強いタワーマンションに住んでいた。
Aランク冒険者でもタワマンに住めるくらいだ。
Sランク冒険者は億万長者なのだ。
そんな紅林渚の家にやってきた二人はローテーブルを挟んでソファに座っていた。
今日は海莉を連れてきていない。
その理由はSランク冒険者という事実と、彼女には友達がいないという話を聞いたからだった。
そもそも紅林渚に、弘世のスキルを勝手に広めるメリットはない。
こうした理由で海莉は今日参加しなかった。
「――大丈夫です。光ってます。治りますよ」
「……っ!」
ひびきから伝えられた言葉。
それは、『体臭改善』のスキルによって、紅林渚のワキガが治るというものだった。
弘世たちはこの話をする前に、紅林渚になぜワキガ手術をしなかったのかを聞いていた。
今の技術では、ワキガ治療をすることで匂いを改善できるとわかっている。
ただ、それは医師の技術にもよるし、治療する医者や看護師には自分がワキガだと知られてしまうことでもある。
渚はできれば誰にもこのことを知られずにいたかった。
有名人だ。どこかでワキガだと漏れて、それが拡散されでもしたら、もう表に出られない。それくらい心配していた。
「さ、早速お願いしますっ!」
渚はひびきの言葉を聞くと、藁にも縋る思いでそう言った。
「紅林さん。既に伝えましたけど、俺のスキルには反動があります。それに、全身なら、色々と触れなければいけません」
「そ、それは大丈夫っ! 恥ずかしいけれど……この悩みが完全に消えるのなら……!」
多分、渚はわかっていない。
どれだけの反動が自分にもたらされ、そしてどうなっていくのかを。
でも、今の渚は自分のワキガが治るということだけが都合良く耳に入ってきていた。
「わかりました。じゃあ、準備お願いします」
「わかった……!」
すると渚はクローゼットがある部屋へと行き、水着に着替えだす。
その間リビングに残された弘世とひびき。
ひびきがじーっと弘世のことを見つめていた。
「な、なに……?」
「だって、弘世の憧れの人だもん。取られちゃうんじゃないかって」
「もう……俺の一番はひびきだよ。それは変わらない。あくまで憧れだから」
「ほんとかな〜」
目を細めて弘世を疑う。
今までにない弘世のキラキラした目を目撃し、小春や霧乃たちとは違う特別な扱いをするのではないかと心配だった。
「それに……今回は麻未ちゃんにもお願いするんだから」
「ほぉーん?」
ギフトの詳細は聞いていない。
しかし麻未によれば、施術した相手が弘世を求めなくするようにできるとか。
今回は試しだ。
施術後に渚にも了承を取ることで、弘世を襲わないようにするのだ。
――そうして、冒頭に戻る。
用事を終えたひびきは先に帰宅。
弘世と二人きりになった渚は、直接脇に触れてその快感とくすぐったさに耐えていた。
「そ、それと……匂いは……大丈夫?」
「はい。なんというか、最初は……びっくりしましたけど、今はなんか慣れてきたというか、癖になってきました」
「変なこと言わないでよぉ……」
いつもなら『そよ風』のギフトで風をコントロールし、自分の匂いをどこかに流していたが、直接触れる今回の施術では、ギフトの発動はしないことになった。
故に弘世は至近距離で渚の体臭を嗅ぐことになっていた。
ちなみに『体臭改善』の概要はこうなっている。
<体臭改善>
方法:対象の部位を揉み込む
効果:体臭改善、汗量調整
反動:一定時間体が火照る、敏感になる
ワキガは一般的にアポクリン汗腺から分泌される汗が原因だとされているが、『体臭改善』のスキルはそれを根本から改善できるものだった。
さらに言えば汗をかく量も調整できるのが、このスキルの有用さでもあった。
今、弘世の手には、渚のワキガの匂いがたんまりとついている。
まだ始まったばかりの施術だが、ムワッとした特徴的な匂いが立ち込めていた。
「我慢しましょう。乗り越えたら願いは叶いますから」
「私だってわかってるよぉ……でも、こんなに体がおかしくされるだなんて、思わないでしょ?」
(はは……それはやる前、十分に説明したはずなんだけどなぁ……)
