学園一の美少女は、キモデブの俺から絶対に離れない【完結】 作:ドン・ドナシアン
大悟の口の中に舌を差し込んだ瞬間、大悟の身体がびくりと跳ねた。
目を白黒させている。本当に、なにも知らない顔。
──かわいい。
真白は自分の鼓動の速さに驚きながら、大悟の唇をふさぎ続けた。革枷で後ろに回した両手が、じわりと熱を帯びる。逃げられない姿勢なのは自分だけど、大悟のことだから、最初は真白がリードしなければと思っている。
絶対に、今日で大悟を真白のものにしてみせる。
真白はそう決めていた。
大悟の唇は柔らかかった。
唾液を混ぜ合って舐める。
美味しいと思う。
大悟の唇は思っていたより温かくて、少し震えていて、触れた瞬間に全身が痺れた。こんなに気持ちのいいものだなんて、知らなかった。
舌を絡めるたびに、大悟の呼吸が乱れる。戸惑いと興奮が混じったその反応が、真白の胸の奥を甘く満たしていく。
ずっと、欲しかった……。
近所の公園の砂場で交わした約束──。
冗談なんて思ったことは一度もない。大悟が忘れているかもしれないと怖かった夜もあった。それでも、今日まで隣にい続けた。
綺麗になろうと決めたのも、大悟のため。
胸を大きくしようと努力したのも、大悟のため。
女の人が縛られているあの写真集を見つけたとき胸が騒いだ。でも、だって、それは大悟の“好き”を発見したのだから。
好きなものごと、全部もらう。
「……ま、真白……」
舌を離すと、大悟は真っ赤な顔で息をしていた。
──やっと、ここまで来た。
胸の奥で、静かに確信する。
これは奪われるキスじゃない。
あたしが選んで、あたしが始めたキス。
もう、幼馴染じゃない。
婚姻届にも署名をさせた。
あれを役所に出しさえすれば、もう大悟は真白のものになる。
あたしの旦那様……。
「……もう……一回……大悟」
「う、うん……」
後ろ手に拘束されている真白の身体を抱きしめながら。大悟がもう一度顔を近づけてくる。
「……こ、今度は……大悟から……舌を入れて……」
「わ、わかった……」
大悟が唇を近付ける。
真白は迷いなく唇を重ねた。
舌が入ってきて、口の中を舐め回される。
まだ、遠慮がちで……だけど、鼻息も荒くて、すごく大悟が興奮しているのもわかる。
全身を熱いものが包む。
多分、自分は淫乱……。
真白はそう思う。
好きな人とキスをする──。
それがこんなにすごいことをは真白も思わなかった。
頭がくらくらするほど気持ちいい。
大悟が唇を離した。その瞬間、名残が糸のように切れた。
息が荒い。頭がぼうっとしている。
真白の太ももの内側が熱い。
下腹がじんわりと疼いている。
──あ……。
制服のスカートの下で、下着が肌に貼りついている感覚に気づく。
こんなに、なるなんて……。
真白は唇を舐めながら、ゆっくりと息を吐いた。
やっぱり、あたしは大悟が好きだ──。
当たり前の事実なのだが、改めて確信できる。
大悟は、真白の初恋である。
物心がついたときには、もう隣にいた。
朝になれば顔を合わせ、夜になれば「また明日」と言う。それが当たり前で、その当たり前が特別だと気づいたのは、ずっとあとだ。
大悟は優しかった。
転べば真っ先に駆け寄る。重いランドセルを黙って持つ。誰かにからかわれれば、自分が笑われる側であっても間に入る。
幼稚園のとき──。
父が突然亡くなった日。
家の中は静まり返り、母は泣き続けていた。意味はわからなくても、胸の奥にぽっかりと穴が空いた感覚だけは残っている。
あの日、大悟はなにも言わなかった。
慰めも、励ましも……。
ただ隣に座り、黙って手を握り続けた。
小さな手だったが、温かく、離れなかった
その温もりだけは、いまでもはっきり覚えている。
真白は昔から表情が動かない。
怒っているのか、喜んでいるのか、哀しいのか、周囲にはわかりにくい。母でさえ「なにを考えているのかわからない」と言う。
だが大悟だけは違った。
「いま怒ってるだろ」
「嬉しいんだろ」
「無理してる」
外れたことは一度もない。
