完全解呪のプリースト〜状態異常完治スキルで呪われた美少女を救うたび、俺への依存度がカンストしていく件〜【7/24第2巻発売】 作:pelca
――<完全解呪>を使って、二人がかかっている『性器転換』の状態異常を治す。
フェルディが言ったのは、要するにそういう話だった。
二人の身に起きたことは、とんでもない内容だった。
さすがの俺も、こんなに可愛い少女たちの下半身に男のブツがついているなど、想像もできないが、なんというかかなり同情する。
「ちなみに、これ私の予想だけど……たぶん六ヶ月くらいはそのままだね。男根生活にはしばらく慣れてもらわないといけない」
「ろ、六ヶ月っ!!? ――あなた! 治せるなら今すぐ治しなさい!」
「シュ、シュウくん! 本当にお願いします! わ、私……このままじゃ変になっちゃいますっ!」
フェルディの不用意な一言で、アリーシャもミュウミュウも半泣きの勢いで詰め寄ってくる。
だが、問題があった。
仮に治せるとして、俺の<完全解呪>は直接触れることが、効果を発揮できる一番の条件。
しかも六ヶ月も続くような強い状態異常だ。触れずに治そうとすれば、どれだけ時間がかかるかわからない。
とはいえ、俺のスキルを二人に詳しく話すのは避けたい。
……いや、待てよ。さっきミュウミュウが「シュウくんなら回復魔法で」なんて言っていた。授業でも俺の回復魔法が普通じゃないことは知られている。なら、<完全解呪>をあえて回復魔法の応用として誤魔化すのもありかもしれない。
状態異常回復の基本は<キュア>。
俺は<キュア>を使えないが、その上位版が<完全解呪>のようなもの。
回復魔法だと偽装して扱うこと自体は、たぶん可能だ。
……とはいえ、試す前に確認しなければならない。
「二人を治すこと自体は問題ないと思う。だけど、俺の回復魔法にも制限があって……まずは確認させてくれ。手をかざすだけでわかるから」
「わ、わかったわ! 早くしてちょうだい!」
「お、お願いしましゅっ!」
俺は二人の目前に手をかざし、意識を集中させる。
すると脳内に、治療方法が流れ込んでくる。
そして、その内容を見た瞬間――
「はあああああああああっ!?」
「きゃっ、なに急に!?」
「ひ、ひゃあっ!?」
二人が肩を跳ねさせるが、仕方ない。
俺が叫んだのは完全に不本意だった。
なぜなら、スキルが指示してきた回復方法は――
―― 『男性器を擦ること』。
さすがに声くらい出るだろ。
「――それで、何かわかったの?」
「……わかった。わかったんだけど……お前たちには、ちょっと受け入れがたい内容でな……」
「はっきり言いなさいよ! こ、こんなモノつけて毎日過ごすなんて……絶対に嫌よっ!」
アリーシャの苛立ちも当然だ。
だが、問題はどう伝えるか。
俺だって、こんな説明をしたくてしているわけじゃない。
「フェルディ先生には悪いが……治療の様子を見せるわけにはいかない」
「な、なんでだい!?」
俺の<完全解呪>に興味を示しているような感じがした。
他の治療なら見せることは問題ない。だが今回はさすがに見せられる内容ではなかった。
「とにかくダメです」
「そ、そんなぁぁぁぁっ!!」
そもそもアンタがあんな危険物を所持しているのが原因だろう、とも思ったが、落としてしまったのはアリーシャだ。
ともかく治療方法も言えないし、ましてや治療シーンを見せるなんて絶対に無理だ。
別にフェルディが嫌いというわけじゃない。けれど、これは二人の名誉に直結する。
「…………夕方以降、二人の部屋に行っていいか?」
「あなた、正気? 女子の部屋に入るだなんて、万死に値する行為よ」
「内容が内容だ。三人だけで話せる場所が必要なんだ」
「…………アリーシャちゃん……」
ミュウミュウは、ほぼ了承の姿勢だった。