「続けますよ。脇上げてください」
「お手柔らかに頼む……」
ベッドに仰向けになっていた渚は、弘世の指示通りに両腕を上げた。
(この格好自体恥ずかしい……っ)
自分の大事な箇所が見られているようで、渚は恥ずかしくなっていた。
他の大事な箇所と同じくらい渚にとって脇は大事な部分だった。
「じゃあ、続けます」
弘世は渚の脇に手を添え、ゆっくりとさすっていった。
「あぁぁっ……頭おかしくなるっ……ご、ごめんっ、服掴むぅ……っ」
ぎゅっと目をつむりながら、弘世の服の裾を掴んだ渚は脇への快感を必死に耐えていく。
「はぁんっ!? あっ、あっ……我慢したくないっ、我慢したくないっ……助けて……誰か助けて……っ」
Sランク冒険者という強さの頂点にいる存在。
国家レベルの貴重な人材とも認識できる紅林渚が、何も強さを持たない弘世の前で嬌声を上げている。
その事実に弘世はどこか興奮していた。
(あの紅林さんが……俺の手で……すごい……っ)
眉を寄せてよがるような顔を見せた渚は、もう自分がどんな状態になっているのかなど気にしていない。
ただ、必死にくすぐったさと快感に耐える。これで精一杯だった。
「弘世くんっ……弘世くんっ……私、どうにかなっちゃいそう……っ」
「頑張ってください……俺も頑張りますから」
「あんっ!? もうだめっ……もう我慢できないっ……許してっ……!」
弘世の服は既にとんでもない力で掴まれており、シワがつくどころではなくなっていた。
――そうして、合計六分ほど。
脇の施術をやりきった渚は、果てたようにぐったりしていた。
「はぁっ……はぁっ……これを……全身……っ」
「はい。頑張りましょう……えっと……いいですか?」
「体から出る汗、全部匂いをなくしたい……だから、頼む」
「任せてください。俺が全部希望通りにしてみせます」
瞳を震わせた渚は、次に触れられる箇所に恥ずかしさを感じながらも、弘世の手に全てを委ねる。
そうして、弘世を意を決して、渚の水着の中へと手を入れた。
「はっ、初めてっ♡ ……こんなの……狂っちゃうっ!?」
これまでに施術で何人もの胸に触れてきた弘世。
ただ、尊敬している人の胸に触れる機会がくるなんて思いもしなかった。
Sランク冒険者であり、この日本に十人といない圧倒的な存在。
力では絶対に勝てない相手が、自分の手によって喘ぎ、よがっている姿はいくら冷静になろうとしても、興奮は抑えきれなかった。
「あぁっ♡ おかしいっ……おかしくなるっ♡ そんなぁっ!? そこっ!? 敏感でっ……あぁぁっ!?♡」
膨らみ、硬くなった突起に何度も触れられ、声を大きくしていく。
再び弘世の服の裾をぎゅっと掴んで我慢する。
やっと胸が終わったかと思えば、さらにその先がある。
大事な部分だって汗を掻く。渚はその全てを改善したいのだ。
あくまでワキガは脇からくる汗。
しかし、全身が気になっていた渚は、本当に全ての汗と匂いを改善したかった。
だから――
「あぁぁぁぁぁっ!?」
既にぐちょぐちょになっていた、あられもない場所に触れられた時、渚は人には見せたことのない声を上げ、快感の頂点に達した。
◇ ◇ ◇
――それから、四週間の時が過ぎたとある朝のこと。
紅林渚は体の変化を感じていた。
「……治ったのか……?」
幼少期から悩んできたワキガ。
このせいで人を避け、友達を作ってこなかった。
一定の距離を保ち、匂いを嗅がれたくない一心で、常に人の視線も気にしていた。
でも、これからはそれをしなくても良い。
これからは、好きにボディクリームや香水だって選べるし、汗を気にして服を選ばなくても良い。
「はは……まだ、自分ではわからない……」
ただ、渚は自分では匂いを感じなかったが、他の人がどう思うのかはわからなかった。
だから弘世に連絡を取り、呼び出すことにした。
「――しませんっ! すっごい良い匂いがします!」
四月に入り、高校三年生になっていた弘世。
くんくんと渚の脇の下に鼻を近づけ、匂いを嗅いでいた。
「あははははっ……やった……本当にやったんだ……っ! 嬉しい、嬉しいよ弘世くんっ」
