※この作品はR-18です。

早乙女らんまの特別な恋   作:ポーション

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 らんま、デートする。

 

 今日人生で初めて下着まで女性用を着用したせいか、性格まで変わった気がした。

 もちろん男であるという意識は保っているが、強い自分でいたいと思う気持ちと同じくらい、綺麗でいたいと思う気持ちが心の中に存在している。

 だから約束の10時の3時間ほど前から身支度をはじめ、それでも少し間に合わなかった。

 そんなに選択肢がある訳ではないのに、下着も服も悩みに悩んだ。

 最後にはかすみさんに泣きついて決めてもらった。

 

 下着はラベンダーの上下。もちろん今日が勝負ではないが、かすみさんに「白は普通すぎるわね」と言われたのでこちらにした。身につけて姿見で確認すると、我ながらいい女だった。女性の中には〈ブラは締め付けられている感じがしてイヤ〉と感じる人がいると聞くが、俺はまったくイヤな感じはなく、逆に安心感を感じた。いままで何度も女性陣からの忠告を無視してブラを着けなかったくせに…我ながら困ったやつだ。

 

 服は、アイボリーのハイネックセーターにブルーのワイドパンツを合わせたスタイル。スカートも履いてみたが、歩き方があまりに不自然で却下された。

 セーターはぴったりサイズで胸の膨らみがはっきりとわかる。男たちの視線を集めるにはちょうどいいが、やはり恥ずかしい。でもこれくらいでビビっていたらおしゃれはできないこともわかっているから、最後は覚悟を決めた。

 かすみさんにはメークまでしてもらった。「せっかく服を買ったから一度お出かけしたいと思って」とだけ言ってお願いした。当然デートだとは伝えていないが、勘のいい彼女だからひょっとしたら気づいているかも。彼女は何も言わず、何も聞かず、うれしそうに手伝ってくれた。

 お陰で俺は満足いく姿で五寸釘とのデートに向かうことができた。

 

 待ち合わせは近くのコンビニ。さすがに道場の前は近所の目がありあきらめた。

 俺が着くと、五寸釘はもう到着していてコーヒーを飲みながら待っていてくれた。

 車はごく普通の国産車だ。大学生だから十分だろう。

 「五寸釘くん、お待たせ♡」

 そんなこと言うつもりなどさらさらなかったのに、五寸釘を見つけるとついそんな言葉が口をつき、自分で赤面してしまった。

 まあ、五寸釘は五寸釘で、おそらく初めて見たであろう俺の本格的な女装姿?に驚いたのか、しばらく何も言えないでいたからお互いさまだ。

 

 今日、俺は自身の本当の気持ちをたしかめる必要があった。

 同窓会でふたりで会ってから感じていた気持ち。

 ─女になった時の俺は五寸釘が好きなのかも知れない─

 男の俺はあかねが好きだ。許嫁という不自然な形で出会ったが、共に暮らす中でいずれは結婚するのだろうと思っていた。

 ただ、五寸釘と再会してから男の俺は偽りで、女である自分が本当の自分であるような気がしている。

 こんな変な感情をそのままにしていればあかねに失礼だし、あかねと結婚したとしても上手くいかない。あかね自身も今の役割にやりがいを感じているから、無理に結婚のための帰国を促すこともできない。

 今日デートを通じて五寸釘への気持ちをたしかめてそれが本物であれば、素直にそれを五寸釘に伝えるつもりだ。

 

 デートは楽しかった。ふたりでアメコミヒーローのバトルアクション映画を見て、ハンバーガーショップでその感想を語り合った。

 映画を選んだのは五寸釘で、いかにも俺が好きそうな内容だった。

 単純だが普通に面白くてふたりとも満足した。

 その後ゲームセンターに行き、格闘ゲームで対戦した。実際のバトルだったら秒殺していたはずだか、五寸釘はゲームはなかなか強くて、戦いは互角だった。

 「早乙女くん、覚悟!」

 「どこからでもかかってこい」

 「早乙女くん、調子出てきましたね」

 「バトルと名のつくもので五寸釘に負ける訳には…」

 余りに盛り上り過ぎて気づた時にはギャラリーに囲まれていた。すごく恥ずかしくなって、慌てて五寸釘の手を引きその場から逃げ出した。

 

 そして最後に同窓会でも行った洋風居酒屋にふたたび足を運んだ。五寸釘は車の運転があり飲まなかったが、俺は勧められてこの前と同じようにカクテルを飲みながら話した。そしてふたたび眠くなった。

 数え切れないほどのシャツター音が聞こえた。盗撮は五寸釘のアイデンティーだ。被写体は以前はあかねだったが今は俺で機器はスマホに変わっていた。

 そして、この前の同じようなカウントが聞こえた。

 「ワン、ツウー、スリー…」

 この前とは違って、その声が五寸釘の声だとはっきりとわかった。

 さらに、

 「早乙女らんまは女になりたい、女になって恋をしたい、女になってキスをしたい…」

 そんな声が聞こえた。

 どうやら催眠術のようだ。しかし、それを嫌だとは思わなかった。

 「ああ、これで五寸釘の彼女になれるんだ」と思いながらその声を聞いた。

 素直に言えばうれしかった。

 

 眠りから覚めたのは送ってもらう車の中だった。

 「早乙女くん、起きた?」

 「ここは?」

 「今家まで送ってる途中。気分はどうでしょう?」

 「うん。良い、すこぶる良い」

 「早乙女くん、今日は満足してもらえたようですね」

 「もちろん…でも、まだ何か足りないものがあるような…」

 そこまで言った時道場が見えて車が止まった。恥ずかしくなって「じゃあ、今日は楽しかったよ」と言って車を出ようとした俺の肩が五寸釘の手で引き寄せられ……

気がつくとふたりのくちびるがつながっていた。

 全身が熱くなった。

 うれしかった♡

 「送ってくれてありがとう♡♡五寸釘くん、好きだよ♡♡♡」

 紛れのない気持ちを伝えると、五寸釘の顔を見ることもできずそのまま車のドアを開け、屋敷の中に走り込んだ。

 人に好きだと伝えることは当然初めて。もちろんキスも遊び以外じゃ経験ない。

 

 ファストキスが男になるとは思ってもいなかったが、これまでの俺の人生の中で、最高にキュンキュンした一日だった♡♡♡♡♡♡♡

 

 

 

 

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