完全解呪のプリースト〜状態異常完治スキルで呪われた美少女を救うたび、俺への依存度がカンストしていく件〜【7/24第2巻発売】 作:pelca
「うめぇっ! ……おっさん! おいおっさん!」
「な、なんだ……」
「うますぎる! おかわりだ!」
「……あいよ」
勢いに押されて一瞬たじろいだおっさんだったが、素直な賛辞に表情を緩め、どこか誇らしげに次の皿を用意してくれた。
辺境の村だというのに、料理は驚くほど旨い。家庭の味とはまた違う、しっかりと腕のある料理人の技が感じられる味だった。――外の世界、やっぱり最高だ。
食事をしながら、『銀の刃』のメンバーについて詳しく話を聞いた。
捕まっているのはリーダーである剣士のグレン。そして今ここに残っているのは三人。背が低く赤髪ボブに童顔の魔法使いリシア。大柄で緑髪短髪のタンクのガロ。そして銀髪に清廉な雰囲気を持つ神官のエリナ。
Bがランクどの程度の実力なのか尋ねたところ、冒険都市ハレスの中でも上位に入る強さだと聞かされた。となれば、Aランク以上の冒険者というのは本当に一握りの存在に違いない。
そのBランクのパーティでさえ敵わなかったゴブリンクイーン。――やはり、あの魔物は相当な脅威なのだろう。
『銀の刃』の三人は一刻も早くグレンを助けたい様子だったが、暗闇の洞窟ではこちらも視界が悪い。そこでイリスの提案により、早朝にゴブリンの巣穴へ向かうことが決まった。
◇◇◇
「――やめてっ、もうやめてぇっ!!」
洞窟に響き渡るのは、牢に押し込められた女性たちの悲鳴だった。
複数のゴブリンが十人を超える女性たちを取り囲み、下卑た笑いをあげている。
その背後に、フードを深く被った小柄な影がひとつ。
「あなた! 助けてよ! あなたも同じなんでしょう!? ねえっ!」
「もう嫌なのっ! ゴブリンに犯されるのは……いやぁぁぁっ!!」
必死に助けを求める声。だが、その影――フードの少女は何も答えなかった。立ち尽くしたまま、牢の中の惨状を見ているだけ。
ゴブリンたちが一斉に襲いかかり、何度も躾けられた三つのメス穴が次々と肉棒で埋まっていく。
一度挿入されれば、精液を吐き出されるまで絶対に終わらない。
「んぐっ、んぐっ、んぐっ、んぐっ!?」
無理やりこじ開けられた口。ぐぽっぐぽっと何度も出し入れされる緑色の汚い肉棒。
女性たちは涙を流しながらもゴブリンたちの集団強姦が終わるまで耐えるしかなかった。
「お尻いやぁぁ! いだいっ、いだいっ!? 中に……中に出さないでっ……いやぁぁぁぁぁ〜っ!!」
同様に下半身も前後ろ同時に犯され、快感も痛みも混じった苦しい状況の中、為す術もなく精液を放出される。
全てのゴブリンが種付けを終わらせると、グギャギャと笑みを浮かべながら満足そうに牢から出ていく。
地面に倒れた女性たち。犯された全ての穴からゴポリと白濁液がこぼれた。
いつしか流す涙も枯れ、声を出す気力も奪われ、最後には眠るように気を失っていった。
「————っ」
背後で一部始終を見ていたフードの少女がギリ、と音を立てる。
噛み締めた唇の端から、赤い血が滲み落ちた。
◇◇◇
「マジかよ……」
遠くから聞こえるのは、女性たちの叫びとゴブリンの哄笑。
茶髪の剣士、グレンはその声にようやく気付いた。自分以外にも囚われた人間がいたのか、と。
視線を巡らせば、あちこちに散乱する白骨――人のものと思われる骸が転がっている。
「いったい何が……」
暗がりの奥でギラリと光る、ゴブリンクイーンの眼光。
遠目にも、その視線が自分の下半身を舐めるように追ったことを悟る。次の瞬間、唇の端が吊り上がり、笑ったように見えた。
「おいおい……あんなデカブツ……壊されちまうに決まってんだろうが……っ」
悔しさと恐怖が入り混じった言葉を吐きながらも、今のグレンにはどうすることもできなかった。
◇◇◇
――早朝。
俺たちは宿を発ち、合流すると馬車に乗り込んだ。ゴブリンの巣穴があるという洞窟の近くまで移動する。
小さな山の麓に大穴が口を開けていた。そこが目的の洞窟だという。
