「やってきました!ゲヘナ!!うぅーさっむ。」
木々は枯れて、吐く息が白く化粧されている。朝の10時程度。ミカとシてから一週間ほどがたった。
雪がパラパラと降っている。あぁこの世界の雪は綺麗だなと感じながら通りを歩く。今は記念すべき冬休み。
赤点祭りの私は本来補修があるはずなのだが……抜け出してきてしまった。
サボりと言う方が正しいだろうか。
白い防寒具に身を包みペロロバッグを揺らしながら街並みを観察する。ゲヘナはかなり治安が悪いと思っていたのだがすぐに襲われるなんてことはなくて安心だ。……とそんな事を考えていた時期が私にもありました。
「おいおい!トリニティのお嬢様がこんなとこきちゃだめだろ?」
「グハハっ!カモが大根しょってくるとはこのことよ!」
目の前にいるのは二人。ザ・スケバンといった見た目の子と、バイクに乗っているわけでもないのにヘルメットに顔を包んだ少女。そんな二人に絡まれてしまっていた。路地裏に連れ込まれたので大声を出しても届くかどうか。
「あ、あの…許してはもらえませんかね…?」
「はぁ!?とんだ世間知らずなお嬢様だぜ!こりゃきっちり『教育』してやらねぇとなぁ?」
「そうそう!だーかーらー、服脱ごっか?」
「ひぅっ。」
ねばっこい視線を向けられ思わず足がすくむ。
こんなに治安悪かったっけ。この世界。ミカから向けられていた情欲とは違う気持ち悪くて不快なものだ。
勝てるだろうか、こんな奴らに汚されるなんてごめんだし。どうせなら…ミカやナギサ達と…って違う違う。思考が思わずトリップしてしまいそうだった。
さて、キヴォトス人二人に勝つというか逃げるとなると私の身体スペックでは至難の業だ。なんせ前世の頃と耐久力以外あまり変わらない肉体でこのキヴォトス人二人を相手取り逃げなければいけない。
懐の拳銃に手をかけてそのまま引き抜く。
スケバンさんの頭を狙いしっかりと命中させる。
「いったぁ!?てめぇ!」
「こいつ!」
銃を撃った反動で手が痺れてしまった。その隙をヘルメットが見逃すはずもなくそのまま横っ腹に蹴りを入れられる。
「っ!!」
肺から全ての息が漏れて呼吸ができなくなる。
私弱すぎやしないだろうか。ミカなら力で圧倒し、ナギサやセイアなら言葉でうまく交渉したのかもしれない。
自身考え無さに思わず涙が出てしまいそうだった。
「あれー?今ので終わりですかー?折角優しく犯してやろうと思ってたのに…さぁ!!」
「あははー!吹っ飛んでやーんの!こいつほんとにキヴォトス人かよ!!」
ただの蹴りなのに私は吹き飛ばされなんども地面をバウンドする。狭い路地裏でもう路地裏の奥まできてしまったようだ。壁が背中にぶつかった。
「う…ゴホッ。」
誰か助けて…なんて他力本願したところで誰かが助けに来てくれるわけでもない。
「う…あ゛ぁ!!」
油断して近づいてきたヘルメットに体当たりをかまし、
そのまま逃げようと試みる。だが、一瞬でスケバンに追い付かれそのまま手を掴まれ地面に倒される。
「あぅ…だ、」
「私ら最近溜まっててさー、だから楽しませろよ?」
「誰か助けてっ!!!」
「あははっ、誰も来ねーよ!」
ゲラゲラと嘲笑の声が聞こえる。そんな声を打ち破ったのは凛とした、よく通る美しい声だった。
「それはどうかしら?」
「……!!!」
私は全身の痛みも忘れ、彼女を見つめた。雪のような白髪、そして見るものを恐れさせるアメジストのような瞳。
