美容スキルでクラスの女の子を可愛くしたい【4/1第1巻発売】 作:pelca
「お、おい……マジか……」
「これは……」
「ど、どういうことなんだ……」
綺羅璃隊のメンバーの一人である藤木は風呂場の横に設置されていた『リンパマッサージ』の施術を受けた。
施術を終えた藤木は、風呂から上がり、その場に仁王立ちしていた。
「すごい……力が漲ります……ッ! なんだこれ……体が軽い……今からもう一度ダンジョンを攻略しても良いくらい体力が回復しています!」
『リンパマッサージ』の効果が即座に発揮され、藤木の体はダンジョンに入る前――いや、これまでに溜まっていた疲れすらとれていた。
ただ――藤木の周囲を見ると、彼の体液と思われるものが飛び散っていた。
その意味は、ずっと藤木の施術の様子を見ていた全員が理解している。
「まさか男の絶頂を見ることになるとはな……」
「確かにすごい効果だけど……見られるのは……」
「お、俺だけ恥ずかしい思いしたんですよ!? みなさんもやってくださいよ〜っ!」
効果は実感した綺羅璃隊だったが、その施術内容に気が引けていた。
触手スライムが藤木の体を覆い、うねうねとマッサージしていく様子は、エロいエステでの施術に近いものだった。
他のメンバーに見られているというのも、一歩踏み出せないものだった。
「とにかく綺羅璃様に報告だけしようか。今日はどうせここで一旦戻るだろうからな」
リーダーの本郷は『リンパマッサージ』の施術は受けないことにし、綺羅璃の施術が終わるのを待った。
◇ ◇ ◇
「お゙っ、お゙お゙っ…………あひ……っ♡」
体のすみずみまで絶頂させられた綺羅璃は、びくびく、びくびくと体を震わせ、施術台の上で気を失っていた。
はじめて体験した最高の気持ちよさに、綺羅璃の下半身からは見たこともない量の体液が飛び散っており、そこら中がびしょびしょだった。
それから数十分後。
「綺羅璃様ー! いますかー!? 起きてますかー!?」
ドンドンと外から扉を叩くのは綺羅璃隊の本郷。
声が聞こえると、気を失っていた綺羅璃はやっと目を覚ました。
「あ、れ……私…………ああああああああ〜〜っ!?」
「綺羅璃様!? 綺羅璃様っ!?」
「だ、大丈夫よ! 開けないで! 開けないでね!?」
「あ、いえ……こちらからは開けられないようになっているようで……そこはご安心を……! とにかく目覚めているなら良かったです。準備ができたら出てきてもらえますか?」
「わ、わかったわ……少し待ってちょうだい」
扉は中に入った人にしか開けられないようになっていた。
綺羅璃は自分が今どんな状態でいるか認識し、焦ったものの、近くあるバスタオルを取り、体を拭いていった。
そうして準備を整えると、ゆっくりと扉を開けた。
「はぁ……はぁ……ま、待たせたわね……」
「き、綺羅璃…………っ!」
綺羅璃はまだ顔が赤く、体も火照っていた。
そして表情やガクガクしている脚……綺羅璃の色っぽい雰囲気が、綺羅璃隊のメンバーを刺激した。
綺羅璃隊のメンバーは、幼児体型の綺羅璃にはこれまで一度も欲情したことがなかった。
ランドセルを背負わせれば小学生に見えなくもない体型だ。
しかし、今の綺羅璃はどうだ。
内側から出るフェロモンか何かにより、どうにもエロく見えたのだ。
ごくりと息を呑んだ綺羅璃隊のメンバー。しかし、それを抑えて話を進めた。
「綺羅璃様、今日は戻りますか? それに報告もあるので――」
「ええ、頼むわ。スクロールで、外に出ましょう」
「わかりました」
そうして綺羅璃隊は魔法が封じられたアイテム――スクロールを取り出し、ダンジョンの外に出た。
◇ ◇ ◇
「ふむ…………」
綺羅璃たちの行動を見終えた弘世は、考え込むようにして顎に手を置いていた。
「弘世、どしたん?」
「うーん、ちょっとね」
「言いたいことあるなら言いなよ」
弘世の様子にひびきが背中を押すと、ゆっくりと話しはじめた。
「思ったんだけど、これ……やりすぎなような気もしてきた。元はと言えば綺麗になってほしいという願いがあっての『美容ダンジョン』。だけど、罠で疲弊させるのはまだしも防具を溶かしたりは……見ている分には楽しいけど、これで何度もダンジョンに来たいって思うのかな?」
弘世も最初は楽しんで見ていた。
でも、本当に悩みを改善した人だって、今後やってくる。
綺羅璃たちのように純粋にダンジョン攻略のみを目的とした人が来るとは限らない。
攻略されていった冒険者の情報が広まったあと、美容目的でやってくる人だっているだろう。
その時にやってきた冒険者が、何度も通いたいとなるか……というのが弘世の心配だった。
「確かに防具溶かすのはやりすぎちゃったかもねぇ……それでもあの綺羅璃って子は絶対また来ると思うよ」
「どうして?」
ひびきは反省した。が、なぜか綺羅璃はまた来るという。
弘世は疑問だったが、それは本来なら彼が一番理解しているべき内容だった。
「ほら、施術で気持ちよくなっちゃったでしょ? 美容目的でも来るかもしれないけど、癖になっちゃうと思う」
「ぁ…………それはどうなんだろうね」
「私たちだって、弘世に触ってもらいたくてしょうがなくなっちゃってるし……それと似たようなことが起こると思うけど」
普通では体験できない気持ちよさを経験した。
自分一人でも、誰かに頼んだとしてもそれは叶わないだろう。
それが弘世のスキルのリスクでもあった。
「かもしれないね……ともかく、溶かすのは一旦止めて、他はそのままで様子を見よう」
「かしこまりました、マスター」
弘世からの命令を聞くと、エコアはダンジョンを変化させはじめた。
「この後はどうする? ずっとここにいても見ているだけだし」
「うーん。どうしよう。皆はどう思う?」
ひびきの話に弘世が皆に聞いた。
「私は皆とお話しながらお茶もできるし、このままでも楽しいよ」
「私も同じです。皆さんが一緒ですし」
「私もしばらくここにいても問題ありません」
小春、霧乃、沙織はしばらく『マスタールーム』にいることになった。
一方で一人だけ違う意見の人物がいた。
「あばっ……わ、私、ダンジョン、見て回ってきても、いいですか?」
「うん。もちろん良いよ。ただ、冒険者が来たら戻ってもらうけど」
「あ、ありがとうございます……っ!」
麻未にしては珍しい発言だった。
様々なダンジョンに挑戦してきた子だ。きっとダンジョンに興味があったのだろう。
弘世はそれを許し、彼女を好きな場所へと行かせることにした。