※この作品はR-18です。

依田芳乃、おまんこ拡張G挿入縫い付け事件 信仰の贄器となって   作:高牧園

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第1話

 ――意識を取り戻した時、依田芳乃は白い空間にいた。

 

「ここは……?」

 

 頭は霞んで、これまで何をしていたかもうまく思い出せない。覚醒直後で目の前がぼんやりする芳乃だが、空間に満ちる不可思議な気だけは感じ取れた。

 

(悪しき、しかして純粋なー……?)

 

 純粋な黒とでも言うべき気が支配するこの空間は、白一色で統一されている。

 部屋の広さはレッスンスタジオくらいだろうか。芳乃の視界に入る天井や壁、ドアに至るまで真っ白。白しかない空間はどこか寒々しく、芳乃は静かに身震いをひとつ。

 

「……、……!?」

 

 その瞬間、芳乃は遅まきながら自分が全裸であることを理解する。

 

「な、……!?」

 

 驚きの声を上げる芳乃は、同時に意識を取り戻す直前のことを思い出した。

 道端を歩いていて、白い服を着た男性に話しかけられたのだ。困りごとの気配を悟って彼の話を聞こうとした時、後ろから何者かに襲われ、何かの薬品を嗅がされて意識を失った――状況から考えて、芳乃に話しかけた男と、後ろから襲いかかった何者かはグルだったのだろう。

 

(な……なぜ、服を脱いで……!?)

 

 真っ白な部屋で裸身を晒す芳乃は、みるみるうちに全身を色づかせる。

 意識を失っている間に衣服を奪われただけでなく、身体の自由まで奪われている。何かの台に仰向けに乗せられた芳乃は両腕を頭の上で束ねられている。指先くらいは動かせるものの手首をまとめて縛る拘束具には指すら届かず、腕を動かそうとしてもカチャカチャと小さな金属音を鳴らすのがせいぜいだ。

 

「これ……っは、果たしてー……?」

 

 両手の拘束具を外そうと腕を揺らしながら、芳乃は自分の下半身に目を向ける。

 下着すらも奪われ、芳乃の下半身は丸出し。左右の足首に着けられた拘束具からはこれまた白い鎖が伸びて、鎖は天井から吊るされているらしい。

 

「み、見えて――」

 

 カアッと頬を赤くするのは、芳乃の足側の壁にドアがあるから。

 大股開きで固定された芳乃の恥ずかしい場所はドアに向けて開帳されている。仮にドアから誰かが入ってくれば、その者はすぐさま芳乃の陰部を目にするだろう――そんな嫌な想像に至った瞬間、ドアが開いた。

 

「!!」

 

 ドアの向こう、これまた真っ白な廊下から現れたのは、和装の男たちだった。

 上下白の作務衣を着た男が十数名。最後に部屋に入った男だけは物々しく着込んでいて、芳乃にはその男が着ているのが衣冠単――神職の者が大きな祭典などで用いる正装だと分かる。

 

(しかして……白とは……?)

 

 何重にも着込む単から冠に至るまで真っ白というのは、見たことも聞いたこともない。

 偏執的なまでに白で統一された空間も、芳乃が知る信仰の形に似ているのに違う。強烈な違和感に胸騒ぎを覚える芳乃の前で、部屋に来た男たちはみな秘所に目を向ける。

 

「これが、此度の器ですか」

「形も色艶も申し分ありませんね。楽しみです」

「……っ」

 

 囁き合う彼らの言葉に、芳乃は自分がどんな格好でいるのかを思い起こす。

 手足を拘束されたうえ大股開きの全裸で、芳乃の足側に整列する作務衣の男たちはみな女性器に視線を注ぐ。

 眼差しは熱心だが、そこに情欲の色は無い。作務衣姿の彼らは芳乃の恥部を見ても性的な興奮は覚えていないようだが、性とは別の昂りを覚えているようにも見える。

 

「……そなたらはー、何用で、このようなことをー?」

 

 羞恥と不安を覚えながらも、芳乃は彼らに問いかける。

 

「聖別御器です」

 

 答えたのは、衣冠単を纏う男だ。

 彼は神官に類する立場なのだろう、口を開くだけで作務衣の者たちの空気が締まる。整列する男たちとは違い、神官だけは芳乃の頭側に回り、台の上に拘束された芳乃の顔を覗き込む。

 

「せいべ……?」

 

 神官の言葉に心当たりがなく、芳乃は首を傾げるのみ。

 芳乃の知る祭祀にそのような言葉はない。何をするつもりなのか理解できずにいる芳乃に、神官はわずかに微笑んで。

 

「いずれ分かることです」

 

 そうとだけ言うと、作務衣の男たちに何やら合図を出した。

 

「承知いたしました」

 

 何も分からないのは芳乃のみと見えて、作務衣の男たちは淀みなく動きだす。

 列の前にいた男のうち二人が芳乃の両足のそばに控え、芳乃の足首を戒める鎖を掴む。ジャラッと重い音を立てて鎖が動くに従って、鎖に繋がれた芳乃の脚も動きだす。

 

「な――」

 

 鎖は芳乃の頭側へ。

 脚がますます大胆に開いても男たちは止まらない。鎖が引っ張られるままに芳乃の臀部は台から浮いて、仰向けのまま秘部を天井に向けて突き出す姿勢となってしまう。

 

「っ……なにを――」

 

 あまりに恥辱的な体勢にさせられて、芳乃の頬が燃え上がる。

『まんぐり返し』の語を知らない芳乃であっても、この格好がとんでもない辱めであることは理解できる。全裸の芳乃の両足首は頭の横まで持ち上げられ、手首を繋ぐ枷と鎖は繋がれたらしい。

 作務衣の男二人が列に戻っても芳乃は不自然な格好のままだ。芳乃を頭側から見下ろす神官には、女性器から裸の胸、さらに赤らんだ顔まですべてが見えているだろう。

 

「この格好は……あまりにも、あまりにも……!」

 

 恥ずかしさに息を詰まらせ、目を潤ませて神官を見やる芳乃。

 幼さの残る顔いっぱいに羞恥を滲ませる芳乃の姿を前にしても、神官の眼差しは凪いでいる。芳乃をこんな状況に追い込んでなお穏やかな様子は不穏そのもので、芳乃は狼狽を隠せず神官に呼びかける。

 

「いかなることであろうともー……このようなことは、決して許されることでは――!」

 

