完全解呪のプリースト〜状態異常完治スキルで呪われた美少女を救うたび、俺への依存度がカンストしていく件〜【7/24第2巻発売】 作:pelca
「ふぐっ!? んぐっ!? ひぐぅっ!?♡」
セイラへの解呪がはじまって、今日で三日目――つまり、最終日だった。
あれからドロテイアの襲撃は一度もなく、平穏が続いている。
だが、それが逆に不気味でもあった。油断はできない。
目の前のセイラは、昨日・一昨日と同じように、恥じらいも隠さず下半身を晒し、俺の指を受け入れていた。
最初の頃よりも明らかに反応が敏感になっており、羞恥と快楽の間で震えるその体は、指を動かす度にビクンと跳ねる。
「やっ!? あ゙っ!? ふぐぅ、ふぐぅっ!?♡」
それでもセイラの態度は最初から変わらず、「早く終わらせてくれ」と顔を真っ赤に染めながらも、涙目で俺を睨みつけるように言った。
「今日でっ!? お゙わり゙ぃっ……だがらぁっ!? ん゙ほぅっ!?♡」
セイラは四つん這いのまま、必死に耐えていた。
ビクビクと身体を痙攣させ、ヒクヒクと尻穴をひくつかせる。
その呼吸が浅くなり、体の奥から震えが伝わる頃――俺は、もうすぐ終わりが近いと悟った。
「やめ゙っ!? ごれっ、グっ、イグっ!? ンホォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォっ!?♡」
人が出してはいけないような喘ぎ声を部屋中に響かせながら、最後にはベッドシーツを自らの体液でこれでもかと濡らしたのだった。
「お゙っ……ごっ……ぎっ、イ゙っ……あ゙っ……♡」
しばらくぴゅーぴゅーと下半身から透明な液体を吹き出したあと、セイラはばったりと力が抜けるようにベッドへと倒れ込んだ。
「…………解呪、完了……か」
三日に渡る尻穴調教――ではなく、呪いの解呪。
セイラも大変だが、俺もそれなりに大変だった。
疲れ果てた俺は、近くにあった魔力回復ポーションをグッと飲み干し、セイラの匂いがこびり付いた手を水道水で念入りに洗ったのだった。
――それから十数分後。
ベッドの上でセイラがゆっくりと瞼を開き、ぼんやりとした視線を俺へ向けた。
「……終わったのか?」
「ああ。これで呪いは完全に解けたはずだ。……身体の調子はどうだ?」
セイラは上体を起こし、自分の腕や腹部に手を当てながら、慎重に確かめるように感触を確かめていた。
指先を握ったり開いたり、軽く肩を回してみたり。
やがてベッドから降りると、深呼吸をして全身を伸ばし、関節を鳴らすようにして体の可動を確かめる。
「ぐっ、うぅ……っ」
「お、おいっ!」
突如セイラは腰が砕けたようによろよろと地べたに座り込んだ。
見ればお尻の辺りをさすっていた。
「し、心配するな……この程度で、私は……っ」
順調に回復しているようだ。だが、まだ尻穴をほじくられた感触が残っているらしい。
肩の力が抜け、俺も小さく息をついた。
「……身体から力が抜け落ちていく感覚がない」
「少しずつ魔力と体力を吸われてたんだったな」
どんな感覚かは想像もつかない。
けれど、そんな状態のままずっと耐えてきたのだと思うと、素直に尊敬しかなかった。
「え、ちょっ……おい!」
次の瞬間、セイラは壁に立てかけてあった騎士剣を手に取り、俺の前に構えた。
もう少し尻穴に優しい行動をとってほしい。
「――ハァッ! たぁッ! ふんッ!!」
「うおっ!? おいバカ! 当たるって!!」
風を裂くような音が部屋に響く。
俺の鼻先をかすめるたび、肌に冷たい剣風が走った。
一歩でも間違えば、確実に命はなかった。
「……力が、戻っている。剣が……思い通りに動く……!」
「おいおい……落ち着けって」
