美容スキルでクラスの女の子を可愛くしたい【4/1第1巻発売】 作:pelca
「これで性格も変わればいいんだけど……どうだろう」
モニタールームで、一部始終を監視していた弘世。
モニターの向こう側には、直前までとは打って変わり、キャッキャと触れ合う五人の冒険者が映っていた。
――複数のスキル同時施術と施術が終わった瞬間に効果を出す実験。
階層ごとに施術回数を設定できていたことからも、実際にどのようになるのか、一度見ておきたかったのだ。
故にダンジョンを破壊して回っていた冒険者を実験体として、強制的に施術を行ったのだった。
最初は嫌がっていた姉御。
しかし、今はどうだ。仲間たちに褒められ、まんざらでもない様子。
そしてその仲間たちは現在、『育乳』の施術を受けており、四人それぞれ個室の施術部屋で喘いでいた。
「見る限りは、ちゃんと効果が発揮できているみたいだね」
「うん。俺だけのスキルでは、こんなことはできないけど、実際目の当たりにすると、チートとしか言えないよね……」
小春の言葉に答える弘世。
「エコアも恐怖を与えたし、美容スキルにも興味を持ってもらったはず。だから大丈夫だよね」
「大丈夫じゃない? あの姉御って人、多分これから美容に目覚めると思うし」
「なら、あのパーティーを入場禁止にしなくてもいっか」
これで姉御たちは入場禁止にするつもりだった。
しかし実験の結果、思わぬ性格の変化が見て取れたため、もう少し様子見をしてみようと思ったのだった。
「――あ、覚えた」
そんな時だった。
久しぶりに、弘世のギフトに新たなスキルの芽吹きを感じたのだった。
◇ ◇ ◇
――時期は夏の暑さが顔を出してくる五月下旬。
美容ダンジョンの運営で、お金稼ぎや冒険者相手に施術の提供をしていく中、高校三年生の弘世は、もちろん学校にも通い続けている。
しかし三年生になった弘世のクラスは、いつも一緒に過ごしているメンバーとは、別々のクラスになってしまっていた。故に友達作りは一からはじめないといけない。
弘世と同じクラスだった生徒もいたが、それはほぼ関わりのなかった生徒だった。
それでもだ。ひびきや陽鞠、海莉などのギャル系美少女。小春や霧乃といった清楚系美人。さらには後輩である天使・麻未にバスケ部美少女の葵やその親友の理央などが、三年生の弘世の教室を訪れ、何度も呼び出しにくるのだ。
それはもう、どうやっても目立ってしまっていた。
しかしなぜ弘世がここまでして美少女たちと仲が良いのか、男子も女子もクラスメイトたちは全くわかっていなかった。
体育の時間でも、運動がそれほどできるわけでもないし、勉強だって平均的で飛び抜けた才能はない。
クラスの中にいても目立つことはない……ただ、ちょっと肌が綺麗だとか、二年生の頃よりも見た目がかっこよくなったとかはあるが、イケメンなら他にもっといる。
そんな弘世のことを気にしはじめていたのは、もちろん新しいクラスメイト。
「――ちょっといい?」
トイレからの帰り、廊下で声をかけてきたのは、ミルクティー色の長髪をポニーテールにした女子生徒だった。クラスでも男子の間では可愛いと言われている生徒だ。
「ああ、早瀬さん。どうかした?」
――早瀬美咲。彼女はクラスメイトであり、テニス部に所属する生徒でもあった。
「…………高梨さ、催眠術でも使ってんの? ずっとおかしいと思ってたんだよね」
「えっ、まさか……! 俺、そんなギフト持ってないし、持ってたとしてもそんなことしないよ」
「……だよね。そんなヤツに見えないし。でもさ、あれだけの美人たちが毎回高梨を呼び出すって普通に考えておかしくない?」
「すごいディスられてる気がするんですけど……」
「ディスってるし」
美咲は、結構毒舌だった。毒舌というよりも、性格がストレートで、言いたい事を言う性格だったのだ。
そして美咲と会話したことは、これまでなく、今この時がちゃんと一対一で会話したはじめての機会だった。
「はは、ストレートに言うね」
「ま、いいけどね。高梨が怪しいことしてないか、気になっただけだから」
「そう……」
「じゃあね」
まだ弘世のことを訝しんでいながらも、弘世はなんとか解放された。
そんな時だった。
「いっ」
「早瀬さん!?」
すると突然美咲が転びそうになり、弘世が咄嗟に彼女の体を受け止めようとしたのだが、彼女が怪我しないようにお尻の下に手を滑り込ませることが精一杯だった。
お尻の感触を確かめている場合ではない。体重がのしかかり普通に痛かったのだから。
しかし、それ以上に問題があった。
転んだ拍子に美咲の制服のスカートが少しめくれ上がってしまっていたのだ。
「あ、ありがとう……でも…………見た?」
「ええと………何を、見たってことかな……?」
彼女のスカートから見えた白い太もも。
その付け根に近い場所に大きなホクロがあったのだった――。
ひとまず第四章美容ダンジョン編はここで終わりということで、次から第五章に入っていきたいと思います。