 必死に言葉を紡ぐ芳乃の身体の上に影が差す。

 

「……!!」

 

 神官から男たちに視線を戻せば、彼らは芳乃のすぐ近くまで迫っていた。

 芳乃が乗せられた台は彼らの腰ほどの高さ。仰向けになった芳乃を取り囲む男たちはやはり芳乃の女性器にばかり視線を向け、遠慮なく性器を見つめる。

 

「何度見ても、理想的です」

 

 誰かが呟けば、男たちは一斉に頷く。

 この得体の知れない一団は、女性器の理想形を共有しているのだろう。それに照らして考えれば芳乃のヴァギナは完璧なものと言えるようで、彼らは性欲のない熱視線をしきりに秘所へ向ける。

 

 確かに、芳乃の秘所は整ったものだった。体つきの華奢さに反して秘部の肉はふっくらと盛り上がり、まんぐり返しにされても陰唇はほとんど開かず綺麗な一本筋を保っている。

 

「ぅ……うう……っ」

 

 彼らの視線に灼かれた気分で呻くも、四肢を拘束された芳乃は無力そのもの。

 膣をあらわにした姿勢で動けずにいる芳乃は恥ずかしく仕方ないのに、毛が生えていない秘所を隠すすべは何一つとして無かった。

 

「では、器を用意いたしましょう」

 

 神官がそう言わなければ、作務衣の男たちはいつまでも芳乃の割れ目を見つめていただろう。

 芳乃の頭の後ろでゴトっと音が立つ。後頭部に軽い衝撃を受ける芳乃だが、頭に何かされたわけではなく、台の収納が開いたために起こったもののようだ。

 

「皆様はこちらを」

 

 柔和な口調の神官は、束で掴んだ細い棒のようなものを作務衣の男たちに配る。

 

「……それは、果たしてー……?」

 

 それの正体が芳乃には分からない。

 細長い棒はパフェスプーンよりさらに長いくらいで、先端にいくにつれて細くなっている。針のようになった先端は鉤状に曲がり、鋭利な先は見ているだけで禍々しいものが感じられる。

 

「キュレットはお持ちになりましたね」

 

 全員にソレ――キュレットが行き渡ったことを確認する神官。

 キュレットは掻き取るための医療器具。体の組織や異物を掻き取るソレを手にした男たちは、鋭い先端を芳乃の膣に向ける。

 

「!!」

 

 状況が頭の中で噛み合って、芳乃は今から何が起きるのかを理解する。

 

「お、おやめになるがよろしいかとー……! あってはならぬことでしてー、そのような悪しき行いは――!」

 

 穏やかな色を帯びた瞳が見開かれ、いつも通りの口調ながらも必死で言葉を紡ぐ。

 彼らの視線が注ぐその場所は、何の侵入も許したことはないのだ。いくら細いキュレットの先端とはいえ、十数人がかりで挿入されてしまえば貞操の証は奪われる――恐ろしさに芳乃は必死にかぶりを振るも、神官は気にした風もない。

 

「では参りましょう。御器様のために」

「御器様のために」

 

 それが彼らなりの聖句なのか。

 言葉とともに、神官は芳乃の陰唇を指で広げた。

 

「っ……!!」

 

 息を呑む芳乃のラビアが強制的に開き、膣口があらわになる。

 普段は空気に触れるはずもない粘膜に外気が触れて、芳乃も自分が膣穴を晒したことを理解する。室温は全裸でいても寒くない程度に保たれているのに肌は粟立ち、寒気は止まらない。

 

「な、にを――」

 

 声は震えていた。

 芳乃の更に深い場所にまで視線は注がれる。神官の指にラビアを広げられても膣口は小さく、指一本も挿入るか怪しい。小さくしか開かない膣の中を見ることは叶わないからこそ、芳乃がまだ清いことが感じ取れる。

 

「皆様、どうぞお開きください」

 

 神官が促せば、キュレットの先が膣口に迫る。

 

「やめ――」

 

 言うより早く、何本かのキュレットの先端が膣口に触れた。

 

「ぅ……!」

 

 キュレットの冷たさが秘所に触れて、慄然と声を漏らす芳乃。

 鉤状の先端のいくつかは芳乃の膣口に引っ掛けられ、左右に穴を広げだす。貞淑な秘所はぎこちなく、無理な柔軟体操をした時のような肉の違和感が芳乃を襲う。

 

「いっ……!」

 

 痛みは何重かに襲いかかる。

 鉤爪の先端が膣口に引っかかる鋭い痛みに、膣穴を広げられる痛み。それがキュレットの数だけ襲いかかるのだから、芳乃は目の前が赤く明滅してしまう。

 

「う――あ、う……っ!」

 

 呻く間にキュレットが何本も膣扉に引っ掛けられ、芳乃の膣はいびつながらも広げられる。

 濡れていない膣の行く手を阻むように処女膜があるも、誰かがキュレットを突き入れて膜を破る。

 

「――!!」

 

 これまでとは違う鮮烈な痛みに、芳乃は言葉にならない悲鳴を上げた。

 見開かれた瞳に涙の膜が張る。初めて感じる痛みなのに何が起きているのかはハッキリと感じ取れて、こんな形で貞操を奪われたショックにどこまでも落ちていくような心持ちだ。

 

「ぁ――う、いた――……っ!」

 

 絶望感に浸る暇もなく、破瓜の痛みが迫る。

 男たちにとって、芳乃の初めてを奪ったことは何の感慨も湧かないことらしい。彼らはキュレットを次々と膣穴に押し込んで、処女膜を半端にちぎり取りながら膣の深い場所へ鉤爪の先端を食い込ませる。

 

「ぃぎっ……!?」

 

 痛みと緊張のあまり乾ききった粘膜に先端が食い込む。

 細い先端がやわらかな膣肉を押し、表面を突き破る。キュレットを突き立てられた傷口からは血が溢れ出るが、彼らは芳乃を傷つけることそのものを目的とはしていない。

 

「ぅ――く、う……っ!?」

 

 更なる痛みが、強烈な違和感が芳乃を襲った。

 膣口を無理やり押し広げられた時に感じた不快感が、秘部の深い場所で起こった。何が、と目を瞬かせる間にも痛みはどんどん強くなって、意識させられて感覚が鋭くなった膣内で何が起きているのかは手に取るように感じられる。

 

(中を、広げてー……? なぜ、このような――痛い……!)

