2人のリザードマン♀と過ごすいちばん長い夜 作:4645 (ケモ系大量生産クリーチャー)
ともあれ、朝は必ずやってくる。
元気よく朝勃ちを決め込む元気な己の化身を鎮めるのに15分を要した後、ラフなシャツとズボンの部屋着姿でリビングに参上してみれば、そこには異様な光景が広がっていた。
「…なっ………!?」
思わず声を漏らしてしまった。
…全裸なのだ。
なぜか、シャールとミルマの二人ともが。
「「あ、リーダー」…さんっ!」
2対の獰猛な爬虫類の瞳が哀れな男性をターゲットし、待ち侘びたように瞳孔を収縮させる。
その声色には異性に対する欲望と下心が滲み出ていた。
「あ、ああ…」
「「これ、朝ごはんだケド…」…ですっ!」
ふたりは両方が同時に自ら作成したであろう朝食のサンドイッチを差し出してくる。
まだ用も足していないのだが、そんなことを言える雰囲気でもなく。リーダーはちょっと困りながら2つの食事に目をやった。
片方は女子力に溢れた小綺麗な様子で、もう片方はちょっと大雑把だが男が好きそうな動物性の具材に溢れたもの。
どちらも非常に美味しそうである。
先程まで緊張していたお腹がひもじそうな音を立てる。
意外にどっちがどちらの作であっても違和感がないことにリーダーは戸惑うが、それと共にとても重要な政治的選択を迫られていることにも気がつく。
もし、万が一間違えば、それは戦争が始まることを意味するものだ。
「…ッッッ」
0.01秒というコンドームの厚さにも満たない時の狭間において、挟まれる男リーダーはその超人的思考能力を開花させる。
順当に行けば昨夜パツイチ目をキメたシャールのサンドイッチを流石にちょっと譲らないとあれがそのなどと誤魔化して2番目とするのが定石だろう。しかしそんなことをしてしまえばミルマに対して先行者利益を僕が認めているという政治的優位性を暗に悟ってもらうことになってしまいミルマとシャールの間のパワーバランスがアレして積極的な行動が増え結果僕の僕が四六時中続く主導権争いの中でポッキリいかれてしまうかもしれない。しかしだからといってシャールのサンドイッチに真っ先に口をつけるのは正妻をシャールとすると宣言しているに等しい愚行!
ハッキリ言って全部読み飛ばしてもよいレベルにくだらない思考な上に、考え続けても結果が出ない事案であることは確定的に明らか。
そこでリーダーは天才的な名案に思い至る。
「…ありがとう!ちょうど腹が減っていたところだ。朝の鍛錬の前に頂くとするよ」
クラウドコントロールに優れるこの男は、2人の女性の手からさわやかにサンドイッチを頂戴すると、嬉しそうに両手に抱えたまま庭へと出ていったのだ。
もちろん玄関口に立てかけてある模造刀は忘れずに。
…あれ?君は普段鍛錬などするタイプだったか?
心の中の天使が咎めてくるが、このかなりの大所帯の我らが団においてこの僕の早朝ルーティンを知るものなどいない。
究極の選択を迫っていたことなどまるで気がついていなかった彼女たちは、ご機嫌な微笑みでその後ろ姿を見送った。
◇◇
「…でだ」
リーダーが朝の鍛錬を済ませてリビングに戻り、朝から特にやることもないので茶をしばき始めた頃。
腕まくりなんかしていつもよりちょっと男らしく健康的な男の姿に二匹の雌がメロついていると、視線の中心にいる男が口火を切る。
「…すまないが、今から2人に少々不躾な質問をしてしまう」
「なぁに?」
「なんですか?」
…シャールの声色が昨日の朝より明らかにしっとりしている。
椅子の足の間からこちらを誘うように素足が覗く。
ミルマの巨大な乳房が食卓の上にとろりと広がる。
無数の牙とつり上がった口の端、扇情的な蛇舌が視界の中でちろちろと舞う。
リーダーは息を飲みながら下半身に集中する血行を止めようとしたが、無駄な努力である。
「…先程から聞くタイミングを逃していたんだが、なぜふたりはふたりとも全裸なんだ?」
…だって、ねえ?
そういう調子で、キョトンとした様子のふたりは顔を見合わせた。
「「えっちな事するのに、服なんていらないから」ですよ?」
「そうか……」
呆れたリーダーは目頭を摘み、疲れたように揉みこむが、その隙を見逃さなかった2匹の獣がすかさず彼へ勢いよく飛びかかった。
猫がティッシュで遊ぶように目当ての雄の衣類を全部剥ぐと、そこには美味しそうなモノが隠されているではないか。
ヨダレを垂らさんばかりに爬虫類の瞳を蘭々とギラつかせる肉食獣は、リーダーを二人で押さえ込むと、丸太のように抱え上げ、2階の寝室へ連行してしまう様子。
「ちょ、ちょっと待ってくれっ」
「昨日はそんな感じじゃ無かっただろう!」
悲痛な羊の鳴き声が山奥のコテージに響くが、助けに来るものはいない。
「作戦会議、したんです…… ふふ…」
ふと、ミルマが怖い顔でシャールを見る。
「だから、抜けがけしたのは悪かったって…」
バツが悪そうに苦笑するシャール。
なんだか思ったより結構仲が良さそうでリーダーはなによりである。
なお、今はぜんぜんそれどころではなかった。
ギシギシと階段を上がってしまえば、もう…
「「はい、とーちゃ〜く…」ですっ」