無駄射ちご苦労様♡ 作:如月@カクヨムとなろうでも投稿しています
オリジナル:現代/ノンジャンル
タグ:R-18 ボーイズラブ 男の娘 主導権逆転 ゴスロリ 誘い受け 精神的優位 執着 倒錯的 依存 精神汚染
それ以外の説明要りますか?
「お兄さん、暇?」
夜という闇に包まれた公園で、男は少女から声をかけられていた。お兄さんという音に含まれた高音ながら重厚な声は男の耳をしっとりと包みながら、離れられない情欲の色を感じさせた。
そんな少女の掛け声にスマホを見ながら歩いていた男は顔をあげて、少女の姿をその目におさめた。典型的なゴスロリ服とでも言えばいいのか、過剰なまでにフリルやリボンと言った黒の装飾を身に纏わせた少女は闇と同化しているようでありながら、男にその鮮明な輪郭をこれほどまでに写し取らせていた。
「ん?君は誰?」
「私?......知りたい?」
「まぁ......。」
男は上から下まで少女の姿をじっくりと見下ろす。全身真っ黒な姿の中、引きたてるように晒されたミニスカートの下の脚は健康的な色をしており、また肌寒い空気にさらされた腕も美しかった。
少女は男の視線に身を捩らせながらも、その目には確かな情欲の色を乗せている。その目は男をエモノとして見定めており、消して離さないという執着さえ感じさせる。
そして、少女は一通り自分の身体を男に見下ろされたのを感じると、男にすっと自然に寄りながら、黒と黒の目をじっとりと合わせる。視線が絡み合い、男が視線を外そうとした瞬間、それを引き留めるように少女の指は男の口元に寄せられ、上目遣いになるように言葉を発する。
男は少女から受け取る異様ながら、熱く、心地よい情欲に興味の色をそそられ、少女の目から逃れるのを忘れて、その奥を覗き込んでいるのだった。
「なら、いいところ行かない?」
「……いいところ?」
ふわりとバラの香りが少女の身体から立ち昇り、男の鼻をくすぐった。その匂いのバラの中に確かな情欲の香りを感じながら、少女と男は目を絡ませ合う。
男の意図を探るような視線に少女は口元に弧を描きながら、その目を細める。男が意図を掴めないまま少女の瞳の奥に目を集中させるたび、少女の目にはぞくりとした官能を宿らせていく。
「......ふふっ、分かっているのに聞くんだ。」
「いやっ......!!」
明らかな情欲に、夜の闇という空間、それに男と少女という一組の記号。これが合わさっていれば、推測するまでもなくどういうことか分かるだろうに、男はその見透かされたような官能的な微笑みに身体を少女から離そうとする。
それは欲望を言い当てられたからか、もしくは自分が正しい人間だと信じたいからか、それともただ飢えていないという見栄をはるためか。いずれにしても、男は少女の眼の奥にある暗い闇に囚われて、その瞳からは逃れられていない。
「いいんだよ。お兄さんの想像しているところで合ってるから。ね?」
男の欲望も、卑怯な否定も、見栄もすべてを包み込む様な圧倒的な抱擁感。逃れられない全肯定に男は少女から距離を取ろうとしていた身体を硬直させ、一歩さらに踏み込んだ少女の髪が男の身体に触れたのだった。
ざーざー、二つ部屋の中には少女がシャワーを浴びる音が克明に響いていた。少女は腰まで伸びた黒い髪を水で濡らす。水の跳ね返る音は反響して、少女のこれからの楽しみを増幅しており、急かす気持ちを抑えるように心臓に手を当てている。
一方で、男はごくりと生唾を飲んだ。男の耳にはざーざーという水の音が反響して、脳にこれから起こることを鮮明に浮かび上がらせる。そして、またごくりと唾を飲み込み、必死にシャワー室から視線を逃そうと俯いている。
