完全解呪のプリースト〜状態異常完治スキルで呪われた美少女を救うたび、俺への依存度がカンストしていく件〜【7/24第2巻発売】 作:pelca
「な、なにドアを閉めてるのよっ! ……ニャン」
目の前の光景に耐えきれず扉を閉めると、すぐ中から声がしてドアが開いた。どうやら、猫になりきるのは無理だったらしい。
「お、お願いだからっ……私たちに、付き合って……にゃあん」
相当無理をしている。
顔は真っ赤なまま、それでも上目遣いで潤んだ瞳を向けてくる。
何と戦っているのかはわからないが、俺に向けられている行動の意味だけは嫌でも伝わってきた。
正直、逃げ出したい。
けれど、アリーシャもミュウミュウも、羞恥心を押し殺してまで俺のためにやっているのだ。
ここで背を向けるのは違う気がした。
それに……今日のアリーシャは、正直言って可愛い。
「少し、だけだぞ」
「ニャンっ!」
そう答えると、アリーシャはぱっと表情を明るくした。
本当に、彼女の考えは読めない。昨日までは、明らかに俺を毛嫌いしていたはずなのに。
性器を元に戻したことが、思っている以上に大きかったのだろうか。
「シュ、シュウくんは、こっちだニャ」
部屋に入ると、ミュウミュウが駆け寄ってきて、座る場所まで案内してくれた。
胸が当たっている……というより、この部屋全体に漂う濃厚な匂いのせいか、妙に落ち着かない。
「じゃあ、紅茶を用意するニャ」
「ああ……」
二人は慣れた手つきで紅茶を準備しはじめた。
じっと見つめられながら口に運ぶと、なぜか喉を通りにくい。
「なあ……マジで、どういう状況なんだ? 礼のつもりかもしれないけど、ミュウミュウは発情期で休んでたんだろ。男に会うのはまずいんじゃ……」
どうしても、この疑問だけは放っておけなかった。
「えへへ……えへへ……」
「って、ちょっと待て――!?」
発情期のミュウミュウは、異性を避けるため部屋にこもるはずだ。
その彼女が今、俺の左腕に絡みつき、頬をすり寄せてきている。
やがて動きは首元へ移り、くんくんと匂いを確かめるように鼻を寄せてきた。
「シュウくんの匂い、落ち着くニャ〜♪」
「ア、アリーシャ! これ、止めてくれ!」
「…………っ、ウニャンっ」
「はいいぃぃぃぃぃ――!?」
無理やり引き剥がすのは気が引けて、右側にいたアリーシャに助けを求めた。
だが彼女は、なぜか同じように俺の右腕へと絡みついてきたのだった。
ふにゃっとアリーシャの慎ましい胸が当たる。
それに、リゼットの時もそうだったが上品な匂いがした。
だが、その上品な匂いも彼女たちの下半身あたりから香る、別の匂いにほぼ掻き消されていた。
「……お願いだから……動かないでニャン……」
「おま、おまっ……何をして……って、うわああ!?」
さすがに危険を感じ、俺は腕を引いて距離を取ろうとした。
だが、その拍子にバランスを崩し、三人まとめて後ろへ倒れ込んでしまった。
「ねえ……これって、大丈夫ってこと、ニャン?」
「は……?」
「……ニャ……」
「なっ……!」
ミュウミュウは最初から止まる気がなかったらしいが、アリーシャのほうは俺に確認するように視線を向けつつ、思わず距離を詰めてきた。
そしてミュウミュウと同時に俺の首筋をぺろぺろと猫のように舐めはじめたのだ。
二人のメスの匂いに包まれ、思考までどこかへ引きずられそうになる。
明らかにおかしい。どう考えても普通じゃない。
だが、『性器転換』の状態異常は、確かに治したはずだ。
「――ええいっ!!」
「ニャ!?」
「にゃっ!?」
これ以上は見過ごせない。
俺は強引に二人を引き離した。
「さすがに説明してもらうぞ、アリーシャ」
「…………わかった、わよ……」
観念したように、アリーシャは口を開いた。
一方のミュウミュウはもう俺の声も聞こえていないほどらしく、ずっと鼻先を俺の体に擦り付けていた。ダメと言っても言う事を聞かない犬のようだ。猫だけど。