空崎ヒナ。ゲヘナの風紀委員長にして圧倒的実力を誇るキヴォトスの中でも指折りの実力者だ。
「ヒナ…ちゃん…?」
「少し待っていなさい。すぐに片付けるわ。」
「誰だてめぇ!お楽しみを邪魔するなら、まずはてめえからだ!」
「遅いわ。」
ヒナちゃんは壁を走りそのまま拳をヘルメットに繰り出す。ボゴォッと音を立てて地面が抉れる。ヘルメットのヘルメットが思いっきりへっこみ彼女の頭からはヒヨコが飛んでいた。
「ひ、ひぃっ!!!」
スケバンちゃんはそのまま脇目を振らずにヒナを通り抜けて逃げ出そうとするが
「それは悪手ね。」
とヒナちゃんは立ち塞がった。倒さなければ逃げられないと悟ったのかスケバンちゃんは戦闘体制だ。銃を撃つもヒナちゃんには一切効かず
「今何かしたかしら?」
と煽られる始末。弾が無くなった銃をそのままヒナちゃんに投げてスケバンはそのままヒナちゃんのお腹めがけて拳を放つ。スケバンが投げた銃を指一本で払いのけ 飛んできた拳をそのまま受け流しスケバンの顔に裏拳を入れる。それだけで意識が飛んだのかスケバンの身体から力が抜ける。そのままヒナちゃんは追い打ちをしようと思いっきり足を振りかぶったが…
「ちょおぉっと待ったぁ!!!」
私が間に入った。ヒナちゃんの蹴りが私の顔で寸前で止まった。その風圧だけで私は吹っ飛んでしまいそうになるけれどなんとか耐えれた。
「……貴女、自分が何されそうになっていたか分かっているのかしら。犯されそうになっていたじゃない。そんな相手を守るなんてどうかしてるわ。」
「で、でも!気絶してますし!もう十分かと!」
「……ふーん。まぁいいわ。少し待っていてちょうだい。医療班と付近を巡回している警団がくるわ。貴女は医療班に治療してもらいなさい。」
「あ、有難うございます…!」
うぉおぉ!!!目の前にヒナちゃんがいるぅ!!!!
しかもまだ高校一年生だからか風紀委員長時代よりも幼さが残っている!!きゃわいい!!!
「可愛い……」
「……はぁ!?!?あ、貴女自分が何を言っているのか分かっているのかしら!?!?」
照れているのが丸わかりなほど彼女の頬は朱に染まっていた。あぁ。変わっていない。あの徹夜明けで先生の上に座って匂いを嗅がれた時の照れ方と。
「ヒナ先輩!治療班と警護班が到着しました!」
「……チナツッ!?!?あぁー!!!本物のチナツだ!!!」
全身に走る痛みすら一切気にならないほど私は幸福感に満ちていた。そのままチナツの元へと駆け寄り握手をしてブンブン手を振る。
「おい、チナツから離れろヘンタイ!!」
「え…まさか…イオリ!!?!?うっわ可愛いぃ!!しかも面影残りまくり!!!」
「う、うわぁ!?なんだこのヘンタイは!?」
気持ち悪いと言わんばかりに抱きついている私を引き剥がそうとするイオリ。ちょっと悲しいけど当たり前の反応だなと感じ私は手を離す。
「皆…本当にいたんだ…!あ、あれ……?視界が…地面が近づいて…?」
フラッと私は体に力が入らなくなりそのまま地面とキス…しそうになった。あ…やばこれ、意識が…
「っ!!」
ヒナは彼女が倒れて地面に着く前に急いで抱きしめキャッチする。
「え、えぇ!?倒れた!?チナツ!急いで治療を!」
「分かっています!!」
*
目を覚ました。知らない天井だ。一回行ってみたかったんだよねこのセリフ。
「あら、起きたのかしら。」
「っ!ヒナ……委員長?」
