2人のリザードマン♀と過ごすいちばん長い夜 作:4645 (ケモ系大量生産クリーチャー)
カチリ。
橙色の炎が石壁を舐め回すように輝く迷宮の暗がりにて、どこか機械的な作動音が足元のタイルのひとつから放たれた。
その瞬間、前衛、後衛、合わせて十数名分の視線が、列の中頃にて立ち尽くすうっかり屋のリーダーに向かって静止する。
「「「「「…ッ!? リーダー!!!」」」」」
驚きや危険予測を含む凍結した空気は1秒にも満たぬ間に崩壊し、ほぼ全員が間髪入れずにリーダーに向かって手を伸ばすものの、時すでに遅し。
鎧が鳴る音、恐怖に収縮した瞳孔。
鱗の張った靱やかな腕、駆け出して乱れた女の髪。
リーダーの瞳にはそれらが走馬灯のように写り込んだが、しかし意外なことに、スイッチ音から想像するような毒矢の雨や単独テレポートなどの致命的な結果は訪れなかった。
その代わりとしてパネル上部の隠し噴出穴より放たれたのは、一見無害そうに見える、アホみたいに強烈な勢いのドピンク色な濃い煙であった。
…しかも粉っぽいイチゴ味の。
一瞬にして髪型を河川敷に生える背の高い草のようなビジュアル系バンドマン風ヘアにセットされてしまったリーダーは、割と落ち着き払った様子でこちらに振り返り、こう発言した。
「……すまない。なんか大丈夫だった!」
いや、何も大丈夫じゃないが。
あるレプタイル系獣人︎︎のシャーマン♀は、呪い系のトラップであろう事を一目で見抜いた後、独りツッコんだ。
◇◇◇
ということで一同は無駄にのんきにしている天然なリーダーを簀巻きにしてアジトへ持ち帰り、先述のシャーマン♀ことレプタイル系獣人のシャールという女性メンバーに詳しく容態を診察してもらうことにした。
彼女は支援職兼ヒーラーとして非常に優秀な存在であるため、割と妥当な判断だ。
「すまない、シャール…」
「んやぁ、かまわないさ。これが仕事だからね」
彼女は全裸で椅子に座るリーダーの胸にひやっとした爬虫類風の人差し指を当て、するするとなぞるように何かしらを見ながら返答した。
なんだかんだ誇りを持って自分の仕事に取り組んでいるタイプの真面目なお姉さんである彼女は、その蛮族然とした痴女スタイルの呪術的な容姿とは裏腹に、結構ちゃんとしている。
謎の頭骨を被り、謎の毛皮でできた股間と胸だけを最低限隠すヒモのような衣服をまとい、謎の石や謎の装飾品などを身につけ、ステレオタイプなシャーマン風の原始的な雰囲気を全身から醸し出しているからといって、別に文化的に遅れているという訳でもなく。
彼女は自身の専攻の呪術的な何かと科学的な現代医学を融合した独自の謎技術を体系的に会得しているなんかすごいシャーマンであった。
なお現在26歳独身処女彼氏募集中の高学歴巨乳喪女であり、更にマズルが長めで目鼻立ちの整ったラプトル系の美形なので、レプタイル獣人基準では物凄い良物件である。
「ミルマは運ぶ時に密着してたけど、その後何か変わったことはあるかい?」
「!?っいえ、私はとくになにも…!」
「僕はあの後半日ぐらい髪の毛がイチゴの匂いになったぞ」
…唐突に話題を振られ、フルチンの殿方を指の隙間から盗み見ながら恥ずかしそうに縮こまって回答したのは、獣人盾兵♀のミルマ。
トラップ踏み抜きインシデント直後に簀巻きにしたリーダーを小脇に挟んで持ち帰った張本人である。
彼女はシャールと同じくレプタイル系獣人ではあるが、シャールより幾分かレプタイル系の血が濃く、非常に大柄で、身長も2.5mほどある。
その分身体的特徴が人よりレプタイル系の祖先に近いため、本人によると二足歩行よりも四足歩行の方が早く移動できるらしい。
また、馬力がある代わりに繊細な動きが苦手だそうだ。
身体的特徴はと言うと、彼女はシャールよりもかなり肉付きがよく、全体的に筋肉と脂肪のしっかり乗ったムチムチな肢体であり、更にリーダーの腰よりも太ももが太く、レプタイルというよりドラゴンや恐竜に近い野性味溢れる美貌を持っている。
例によって独身処女だが、シャールより4つほど若い22歳であり、まだまだこれからというところだ。
なお、そんな頑健そうな特徴とは裏腹に本人の性格はとても普通で、年相応の世間知らずで奥手な若い女性…というかビビりな女の子といった感じである。
なので、カリスマと人望で成り上がったタイプの典型的な黒髪王子様系男子であるリーダーの全裸は彼女には些か刺激が強すぎるらしく、赤面しながらモジモジしており、シャールはその様子を初々しくて可愛いと思いつつもちょっとイラッとしていた。
まあ、リーダーは長身細身に甘いマスクに優しい声色。成功した個人事業主であり社長。性格も程よく抜けてて天然可愛く、極めつけにチンポがクソデカい。もう何が無いのか分からない。
そんな男なので、好きになっちゃうのも仕方がないだろう。
美しい涙型の臍に加えてキモくない程度に割れたスマートな雄の腹筋。確かに破壊力抜群である。
自身のどうでもいい報告を華麗にスルーされ、キョトンとするリーダーのアホそうなイケメンフェイスを見ながら、シャールはそう称した。