木陰から徐々に接近すると、入口に二体のゴブリンが見張りとして立っているのが見えた。
「どうするの……?」
リーダー不在のため、リシアが控えめに問いかける。だがイリスは最初から障害とすら思っていなかったようだ。
――バタリ。
二体同時に、見張りのゴブリンが倒れ伏す。
「――え?」
「な、何が起きたの?」
「……死んだ、のか?」
『銀の刃』の三人は声を揃えて驚き、目を丸くした。だが、理由を詳しく説明するつもりはない。
「――行くぞ」
俺は淡々と歩き出し、ロングソードでゴブリンの首を落とした。
よく見るとゴブリンの首に黒い首輪があった。
「ど、どうなってるの……」
「気にせず行きましょう。あのゴブリンたちも女神様の裁きを受けたのでしょう」
イリスの言葉で場は強引に収められたが、三人の心中には、深く追及してはいけないという空気が流れた。
洞窟の内部は無機質で、風が通っている。どこかに通気孔があるのだろう。自然のものというより、人工的に掘られた印象すらあった。
「シュウさん、一つお聞きしても?」
問いかけてきたのは神官のエリナだ。
「ローブの下に着ているのは……修道服、ですよね?」
「ん、ああ。俺が昔から着てるやつだ。体が大きくなる度にババアが文句言いながら繕ってくれたんだ」
「そうでしたか……素敵なお召し物ですね。ですが――神官なのに、剣をお使いになるのですか?」
神官……プリーストなのに剣を振るうのは珍しいらしい。
ジジイの趣味で俺は強制的に剣を握らされていた。
「剣は昔から使ってる。俺にとっては、これが一番の武器なんだ」
「……不思議なお方ですね」
エリナは首を傾げたが、それ以上は追及しなかった。
移動の合間、俺はイリスに小声で尋ねた。
「なあ、俺って神官なのか?」
「冒険者からすれば、修道服を着ている戦闘職は皆神官扱いですよ」
「へえ……」
なるほど。俺の知らない知識がまた一つ増えた。
なら、俺のプリーストというジョブはどんな意味を持つのか。階級のようなものが他にもあるのかもしれない。
「イリスのジョブは?」
「私は聖女候補ですよ?」
「…………」
称号のような扱いか? まあ今はどうでもいいか。
ちょうど分かれ道に差し掛かったところで立ち止まる。
「俺たちは前に左の道を行って、ゴブリンと戦闘になったが……」
「ここは私にまかせて」
ガロの言葉のあと、リシアが前に出る。
杖を掲げ、魔法を発動。
「<ウインドサーチ>」
淡い風が洞窟を駆け抜ける。
「便利な魔法だな」
「ええ。風に音を乗せ、生き物の位置と数を探る魔法です」
リシアは目を閉じて集中し、やがて口を開いた。
「……右よ。ゴブリンが数十体。それに……複数の人間」
「複数人?」
「グレン以外にも囚われている人が大勢いるのかもしれない」
それは充分に考えられることだった。人間ひとりで済むわけがない。ラノベで読んだゴブリン像を思い出すまでもなく、想像に難くない。
奥へ進むと、広大な空間に出た。
小型のゴブリンがざっと三十体。壁際には鉄格子の牢が並び、暗闇の中で鎖に繋がれた女性たちが身を寄せ合っていた。衣服はほとんど剥がされ、見るも無惨な姿だ。
「酷い……」
「グレンはいないか」
「助けるべきだ……でも」
「先に片づけるのが先決だ」
異論はなかった。助けを急いで逆に犠牲を増やすのは避けなければならない。
――<完全解呪・反転>
俺はゴブリン全員に<ぎっくり腰>をかけ、さらに<麻痺>と<毒>を重ねがけする。動けなくなったところで、次々と首を落としていった。
「無傷で三十体を一瞬……どうなってるの……」
『銀の刃』の三人はまたしても不可解な光景を目撃し、唖然とするしかなかった。
一段落し、牢へと歩み寄る。
だが――
「み、見ないで……っ!」
「えっ……」
中には十人ほどの女性たち。だが、近づいた瞬間、全員が一斉に顔を手で覆った。手錠に阻まれて隠しきれはしないのに、必死に顔を隠そうとしている。
「ど、どういうことなの……」
リシアが呻く。俺たちも息を呑んだ。
そこにいたのは、女性の体に似合わぬ――豚のような顔をした者たちだったのだから。