渚は瞳に涙を浮かべ喜んだ。
脇の匂いを嗅ぐなど一見変態的な行為ではあるが、今回は仕方がないことだった。
弘世の言葉で、ついに長年の悩みを解消でき、渚は喜んだ。
「一つだけ……一つだけ、お願いしたいことがある。そのあとは、言う通りにするから……」
「はい」
弘世の隣には、麻未も立っていた。
事前に渚に話していた通り、弘世が今後襲われないようにするため、この場に同席していた。
「――私の脇を舐めてもらえないか?」
「へ……?」
ただ、その前に渚から爆弾発言が飛び出した。
「頼む……それで……それをしてくれれば……私は本当に悩みから開放される気がするんだ……!」
「…………はい。渚さんがそう言うなら」
四週間の交流を経て、呼び方が変わっていた弘世。
そして、弘世は片腕を上げた渚の脇に近づく。
「ひゃんっ!?」
ぺろっと、舌を伸ばして渚の脇を舐めた。
するとくすぐったかったのか、渚がびくっと反応した。
「……美味しいです」
「だ、誰も味は聞いてないよ!?」
「あ……はは。でも本当です」
「もう、この子ったら……襲いたくなるからやめてくれ……」
と、弘世に手を伸ばそうとした渚。
しかし、なにかに阻まれて弘世に触れることができなかった。
「あばばっ……」
「あっ……ごめん」
弘世を求めて仕方なくなっていた渚は自然と手を伸ばしてしまっていた。
それを止めたのは隣にいた麻未だ。
何らかのギフトによって、見えない壁を作り、弘世に触れるのを阻んでいた。
「はは……じゃあ、麻未ちゃんの指示に従ってくれますか?」
「この気持ちを消されてしまうは名残惜しいけどな……弘世くんに迷惑をかけてしまうならしょうがない」
渚も了承済みのことだった。
これでもう弘世のことを性的には求めなくなる。
「じゃ、じゃあ……座ってもらえますか?」
「わかった」
麻未がお願いすると、渚は正面に座る。
「お願い――」
そうして、麻未は弘世や渚には見えない何かにお願いをした。
「********」
一瞬の出来事だった。
麻未はふうっと一息つくと、ギフトの使用が終わったのか渚から一歩離れた。
「終わったの?」
「あばっ……はい」
「……でも、弘世くんに対する恩とか、好意は消えてない気がするんだけど」
不思議に思っていた。
性的に見えないようにするはずが、まだ少しそういった気持ちは残っていたから。
「こ、これは高梨先輩のギフトによる反動の効果を消しただけ……だからっ……純粋な気持ちは消えない……でも、これで襲うとかはなくなった、はず……」
「そ、そうかも……さっきまでの衝動はなくなった。弘世くんを見ても自分はコントロールできてる」
あくまで消したのは、弘世のギフトによる反動のみ。
もし、弘世に対する好意まで消してしまえば、それは記憶改ざんの範囲は超えている。それが麻未の考えだった。
「でも良かった。この気持ちの全部が消えてしまったら、寂しかったから。弘世くん。これからもよろしくね」
「は、はいっ……こちらこそです」
手を伸ばした渚。今度は弘世に触れることができ、二人は握手を交わした。
「何かあった時は、何でも協力するから言ってね」
「はい。その時は連絡しますね」
最後、渚にそう言われてから、二人はマンションを後にした。
◇ ◇ ◇
「――高梨先輩」
帰路、麻未と一緒に歩いていた弘世が、ふと声をかけられた。
なんだろうと思いつつ、弘世は可愛い妹として扱っている麻未の方へと顔を向けた。
ただ、顔を見るといつもの雰囲気とは違っていたように感じた。
それは少し顔が赤くなっていたことからも明白だった。
「…………えっちって、気持ちいいんですか?」
「はいっ!?」
まさか、麻未からそんな言葉が出るとは思わず、大きな声を出してしまった弘世。
周囲の通行人もその声に反応し、弘世の方へと視線を向けていた。
「教えて……ほしい、ですっ……あばっ」
「ど、どうしよう…………」
綺麗な銀髪に宝石のように青く輝く双眸。
そんな彼女からうるうるとした瞳を向けられ、弘世はどうしようかとしばらく悩むのだった。