力強く剣を振っていたセイラだったが、ふいにその手から剣を離し、両手で顔を覆った。
肩が小刻みに震えている。
「くっ……うぅ……また、戦える……私は……神殿騎士としての人生を、諦めなくても……いいのだな……」
「…………よかったな」
崩れ落ちるセイラの肩を、俺はそっと支えた。
その頬を伝う涙は、彼女の未来への希望が現れている気がした。
「……シュウ、と言ったな」
「ようやく名前で呼んでくれたな」
しばらくして落ち着きを取り戻したセイラは、顔色もすっかり良くなり、凛とした雰囲気を取り戻していた。
彼女が丁寧に淹れてくれた紅茶の香りが、部屋いっぱいに広がる。
「……私はお前の解呪を受け入れはしたが、心の底から信じていたわけではなかった」
「まあ、それは仕方ない」
「だが――お前は本当に、私の呪いを解いてくれた。だから……感謝、する」
そう言って、セイラは姿勢を正し、深々と頭を下げた。
その姿を見て、初めて彼女に認められたような気がした。
「ああ。おっさんにも、ちゃんと報告してやれ」
「もちろんだ――」
そのとき見せた、ほんの一瞬の微笑み。
無骨な笑みだったが、不思議と胸が温かくなる。
笑うことに慣れていないのだろう。けれど、それがかえって彼女らしかった。
「――それで、話したいことがあるのだろう?」
核心を突くような口調。
俺が解呪前に告げた話を、ちゃんと覚えていたようだ。
「ああ。……ただし、神殿騎士のセイラには信じ難い話かもしれない。それでも、全部真実だ。聞いてくれ」
俺はこれまでに体験してきたこと、この街の裏でうごめく闇、そしてブルドグの悪行について、包み隠さず語った。
「…………」
言葉を重ねるごとに、セイラの表情は硬く、やがて怒りに変わっていく。
正義を信じる者ほど、悪を許せないのだ。
「――シュウの言葉が真実なら、見過ごすことはできない。それに、証拠品もあると言ったな?」
「ああ。だから――」
「明日、隊に戻ったら、私が直接報告する」
「セイラっ……!」
まさか、ここまで即断で動いてくれるとは思わなかった。
俺は思わず顔を明るくしたが、ふと不安を覚える。
「でも、明日って早くないか? まだ体は万全じゃないだろ?」
「いいや、むしろ今すぐにでも剣を握りたい。悪を浄化したくて、うずうずしているのだ」
「お前が大丈夫だって言うならいいけど、おっさんには先に言っとけよ」
「ああ、もちろんだ」
そして、最後に――俺はずっと胸の奥に隠してきたことを打ち明けた。
「……ひとつ、謝らなきゃいけないことがある」
「なんだ。わ、私を辱めたことか? それについては許しているわけではないぞっ」
顔を真っ赤にして言いかけるセイラを、慌てて制した。
「違う違う。……俺、教会の正式な所属じゃないんだ。治療院で働いてたのも、ブルドグの情報を探るためだ」
「……ふむ。続けろ」
「だから、今日で治療院は辞める。あと、身分登録は冒険者。ジョブはプリーストだ」
「…………異端審問行き、だな」
俺の暴露にセイラが真剣な表情で告げる。
「――冗談だ」
「真顔で言うなよ……」
肩をすくめると、セイラは紅茶を一口含み、静かに言った。
「……お前が私を治療したのは情報収集のためだったのか?」
「いや、違う。たまたまあのおっさんが治療院に来て、セイラのカルテを見てしまったからだ」
「なら、お前はただのお人好しだ。私は教会に所属する者。故に冒険者など野蛮な者共のことは好きではない。――だが、シュウ。お前は別だ」
その言葉に、胸の奥が少しだけ熱くなった。
「お前の行動は偽りではなかった。だから、そんな嘘ひとつで嫌うことなどしない」
「……助かる。人を騙すのは、性に合わないんだ」
「ああ、そんな気がしていた」