だが、アリーシャの男子を部屋に入れたくない気持ちも理解できる。
「……絶対に、治せるのよね?」
「それは保証できる。けど、治療方法が……ちょっとな。まずはそれを説明したい」
「………………わかったわ。でも、私たちの部屋で何かしたら、殺される覚悟を持っておきなさい」
「ああ……」
本音を言えば、その治し方自体が殺されてもおかしくない代物なんだが……。
とはいえ、今回の件は、俺が<完全解呪>を持っていたがゆえにフェルディが二人を実験対象にしたようなところもある。
ならば、最後まで責任を持って向き合うべきだろう。
そうして一度解散し、夕食後にアリーシャたちの部屋に集まる段取りになった。
◇◇◇
「――本来の目的とは違ったけれど」
研究室にひとり残ったフェルディは、机の引き出しから水晶のように澄んだ丸い珠を取り出した。
「面白いものが見れそうなのに、見逃すのはもったいないじゃないか」
一本の灰色の毛を落とすと、水晶の中に吸い込まれていった。
すると、そこに映り込んだのは――シュウと思われる人物の視界。
「対象の細胞をほんの少し採取できれば、この魔道具で覗けるのさ」
フェルディは不適に笑い、夜が来るのを待ち続けた。
◇◇◇
「――来たぞ」
コンコンとノックすると、中から返事があり、俺はそっとアリーシャたちの部屋へと足を踏み入れた。
男子が女子寮に入るには手続きが必要だ。
だが今回はアリーシャが事前に申請してくれていて、途中までは管理人の付き添いで案内されていた。
道中、すれ違う女子たちの視線が妙に刺さったが……普段いるはずのない男子が女子寮を歩いていれば、不審がられるのも当然だ。
そして、アリーシャたちの部屋は想像以上に女子の部屋だった。
基本的にはシンプルでありながら、私物は高級感にあふれ、並んでいる化粧品や小物もどれも洗練されていた。
一方、ミュウミュウのスペースは猫や犬のようなふわふわのぬいぐるみが占拠しており、ベッドの上に並んでいた。可愛いものが好きらしい。
「そこに座りなさい。――リゼット、この人にお茶を」
「あれ、リゼットも同席するのか?」
「シュウ様、失礼ながら私も立ち会わせていただきます。差し支えありませんか?」
「……問題ない。ただし絶対に他言無用で頼む」
予想外に一人増えたが、アリーシャの侍女なら変な心配はないだろう。
俺は中央のテーブルに座り、リゼットが淹れてくれた紅茶を口にする。
「……うまいな」
「当然よ。リゼットのお茶なんだから」
「アリーシャは淹れられないのか?」
「っ……わ、私だってできるわよっ!」
上品で落ち着いた香り。セイラの家で飲んだ紅茶を思い出させる味わいだ。やはり王家の持っている茶葉はレベルが違う。
「それで? わざわざ部屋に呼んだ理由があるんでしょう?」
「ああ、心して聞いてくれ」
ティーカップを置き、二人が真剣にこちらを見つめるのを確認してから、俺はゆっくりと言葉を選んだ。
「俺の回復魔法、特に状態異常に関するものだが、厄介なことに発動条件があるんだ。正確には指示されるんだ」
「そんなの聞いたことはない……けれど、あなたの魔法は普通じゃないから、少しは納得してしまうわね」
「理解してくれて嬉しいが、こうして他の人に聞かれない環境にしたのには、その発動条件に問題があるからなんだ」
「そ、それはどのようなものでしょうか……?」
ミュウミュウは期待で身を乗り出し、アリーシャはわずかに険しい表情で待っている。
「断っておくが、これは俺の趣味じゃない。あくまで魔法が要求する条件だ。だから、聞いても怒らないでくれ」
「……早く言いなさいよ。その条件とやらを」
本当に言いたくない。
だが、もう隠すことはできない。
「……二人の状態異常を治すための条件は――生えてしまった男性器を直接擦ることなんだ」
真剣な面持ちのまま、俺は二人にその内容を伝えた。