 

 芳乃の膣内には、男たちが持つキュレットが押し寄せている。

 十数本のうち五本は芳乃の膣口に引っかかり、処女だった穴を左右に広げている。残るキュレットは芳乃の処女膜を突き破って膣内に侵入し、あちこちの膣壁に鋭利な先端を突き立てていた。

 

「くぅ……っ、う――く、うう……っ……!」

 

 狭い膣洞に無作為に刺さる鉤が痛くてたまらない。

 鉤を突き立てる場所は厳密に決まっているわけではないらしく、ある程度のばらつきこそあるが無作為に膣内に突き刺さる。処女を失ったばかりの場所は無秩序に出血し、性感帯のはずの膣襞は何の喜びも生まないまま穴だらけになってしまう。

 

「ぁくぅっ……!! ううっ、うう……!!」

 

 悶える芳乃の膣壁に、キュレットの冷ややかな感覚が襲う。

 鉤先を粘膜に突き入れた彼らは、膣口にそうしたように膣内を引っ張り、膣穴を拡げにかかる。

 

「――あ、く……ぅぐ……っ……!?」

 

 目的の分からない痛みはひたすら不気味。

 キュレットの柄に粘膜が引っ張られると、鉤はますます深く身体に潜り込む。先端が突き刺さる痛みは強くなる一方で、拘束されて動けない芳乃の手足は不随意に揺れては鎖の音をかき鳴らす。

 

「いた……っ、痛い、のでして――おやめに――うっ……!!」

 

 切れ切れに訴えかけるが、使命感を帯びた彼らは止まらない。

 十数本のキュレットは全て芳乃の粘膜を穿ち、さまざまな位置から膣洞を拡げる。さらに何名かは膣壁から先端を抜くと、キュレットでぐるりと内部をかき回し始めた。

 

「ううぅっ!」

 

 不可解な行為に声が漏れた。

 すでに何本ものキュレットが芳乃の膣内に突き入れられているせいで、かき回す金属棒は他のキュレットにぶつかってカチカチと音を立てる。金属同士がこすれる不快な振動は芳乃の膣から全身に響き、とても我慢できない気色悪さだ。

 

「く――ううっ……!! うっ……ぬ、抜い――」

 

 抜いて、と言いかけた時、ズブリとキュレットの先が粘膜に沈む。

 

「あぁうッ!!」

 

 いつもの芳乃からは想像もできないような声だった。

 猛烈な痛みに悲鳴を上げても、彼らの手つきが緩むことはない。何度か膣内をかき乱してから最初とは別の場所に鉤状の先端を埋め込む彼らは、容赦なく芳乃の膣肉を引っ張って穴を拡げる。

 

「ぅ……ぐ、うう……!」

 

 指一本すら挿入るか怪しかった膣穴は、今や無惨なほど大きく口を開けている。

 

「もう少し、ですね」

「ええ、もっと……」

 

 囁き合いながら、作務衣の男たちは膣肉を押し広げにかかる。

 メキメキと肉が軋む心地とともに芳乃の穴は広がって、天井から吊るされた白々とした光が芳乃の体内を照らし出す。

 

「ああっ――」

 

 望まぬ形で処女を奪われた膣穴は、ぱっくりと広がって粘膜をあらわにしている。

 キュレットが突き刺さり、ところどころを引っ掻いたせいかピンク色の粘膜のあちこちには赤い傷がついている。擦過傷や小さな穴からは血が滲み、溢れ出るたびに芳乃は痛みに呻いてしまう。

 

「う……く、……ぅう……っ」

 

 いくら痛みに悶え、震えようと、拘束具は芳乃を戒め続ける。

 秘所を見せつける不自然な姿勢で固定されてしまった芳乃は少しも楽にならない。浅い呼吸を繰り返す芳乃は救いを求めて視線を左右にさまよわせるが、白一色のこの部屋には何の救いも見当たらない。

 

「っは――ぁあ……っ、……ぁ……」

 

 そんな芳乃に――芳乃の膣穴に、神官の顔が迫る。

 

「頃合いですね」

「うっ……!」

 

 覗き込む神官の眼差しは、膣の奥まで届いた。

 作務衣の男たちによって芳乃の膣は大きく拡げられている。処女膜は無造作にちぎられ、破れた部分から大量の血を流す。

 キュレットが刺さった場所から溢れ出る鮮血に粘膜は濡れ、押さえつけられながらもピクピクと反応している。快楽ではなく痛苦を示す反応を前にしても神官の胸には興奮も憐憫もなく、冷ややかな眼差しは芳乃の身体が儀式に足るものかを見定めようとするのみだ。

 

「っは……、――ぁく……、……う……!」

 

 痛みに呼吸を荒くしながら、不安に瞳を揺らす芳乃。

 芳乃が見つめる中、神官は芳乃の奥へと視線を滑らせる。

 

「子宮口も見えていますね」

「っう……!」

 

 つい先ほどまで処女だった芳乃は、たったそれだけで顔を赤くしてしまう。

 裸の胸に汗の粒が落ちる。控えめな膨らみは芳乃が身震いするたびわずかな揺れを示すのに、芳乃を儀式の道具としか見ない彼らはバストに目を向けることもなく、どこか酷薄な眼差しを膣内に投げかけるのみだ。

 

「ぁ――うう……ご覧になっては……ならない、もの……でしてー……っ……!」

 

 裸身に脂汗を滲ませる芳乃の膣奥は、赤く濡れていた。

 膣を高く上げる姿勢のせいもあり、流れ出た血は芳乃の膣奥に溜まっていた。子宮口を囲むように血の池が出来て、肉厚な子宮頸は今にも沈んでしまいそうだ。

 

「では、子宮を」

「はい」

 

 神官が言えば、数名が頷き、キュレットを芳乃の膣壁から抜き取る。

 

「ぅぐっ!」

 

 深々と刺さっていた先端が抜き取られる痛みはかなりのものだ。

 芳乃の身体のことなんて配慮していない彼らは一息に鉤を抜いたのだ。勢いがついたせいで他のキュレットとぶつかり、金属同士がこすれる不快な振動が膣洞を襲う。痛みに弱った芳乃にはそれだけでも耐えがたいのに、鉤を抜いた傷口からはドッと血が溢れ出て、傷ついた膣穴はますます強い痛みに襲われてしまう。

 

