完全解呪のプリースト〜状態異常完治スキルで呪われた美少女を救うたび、俺への依存度がカンストしていく件〜【7/24第2巻発売】 作:pelca
シュウが教会学校に通うようになり、ドロテイアとメディナを使用人として寮に住まわせることになってからのこと。
「まさかアタシがこんな場所で暮らすことになるとはねぇ……小娘と同室というのは気に食わないが……」
「ひぃぃ……っ」
ドロテイアたちに与えられたのは、女子寮の一角に併設された使用人用の部屋だった。造りは一般生徒と同じで、基本は二人部屋である。
ちょうどドロテイアとメディナの二人だったため、同室で生活することになった。
「何もしないよ! 主さまの命令で、何もできやしないからねぇ……」
「ほ、本当ですか?」
「それとも、殺されたいのかい? じゃあ試しに――」
ドロテイアは爪を伸ばし、黒く尖ったそれをメディナへ振るおうとした――が。
「ウギィィィィッ!?」
「ドロテイアさんっ!?」
メディナの目前でその動きはぴたりと止まり、次の瞬間、ドロテイアの全身に激痛が走った。まるで電撃を浴びたかのように痙攣し、苦悶の声を漏らす。
「ク、クソ……本当にできないとは……」
「あはは……じゃあ、シュウ様の服のお洗濯、しましょうか」
「ふッ……仕方ないねぇ」
シュウの命令であれば、ドロテイアはそれなりに従うようになっていた。
たとえそれが洗濯のような雑事であっても例外ではない。
「ええと、水道はどこだったかな――」
二人が洗濯物を抱えて部屋を出た、そのときだった。
「あら、あなたたちはシュウ様の……?」
暗紫色のポニーテールに、端正なメイド服を纏った女性が立っていた。
その所作はひどく丁寧で、まるで貴族のような気品を漂わせている。
「あ……」
「ん、誰だい? 全然覚えていないねぇ」
メディナは何かに気づいたようだったが、ドロテイアはまるで記憶にない様子だった。
「私はアリーシャ様の専属使用人、リゼット・リゾットと申します。王都へ向かう道中、私たちをお救いいただいたではありませんか」
「ああ、服を切り裂かれていたヤツか」
王都に到着する前、シュウたちは野盗に襲われていたアリーシャとリゾットを救っている。
そのため、この二人ともすでに面識があったのだった。
「……確か、ドロテイア様とメディナ様、でしたでしょうか」
「は、はいっ……」
「メイド服、とてもお似合いですよ。特にドロテイア様、あなたは本当によく似合っています」
「はッ……こんな窮屈な服……いちいち着なきゃならないなんて……アタシは最低限隠せていれば、それでいいってのに……」
使用人に特別な制服の規定はなかったが、シュウの趣味なのか、ドロテイアとメディナはメイド服を着せられていた。
ドロテイアのグラマラスな体つきはメイド服の上からでも際立ち、特に胸元は強調される形になっている。
一方でメディナは背も低く胸も控えめなため、どこか見習いメイドのような愛らしい印象だった。
「お二人は水道をお探しなんですよね? よろしければ、私がご案内します」
「あ、ありがとう、ございますっ」
リゼットの厚意により、二人は水道へと向かうことになった。
「ここにある洗剤は自由に使って構いません。あとは桶に水を汲んで、お好きなように使う形になりますね」
リゼットに案内された水場は、横に長くいくつもの蛇口が並ぶ場所だった。
隣には複数の桶が用意されており、それを使って水を汲み、衣類を手洗いする仕組みらしい。
「ええと……」
「手洗いの洗濯はご経験がありませんか?」
「はいぃ……」
「では私がご説明しますね。まずは桶に水を溜めて、このボトルの洗剤を数滴……あとは手で優しく揉むだけです。ただ、強く擦りすぎると生地が傷んでしまいますので、そこは気をつけてください」
リゼットは実際に手を動かしながら、二人に手洗いの方法を見せていく。
「〈ピュリフィケーション〉でも綺麗にはなるのですが、こちらの柔軟剤を使えば、より良い香りがついて仕上がりも良くなるんです」