真白の心を、正確に掴むのは大悟だけだった。
隣にいると、無理をしなくていい。
強く見せなくていい。
ただ、そこにいればいい。
小学校の低学年では、なかなか輪に入れなかった。
黙っていると怖いと言われ、冷たいと言われ、気取っていると言われた。ひとりでいることも多く、からかいの標的になったこともある。
そんなとき、必ず隣に立ったのは大悟だった。
わざと大きな声で話しかける。
強引に輪へ引き入れる。
向けられた悪意を笑いながら受け止める。
守られてきた。
何度も、何度も──。
大悟は、自分がどれだけ、真白にとって特別かわかっていない。
どれだけ真白の世界の中心かわかっていない。
だから今日で終わらせる。
幼馴染という曖昧な距離も、遠慮も、逃げ道も──。
大悟は、真白が選んだたったひとり。
だから、真白は大悟のために綺麗な女になろうと決めた。
走った。食事を変えた。姿勢を正した。鏡の前に立ち、何度も自分の顔を見た。どうすれば綺麗になれるかを研究し、肌を手入れし、髪を伸ばした。
小学校高学年のころには、美少女と呼ばれるようになっていた。
大悟が喜んでくれると思った。
でも、違った。
距離を取られるようになった。
背が伸びた真白の隣で、大悟は小さいままだった。丸い体型も、からかわれるあだ名も、気にしていないふりをしていたが、真白にはわかった。気にしている。
真白と話しているだけで、男子に肩を押される。
女子に嫌味を言われる。
そのたびに、視界が白くなるほど腹が立った。
だが学校では、絡まないようにするしかなかった。
真白が近づくほど、大悟が傷つく。
だから、教室では距離を置いた。
しかし、放課後だけは、絶対に手放さなかった。
インターホンを鳴らし、当たり前の顔で部屋に上がる。
隣に座る。ゲームをする。勉強をする。
それだけは、守り続けた。
大悟は自分を卑屈に見ている。
だが、真白は知っている。
ゲームが好きで、自分でプログラムを書き、作品を作れる。誰よりも頭が回る。優しくて、嘘をつかない。
すごい人だ。
周囲が「キモダイ」と笑うたび、怒りで喉が焼けるようになる。
あの声を止めたくて、全部黙らせたくて、何度も衝動を飲み込んだ。
学校では距離を取る。
でも心までは離さない。
むしろ──。
大悟が格好悪いままでいてくれればいい、とさえ思った。
ずっと他人から格好悪いと思われていればいい。
そうすれば、誰も近づかない。
大悟は、真白のものだから……。
そばにいて当たり前。
いなくなるくらいなら、世界の方が壊れればいい。
大悟がいなくなったら、自分はきっと壊れる。
母はその気持ちを知っている。
婚姻届を差し出したとき、大笑いをして署名した。
覚悟を見抜いていたからだ。
大悟の両親は泣いて喜んだ。
外堀は埋めた。
幼稚園のころ、公園で交わした約束──。
実際には、真白が半ば強引に言わせたものだった。
それでも、大悟ははっきりと言った。
「大人になったら、真白と結婚する」と──。
そして、やってきた高校三年の四月。
二人とも十八になった。
大人になった。
だから、約束を守ってもらう。
大人になったのだから、大悟からあの約束を口にしてくれと思って待っていたが、どうやら、それは期待できそうになかった。
だから、少し強引だったかもしれないが、真白から動くことにした。
婚姻届を出したときには、大悟は明らかに顔をひきつらせていたが、それでも、署名は自分の意思で書いてくれた。
あとは既成事実──。
もう離さない。
「だ、大悟……あたしは、手が使えない。大悟が脱がして……」
真白は、いつの間にか大きくなった胸を、大悟の身体に押しつけた。
制服越しでもわかる柔らかさに、大悟の呼吸が止まる。
よくいやらしい目で見られるから、この胸はあまり好きではなかった。視線が胸元に落ちるたび、冷たいものが背中を走る。
でも──。
大悟が向けるエッチな視線は、嬉しかった。
「い、いいの……ほんとに?」
息を呑むような声。
震える指が、制服のブラウスの一番上のボタンに触れる。