「ううッ……あ、ッぅう……!」

 

 膣内でキュレットが動けば水音が立つ。

 膣奥に溜まった血が混ぜられる音だった。血のほかに、表面から削り取られた粘膜も一部に混ざっているのだろう。かき混ぜられる血は粘着質な音を立てていて、音だけ聞けば性的な何かが行われているようでもある。

 

「……うぁッ……あ、――はぁっ……!」

 

 しかし、漏れる芳乃の声は色事とはほど遠い痛苦に満ちていた。

 見知らぬ男たちの前で全裸を晒し、訳も分からないまま処女を奪われた芳乃は彼らへの嫌悪に満ちている。意味の分からない、彼ら自身にとっては重要らしい蛮行の数々に言葉も出ず、ゴールの見えない痛みにただ震えるしかない。

 

「……」

 

 芳乃の膣内でキュレットを動かす男は真剣な眼差しだ。

 この儀式の中でも、彼が果たそうとしているのは特に重要なことなのだろう。目を細める彼は芳乃のどこかへ狙いをつけ――そして、その場所にキュレットの先をめり込ませる。

 

「――ッぁ゛ぐ――ううう……ッ!!」

 

 処女を奪われ、膣をえぐられるのとは比べ物にならない痛みが芳乃を襲う。

 

「っは、ぁぐ……ッ!? ぅあ゛ッ、――あ、ああ゛ッ……!!」

 

 清廉たる声が濁り、見開いた目を剥いて叫ぶ芳乃。

 それでも拘束は解けず、男たちの前に膣穴はおっ広げたままだ。キュレットを操る男はわずかに目元を緩め、自分の行為がうまくいったことに安堵している。

 

「ふうっ……」

 

 大仕事を済ませて溜息を漏らす男。

 

「ぁぐッ……!! ぎ、ぁ゛ううう゛ッ……!!」

 

 度し難い激痛に、ひたすら呻く芳乃。

 男が手にするキュレットの先端は、芳乃の最深部――子宮口を穿っていた。

 膣と子宮を隔てる部位は、膣から見ると丸く膨れて、突き出した唇のようでもある。血の海からひょこっと顔を出した子宮口の左側はキュレットで貫かれ、芳乃は大切な場所を守るように膣を収縮させようとするのに、膣に刺さるキュレットは当然の反応すらも阻む。

 

「は――ぁ゛ぐう……ッ!! ぅああうッ……!!」

 

 痛みに悶絶する芳乃の膣内、もう一人の男がキュレットを膣肉から抜き取る。

 

「――ひっ……!!」

 

 怯えた芳乃が身を竦ませる中、彼は子宮口の右側を貫く。

 

「ぃ゛ぎ――!!」

 

 子宮口の右と左に針を通される痛みに悶える芳乃だが、彼女の苦痛はこれで終わりではない。

 

「ぎぁ……!?」

 

 メキメキと、先ほど経験したものに近しい痛みが子宮頸に襲いかかる。

 

「ぁ゛、――あ、あ――っ……!?」

 

 肉が軋む。

 鋭い針先で貫かれた子宮口は、激烈な痛みを伴いながら、ゆっくりと左右に広がっていく。

 

「ぎ――ぁ゛……あぁ゛あ゛ッ……!!」

 

 手足の震えが止まらず、鎖がやかましく鳴り響く。

 華奢な喉首を晒して叫ぶ芳乃の膣奥、子宮頸は開かれ、ついに完全に拡がってしまう。子宮口の周辺に溜まっていた鮮血は子宮に流れ込み、最深部に血が触れると火傷しそうな心地だ。

 

「ぁぎッ……ぎ、ぁあ゛ッ……」

 

 涙が止まらない芳乃の泣き顔には目もくれず、男たちは暴かれた子宮内に視線を注ぐ。

 

「綺麗なものですね」

「処女だったのです、当然とはいえ美しい」

 

 囁き合う彼らの目の前には、芳乃の処女子宮がある。

 膣とも色合いが違う子宮内は瑞々しい宍色だ。本来なら人前に晒されることのない女の最深部はしっとりと豊かな潤いを帯び、筋層は見られる恐怖に強張って見える。

 

「っは――ぁ……うう……っ……!」

 

 女性として大切な器官まで暴かれ、芳乃はカタカタ震えるのみ。

 非人道的な行いを繰り返す男たちの数名は、芳乃の膣からキュレットを引き抜く――それが何を意味するかを悟った芳乃は竦み上がり、怯えに染まった視線を彼らに向ける。

 

「ど……どうか、これ以上のことは……お許しになって、いただけは……しないもの、で――」

 

 言い終わるより早く。

 抜き取られたキュレットが、芳乃の子宮に突き入れられた。

 

「――ぇあ゛うぅっ……!!」

 

 懇願の言葉が歪み、悲鳴に変わる。

 処女を奪われ、膣を刺される痛みもかなりのものだったが、子宮に押し込まれるキュレットはそれ以上のダメージを芳乃に与える。

 

「おや――め、ぇ゛っ……ぅぐ、あ――あぁあああ……!!」

 

 痛みはもちろん、異物感が強い。

 何かを挿れる機能を備えた膣とは違い、子宮に物を突っ込まれることは有り得ないはずのこと。処女膣の奥にある子宮は何かを受け入れる用意などまったく出来ていないまま、芳乃の子宮に何本ものキュレットが突き入れられる。

 

「――ぁ゛ぎぁ゛あぁあっ!!」

 

 あまりの激痛に白目を剥きかける芳乃。

 男たちは無言のまま手分けをして、芳乃の膣から子宮までもを蹂躙していた。膣口や膣洞、子宮口を広げるのに数名を残し、残る七名は芳乃の子宮にキュレットを突っ込む。子宮内をかき回す七本のキュレットはぶつかり合いながら胎内を引っ掻き回し、芳乃の子宮は膣以上に無数の擦過傷まみれになってしまう。

 

「っひ……!! ひっ、――ひいっ……!!」

 

 恐怖に染まった芳乃の子宮から、じわじわと血が滲みだす。

 膣から流れ込んだ血と、子宮自体が傷付けられたことによる血が混ざり合い、子宮底を覆い隠す。無秩序に子宮内を暴れ回ったキュレットは左右の卵管そばに二本ずつ、子宮頸部にほど近い内壁に一本ずつ、そして血に沈んだ子宮底に一本、粘膜にめり込むようにキュレットは突き立てられる。