だが、ざーざーという音がぴたりと止まると、男の目は自然にシャワー室の扉へと向けられており、少女の帰還を今か今かと待ち構えている。
――――――ガチャリ。はっと、その音に男は意識を取り戻し、しかしその瞳は出てくるであろう少女の輪郭を逃すまいと扉に向けられたままである。
「お待たせ。」
少女の声はひどく美しかった。この異様な空気感の中で出されるあまりにも普通な声音。その声音がしんと静まる部屋に響き、二人の輪郭を強制的に浮き出させる。
男はあまりに普通な声に圧倒され返答をすることも出来ていない。そればかりか、呼吸をすることを、思考を回すことを、血液の循環さえも止められ、次の瞬間にどっと再稼働して、今の普通な異常を捉え始めた。
「お兄さん、大丈夫?」
「あ、ああ。大丈夫……。」
少女の声に男は辛うじて声を出すが、本人は何を言っているのかも分かっていないだろう。ただ、少女の圧倒的な存在感と過剰な装飾をしたゴスロリ服に飲み込まれていたのだ。
すとんと少女は男の横へと座り、いかにも普通のように男の足にすらりと伸びる手を置く。その少女の手の感触にびくりと身体を跳ねさせながらも、男は伝わってくる少女の熱を受け入れていた。
さわりと動く手にごくりと唾をのむ音。黒と黒の瞳は合わさり、二人の空気感は異様な熱を含んでいく。より際どく、より大きく、より深く。二人の距離は少しずつ、少しずつ近づいていく。
「ね、どうかな?」
「うっ、あ。」
さわりとズボンの上から少女は男を触る。その感触に男は思わずうめき声をあげながら、少女の瞳へと乞う様な目線を向ける。その実、少女の奥を覗くよりも感覚が先鋭となっており、男の背筋をぞわりと立ち昇る感覚が支配する。
その男の様子に少女は増々情欲の色を濃くして、さわり、さわりとズボンを撫でる。男らしい硬さに倒錯的な笑みを浮かべながら、そのリズムはどんどんと早くなっていく。
少女に急かされるように男は少し腰を浮かせて、はっ、はっと少女のリズムに同期していく。男は自分でも抑えられない感覚に動揺しながらも、その感覚に深く入れ込み少女の動きに沿ってしまう。
「……ふふっ。」
「ふっ、ふっ。」
ジッーという音が鳴り、男の熱は急速に冷まされる。しかし、それとは反比例するように男から発せられる熱はより熱く燃えあがり、男はその熱に動かされて、その場に立ち上がった。
少女に驚きはなく、ベッドに座ったまま男の瞳を奥深く見透かすように見つめている。そんな少女を男は半ば怒りのまま手を引っ張る。
しかし、そんな行動さえも少女の表情を動かすことはなく、ただ情欲に塗れた己を表面に出しただけだった。そんな男に少女はただ微笑み、男の望むようにそっと身体に触れる。
「うっ……。」
男の硬い肉体と少女の柔らかい手が合わさり、少女の冷たい手が男の熱に合わさりドクンドクンと混じり合っていく。すりすりと肉体を擦る少女の手に男はうめき声をあげながら、物足りなさそうに少女の頭を軽く掴む。
そんな男の行動にも少女は流れるように身を任せて、その人形のような美しい顔を男の身体に近づけていく。男の身体と、少女の顔が近づいていき、ちゅっと音を立てて唇が身体に触れた。
少女の熱が、少女の匂いが、少女の粘液が男の身体に混じり合わされていく。男は少女の感触をその身体で受け止めながら、髪の毛に手を絡ませて、少女の行動に翻弄されている。
「あっ、……ぁあ。」
「ふふふっ。」
ぺちゃり、ぺちゃりという音が男の耳に届き、そしてその音はエコーのように反復されて頭の中をぐるぐると巡る。
少女はその男を上目遣いになりながら、男と視線を合わせる。質量と熱量の籠る男の瞳は少女の瞳にぶつかり、暗闇の中に吸い込まれる。少女は男から視線を受け取るたびその身体に湧き上がる情欲をぶつけるように、男の身体を執拗に撫でまわす。