「あなたが治してくれた、あれ……多分だけど、遅れて出てくる効果があるの」
「マジか……」
「ミュウミュウの発情期がいつもより早い原因もおそらく。私も、それが原因で……」
「ん……ってことは、アリーシャも発情状態になってるってことなのか!?」
ドロテイアの『淫染呪』を思い出す。
あれも理性を乱し、異性を襲うほど正常な判断を奪う危険な呪いだった。
「あなたに治してほしいなんて、言えるわけないじゃない……だって、これ以上触れられたら……絶対におかしくなるもの……」
「だからといって、なんで俺をここに呼んだ」
「結局はあなたにしか頼れなかったのよっ……それに、それに……あの時の感謝をちゃんと伝えていなかったから……」
王都へ向かう途中、野盗に襲われた彼女を助けた時のことだろう。
確かに感謝の言葉は、素直ではなかったが、俺は気にしていなかった。
見返りを求めてやったことじゃない。
「リゼットからも……何か、聞いてるんでしょう?」
「まあ、少しだけどな……」
どうやら昨日のことも把握しているらしい。
俺は、アリーシャの境遇や性格について、少しだけリゼットから聞いていた。
王族向きとは言えない内向的な性格。
友達も多くなく、頼れる相手が限られていること。
前世の俺が六花以外の誰も友達がいなかったように、小さい頃はアリーシャもリゼット以外の友達がいなかったらしい。
そう考えると、どこかアリーシャに親近感が湧いてきた。
「私はあなたのこと、嫌ってなんかいないし……ちゃんと感謝もしてる……大事なところに触れられたことは、きっかけの一つ……でも、今のこの高ぶった状態が重なったら、もうあなたのことしか考えられないの……っ」
「アリーシャ……」
「だから……だから……私と……触れ合ってほしい……ニャン♡」
そう言って、語尾を戻しながら、潤んだ瞳で俺を見上げてくる。
「こんなこと言うのもアレだが、俺……他の女の人とも、関係を持ったりしてて……お前たちを相手にするのは、気が引けるというか……」
「それくらい……馬車で移動してる時からわかってた……神殿騎士の隊長様も、エリナ先生も……聖女候補のイリス様も、あなたと距離が近かったもの」
どうやら、全部お見通しだったらしい。
一緒に行動していれば、嫌でも目に入るだろう。
「クズみたいなことを言うが……責任なんてとれないぞ」
「……責任なんて、どうでもいいとは言えない……ただ、自分のはじめてになる異性は、もう、あなたしか考えられない――っ」
迷いのない、覚悟を決めた瞳だった。
ここまで言われているんだ。なら、俺の返事は――
「……わかったよ。アリーシャのその覚悟……それと、お前たちの今の状態を、俺がなんとかしてやる――」
そう言った瞬間だった。
「いただきますニャアアアアアッ!!」
「んむぅっ!?」
ぐいと押し倒され、ミュウミュウの唇が、俺の唇に押し当てられた。
この状況でも、俺がイエスというまでは我慢していたらしい。
彼女の柔らかな唇と熱い舌が、無理やり俺の歯の隙間をこじ開け、侵入を果たす。
「ミュウミュウ……っ」
アリーシャは驚いた様子で目を見開きつつも、視線を逸らさず、その様子を見つめている。
「っ……! お前ら……覚悟しろよ……」
ミュウミュウを引き剥がし、俺は立ち上がった。
そして、自分で修道服を脱ぎ、パンツ一枚の状態になってやった。
「みゃああああああ……っ!!」
「そ、それって……っ」
俺の股間が膨れている様子を見て、ミュウミュウは舌を出し、よだれをたらしていた。
一方アリーシャは、俺が興奮状態にあるとわかったのか、両手で口元を塞ぎながらも股間を凝視していた。
「お前ら二人とも、ベッドへ行け――」
顔が火照り、息を荒くしていたアリーシャとミュウミュウ。
俺は二人の手を引いて、ベッドへと誘った。