 

「ぃぎ――いぃ゛いッ……!!」

「聖杯の汚れを取りましょう」

 

 呟く神官は、小ぶりなバキューム装置を取り出した。

 装置に取り付けられたノズルは細めのチューブ。神官はチューブの先を芳乃の子宮口に下ろすと、子宮に溜まった血を一気に吸い出す。

 

「ぎぃ゛うッ!!」

 

 勢いよく血が吸い取られ、バキューム装置の内側へ送り込まれる。

 子宮に溜まっていた血はまたたく間に吸いつくされ、瑞々しい子宮内壁があらわになる――キュレットが突き刺さった場所や膣と子宮に走る擦過傷からはジワジワと血が滲んではいるものの、子宮や膣に血溜まりができるほどではなさそうだ。

 

「これで良し」

 

 痛々しい粘膜を露出した子宮内を見て、神官は満足そうに頷く。

 再び芳乃の頭の後ろで振動が走る。芳乃が載った台の収納を操作する振動は微細なもののはずなのに、女性器を痛めつけられた芳乃には響くような痛みをもたらし、恐ろしさで手足の温度が下がってしまう。

 

「……お、おやめください……」

 

 何とか声を絞り出し、救いを求める芳乃。

 しかし、神官が芳乃に与えるのは、残酷な仕打ちばかりだった。

 

「御器様をお迎えするにあたり、まずはこれを」

 

 告げる神官は、男たちにのみ手にしたモノを見せる。

 

「……っなにを……?」

 

 弱りきった声を上げる芳乃にソレがほとんど見えないのは当然のことでもあった。

 神官が手にしたのは、三本の透明なリングだ。提示された男たちにも光の当たり具合でしか目にすることの出来ないリングは、パンクなチョーカーを思わせるトゲが外側に向けて並んでいる。リングは神官が掴んでも一切形を変えず、強靭なクリア素材で作られていることが窺える。

 

「では」

 

 何一つ理解できない芳乃を捨て置いて、神官はリングを芳乃の膣に押し込んだ。

 

「――ぎィ゛――!?」

 

 リングは縦にして挿入れられたが、トゲは膣のあちこちを掠める。

 

「っひ……!? ひっ! ひ――ィ゛いいッ……!?」

 

 膣に何を挿入れられたのかも分からない芳乃が恐怖の声を漏らす中、男たちはキュレットを動かし、器用にリングを奥へと運び込む。

 

「なに、を――ッうう……!?」

 

 膣内に挿入れられたモノが何かも分からないまま、芳乃の子宮までリングは運び込まれる。

 子宮に突き立てられたキュレットのうち数本が抜かれて、見事な手さばきでリングを動かす。リングは子宮内で縦向きから横向きに形を変える――筋層を引っ張り続けたキュレットが抜けたことで子宮は元の大きさに戻ろうとするが、今度は透明リングがそれを阻む。

 

「は――ぁぎいぃッ……!?」

 

 キュレットが刺さった時の痛みを何十倍にもしたような痛みが芳乃に襲いかかる。

 

(何が……起きているのでして――この、いたみ……は……?)

 

 何一つ理解出来ない芳乃だが、子宮内壁に何かがめり込む痛みだけは感じ取れた。

 ――子宮内に送り込まれたリングの外側に生えたトゲは、縮みかけた子宮内壁に突き刺さった。

 堅牢なリングは縮もうとする子宮を押し返し、腕がすっぽり収まる直径に子宮を開きっぱなしにする。キュレットが一本ずつ抜けていっても子宮は元に戻れず、最大限拡張された時の形を保ってしまう。

 

「っは……ぁあ……ッ、あぁああ……ッ!」

 

 子宮の膨満感に喘ぐ芳乃の膣に、二個目のリングが挿入される。

 

「ッ゛――!!」

 

 何が起きるか分かったところで、痛みが緩むわけではない。

 二つ目のリングは子宮口へ。キュレットの先端に貫かれて使い物にならなくなった子宮頸を無理やり引き伸ばしてリングを嵌めれば、処女穴では有り得ないほど拡がった状態で子宮口も完全に固定されてしまう。

 

「ぅううう゛ッ……!!」

 

 痛みに苦悶の声を上げる芳乃。

 力を入れれば入れるほど粘膜は収縮し、リングの外側に向けて付けられたトゲは深く突き刺さる。肉が引っ張られる嫌な痛みにトゲが刺さる激痛も加わって、芳乃は頭がどうにかなってしまいそうだ。

 

「ふ――ぅう……!! うぅうっ……!!」

 

 端正な顔を歪め、ボロボロと涙をこぼす芳乃の膣に、最後のリングが。

 最後の一本は膣口に杭打つ。敏感な膣の浅瀬にトゲが突き刺さり、膣口は腕が挿入りそうなほど大きく広がる――キュレットが全て抜き取られた芳乃の膣から子宮は、三本の透明リングによって拡がった形で固定されてしまった。

 

「ッぅう……! う――うう……っ……!!」

 

 膣口、子宮口、そして子宮底。

 三箇所を拡げられた芳乃の性器はトンネルのようだ。ほんの少し前まで処女だったとは思えないほどぱっくりと開いた恥部は痛々しく、リングから伸びたトゲが食い込んでじわじわと血が滲むのも見ていられないほど。しかしこの場に集まった神官らは芳乃に同情すらせず、むしろ儀式が進んだことに達成感すら覚えているようだ。

 

「それでは、御器様のお成りです」

 

 痛々しく膣を開かされた芳乃の目の前で、神官は布に包まれた何かを高々と掲げる。

 小箱を、白い布で包んだもののようだ。彼らより低い位置で仰向けになった芳乃に見える箱の底面は真っ黒で、白一色の空間にチカチカしていた目は自然とそこに釘付けになる。

 神官は箱を覆う白布を掴むと一気に引っ剥がす――箱の側面は透明だが、中身が黒いから暗黒が詰まっているようでもある。

 

「おお……!!」

 

 白い空間に現れた暗黒は彼らにとっても望ましいものなのだろう。白作務衣の男たちは一斉に歓声を上げ、爛々と輝く瞳で黒いモノを見つめている。

 

「――」

 

 目を射る黒に、次第に目が慣れる。

 底面が黒い、透明な箱――小型の水槽の中にある黒は群体だ。

 幾つもが折り重なりながら蠢き、水槽越しにもカサカサと音を立てて這い回っているのが見える。

 それは。

 

