ドラゴンクエストI・II・III:アレフガルドの旅路 作:坂本太郎
かつて、伝説の覇王ルクスがアレフガルドの大地を覆う闇を焼き払い、その熱量で世界を再生させてから、長い年月が流れた。覇王の血脈は三つに分かれ、ローレシア、サマルトリア、ムーンブルクという三つの王国を築き、人々は束の間の平和を享受していた。しかし、その静寂は、破壊神シドーを崇める邪教の司教ハーゴンの出現によって、あまりにも無残に破られることとなった。
ムーンブルクの城は一夜にして炎に包まれ、王族の血は蹂躙された。その悲劇の渦中、王女セリナはハーゴンの卑劣な呪いによって人間の言葉と姿を奪われ、一匹の犬へと変えられてしまったのである。
その報せがローレシアに届いた時、若き王子アルスは、父から受け継いだ修練の場にいた。
アルス。前作の覇王ルクスと王女ローラの間に生まれ、アレフガルドの再興を間近で見て育った青年。彼は父譲りの強靭な肉体を持ちながらも、母から受け継いだ気品ある容姿と紺碧の瞳を湛えていた。父ルクスがすべてを焼き尽くす「黄金の炎」だとするならば、アルスは闇の中に静かに、しかし決して消えることなく燃え続ける「青い炎」であった。
「アルスよ、今こそロトの血を引く者たちが集う時だ。サマルトリア、そしてムーンブルクの従兄弟たちと共に、世界に再び熱を取り戻せ」
ローレシア王の厳格な命に、アルスは無言で深く頷いた。彼が手に取ったのは、かつて父が愛用し、無数の魔を屠り、多くの女たちに悦びを刻んできた伝説の剣であった。
アルスが旅立ったのは、単なる王族としての義務感や、平和への願いからではない。彼の内側で静かに、しかし猛烈に脈動している「覇王の本能」が彼を突き動かしていた。呪いに苦しむ従姉妹、そして蹂躙され尊厳を失った乙女たちを救い出し、自らの強大な腕の中で、彼女たちの悲しみごと支配し、愛し、再生させること。それこそが、彼の血に刻まれた「覇道の慈愛」の正体であった。
旅の途上、サマルトリアの王子カインを仲間に加えたアルスは、父から教え込まれた「黄金の覇気」を、より洗練された「共鳴の力」へと進化させていた。彼の放つ覇気は敵を震え上がらせるだけでなく、傍らに立つ仲間の秘められた魔力を活性化させ、彼を頂点とした絶対的な調和を生み出していく。
そしてついに、アルスはムーンペタの地で、真実を映し出す「ラーの鏡」を手に、一匹の犬――呪われた王女セリナの前へと辿り着いた。
冷たい雨が降る中、鏡が放つ真実の光が、呪縛の霧を切り裂く。
白い煙が立ち昇り、その中から現れたのは、かつての美しい姿を取り戻したセリナであった。しかし、その肢体は無残にもボロ布を纏っただけで、長い間「獣」として扱われてきた恐怖と屈辱に、その華奢な肩は激しく震えていた。
「アルス……様……。私を……私を、その温かい腕で……もう一度……」
涙を浮かべ、自らの身体を抱きしめて震えるセリナ。その弱々しくも美しい姿を目にした瞬間、アルスの内に潜んでいた「独占的かつ支配的」な本能が、青い炎となって爆発した。
アルスは跪き、怯える彼女を拒む余地すら与えず、強引にその逞しい腕の中へと引き寄せた。
「もう、何も恐れることはない。お前の悲しみも、受けた傷も、すべて俺が塗りつぶしてやる」
アルスの体温が、凍てついていたセリナの肌をじりじりと焼いていく。洗練された覇気が、彼女の体内に眠る魔力を、そして女としての情動を強引に呼び覚ましていく。
セリナは、アルスの胸板に顔を埋め、抗いがたい支配の悦びに身を委ねた。彼女を襲ったトラウマも、ハーゴンへの恐怖も、この絶対的な「覇王」の抱擁の前では、ただの甘美なスパイスに過ぎない。
「セリナ。今日からお前は、俺だけの所有物だ。二度と、その肌に絶望など触れさせはしない」
アルスは彼女の首筋に深く顔を寄せ、その香りを独占するように吸い込んだ。宿命に翻弄された王女を、自身の強大な愛で屈服させ、守り抜く。
アレフガルドを越え、広大な世界へと舞台を移した覇道の物語は、今、一人の王女を完全なる従属へと導くことで、より濃厚に、より過激に加速し始めたのである。