◇◇◇
先程涼しい顔のまま何事もなく検査を終えたはずのシャールは、今物凄い早足でギルドの会議室へと向かっていた。
傷だらけのチョコレート色なフローリングにちゃりちゃりと忙しなく爪が当たる。
そんなに急いでいるということは、すなわち診察でヤバいことがわかったということである。
バーンと観音開きの扉を豪快に開け、直後に控えていたお手伝いさんがすかさず扉の表札を〈女子会中!男子禁制!!〉へと裏返す。
そう、ここは女だらけのギルド特有の会議室。
リーダーという甘い蜜に惹かれてやってきた女達が、主に自身の利益配分について熱い闘論を繰り広げる場。
普段は各々がリーダーに単独アプローチしてよい時間を五営業日の中から細かく切り分ける程度のしょうもない裁決しか行われていないが、
しかし今日はその場所にマジでヤバい爆弾が投下されることになる。
リーダーが踏んだトラップが持つ真の呪いの効果はそれほどまでにヤバい代物であり、そしてそれを開示するのだ。
紛糾は確実に免れないであろう。
シャールは矢のように鋭い皆の視線を受けながら、医者として言わなければならないことをハッキリと集団に向けて伝えた。
「…さっき、リーダーを見てきた」
「呪いの効果もわかった」
「今から言うけど、皆落ち着いて聞いて欲しい」
「…あれは、ただのイチゴ味の煙なんかじゃない。あの呪いの真の効果は………」
『今後1ヶ月間絶対に射精してはならないが、その間できるだけ性欲を煽りに煽り、おちんぽのムラムラが限界突破した31日目にドスケべ人外ねちゃどろズコバコニンニン妊活3Pで大量射精させなければ、リーダーの股間が大爆発してみんな死ぬ呪い。※なお、呪いの効果をリーダーに知られても大爆発します』
「…だよ」
◇◇◇◇
…瞬間、女子の中でもかなりの重鎮である姉御肌筋肉両刃斧系ファイター女子が吼える。
「クッ・・・クソダサい市役所の張り紙みたいなフォントで見せて来やがってェ〜〜〜〜ッ!!なんだこのふざけた内容は〜〜ッ!!!!!」
このように激怒する者もいれば、赤面する者や、大笑いする者もいた。
一同の反応は様々だったが、しかし偽造出来ない魔力投影の呪い転写紙にクソダサいフォントで記されたソレを見せられては信じる他ない。
「まあまあ落ち着いて。建設的に行こう。建設的に……ね」
棒術士の糸目濡れ髪和風姉様が怒るファイターを取りなす。が、ファイターはすぐにさめざめと泣き始めてしまった。
人外という要件に自分が当てはまっていないことにショックを受けたのだろう。
ガヤガヤとした個々人の発言は、次第に声量を増し、怒鳴り合いに等しい喧々諤々の議論に陥りそうな雰囲気を孕んでいる。
「みッ、皆さん落ち着いて…!!」
体の大きさに合っていない椅子の上から消え入りそうな声で場を整えようとするミルマ。しかし誰も聞いていない。
…まあ、それはともかく。
リーダーという栄光を手にせんとする獰猛な野獣達は、目を蘭々と黄色く輝かせながら、自身の利益の最大化を目論んでゆくのだった。
◇◇◇
彼女らなりに呪いの要件を考察した結果、リーダーの1ヶ月間の射精禁止と、その間リーダーをできるだけ欲情させ続けることと、31日目に人間ではないメンバー2人と3Pをした上で女二人が妊娠しなければならないことの、3つの要件が指摘された。
まず、1つ目の1ヶ月射精禁止。
これはシャールがリーダーに射精禁止の呪いを既にかけているのでクリア済み。
問題は常に欲情させることと、最後に人外孕ませ3Pを行うことだ。
大前提として、現在このチームには人外の女性メンバーがあまり残っていない。
内訳はシャールとミルマのレプタイル系が2人。スライム系と触手系が1人ずつ。アンデットが3人。
スライムと触手は生殖器を持たず、アンデットは全員肉体が無い。
さらには人間が欲情しやすいであろう猫・犬耳系の女達は別班として他国に傭兵派遣中である。
もうお分かりだろうが、この時点で既に性交できるのがシャールとミルマしか居ないのだ。
血の涙を流す候補外の女達を尻目に、あれ、よく考えたら私しかいない!?となっているレプタイル2人。
正直満更ではない。が、あまりにも2人にとって都合がよすぎる展開故に、自演ではないことを証明するのに一苦労である。
条件として期間終了後はしばらくリーダーを余りの女達で回すというものが付きはしたが、コラテラル・ダメージだ。
まあ最終的には理解と納得を得ることは出来たので、おそらく大丈夫であろう。
実の所、それ以前に女達の冷戦は既に停滞していたため、新たなカンフル剤を皆が無意識下で求めており、童貞でなければダメという女々しい発想も集団の中で既に古くなっていたのだ。
そのような状況も今のシャールとミルマに追い風を送り、味方していた。
ともあれ、そんなこんなで、嫉妬や羨望及び哀れみの視線を送られつつも、シャールとミルマのトカゲちゃん2人は波乱のドスケベ強制寸止めセックス射精管理(する側)地獄のめくるめく性愛の日々に、リーダーの人権完全無視のままトップスピードで突入することに相成ったのである。