「あら、気が早いわね。私はまだ委員長ではないわ。一年生だもの。風紀委員会には入っているけれど新参者よ。」
そ、そうか。まだ今の時点ではヒナちゃんは高校一年生。まだ風紀委員長ではないのか…。
「あ、あの…私何か変なことしたりしましたか…?」
「…まさか覚えていないの?」
「え、えぇ…スケバンに蹴られてから少し記憶が曖昧で…」
「安心してちょうだい。少し貴女に口説かれただけよ。」
「えぇ!?な、なんて失礼なことを…申し訳ありません!!」
ヒナちゃんは耐えきれないと言ったふうに笑い出す。
あ、笑ってる顔すごく可愛い。
「冗談よ…いやあながち冗談ではないけれど…、取り敢えず報告しておくわ。貴女を襲った二人は矯正局に送還されたわ。でも、貴女の傷…というか打撲だったり色々怪我をしているから一週間はここで治療を受けなさい。」
「あの…そのためにわざわざ…?」
「えぇそうよ。感謝してほしいわね。」
「ありがとうございますぅ!!!」
「えぇ…貴女ってなんというかその…個性豊かな人ね…?」
「それ褒めてます?」
「………」
「ノーコメントやめてください。」
「フフッ、貴女って面白い人ね。自分よりも強い二人に立ち向かったり…といえば変な奇行に走ったり。」
「もしかしてみられてましたか。」
「えぇ、申し訳ないわ。状況が状況なだけに、しっかりとどちらが悪なのかを確かめておきたかったの。あの時の貴女、とてもかっこよかったわよ。」
「……っ。ありがとう…ございますっ!」
頬に熱が集まるのが分かる。ヒナちゃんの微笑みが破壊力高すぎる。
「じゃあ、そろそろ私は行くわね。風紀委員の仕事があるの。」
「え…あ…もう行っちゃうんですか…。そうですよね、お時間をとらせてしまいすみません…」
「…はぁ、そんなに悲しそうな顔をされると困ってしまうのだけれど。安心しなさい。毎日顔を出しにくるわよ。」
「本当ですか!?」
パァッと花開いたかのように彼女の表情が明るくなる。
ヒナは思った。可愛らしいなと。
「色々聞きたいこともあるしね。今はとにかく休んで英気を養いなさい。後でチナツが来るからしっかりと治療を受けるように。」
「はーい。」
「いい返事。」
そのままヒナちゃんは去ってしまった。一人ポツンと病室に残る。ちょっと寂しい。なんて考えていると最悪なことを思い出してしまった。
「ナギサ達にゲヘナ行くっていうの忘れてた……」
今頃私のスマホにはとてつもない量の通知が溜まっているのだろう。以前にも似たようなことがあってこっ酷く叱られたのを覚えている。
「……無視しよう。うん。知らなければ存在しないのと同じだし。」
無茶苦茶な理論だがそれでいいだろう。万が一にはまたミカにアレをされそうになればナギサに助けてもらおう。ナギサなら安心だし。
「失礼します。救急医学部の火宮チナツです。検査に来ました。お洋服を脱いでもらってもよろしいでしょうか?」
シャッと仕切りのカーテンが開かれ入ってきたのはチナツちゃんだった。
「あっ、はい、わかりました!」
好きなキャラの前で脱がなければいけないなんてとんだ羞恥プレイだけれど、我慢しよう。私が上半身裸になるとチナツは触診を始めた。
「……かなり大きい痣が出来てしまっていますね…今は先ほど痛み止めを処方したので痛みが引いていると思いますが、あまり動かないようにしてくださいね。」
「お、おぉ……」