「――――っ……!!」

 

 クロゴキブリの大群だった。

 黒光りする背に、長い触覚。この施設内で育てられたものなのかゴキブリの一匹一匹は大きく、脚に生えた細かな毛までよく見える。

 

「な――ぁ、……ぁ――あ……」

 

 虫に対する気持ちがどうあれ、小さめの水槽にみっちりと詰まったゴキブリを前にすれば恐ろしいもの。

 芳乃は目を見開き、水槽の中で動き回るゴキブリを見ているしかない――しかし、神官が箸を取り出すのを見て、芳乃はハッと我に返る。

 

「……!! ……!! っうう゛……!!」

 

 リングのトゲが粘膜に食い込むのもお構い無しに身悶えする。

 彼らは芳乃の女性器を大きく広げさせたのだ。その後でゴキブリが出てきたとなれば、起きることは一つとしか思えない。

 

「――っ――!!」

 

 想像するのも恐ろしい空想が頭にこびりついて離れない。

 水槽の向こうでゴキブリが動くたび、芳乃は膣粘膜でゴキブリを幻視する。拡張された膣内にゴキブリなんて放り込まれるくらいなら今すぐ死んだって構わない、と死にもの狂いで悶える芳乃だが、手足の枷は無情にも芳乃を囚えたままだ。

 

「卵鞘は下に」

「はい」

「っ……!!」

 

 無力に暴れる芳乃をよそに、彼らは儀式を続ける。

 神官は無垢材の箸をかたわらの男に差し出した。箸を受け取った男は、水槽の下側にある小さな扉を開ける。

 どうやらこの水槽は二重底になっているらしい。男が開けたのはゴキブリがいる上層ではなく下部分。上層の床は粗めのネットか何かで仕切られているようで、下側にはゴキブリはいないようだ。

 

「――こちらを」

 

 箸は何かをつまんでいた。

 一センチあるかないかの黒いもの。芳乃はソレの正体は分からないが、箸でソレをつまんだ男はうっとりと呟く。

 

「これが、御器様の卵鞘……」

「らん――」

 

 男の言葉を復唱しかけて、芳乃はソレの正体を思い知る。

 

(らんしょう……? ――たまご――たまご……!)

 

 黒くて小さい物体。

 あの中に、数十ものゴキブリの命が詰まっているのだ。

 

「――――ッ!!」

 

 箸の先が、芳乃の膣に近付く。

 手足がちぎれそうな勢いで悶える芳乃だが、鎖がやかましく鳴るだけで何の役にも立たない。そうこうするうちに卵鞘をつまんだ箸は芳乃の膣口に至り、箸の先がゆっくりと芳乃の膣に侵入する。

 

「ひ――……!!」

 

 箸の向かう先は子宮。

 人と交わり、人の子を成すための場所に、ゴキブリの卵鞘が落とされる。

 

「ぃ゛あぁ゛――――っ!!」

 

 痛みはなく。

 しかし卵鞘を落とされた事実が、芳乃の心を追いつめる。

 

「っひ!! ぃ゛いい゛……ひぃ゛うっ……!!」

 

 膣や子宮を傷付けられるのは、長い時間こそかかっても治る目がある。

 しかし、子宮にゴキブリの卵を落とされた事実は、身体の傷が治ろうとも消えない。女性として、人間として有り得ないほどの汚辱感に苛まれる芳乃はボロボロと大粒の涙をこぼし、小さな身体をよじりながら悲嘆に暮れる。

 

「ぅく……っ!! うぅ、うううぅ……っ……!!」

 

 普段の表情とはまったく違う大泣き姿を見せる芳乃。

 美しい顔を崩してまで泣き続ける芳乃を前にしても、彼らは粛々と儀式を続ける。卵鞘が芳乃の子宮底に落ちたのを確かめた男は、膣から引き抜いた箸をもう一度水槽に向けて。

 

「あと二つ、参ります」

 

 宣言とともに、もう一つ、さらにもう一つと卵鞘を芳乃の子宮に落とした。

 

「ひぅ゛っ――」

 

 しゃくりあげる芳乃の子宮に三つの卵鞘が転がる。

 クロゴキブリの卵鞘一つには二十個以上の卵が宿る。卵鞘三つを落とされた芳乃の胎内は、少なく見積もってもクロゴキブリ六十匹の命を孕んだも同然――まぐわいも知らぬ身体に暗黒を注がれた気分で、芳乃は絶望に沈む。

 

「――御器様の聖杯を閉ざしましょう」

 

 これ以上はないほど貶められた芳乃を前に、神官はそう宣言する。

 

「ぅ゛っ……」

 

 卵鞘が三つも子宮内に落とされて、芳乃は気が狂いそうだ。

 

(閉じる――閉じるのであればー、もう……終わりのはず――)

 

 狂気に堕ちかけながらも、芳乃はたった一筋の希望を繋ぐ。

 閉ざす、との言葉が何を指しているかはともかく、彼らの儀式はまもなく終わるらしい。自由になったらすぐにでも卵鞘を掻き出し、身体を清め――そんな時間を夢想する芳乃を嘲笑うように、神官は次なる凶器を取り出す。

 

「――」

 

 これまでに現れた道具は、全てひと目では用途が理解できないものばかりだった。

 だからこそ、芳乃は神官が取り出したものが、ありふれた裁縫道具だと理解するのが遅れてしまう。

 

「…………、……え――」

 

 手慣れた手つきで針に黒糸が通される。

 呆然とする芳乃の前で玉結び。糸の端に出来上がった粒の左右から黒糸が伸びるさまはクロゴキブリの頭から伸びる触覚を連想させて、あまりの事態に芳乃は目を瞬かせるのが精一杯だ。

 

 何が起きるのか、心の奥底では分かっているのかもしれない。

 しかしそれはあまりに認めがたいことで――神官が実際にソレをするまで、芳乃は現実味がなかった。

 

「御器様の聖杯を閉じさせていただきます」

 

 告げる神官は、ゆっくりと移動を始める。

 芳乃の頭側から足元へ。作務衣姿の男たちは神官のために芳乃の前を開け、神官は芳乃の足元、膣口にもっとも近い場所で足を止める。

 

「参ります」

 

 厳かな呟きとともに、芳乃のラビアに針が突き刺さる。

 

