猟師に残されたのは、事切れた妻と、醜いオオカミの死体。
悔やんでも悔やみきれない。どうしてもっと早く帰らなかったのか。身ごもった妻に、少しでも良いものを食べさせてやろうと、ただそれだけで。
家に続く二つの足跡。
小さな小さな少女のものと、大きな大きなオオカミのもの。
「気をつけて」自分で言っておきながら油断していた。人を襲うオオカミなんて、もう物語の中にしかいないはずだった。
銃声が一つ。
飛びかかってきたオオカミと揉み合いになった猟師は、構わず引き金を引き続けた。肩に牙が食い込んだ。血が流れようとも、殺さなければならない。倒れ伏したオオカミに止めを刺す。怒りでも、悲しみからでもなく、ただ機械的に。
弾が切れてようやく、引き金から指が離れた。
空しい。
何があったのかなんて見なくても分かる。部屋に立ち込めていたのは、男と女の情事の跡だ。殺されたのが先か、犯されたのが先か、順番なんてもう……。妻が返らないという事実が、猟師の胸に重たく圧し掛かる。
幼馴染だった。
兄妹のようにも育ってきた。
そう広くもない村だ。自然とそうなる。コイツと結婚するんだろうな。そう思い始めれば、あっという間。人生の半分は、彼女と同じ時間で出来ていた。
「っ……ぁ」
漏れ聞こえた吐息に、崩れていた猟師は顔を上げる。
そこに見えたのは千切れた赤いずきん。あの日のままに、自分に笑顔を向けてくれた幼い面影。
よかった……。
生きていてくれて。
けれど、猟師が呟いたのは妻の名前だった。狂気の宿った瞳に正気はない。猟師の目に映るのは、幼い日の幻影だ。初めて妻に女性を感じた日。有るとか無いとか。ついこの間までは、そんなに違わなかったはずなのに。
毛の生えた体をからかわれた。ヒゲも生え、毛深くなる。
手足も太くなり、胸板は厚さを増していく。だんだん獣に近づいていくみたいで怖くなった。もう、妻と一緒にいられなくなるんじゃないかと思って、震えた夜もある。
だって、その日を境に妻を見る目が変わってしまった。
曖昧に主張し始めた女の体は、日を追うごとに艶を増していく。母親には感じることのなかった異性への渇望が、指先を震わせた。ずっと、こうしてやりたかった。不意に抱きしめたくなる衝動を、なんど飲み込んだことか。
温もりを求めて、手を伸ばす。
白濁に塗れた少女の肌は、それでも魅力を損なわない。触れた指先を慰めるように吸い付いた。悔しい、悲しい、それすら興奮を煽って有り余る。
「お兄さん……」もしも一声、少女が声を上げたなら。違う。そんな風には呼ばれた事はない。耳をくすぐるような声が好きだった。名前を呼びあって、それが特別な意味に変わっていく。
「愛しているよ……」
その声を聞くものは、何処にもいなかった。
ズボンを下ろした猟師は、肉棒を曝け出す。可愛げなんて何処にもない。
誇示された男性は、いっそ暴力的だった。血走った血管が浮き上がる。震えた亀頭から、先走りが溢れ出した。
少女の体を引き寄せ、足を開かせる。
「赤ずきん、ちゃん……?」幼い日の妻の愛称。名前を呼んでも、返事はない。
生唾を飲み込み、深く息を吐いた。乱れた呼吸が、さらに荒れていく。「はぁ……はぁ……」耳に障る男の声が鬱陶しい。起きないキミが悪いんだから。
そんな格好をして、寝ているキミが悪いんだから。
肉壺に先端を浸す。
すでに綻んでいた入口は、遮ること無く猟師を受け入れた。
ドプっと、押し出された白濁液。沸き立つ精の匂いと、女の香り。華やかな青臭さが、猟師の鼻を付く。イラ立ちが興奮に変わり、一気に腰を推し進めた。
グチャっ……。
潰れたような水音だった。狭い割れ目は一杯に広がって、腰と腰とがぶつかり合う。先端が奥へと行き当たり、柔らかく押し返された。猟師の腰を、甘い痺れが包み込む。
もっと、奥に。
欲望が少女の中へと溶けていく。もう、行き止まり。そのはずなのに、お互いの境界が崩れていくようだ。曖昧な腰を掴まえて、肉棒を打ち付けた。激しくなる抽挿に、薄い胸が僅かに揺れる。そこにはもう、少女の貞淑さは残っていなかった。
「んっ……はっ、ぁっ……ぅっ……」
熱を宿した肌は汗ばみ始めて、薄い唇から吐息が漏れる。潤いを増していく肉壺。
少女はまだ目覚めない。けれど、猟師を拒みもしなかった。控えめな鳴き声に、細い喉が震えている。オオカミじゃない。いま、少女に声を上げさせている事実に猟師は昂った。
かぁっと、頭に血が上る。
もっと、もっとだ。目覚めた彼女が、何を言うかも考えない。許せなかった。オオカミの匂いをすべて消し去りたい。少女の中を満たして良いのは自分だけのはず。
イライラする。
肉棒の根本にマグマが溜まっていくようだ。
それを吐き出したくて、少女の穴に肉棒を叩きつけた。
「ぅ、ぁ……もう、やめ……」薄っすらと開いた瞳は、何も映さない。少女には、猟師がオオカミに見えたまま。
細い腰を抱え上げ、亀頭を奥に擦り付けた。ざらつく天井の向こうに、ゴムのような隔たりを感じる。弓なりに体を反らせ、少女は自分から腰を持ち上げた。
分かってしまった。想像出来てしまう。口では嫌だと言いながら、オスを求めて止まない女の姿。少女の初めてを奪ったのは、猟師じゃない。全部が手遅れ。今更犯した所で、孕む子は一体誰の子なんだろう?
それが、許せない。
頭が沸騰しそうになった。
目の前が真っ赤に染まり、ただただ機械のように腰を打ち付ける。
女を犯すだけの獣。そこに、普段の優しい面影は残っていなかった。抱いている女が少女だろうが、妻だろうが、どっちでも変わりはしない。折り重なった男と女。積み重なっていく抽挿と快感。今か、今か、次の瞬間を求めて猟師は少女の肢体を貪った。
「たすけて……おにい、さん」
胸が潰れそうだ。こんなに愛しているのに、少女は猟師を見てはいない。
汗ばんだ肌も、小刻みに震えだした肉壺も。少女の瞳にはオオカミしか映っていなかった。小さな手が、猟師の腕を掴む。細い指が肌に食い込んだ。気の抜けるような嬌声。きゅっと体を縮こまらせたかと思えば、ビクビクとアゴを反らして身悶える。
サワサワと、肉棒を撫でられるようだ。
沸騰した精が、一気に竿を駆け上っていく。根本を塞いでいた理性が溶け出し、頭が真っ白になった。逃さないように、離さないように。猟師を挟み込んだ太ももは、拒絶のためじゃない。
ドクン……ドクン……っ!!
注がれる精に合わせて少女は腰を泳がせる。。奥へ、奥へ、もっと深く繋がりたい。少女の絶頂が伝染したかのようだ。まだだ、まだ出る。意識が戻ってこない。入り切らなくなった精が、割れ目の隙間から滲み出した。
手が震えて、指が滑った。
少女の腰が床に落ちる。
同時に、抜けた肉棒が跳ね上がり、有り余った猟師の精が白い肌に降り注ぐ。
点々と、淡々と、無垢な少女を汚す凌辱の残滓。薄ら赤く染まった頬は、まるで赤いずきんを被っているようだった。