※この作品はR-18です。

黒野深海が空母水鬼に甘えるお話   作:黒瀬夜明 リベイク

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空母水鬼との日常

翌日。

 

「深海ぃー!」

朝。鎮守府本庁舎の廊下を、慌てた様子の空母水鬼が深海に向って走ってくる。

だが深海はその慌てた様子の理由をすぐに理解した。深海は振り返ることなく廊下を歩いていたが、空母水鬼が後ろから飛びつこうとした瞬間、その腕を力の限り掴むと、そのまま背中を丸める様に空母水鬼を背負い上げ、そのまま廊下に叩きつけた。

 

ガシャーン!!

 

と、盛大な音を立てて、空母水鬼は廊下に大の字になって倒れた。

そんな空母水鬼を、深海はまるでゴミでも見るかのような表情で見下ろしていた。毎度のことながら、このバカ母の背後からの全力ハグには頭が痛い。

隙あれば、抱きしめようとしてくるのだ。

「いったたたぁ…もう深海!何も背負い投げすることないでしょぉ!?」

「後ろから襲われたら、背負い投げが相手の動きを封じるのが得策だ。って俺に教えたの、母さんだろ…」

「それは相手が、殺意を持って襲ってきた時の話でしょ!お母さん、殺意も何も持ってないじゃない!」

空母水鬼は起き上がり、膝立ちで深海を見上げながら、まるで悪びれてなどいない。そんな少し怒っているようにも見える表情で深海に言い返す。しかし深海は呆れたような口調で答える。

「ああ、確かに殺意はなかったな。代わりに『深海だぁー!抱きしめなきゃー!』って心の声は、嫌って程にダダ洩れだったけど」

「じゃあ抱きしめさせて!」

「ヤダ」

「ヒドッ!?」

完全に塩対応な深海に、空母水鬼は、ガーン!と口を開ける。ギャグマンガの登場キャラみたいな顔じゃないか。と深海は呆れかえる。

深海は立ち上がった空母水鬼の横を通り過ぎて、廊下を歩きだす。今日は鎮守府本庁舎裏山にある農場の手入れの日なのだ。早く準備を済ませないと、他のメンバーに怒られかねない。

すると空母水鬼が後ろからついてきた。だが今度は、抱きしめようとする様子もなく、ただ隣に並んで歩いているだけだ。

「……何してるんだよ母さん?」

「農場のお手伝い。お母さんもしないとだから!」

後ろで手を組んだ空母水鬼はニコッと笑って深海を見下ろす。そんな空母水鬼を見上げながら、深海は、やれやれ。と肩をすくめて前を向いた。

(距離感バクってるし、空気は読めないし、天然だし、愛情過多だし、おまけに馬鹿だし、本当に困った母親だよ)

だがそれ以上に――

(本当に、俺たちのことが大好きな、優しいお母さんなんだよなぁ)

深海の口元に小さな笑みが浮かび上がった。

「ねぇ、今夜もお母さんとする?♡」

「しない」

「ガーン!Σ(゚д゚lll)」

やっぱり前言撤回だ。

 

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