「ぃ゛い゛ぎ――!!」

 

 小陰唇の下側を貫かれる激痛に、芳乃の身体が大きく跳ねた。

 台の上に広がった長髪を揺らしながら悶える芳乃に、神官は次のひと刺しを加える。針がラビアを貫くたびに皮膚が破られる不気味な感覚と激痛が芳乃を襲い、生きた肉は黒糸によって封じられてしまう。

 

「き――ひ、ぃ゛――!!」

 

 神官は手際よく陰部を縫い付けていく。

 痛みを与えること以外の目的がある作業は丁寧かつ迅速だ。彼らが何を狙ってこんなことをしているのかは、言葉にされずとも理解できて、涙も嗚咽も止まらない。

 

(閉じる――とは、このような意味で――)

 

 涙を流しながら、芳乃は残酷な意図を思い知る。

 神官の言った「御器様の聖杯」――御器様がクロゴキブリを指すなら、聖杯は芳乃の女性器のことなのだろう。閉じる、というのは文字通り、クロゴキブリの卵鞘を収めた秘所を縫い付け、完全に閉ざすとの意味だったに違いない。

 確かに、卵鞘を入れた子宮を広げっぱなしにしておけば、卵は落ちてしまうだろう。狂った信仰を持つ彼らにとってそれは望ましくはなく、だからこそこうして膣を封じる必要があるということか。

 

「――おや、め――許して、くださ――おやめください……やめ――ぁ゛、あぁ゛ぁあ゛あ゛…………っ!!」

 

 いくら懇願しようと、クロゴキブリを収める器にすぎない芳乃の言葉など誰も聞いてはいない。

 そうするうちにもラビアには針が通される。針は芳乃の陰裂を行き来しては黒一直線の縫い目を作ろうとしている。すでに半分以上が縫い付けられた芳乃は、ここにきてもう一つの恐ろしいことに気がつく。

 

(中は――このまま……?)

 

 芳乃の胎内には、卵鞘のほかに、透明なリングも取り残されたままだ。

 子宮、子宮口、膣口を広げた状態で固定するリングが残っているということは、ラビアが閉ざされたとしても芳乃の膣と子宮はトンネル状に大きく広がったままということ。さらに言うとリングの外周にあるトゲも抜けないのだから、芳乃は少量の血を常に流し続けることになる。

 

「っは――ぁ、――あ、あ゛……っ……!!」

 

 それこそが狙いなのだと悟って、芳乃は呻きを漏らす。

 芳乃の女性器は聖杯、器なのだ。膣粘膜が閉じてクロゴキブリを潰すことはあってはならず、クロゴキブリが永らえるための空間を確保しなければいけないだろう。

 

「――ぁ゛あ……」

 

 痛みに冴え渡った頭は理解してしまう。

 透明なリングから伸びるトゲが粘膜を穿ち、少しばかりの血を流させるのも意味あってのこと。孵化した小さなクロゴキブリたちは、芳乃の陰部から流れる生き血を啜って生き、あのおぞましく黒光りする成体にまで永らえるのだろう。

 

 膣と子宮を使って卵から命を育て、栄養まで与えたら。

 胎で育つクロゴキブリは、種こそ違えど芳乃の子どもも同然だ。

 

「――ッぁ゛あああぁああああ……ッ……!!」

 

 色を知らぬ清い身のまま、ゴキブリどもの母となる恐ろしさが芳乃を貫く。

 いっそ狂いたいのに、絶えず突き立てられる針のせいでそれも叶わない。

 恐怖に粘膜が引き攣るたびに、子宮の奥底に強烈な異物感がある。自分の奥底で卵鞘が動いている気がして、芳乃は恐怖に喉を絞り続ける。

 

「ッぅく――ぅあ゛っ……!! っは……!! あぁああ゛……っ!!」

 

 割れ目はまもなく閉じられるだろう。

 儀式はもうすぐ終わる。芳乃を囲む作務衣の男たちを取り巻く空気は緩み、絶望と恐怖を刻一刻と深める芳乃を前にして、彼らは安堵しながら言葉を交わす。

 

「御器様が孵るまで一ヶ月と少し……ああ、お会いできるのが楽しみです」

 

 彼らの信心は本物なのだろう。男は嬉しそうに呟いては、完全に閉じかけた芳乃の女陰を見つめる。

 クロゴキブリの孵化にはおよそ二ヶ月かかる。水槽内で卵鞘がどの程度の時間を経たかは分からないが、あと一ヶ月もすれば、芳乃の中でゴキブリの仔は生まれるだろう。

 

「お強い御器様がお生まれになることでしょう」

 

 別の男が微笑みながら言えば、周囲の男たちは力強く頷く。

 膣内の温度はゴキブリの生育適正温度には暑すぎるくらいだが、だからといって数十の命の全てが潰えることはない。むしろそんな環境であっても孵り、育つクロゴキブリこそ、彼らの信仰を受け取る『御器様』に相応しいと言えるのだ。

 

「――ッぅ゛う……!! ぅ゛……ッ、うう゛ッ……!!」

 

 狂った幸せを紡ぐ男たちの中心で、芳乃は痛みと汚辱感に悶え続ける。

 縫い付けられた小陰唇は、まもなく完全に封じられようとしている――縫い糸も強靭なものを使っているらしく、芳乃が膣の痛みに秘部に力を入れようとも縫い目は綻ぶ気配すらない。

 

「は――ぁぎ、ぃ゛っ……!!」

 

 悶える芳乃のラビアの頂点に、ついに縫い針が至った。

 針先によって皮膚に穴が開き、肉が貫かれる感覚は何度経験しようと慣れるものではない。ぷくりと膨れた血の玉は黒糸に吸い取られ、血を吸って重たい糸が芳乃の小陰唇を通過する。

 

「ぅぐ――う゛……う゛っ……!!」

 

 自由を奪われた身体で悶える芳乃のラビアは、ついに閉ざされた。

 黒糸が何重にも通っていることを除けば、芳乃の秘部は処女喪失前のぴたりと閉じた形に戻っている。しかし針が通った場所からはジワジワと血が流れ、充血して赤らんだ小陰唇はあまりにも痛々しく、本来持っていた貞淑な雰囲気は完全に消えてしまった。

 

「ぅぐ――」

「まもなく終了です」

 