穏やかな空気が流れた。
俺は椅子から立ち上がり、セイラに背を向けて玄関へ向かう。
すると、彼女も立ち上がり、最後まで見送りにきてくれた。
「……シュウ。命を救ってくれて、ありがとう」
「命、大事にな」
「ふんっ、私を誰だと思っている」
その顔はもう、呪いに蝕まれていた時の彼女ではなかった。
瞳に宿るのは、神殿騎士としての誇りと、再び歩き出す覚悟の光――
ようやく、本来のセイラが戻ってきたのだ。
◇◇◇
「ん――君は……?」
セイラの家を出た瞬間、正面から大柄な影が現れた。
「あ……おっさん」
「セイラに会っていたのか?」
「ああ。治療院とは関係ない。個人的な用事だ」
豚顔――セイラにとっては父親代わりの男。
そういえば、俺がここに通っていたことは伝えてなかったな。
「セイラの様子はどうだった?」
「――あいつの病気、いや呪いは、もう解いた。元気になったよ」
「…………っ!」
その一言で、豚顔のおっさんの目が大きく見開かれた。
分厚い肩が小刻みに震え、握りしめた拳が静かに鳴る。
「きっとアンタに会いたがってる。早く顔を見せてやれ」
「シュウ……だったな」
「ああ」
「……ありがとう」
その瞬間だけ、豚のような顔がほんのわずかに柔らいだ。
人間味のある穏やかな表情に見えた――いや、元からこういう顔なんだろうけど。
俺は小さく息を吐いて、背を向けた。
「――待て。君の名前……家名を教えてくれないか?」
呼び止められ、足を止める。
「俺の名はシュウ・ミレイスター。東の森で、クソジジイとクソババアに育てられた変態クソプリーストだ」
どう考えても締まらない台詞を残し、俺は豚顔のおっさんと別れた。
◇◇◇
「――セイラ」
「豚、おじ……っ!」
扉が開いた瞬間、セイラは薄青の髪を揺らしながら、その巨体へと飛び込んだ。
この世界でただ一人、甘えられる相手。
血は繋がらずとも、心で結ばれた父のような存在――それがアラスターだった。
「元気になったのだな……」
「ああ、あぁ……っ」
少し前まで泣いていたはずなのに、また新しい涙がこぼれ落ちていた。
――ようやく心から流せた涙だった。
「アイツが、シュウが……治してくれたんだ……っ」
「先ほど、外で彼とすれ違った。……セイラ、よく頑張ったな」
「うぅっ……くっ……ぅ……っ」
セイラはしがみついたまま、子どものように声をあげて泣いた。
だが涙を拭うより先に、彼女には伝えるべきことがあった。
「豚おじ……話がある。どうしても伝えなきゃいけないことが――」
「ああ、わかっている。ブルドグの件だろう?」
「……どうして、それを?」
「昨日、ギルドマスターに会ってきた」
アラスターにもまた、彼女に伝えるべき報せがあった。
「昔、共に戦った仲間だという……?」
「ああ。そこで、シュウのことも少しだけ聞いたのだ」
「そう、だったのか……」
少し息を整えたセイラに、アラスターは静かに尋ねた。
「動けるのか? 病み上がりだ。無理はするな……とは言っても無駄なのだろうが」
「さすがは豚おじ。私の性格をよくわかっている。――明日から隊に復帰する」
セイラは決めたら即行動するタイプだ。
それは使命感というより、身体を動かすことが好きな性分でもあった。
「――昨日、ハレス支部に連絡を入れておいた。情報の共有も済んでいる。教皇様への書簡も送った。副隊長とも調整し、浄化作戦の決行日が決まった」
「……まさか」
「決行は三日後だ。ブルドグを異端者として拘束し、ハレスに所有する全施設を同時に押さえる」
「――さすが、豚おじだ」
その言葉にアラスターはわずかに口角を上げた。
その夜、二人は久しぶりに肩を並べ、日が暮れるまで他愛のない話を交わした。