そう言って、備え付けとは別のボトルを取り出し、数滴垂らしてさらに丁寧に揉み込んでいく。
しばらくしてから水を入れ替え、すすぎを行った。
「最後に、こうして――」
リゼットは指先からやわらかな風を生み出し、それを衣類へと当てる。
すると、服はみるみるうちに乾いていった。
「私、簡単な風魔法が使えるんです。こういうときに便利なんですよ」
「おお……」
「では、お二人もやってみてください」
ドロテイアとメディナは、教わった通りに洗濯を始める。
だが――
「こう……これでいいのか? すぐに破れそうな気がするが」
「主の服ですから、丁寧に扱ってあげてくださいね」
「ふむ……そうか、主さまの体を舐めるようにすればいいんだな」
「な、なにを……?」
この時点では、まだリゼットはシュウとの体の関係はない。
ドロテイアの言葉に少し戸惑いながらも、主従関係ゆえの表現なのだろうと受け取った。
「今回は私の柔軟剤をお貸ししますが、王都には色々な種類が売られていますので、ぜひお試しください」
「あぁ……なかなか良い匂いだな」
「はい、とてもいい香りです……」
借りた柔軟剤を使ってシュウの服を洗った二人は、思わず鼻を近づけて香りを確かめる。
ほんのりと花のような優しい香りが漂っていた。
「あとはアイロンがあれば完璧ですが、お持ちではありませんよね?」
「はい……持っていません……」
「では今回は私のものをお貸ししますので、こちらも王都で探してみてくださいね」
その後、魔道具のアイロンを使ってシワを伸ばし、服を整える。
二人はようやく一通りの作業を終えたのだった。
「ふぅ……最後にこれで……っ」
「ド、ドロテイアさんっ!?」
部屋へ戻り、シュウの服を畳もうとしたそのとき、ドロテイアが思いがけない行動に出た。
綺麗に整えたばかりの服を、自分の体に擦り付け始めたのだ。
「ふふ……これで主さまは、アタシの匂いを感じながら過ごすことになる……」
「なんだか、わんちゃんみたいです……」
「なんだい小娘? お前もやりたいのかい?」
「そ、そんなこと言ってませんっ! それより、せっかく整えたのにシワになります!」
「少しくらい構わないさ。どうせ着ればシワなんてできるんだからねぇ」
こうして、二人の洗濯生活が始まった。
とはいえ、仕事量はそこまで多くはなかった。
◇◇◇
とある日の朝のことだ。
「んん……暑い……外に出て風にでも当たるか……」
朝、目覚めたドロテイアは、涼しい外へ出ようと扉を開けて廊下に出た。
ゆったりとした歩きで廊下を歩いているその時だ。
「きゃあああっ!?」
「ん……?」
「は、破廉恥です!!」
通りがかった女子生徒がドロテイアの姿を見て、叫び声を上げたのだ。
なぜ叫んだのかといえばその通りで、ドロテイアはショーツだけ身につけており、それ以外は裸だったのだ。
褐色の肉感溢れる恵体。その胸部にある豊満な胸が晒されてしまっていた。
それを見た女子生徒が両手で目を隠しながら叫んだのだった。
「こ、ここは神聖な学び舎です! 服を! 服を着てくださいっ!!」
「ん……なんだい。私に文句でもあるのかい、小娘」
「あ、あなた使用人でしょう!? それなら主に恥じないような振る舞い――を!?」
修道服を着た女子生徒に近づいたドロテイアは、そのまま彼女を抱き寄せて自分の胸を顔に押し付けて口を塞いだ。
「生娘からしか得られない美味そうな精気を纏っているねぇ……ふふ、ほーれ。どうだい?」
「わっ、何をっ!? わぷ……い、息が……っ」
「まあ、このくらいにしてやろう。これ以上すると奴隷紋の効果が発動してしまいそうだからねぇ……」
ドロテイアの胸から解放された女子生徒は、尻もちをつき、廊下の床へとへたり込んだ。
彼女は顔を真っ赤にしたままなんとか立ち上がると、逃げるようにその場から去っていった。
「主さまに何か言われるかもしれない。とりあえず上くらいはつけておくか」
一旦部屋に戻り、胸部だけを隠したドロテイア。
しかし、それでも下着姿のような服装だったため、再び別の女子生徒に見つかり、叫ばれることとなった。