※この作品はR-18です。

ショートショート×エロ 作品集   作:河合=大数寄

2 / 2
ショートショート×エロ 女の子とカクテル

 男は仕事後、初めて入るバーに立ち寄った。ドアを開けると、カウンター席に数人と、一番奥のテーブル席に制服姿の中学生くらいの女の子が座っているのが見えた。バーと制服という組み合わせを奇妙に思っていると、

「いらっしゃいませ……空いているお席へ……」

 とマスターに声をかけられ、入り口に一番近い席に座った。

 

 

「何か、おすすめのものを……」

「かしこまりました……」

 マスターが洗練された動きでお酒を作った。グラスが差し出され、一口飲んでから聞いてみた。

「奥の席のあの子は……?」

「ああ、知り合いの子でして……いつも知り合いが迎えに来るまでの少しの間、預かってるんですよ……」

 そういうこともあるか……と、男は酒を嗜んだ。

 

 

 落ち着いたバーの雰囲気を男は気に入った。二杯目を注文し、ぼんやりと待っていると、いつの間にかカウンター内に女の子がいて、

「どうぞ……」

 と、笑顔でグラスを差し出してきた。どうやらマスターの粋な計らいらしかった。ありがとうと笑顔でお礼を言うと、女の子は席へと戻っていった。

 

 グラスを口にするたび、差し出してきた時の笑顔が浮かぶ。まだ幼くてとても可愛い子だ。

 

 

 男は目を閉じてBGMを聴き、雰囲気に酔いしれた。遠くでドアの鍵が閉まるような音が聞こえた。もしかしたら誰かがトイレにでも入ったのかもしれない。それから、ウィーン……と何かが作動するような、低い音が聞こえたような気もした。

 

 

 そのうち、女の子は迎えが来ていなくなった。男もそろそろ帰るかと思ったが、マスターの姿がなかった。しばらくして戻ってきたマスターは、布を被せた何かを持っていて、それをカウンター下の冷蔵庫にしまったようだった。

 

 程なくして、一席空けた隣の客が、

「……マスター……いつものを……」

 と頼むのが聞こえた。しばらくして出てきたのは薄黄色のカクテルだった。

 

 その後、さらに隣の客が、

「マスター……あれを……」

 と頼んだ。出てきたのはまた薄黄色のカクテルだった。同じもののようだった。美味しいのだろうかと男は気になったが、真似をするのはかっこ悪い気がして、頼まなかった。

 

 

 お会計のタイミングをうかがっていると、さらに隣の客も、同じものを頼んだように見えた。どういうことだ? と男は思った。全員、同じものを飲んでいないか? 同じタイミングで? いや、確かに隣のものを見て欲しくなるというのは分かる。だが、それとはまた違うような…………なんだ? 何かきっかけがあったのか……?

 

 男は少し前のことを思い返した。そうだ、マスターが何かを持っていた。あれか! あれはなんなんだろう……ただ、他の客はそれを待っていたことに間違いはなさそうだ。マスターがそれを最初から用意していなかったのは、とっておきだからか……? わざわざそんなことをするのは少し変な気もするが…………向こうに保管場所があるのか……?

 

 男はそっと席を立ち、店の一番奥まで行ってみた。そこはただ短く通路になっていて、酒を保管するような場所はなく、トイレのドアが二つあるだけだった。男性用と女性用が分かれていて、女性に親切なお店……と思った瞬間、フッと、さっきまでいた女の子のことが思い浮かんだ。

 

 え……? さっきトイレに入ったのは、女の子だったか? いや、直接見てはいないが、そうだったのかもしれない。ん……? 女の子がトイレに入って、その後、マスターがトイレに入って、何かを持ってきた……?

 

 男はハッとした。薄黄色のカクテル……まさか……! 急に緊張し、ゆっくりと席に戻り、マスターのことを盗み見て、ごくり、と一度喉を鳴らした。

 

 そういうことなのか……ここにいる客は常連で、それがもうわかっていて……

 

 ……本当なのか……? 本当に、あの可愛い女の子の……あれを飲めるというのか……?

 

 男は一人、鼓動を強くしていた。店内の空気の全てをうかがうように、全身を研ぎ澄ませていた。そして、

「……マスター……隣と同じものを……」

 と頼んだ。軽やかにグラスを拭いていたマスターの手が止まり、視線が向けられた。

 

 

「どうぞ……」

 差し出された薄黄色のカクテルは、クリアでキラキラと輝いていた。男はグラスを持ち、女の子の顔を思い浮かべながら、細く深く匂いを嗅いだ。そして、天にも昇る思いで、恍惚の表情を浮かべた。

 

 その様子を見てマスターは、また飲む水の量を増やす必要があるな、とお腹を撫でた。




最後までお読みいただきありがとうございます!
お気軽にご感想、評価、お気に入り登録、ここすきなどいただけますと次作品の執筆を加速させます!
エロのあるショートショートが好みです。
お好みの合う方、お友達になってください。
一緒に作品を作って楽しみましょう!

© kawaiikodaisuki
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。