可愛い……。
「いい……。当たり前」
迷いなく言う。
「……大悟はあたしの旦那様になる。そう思って名前を書いたんでしょう?」
「か、書いた……。でも、信じられない。本当だって思えなくて」
「本当……。あたしは大悟が好き。だから好きにしていい。ちゃんと手錠も嵌めた。脱がすのは大悟」
真白は微笑んだ。
許可ではない。
指名だ。
「わ、わかってる……」
上から順に、ボタンが外れていく。
ひとつ。
また、ひとつ。
開いた隙間から、白い肌が覗く。
ブラウスが肩から落ちる。
その下は、大悟に見せるために選んだ下着。
大悟の視線が止まる。
胸を包む布越しに、鼓動が速くなる。
見ている。
ちゃんと見ている。
それだけで、身体の奥が甘く疼いた。
「さ、触るね」
大悟の声はかすれていた。
両手が伸びる。
指先が、そっと胸に触れる。
その瞬間──。
「はんっ」
衝撃が胸から脳天まで一気に走った。
掴まれた。
掌に包まれ、指が食い込む。
揉みあげられた途端、甘く鋭い刺激が乳房の奥から神経を伝って駆け上がる。
耐えようとしても、耐えられない。
胸を触られるだけで、こんなにも強い。
大悟に触られている。
それだけで、身体が勝手に反応する。
息が乱れる。
喉が震える。
革枷で後ろに回した両手に力が入る。
逃げない。
逃げたくない。
むしろ──もっと。
胸を揉む大悟の手つきはぎこちない。遠慮もある。だが興奮は隠せない。
真白の身体は正直だった。
布越しでもわかるほど、熱が集まっていく。
胸だけでこれなら──。
その先を想像しただけで、下腹がきゅっと締まる。
真白は乱れる呼吸を整えようとするが、うまくいかない。
「む、胸だけじゃなく……」
声が掠れる。
「……えっ?」
夢中になって胸を揉んでいた雰囲気の大悟がはっとしたように顔をあげる。
「スカートの中も……」
正座していた脚をゆっくり崩す。
膝を畳んだまま、わずかに開く。
「う、うん……」
大悟が息を呑む音が聞こえる。
視線が落ちる。
スカートの裾に手がかかる。
少しずつ、ゆっくりと持ち上がっていく。
空気が触れる太ももが、ひどく敏感になる。
真白の心臓が痛いくらいに鼓動が速くなった。
胸も、下腹も、全部が熱い。
真白は目を逸らさない。
大悟の表情を見続ける。
恐れと、欲と、戸惑いと──。今日で大悟の全部を真白のものにする。
ここから先は、もう戻れない。
戻らない。
大悟は、真白の旦那様になる……。
スカートがさらに上がる。
白い……いや、すっかりと濡れて大きな丸い染みがついている下着が露わになった。
「……濡れてる」
「だ、大悟……ほら、あたし……拘束されている……。なにをされても……抵抗できないよ……。あの写真のように……好きにしていい」
「あ、ああっ」
大悟がしがみついてきた。
押し倒される。
ブラが掴まれて上にずらされる。再び胸が揉みあげられる。さらに大悟が乳房にむしゃぶりついてきた。舌で乳首が捏ねあげられる。
「ひゃあっ、ああっ──だ、大悟──気持ちいいっ──」
峻烈な喜悦に真白は、大悟の顔に乳房を押しつけるように身体を反らせた。
下腹を震わせて、全身を硬直させる。
大悟が乳首を舐めながら片手で胸を力いっぱいに揉み、片手でスカートの中に手を入れ、下腹部の膨らんでいる頂きをぎゅっと指で押してきた。
「んふううっ」
身体が溶けだすような気持ちよさに、思わず甘い声をあげた。
胸を揉まれたときも思ったが、大悟になにをどうされても、真白は凄まじいほどに快感に襲われるのがわかった。
大悟が真白の胸を揉み、股間を愛撫する。
乱暴に動かすだけの指の動きだけど、真白にとっては脳天を突き抜けるような快感を導く手だ。
衝撃が駆け抜ける。
「んんんっ──んぐううっ」
ついに絶頂に襲われ、真白は下着のなかで大量の蜜を噴き出しながら全身を硬直させた。
「うわっ──真白──?」
突然に身体を硬くした真白の反応に、大悟がびっくりしたようだ。
驚いたように、身体を引く。
「だ、大丈夫、真白?」