 男たちに聞かせるように呟く神官の声は上ずり、確かな興奮を滲ませている。

 御器様のために聖杯を作ることは、彼らにとっては栄誉なことなのだろう。この場にいる誰もが芳乃の子宮内にあるクロゴキブリの卵鞘に思いを馳せているが、男たちは喜びに顔を上気させ、芳乃はあらゆる負の感情に苛まれて全身を青ざめさせていた。

 

「っは――ぁ゛――……」

 

 死にかけでピクピク震える芳乃の股間に、最後のひと針が加わる。

 

「ぅ゛――、――あ゛…………」

 

 烈しい痛みを伴って、芳乃の女性器は完全に閉じられた。

 中から何かが挿入ることはないが、膣内のゴキブリたちが外に出ることもない。三つのリングによって穴の中は広がったままで、粘膜に突き刺さるトゲは常に芳乃の胎内だけを痛めつける。

 

「はぁ゛……っ……!!」

 

 強い痛みに涙する芳乃を見ても、男たちは非人道的な儀式の完遂に満ち足りた表情。

 

「ようやく……これで、我々も――」

「ああ、御器様……御器様……」

 

 嬉しそうに何事かを口走る男たち。

 

「まだですよ」

 

 そんな彼らをやんわりとたしなめるのは神官だ。

 

「御器様が成る時を祈って、聖杯を移動させましょう」

 

 呼びかける神官は、芳乃が寝る台の下から何かを取り出す。

 

「――ま、だ……」

 

 傷付いた膣をゴキブリの巣にさせられた芳乃は、か細い声で呟く。

 性器を抜きにすれば、芳乃の身体には一切傷はない。男たちは美しい芳乃の裸体に手を伸ばすと、そっと芳乃を台から持ち上げた。

 

「ぅ゛っ――」

 

 彼らの手つきは丁寧だ。

 裸の胸をはじめとした身体にいたずらに触れるでもない。芳乃の裸身を性の対象ではなくゴキブリの容器として見る彼らは芳乃の身体を丁重に台から下ろすと、いつの間にか用意されていたストレッチャーに乗せる。

 

「ッ……な、ぜ……」

 

 呻く芳乃は、変わらずまんぐり返しの体勢だった。

 天井に繋がれていた鎖は外れ、今度はストレッチャーにくくりつけられている。台からストレッチャーへ場所を変えても芳乃が恥辱的なポーズで固定されていることは変わらず、胎の奥にある三つの卵鞘の気配も拭えない。

 

「は――ぁ……、ぅう……」

「移動させましょう」

 

 神官の言葉に合わせて、男たちは動きだす。

 白いドアを開けて白い廊下を通り、白いエレベーターへ。ストレッチャーの小さなタイヤが回るたびに芳乃の裸身は微振動に揺られ、ささやかな揺れのたびに秘部の痛みは強くなる。

 

「……ぁ゛――う……っ、うう……っ……」

 

 息も絶え絶えに苦しむ芳乃は、何重もの痛みに苛まれていた。

 

(なか……も、縫われた……場所も――何もかもが……)

 

 縫い針がラビアを貫通した痛みは今も生々しく思い出せる。

 黒糸に引っ張られる不快な感覚は強く、糸が吸いきれなかった血がポタポタと垂れてストレッチャーを汚す。透明感に満ちた臀部にまで垂れる血が不快でたまらないのに、彼らは気にした風もなく芳乃をエレベーターから下ろす。

 

「ッぐ……!」

 

 普段なら気にも留めないエレベーターの段差が、今の芳乃にはあまりにも痛い。

 響くような痛みが伝わって、膣から子宮にかけての空洞が強く感じられる。トゲが伸びたリングが突き刺さった膣口と子宮口、そして子宮は今も肉がめり込む痛苦を覚えて、芳乃の神経を引っ掻き回す。

 

「は――ぁ゛――う……っ……」

 

 拷問的な行為に晒されている間、ずっと悶えていたせいだろう。喉は掠れ、拘束された手足はうまく力が入らない。

 グッタリと動かなくなった芳乃に、ストレッチャーを運ぶ男の視線が向けられる――聖杯として彼女を生かすつもりだけはある彼は、芳乃の裸の胸がゆるやかに上下していることを確認するとすぐに視線を前に向けてしまう。

 

「何かありましたか?」

「聖杯の様子を見ておりました」

 

 神官との会話もそれだけ。

 彼らはそれ以上芳乃の様子を気遣うこともなく、芳乃を一室へと運び込む。

 

「――ぁ゛、う……――」

 

 暴虐の限りを受けた部屋と比べて、ずっと狭い部屋だった。

 白色に満ちていたこれまでの空間とは違い、打ちっぱなしのコンクリートが寒々しい。窓のない部屋を目にした芳乃の脳裏に「地下牢」との言葉がよぎるような、殺風景で禍々しい雰囲気の場所だった。

 芳乃がいるストレッチャーを運び込めば、部屋はそれだけでいっぱい。部屋の真ん中でストレッチャーは固定され、神官は改めて芳乃の姿を見下ろす。

 

 ――縫い付けられ、一直線のスジしか見えない割れ目。

 黒い縫い糸の内側は三つのリングによって広げられ、クロゴキブリの住まいとして十分な広さが確保されている。リングの外周に取り付けられたトゲは芳乃の粘膜を傷付け、血を流させるのだから、生まれたゴキブリたちも餌に困ることはないだろう。

 

「あとは、御器様がお育ちになるのを待つばかりです」

「――ぁ゛あ……っ……」

 

 それはつまり。

 ゴキブリが孵り、生まれ、育つまでの数ヶ月――あるいは年単位で、芳乃はこの地下牢に幽閉されるということ。

 

「や――ぁ゛……う……、おやめ――くだ、さ――」

 

 涙をこぼして哀願する芳乃を前にしても、やはり彼らは憐憫すら持たない。

 

「今日より、持ち回りで聖杯の世話をしていただきます。詳しいことは集会所で――」

 

 言いながら、神官らは地下牢を出てしまう。

 戸は閉ざされ、彼らの姿は遠のいて消える。少女の瑞々しい時間を奪うことに何の罪悪感も持たない男たちは、ゴキブリを育てる器でしかない芳乃を死なせはしないだろう。

 

「――ぁあ゛っ……!!」

 

 慟哭する芳乃の子宮で、卵鞘が動く。

 子宮奥に秘められたゴキブリの命は、芳乃の中で確かに息づいていた――。

 




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