早まる少女の身体に男は耐えがたい感覚に飲まれながらも、少女の頭から手を離すことはなく、そればかりか自分の体により近づけようと力を入れている。
ぺちゃり、ぺちゃり。男の頭と身体は自分の血で沸騰するかのように熱を持ち、ドクンドクンと心臓の音がより早く、より大きくなっていく。
「……うっ。」
――――――どくん。と男は一際大きな心臓音を立てて、思わずぐっと少女の顔を自分の肉体に押し当てた。男は少女と自分が混じり合い、溶け合う感覚にぞくりと身体を震わせながら、どくんどくんと心臓音を立てる。
そっと少女の頭を解放した男は蠱惑的に笑う少女から目を離せなくなる。体内の熱を放出するように官能的に開けられた口に男は目線を吸い寄せられて、そんな男の目線の先で少女はごくりと唾を飲み込んだ。
その様子を見ていた男もまたごくりと唾を飲み込み、放出したはずの熱がどくどくとその身体を包みこんでいた。
――――――どさり。男は思わず少女の身体を押し倒す。それに対して抵抗もせず、むしろ受け入れたように自然と少女は男の行動を受け止めた。少女は身体をベッドに投げ出しながらも、男を受け入れるように手を広げている。
その少女に男は瞳孔を開かせながら、少女の肢体の隅から隅まで眺めていく。人形のような顔、すらりと伸びる手、健康的な脚。黒のゴスロリ服や瞳と対照的な色に男は身体をベッドへと寄せる。
男は冷たい少女の足に触れて持ち上げる。その男に少女は視線を投げ掛けながらも、男の手の感触に身を委ねて、さわりと脚にまでのびる手のぞわりとする感覚に任せた。
「「……。」」
男は足の先から脚の付け根まですすっと動かしながら、また足の先まで手を戻す。そのもどかしい感触に少女はぞわりと身体を震わせながら、先鋭化する皮膚の感触に、聴覚に心も震わせる。
いくらか脚を撫でて満足したのか、男は少女の身体を跨いで四つん這いになる。その男に少女は情欲を隠すことなく、じっとりとした粘着質な視線を向けて男の行動を待っている。
少女はそっと顔に伸びる男の手にすりっと顔を寄せ、あたかも愛おしそうに顔を擦りつける。男は為されるがまま少女の身体を受け入れながら、上から少女を見下ろしていた。
「いい、よ。」
「……。」
少女の声に男は答えることはなかった。ただ、自分の欲情のまま顔と顔を寄せて、ちゅっと音を立てる。ちゅっ、ちゅっと部屋に音が響くたび、男の身体に重力がかかっているように少女に引き寄せられる。
男の身体と少女の身体が重なるとちゅっ、ちゅっという音の感覚は短くなり、長く深くお互いの息を交換し合う。男の身体はもはや自重も支えられず、全体重を少女へと預けている。
そんな男を少女は心地よさそうに受け入れながら、男の顔を撫でてまた深くちゅっと音を立てた。
「ふっ、ふっ。」
「……。」
ぺろりと少女が自分の唇を舐めた。それが合図だったように男は少女の腕を痛いほどに掴む。ぎりっと歯を食いしばりながらも、少女のゴスロリ服に手をかける。
しかし、少女はその手を止めてしまうとその手を誘導して、脚へと持っていく。そして、その手を少しずつ、少しずつ上へとあげていき、男は少女の身体の感触に手を止めて、理解が出来ないように無になった。
「ぁ……?」
「ふふふっ、騙された?……いかり、ぶつけていいんだよ。」
男の首に少女は腕を巻き付けて、その耳元を熱で犯しながら微笑みを浮かべる。反響する音は男に意味を理解させるには至らず、ただ少女の吐き出す熱と声に全身を浸らせている。
しかし、次の瞬間カッと男の頭に火が昇る。熱が身体に伝染して、少女の腕を掴む手はより強く握られる。昏い感情と異様な熱が合わさり、男の輪郭は激しく揺れる。