大悟が困惑した声を出す。
「は、離したらだめ──。い、いいよ、大悟──。いいから」
真白は膝を曲げて脚を拡げる。
仰向けのまま、下から見上げると、大悟はすっかりと興奮していた。
大悟が手を伸ばして、真白から下着を脱がせていく。
恥ずかしい──。
だけど、なんとしても、大悟を真白のものにするんだ──。
「ああ、真白──」
今度は大悟が慌てるように、自分のズボンを脱ぐ。だけど、緊張しすぎているのか、なかなかベルトが外れないみたいだ。
「……慌ててなくていい……。落ち着いて……。あ、あたしも……、緊張している……。一緒……」
「う、うん……」
大悟が頷く。
ズボンと下着を大悟が脱いだ。
大悟の股間はすっかりと大きくなっていた。
真白も息を飲む。
「ま、真白──大好きだ──。む、昔からずっと──ずっと真白だけが好きだ──」
「あ、あたしも──」
大悟が真白に覆い被さる。
硬いものが下腹に触れる。
熱い。
怖い。
身体が本能的に拒む。
でも──。
真白は大悟の目を見る。
怯えているのは、大悟のほうだ。
だったら、逃げるわけにはいかない。
「……大丈夫。入れて。一気に……いいよ」
一度関係すれば、大悟の性格から絶対に、真白を一生離さない。
大悟は真白のものになる。
「う、うん……。じゃ、じゃあ、いくよ──」
大悟が腰を押しつけてきた。
硬直しきったものが、何度か股間に当たり、いきなり押し入ってきた。
「ひあっ──ああっ、いたああっ──」
激痛が走り、真白は大声をあげた。
「わっ、真白──」
大悟がびっくりして腰を引きかけた。
「あああっ、だめえっ、一気に──」
真白が叫んだ。
すると、大悟が一気に最後まで怒張を真白の中に突き立てた。
「ふううっ」
痛みが小さくなり、それを上回る甘美が衝撃が襲う。
真白はぴんと上肢を逸らして小さく悲鳴をあげる。
律動が始まる。
大悟が熱いものが込み上がるような素振りを示す。
「くううっ」
すると、大悟が呻くような声をあげて腰を震わせた。
射精したのだ。
真白はほっとした。
やっと、大悟の精を受けることができた。
既成事実としてはほぼ完璧だ──。
真白はほくそ笑んだ。
「……あっ、真白……。思わず出しちゃったけど……避妊……」
すると、大悟が我に返ったように情けない声を出す。
そんな姿も可愛い。
真白は床に横になったまま、大悟を愛おしく見る。
「ふふ……大丈夫。夫になってくるんだよね?」
真白は微笑んだ。
大悟が赤い顔をして頷く。
「ご、ごめん……真白……。あっ、もちろん、責任取るけど……。だ、だけど……ごめん」
大悟が真白の中から男根を抜きながら謝る。
真白はくすりと笑った。
「本当に大丈夫……。ピルを飲んでるから……。まだ困るから……。でも、いつか、大悟の子を作る」
「そ、そうなの……」
大悟がちょっとほっとしたように息を吐く。
「それよりも……まだ、元気……。もっとしていい。大悟が満足するまで……。だけど、できれば、続きはベッドがいいかな」
大悟の股間はまだまだ元気だった。
だから、真白は誘うように言った。
「べ、ベッド……あっ、それもごめん……。初めてなのに、床でなんて……」
ちょっと冷静になったのか、大悟が申し訳なさそうに言う。
そういう態度も愛おしい。
「いい……。あたしが誘った。それよりも、制服はちゃんと脱がせて。皺になるから……。あと、トートバッグに手枷がもうひとつある……。ベッドに両手を繋がれてあげようか。そういうのも……やりたいよね?」
大悟の集めている写真の中にそういうのが多かった。
寝台や台に大の字で縛られている裸の女の写真──。
おそらく、大悟はそういうのが好き──。
「い、いいの?」
大悟が真白を見る。
「いい──。好きなことしていい……。それは約束。それに……」
「それに?」
大悟が覆い被さったまま上から真白を見下ろす。
「それに……あたしも嫌いじゃない。拘束されると、すごく興奮する」
真白は言った。
すると、大悟は嬉しそうに破顔して、真白を抱き起こした。