やばい好きなキャラに触れられているという状況がとてつもなく幸せ。
「…凄い数のキスマークですね…」
「へ?」
「い、いえ!なんでもないです!一応外傷部分には手当をしましたので、少し安静にしておくように。打撲がかなりの箇所あるのでまともに歩けるのは…一週間後ほどでしょうか。」
「い、一週間…ですか、」
「……では、お話をお聞きしましょうか。」
そう言うと目の前のチナツちゃんの雰囲気が変わる。
冷たく、敵を見るような目だった。怖すぎて情けない声が出てしまいそうだったがなんとか堪えた。
「貴女は何処からやってきましたか?一応荷物はこちらで保管させて頂いていますが。正直に答えないと…分かりますね。」
「……」
あれチナツちゃんってこんな怖かったっけ。一応今中学生だよね。なのに全然怖い。と言うか何そのスタンガン。ばちばちさせないでよ怖ぁ…
「私はトリニティ総合学園の生徒です。高校一年生の。
ここには冬休みなので休暇で訪れました。目的は……ゲヘナの観光ですかね。」
「嘘ですね。」
「なんでぇ!?」
「ではスタンガンを当てますね。何処がいいですか?首?お腹?二の腕?それとも…ふともも?」
私は怖くなって逃げ出そうとしたが……
「逃すわけないじゃないですか。」
チナツちゃんは軽く私の手を引っ張りベッドに縫い付ける。そのまま手錠を取り出し私をベッドに拘束した。
そしてお腹の上に跨られて一切身動きがとれなくなる。
「……あの…チナツちゃ…さん?怖いんですけど…」
「貴女が素直に話してくれればすぐ終わりますよ。目的の部分が嘘ですね。そしてなぜ私たちの名前を知っていたのでしょうか。貴女は気絶する瞬間私たちの名前を呼んでいました。答えなさい。貴女は何処から送り込まれましたか。」
「だから…観光に「ビリビリッ!!!」ひぃんっ!!?」
身体に電流が走るとはこのことか。身体が制御から離れビクンと勝手に震える。少しの痛みと大きい刺激で思わず涙が出てくる。
「お次は二の腕ですね。」
ビリビリッ!!!
「ひっみゃあ!!!」
「あは、いい悲鳴ですね。虐めが……コホンコホン、
尋問しがいがあります。」
「あばっあばばっ!」
チナツちゃんは私の叫びなんか気にせず手錠がついていてまともに動かせない右腕を掴んでベッドに押し付け二の腕にスタンガンをぐりぐりと押し付ける。
「たすけっ!!「はーいビリビリ強くしますよー?」
キャアぁぁ!!」
「ふふ……♡可愛いですね♡涙目になっちゃってますよー。」
私はせめてもの抵抗で足を振り上げ暴れさせる。もう殆ど力なんて入っていないがそれでもこの刺激は辛い。
「いった、は?」
「ひぅっ!?」
「あの…何生意気に反抗しているんですか?尋問官の背中を蹴るなど…、あぁそういうことですか。よっぽど酷い目に遭わされたいのですね。お望み通りそうしてあげますね。」
そのままチナツちゃんは私の足方向に体の向きを変え、
私の左足をガッチリと掴んだ。そのままスタンガンを脅すかのようにペチペチと当てる。
「これ…電流まだ弱なんですよね。貴女の身体が弱いことは分かっていたので優しく手加減してあげていたのですが。一気に強にしちゃったら…どれほど可愛い悲鳴をあげてくださるのでしょうか?」
「や、やめっ「いきますねー。3…2…」っ!」
私は来る刺激に備え足を丸めシーツを掴んでなんとか耐えようとした。カウントダウンに合わせて
ビリビリビリビリッッッ!!!!