「――――――」
リゼット含め、三人に沈黙が流れた。
そして、俺の言葉がゆっくりと頭に浸透し、その意味を理解した瞬間――
「は、はあああああっ!? あ、あなた自分が何を言ったかわかってるの!? へ、変態! 変態のクズッ! ありえないわよそんなの!!」
「へ……へ? シュウくんが、わ、私の……その……を……? へ、へぇ……?」
アリーシャは真っ赤になって怒鳴り、ミュウミュウは混乱しすぎて目が回っている。
「……シュウ様がお二人の性器を、直接……」
リゼットだけは冷静に整理できたようだった。
「嘘じゃない。本当にこれしか方法がないんだ。俺の意思じゃなく、魔法がそう要求してくる。ほかに戻す手段を俺は知らない」
「だ、だって……そんな……股間を差し出すなんて……し、しかも、あ、あなたに……っ。無理、よ……そんなの……」
当然の反応だ。
ただ今回の状態異常は命の危機ではなく、半年後には自然に戻るらしい。
無理に俺を使わなくても、生きていける。
「……大浴場にも、入れなくなるじゃない……っ」
アリーシャが漏らした言葉に、俺は思わず反応した。
「ん……女子寮って大浴場があるのか?」
「あるわよ。……まさか、男子寮にはないの?」
「うそだろ……」
羨ましすぎる。
俺は風呂が好きだ。だから天然の温泉に入った時は嬉しかったし、また入りたいと思っていた。
女子寮だけにあるなんて差別だろう……羨まし過ぎるんだが!?
「……ま、とにかくだ。今すぐじゃなくてもいい。簡単に決められることじゃないしな」
そこまで伝えて、俺は席を立つ。
ここから先は二人の判断に委ねるしかない。
――だが、その時。
「――みゃあああっ……や、やりましゅっ!!」
ミュウミュウが真っ赤な顔で立ち上がり、叫ぶように言った。
「ミュウミュウ!? あなた……本当に理解してるの?」
「わ、わかってますっ! でも、このままじゃ……っ! 恥ずかしいです……けど……治るなら……お、お願いしたいです!」
「俺は構わない。できるだけ配慮はする。見えないように目隠しをするとか、な」
触られるのも、見られるのも抵抗はあるだろう。
それでも覚悟を決めたミュウミュウのため、俺もできる限りのことはする。
「お願いします……っ」
「場所は悪いが、ここを使わせてくれ。他に個室がないからな」
「……ミュウミュウ。本当に、いいのね……?」
アリーシャは心配そうに彼女を見つめていた。
ルームメイト同士、きっとそれなりに仲が良いのだろう。
最近転入してきた男に大事な場所を触れられるのだ。それが例え、本来の自分のものでなくとも、恥を捨てての行動になる。
「ミュウミュウ。準備ができたらベッドに横になってくれ。それとタオルでもなんでもいいから、目隠しできるものを貸してくれ」
「みゃあ…………」
ミュウミュウは恥ずかしさに震えながらも、ベッドへ向かう。
アリーシャとリゼットはテーブルの前に残り、背を向けて配慮。
部屋に残ったのは俺が変なことをしないか、見張りの意味もあるのだろう。
タオルを手渡されると、俺はそれで自分の目を覆った。
直後に聞こえてくる衣擦れの音。
ミュウミュウが修道服のスカートをたくし上げ、パンツを下ろす気配がした。
「わ、私が先に……やれば……アリーシャちゃんも……決心つくかも、しれません……っ」
「あなた……私のことを……」
「シュウくん……その、優しく……お願いします……」
「ああ。できる限りそうするつもりだ」
準備ができたミュウミュウが視界が塞がれている俺の手を取り、震えながら自分の股間へと導く。
「シュウくん……お願い、します……」
「……了解した」
俺は使えない魔法の詠唱をしながら、状態異常を回復するスキルを発動する。
「――<キュア>」
そう呟きながら、<完全解呪>を発動した。