少女は蠱惑的に笑った。少女は倒錯的に笑った。少女は官能的に笑った。
「くそっ……!!くそっ!!くそぉおおおお!!」
男は怒りに身を任せた。少女の身体を蹂躙しようと、逃げられないように手を、脚を抑える。しかし、そんなことをしなくても少女は受け入れている。ただ男の行動を見守るように向けられる少女の黒の瞳に男はさらに熱を上げていく。倒錯的な感情を誤魔化すように。
男は少女の身体を裏返す。四つん這いになった少女はしかし、反抗することはなく、それが男の熱をさらに上げていく。怒りとも、情欲とも違う感情。それに男は突き動かされるように少女をめくりあげる。
男が振れる熱は確かに人間のものであるが、男の異様な熱がそうさせるのか、少女の身体は寒々とした冷たさを男に伝える。それと同時に熱と冷たさが混じる感触に男は官能的な感情を感じたのだ。
「……しないの?」
「……っ!!」
男はいとも簡単に少女の身体を蹂躙しようと自分の身体を少女の身体に合わせる。だが、少女の底知れない闇に身体と熱が包み込まれて、男はぐらりと頭を眩ませながら、必死に自分の輪郭を保とうと、少女の身体を弄ぶ。
でも、深い闇に包まれた輪郭は深く暗く落ちていき、男は行き場のない感情を必死に少女へとぶつけていく。
男が身体を少女に寄せるたび少女は呻き声を出し、男が少女から身体を離すたび少女は引き留めるようにか細い声をあげる。
「んっ……あっ。」
「くっ……そ」
もはや男は口だけの怒りしかなく、自分でも分からない感情に支配されている。少女が自分によって声をあげるたび、男はその声に耳を持っていかれ、朱に染まった少女の耳を見るたび、瞳の情欲の色を深くする。
また、髪から立ち昇る匂いはバラの香りを感じさせず、少女元来の動物的な匂いが男の鼻をくすぐった。熱を交換すれば、耳が侵され、眼を昏くする。それに鼻が少女の匂いを取り入れると、男は少女との輪郭がなくなったように身体を支配される。
支配された身体は男の身体の動きを早くして、より深く、より強く少女との輪郭を消してしまう。どろどろに解けあう二人の情欲と肉体は二人を極限まで研ぎ澄ませる。
「ぁ、ん……。はっ、あぁっ……。」
「はっ、はっ、はっ。」
ドクンドクンと男と少女は鼓動の音を同調させる。そして、その音に呼応するように二人の身体のリズムも合致していき、二人特有のリズムへと変換されていく。
ドッドッドッ。心臓が強く響くほど身体も強く。どくんどくん。心臓が大きく響くほど身体も大きく動く。ドクンドクン。心臓が無機質になると二人はただ、肉体に操れるように身体を合わせる。
「あん。あっ、あっ、あっ。」
「んぐ。ふっ、くっ、はっ。」
男は少女の上半身を引っ張り、上半身を持ちあげる。そのまま頭を掴むと、彼女の顔に自分の顔を近づけていき、ちゅっ、ちゅっと音を立て始める。
そして、その音は段々と深くなっていき、ぺちゃり、ぺちゃりと粘着質な音を立てていく。少女の情欲はより一層燃え上がり、男の身体を深く受け入れていく。その感覚に男は恍惚としてより深くまで入り込もうとする。
「あっ、あっ、あっ。あっ……。」
「ぐっ……くそっ、くそっ……!!」
――――――どくっどくっどくっ。二人は身体の動きを止めて、その身体を密着し合う。熱はもう交わり、情欲も完全に同化している。深いつながりに二人は何よりもぞくりと身体を震わせた。
男から少女に注がれるのと反対に、男は少女にあらゆるすべてを受け入れられていた。情欲も、身体も、行動も。その全てを彼女の深い闇へと注ぎ込んで、ふっと身体の力を抜いた。
――――――無駄射ちご苦労様♡
男の耳には現実には聞こえていないはずの声が聞こえており、少女はただ普通の顔で男を抱きしめていた。