「ー〜ーー〜〜ー!!!!?!?!」
「……フフッ。声が出ませんか?それもそうですよねぇ、身体雑魚なのにこーんなに強い刺激にされされちゃって抵抗もできずに…アハハッ、さいっこうにいい表情ですよー白鷺さん。」
チナツは嗜虐的な笑みを浮かべハルの涙と涎でぐちょぐちょになった顔を眺める。
そんな時だった。プシャっ、チョロロロロと、なんとも情けない音を出しながら。
「あ、気絶と同時に失禁しちゃいましたね。おへそピクピクさせながらおもらししてるの可愛すぎですね。」
「まぁ良いです、どうやら本当のようなので許してあげましょう。」
チナツは彼女の拘束を解きそのまま隠しておいたカメラの録画を停止する。
「しっかりと撮れてますよね…、大丈夫そうです。当分のオナネタは決まりましたね。」
チナツはカメラをバッグの中に隠し、そのまま掃除を始める。黄緑色に染まったシーツは後で変えるとしてまずハルの顔を綺麗にしてしまおう。柔らかいタオルで優しく彼女を拭く。
やはり美人だなと思いながら自身の手でここまでぐちゃぐちゃにしたことに優越感に浸りながらもしっかりと綺麗にする。
「……はぁ、チナツ。それは貴女の悪癖だと言ったはずよね。」
「ヒナ先輩!?」
「も、申し訳ありません!」
「私は優しくするよう言ったはずだけど。手加減というものを覚えた方がいいわ。」
「ぐうの音もでません…というかなぜヒナ先輩がここに?」
「彼女のご飯を買ってきたのよ。彼女とても痩せているしまともに食べていないんじゃないかと思って。」
「それは私もそう思いました。蹴りを喰らったのは二発程度なのにそのどちらもとてもはっきりと痣が出来ています。キヴォトス人にしては余りにも弱すぎるというか…私が拘束しようとした時も全然力弱かったですし…」
「ヘイローは浮かんでいるものね、今は何処ぞの誰かさんが無茶をしたせいで消えているけれど。」
「うぅ…申し訳ありません。」
「…彼女は一体何者なのかしら。生徒証はトリニティ総合学園のもので間違いはないわ、確認してきた。実在する生徒よ。でも…トリニティの生徒がゲヘナにくるなんて…」
「彼女は観光に来たと言っていましたが…十中八九嘘でしょう。目が泳ぎまくっていましたし。」
「でしょうね。……はぁ、なら私がするわ。彼女と表向き友好な関係を築いて探りを入れることにする。」
「え…ヒナ先輩が友好的な関係…?」
「何か言ったかしらチナツ?」
「いえ!何も申しておりません!」
*sideティーパーティー
「先ほどゲヘナから連絡が届きました。そちらに白鷺ハルという女子生徒はいるかと。」
「ふむ、ハルの身に何かあったということだね。」
「……」
「その……どうやら……」
ナギサは拳を握りしめる。セイアな脳裏に最悪な予想が浮かぶ。ミカは押し黙ったままだった。
「……襲われたそうです。ゲヘナの生徒に…」
「……」
「……」
二人は絶句していた。いや絶望と言い換えてもいい。
ナギサも耐えきれないと言ったふうに目を伏せる。
「どうやらギリギリで風紀委員に救われたようなのですが…ハルさんは危険な状態にあります。」
「なるほど、ゲヘナなんて地域にトリニティの生徒がいる、普通はあり得ないことだね。大方スパイか何かと疑われ…最悪の場合…尋問にかけられることもあるかもしれない。」
「アハッ☆私今からゲヘナにいってくるねー☆」
「ミカさん落ち着きなさい!今私たちまで動けば状況は更に混沌とします。私たちは…動くべきではないのです。」
「じゃあなに?ハルちゃんを見捨てろっていうの?ナギちゃんはハルちゃんが大切じゃないの!?」
「大切に決まっているでしょう!!!…ですが、今私たちが動けば…安定しているゲヘナとトリニティの関係が…」
「……ミカ、君も分かっているはずだ。私たちは動けない。幸い、あちら側の風紀委員の空崎ヒナという人物は信頼に足る人物ではある。」
「……ゲヘナの奴らを信用しろって?……意味わかんない。」
ミカは怒りのままに扉を破壊し、部屋を去った。
「……ナギサ、心配なのは分かるが判断を誤らないように。」
「…えぇ、分かっています。ミカさんの配下には暴走を止めるよう言っておきます。」
「あぁ、頼んだよ。こちらでも手は打ってみる。」
セイアもナギサも、強がってはいるが内心不安に満ちていた。大切な人を失うかもしれない恐怖が身体を支配していた。