美容スキルでクラスの女の子を可愛くしたい【4/1第1巻発売】 作:pelca
「エコア、次は階層とフロアの設計をしたいんだけど、どうすればいいかな?」
ダンジョン・コアの守護者を名乗る金髪のエルフ・エコア。
彼女が本当にダンジョンの知識を持っているなら、今後は冬月沙織ではなく、エコアに制作を任せていくべきだろう。
「はい。まずは、マスターである弘世様の魔力量とギフトを基に、ダンジョンを構成していきます。自由に設計できますが、私の提案としては、最低でもスキルの数と同じだけの階層を作るのが望ましいです」
「ってことは、俺のスキルが八つだから、最低でも八階層必要ってことか」
現在、弘世が保有しているスキルは以下の八つ。
『肌質改善』『脂肪燃焼』『脱毛』『髪質改善』『育乳』『感度改善』『姿勢改善』『体臭改善』。
エコアの言うとおり最低でも八階層は必要だろうが、それだけでは物足りないと感じる冒険者も多いかもしれない。
一般的に、最低ランクであるFランクのダンジョンですら十階層は存在するのだ。
いくら強力な魔物を配置しても、それだけでは短時間で攻略されてしまう可能性がある。
ただスキルの効果を配布するだけでは、運営とは言えない。
「だったら、各スキルの効果が得られる部屋にたどり着くまでに、十階層はほしいよね」
「でしたら、いっそ八十階層にしてみますか? ゲートに入った直後に選択式の別ゲートを用意することも可能です」
「そんなことまでできるの!?」
選択式といえば、丸バツクイズのような扉を思い浮かべる。
「はい。ただ、この世界の人々が求めるエンタメ性を重視するなら、最初から得られる効果を明示せず、最奥の部屋に到達するまで効果の内容がわからない、という形式のほうが好まれると思います」
「ふむ……たしかに。俺のスキルは人によって求める効果が違うし……。一つだけ難易度が高いと、欲しい効果が手に入らない人も出ちゃうもんな」
悩みは人それぞれだ。
だからこそ、一部の効果だけが極端に取りづらくなる設計は避けるべきだ。
「それならさ、効果が出るまでに通わなきゃいけない回数を変えてみたらどう?」
口を開いたのはひびきだった。
「たとえば、医療脱毛でも何度も通ってようやく効果が出るじゃん? だから、五階層まで辿り着いた人は十回通って効果を得られる。十階層まで行けた人は一回でOKとかさ。……でも、入場料で稼ぐなら一回で終わるのは微妙かも?」
「おーっ、さすがひびき!」
美容に詳しくない弘世には思いつかない発想だった。
ただ、それが実現できるかどうかは、エコアに確認しなければならない。
「エコア、できそう?」
「そうですね……不可能ではありません。一度作ってみましょうか」
そう言うと、エコアは壁に向かって手をかざした。
「――――!」
その瞬間、壁に八つのホログラムモニターが浮かび上がり、映像が映し出される。
同時に、地面がゴゴゴと小刻みに揺れ始め、モニターには『マスタールーム』のような部屋が次々と構築されていく様子が映し出されていた。
「な、なんか魔力が吸われてる感じがする……!」
弘世は自分の体を見ながらそうつぶやく。
「すごい……ダンジョンってこうやって作られていくんだ」
「私たちのは、少し特殊かもしれませんけどね?」
「あばばばばっ」
数分後、ダンジョンの拡張が完了したのか、エコアは手を下ろした。
「終わった?」
「…………」
エコアは無表情のはずなのに、どこか言いにくそうな顔をしているように見えた。
「どうかした?」
「……大変申し上げにくいのですが……結論から言いますと、マスターの魔力では三階層までしか構築できませんでした……」
「えええっ!? 俺の魔力、低すぎぃぃぃぃっ!?」
まさかの事態だった。
ダンジョンの主である弘世の魔力が足りず、八十階層どころか三階層が限界という結果に。
この二年間、頻繁にスキルを使っていたはずだが、魔力量はさほど増えていなかったらしい。
「これ、魔力が回復すればまた作れるの?」
「いいえ。その人が持つ魔力の“資質”に依存しているため、一時的な回復ではどうにもなりません。ただし、マスターのご友人に協力していただければ、あるいは……」
「それって、みんなの魔力をもらうってこと?」
「“もらう”というより、“マスター登録”に近いです」
「サブマスターって感じかな」
「はい、そうなります。それでも足りない場合は……ダンジョンの拡張は諦めるしかありません」
つまり、選択肢は一つ。
「――みんな、協力してくれる?」
「もちろんっ!」
「うんっ」
「私にできることがあれば!」
「あばっ!」
「ぜひとも!」
全員が快く頷いてくれた。
「でもさ、私が一番魔力少ないと思うから、多い人から順番にやったほうが良くない?」
「ひびきちゃんの言う通りですね。となると……麻未ちゃん、でしょうか?」
「あばぁっ!? 氷堂先輩も結構あると思いますけど……」
「いえ、麻未ちゃんに勝てる人なんてこの世にはいませんから。麻未ちゃんです」
断言する霧乃だが、海外の冒険者の情報まで知っているわけではない。
ただ今まで麻未を見てきた限り、そう判断したのだろう。
他の面々も、同様に納得しているようだった。
「なら……私がやります」
「麻未様、と仰いましたね」
「あばっ」
「では、こちらへ――」
麻未はエコアの前に立つ。
だが、その瞬間、エコアが弘世に行った登録の儀式を思い出してしまった。
「あれ、これってまさか――」
「んむっ!?」
エコアは麻未の顔を両手で包み、そのまま口づけをした。
「んっ……んちゅっ……んんっ……ちゅぱっ……んぅっ……はぁ…………じゅるり。これで登録完了です」
「あっ、あばぁ…………」
麻未の唾液を取り込むことで、サブマスターとしての登録が完了したようだ。
顔を紅潮させ、目をぐるぐる回している麻未とは対照的に――大きな変化が現れたのはエコアの方だった。
「お゙ぅ゙っ!?」
「エコア!?」
突如として、エコアが奇声を上げ、立ったまま痙攣し始める。
「この、魔力量はっ!? あ゙っ……体がっ……私の体がっ……お゙ぐっ!?」
弘世の声も届かず、彼女の痙攣は止まらない。
「イ゙ッ……イ゙ッ……イ゙ッ、グゥゥゥゥゥゥッ!? ………………お゙っ……お゙お゙っ…………っ」
そしてついに、白目を剥きながらビクンと大きく痙攣し、そのまま床に崩れ落ちた。
「エコアァァァァァァっ!?」
「ま、魔力……多すぎぃ………………」
何が起こったのかは不明だが、エコアは絶頂したように見えた。
「……とりあえず、エコアが回復するまで休憩しよっか」
弘世の施術や性行為で数多くの絶頂を見てきたひびきは、冷静にそう言った。
床に腰を下ろし、カバンからお菓子を取り出すと、もぐもぐと食べ始めたのだった。