学園一の美少女は、キモデブの俺から絶対に離れない【完結】 作:ドン・ドナシアン
「……そこ、当たってる。少しだけ……後ろ、ずれてる」
真白がわずかに顎を引いたまま言った。
大悟の手は、股縄の位置を探ったまま止まっている。頭では手順をちゃんとなぞれているのだ。だが実際に通そうとすると、わずか数ミリの違いで意味が変わるようだ。
どこに置けばいいのか、決めきれない。
大悟は指で自分の額に浮かんだ汗を拭いた。
「だから言ったろ。股縄は難しいって。初心者がいきなりうまくいくかい」
ユイが横から低く言う。
「……余計なのはいらない。お前は、教えるのが役目……」
真白が眼を細めてユイを睨む。
その真白は、すでに後手縛りの状態だ。
ブラウスは完全に前が開き、白いブラが隠れずに露出していた。その上から通された縄は、胸の上と下を正確になぞり、布越しでもわかる輪郭を際立たせている。
首元には縄が一周だけ掛けられて、添えるように固定されている。
両腕は背中で完全にまとめられていた。肘から上腕にかけて身体に沿わせて固定されており、逃げ場はなく、わずかな動きも許されない。それでも形は崩れていない。むしろ、その拘束がそのまま身体の線を強調していた。
いまは、さらに股縄を施そうとしている最中だ。
腰に縄を回して、細く括れた部分に沿ってしっかりと締めた。そこを基点として、下へ落ちる瘤縄の位置を調整しているところだった。
わずか数ミリの違いで、意味が変わるということは、すでに実感している。
真白の負担にならないように、素早く位置決めをしたいのだが、すでに十回以上は縄瘤を解いては、作り直すということを繰り返している。
何度も縄を当てられては、やり直しを受けている真白は、小さな震えがとまらなくなってきていた。
それでも、姿勢は崩さない。
真白は声をかけ続け、大悟の縄を誘導してくれる。
位置を探るために、大悟は、もう数え切れないくらいに、白い下着の上から、何度も位置を探る指先を股間に触れさせていた。
そのたびに、股間の布がわずかに押し込まれ、形を変える。触れ方は一定ではない。外れ、戻り、また当たる。その繰り返しが続いていた。
真白の呼吸が、その都度ほんの一拍だけ浅くなる。
肌はうっすらと赤みを帯び、首筋から鎖骨にかけて細かな汗が浮いていた。熱が内側にこもり、逃げ場を失っている。
そして、白い布の中心に、いつの間にか、わずかに色の変わった部分ができていた。
最初から小さくはあった。
だが、股縄に挑戦を始めてから、明らかに広がっている。
そのため、指先に伝わる感触もわずかに変わってくるし、縄のずれも微妙に違ってくる感覚がある。
縄を軽く当てたまま、指で押さえる。布越しに伝わる位置を探る。
ほんの少し上か……?
いや違う。さっきよりは近いが、まだ決まらない。
「まだだ。そこで決めるな」
ユイの声が重なる。
大悟は反射的に力を抜いた。縄は当てたまま動かさない。位置だけを詰める。
指で押さえた部分に、わずかな抵抗が返る。布が押し込まれ、そのまま形を変える。
「んっ」
その直後、真白の呼吸が一度だけ浅くなる。すぐに整う。
「……もう少しだけ上……。ほんの少しでいい……」
声は変わらない。冷静な指示だけが落ちる。
大悟は視線を落としたまま、縄をわずかに持ち上げる。今度は、確かに近い位置に入った。だが、ここから引けば、またずれる。
「……今度……いい感じ。三つとも……当たっている」
真白の声は変わらない。しかし、切なそうな吐息が混じっている。
視線も揺れない。でも、見上げると、わずかに目尻が下がり、薄らと眼に潤いを帯びていた。
大悟は指に力を込めた。縄と布とをまとめて固定する。
逃がさない。その状態で、ようやく次の一手に入る準備が整った。
「よし──締め付けだ。そのまま瘤は動かすなよ。締めつけは効くところを探れ。こればかりは、相手次第で全部変わる」
ユイが真剣な口調で声を掛ける。
「……俺は真白のちょうどよさだけ知れればいい」
大悟は、それだけ言って、また視線を落とす。
指で押さえていた縄に、ゆっくりと力を込めていく。
「……大丈夫。ちゃんと誘導する……」
真白がわずかに息を整えながら言った。
視線は揺れない。呼吸もすぐに元のリズムに戻る。下着の染みは拡大し、震えも残っている。それでも身体の奥で起きている変化を外には一切出さないまま、ただ大悟を見ている。
「ユイ、説明。どのくらい締めればいいのか……。あたしが大悟に伝える」
「ああ、いいよ……。締めすぎず、固定になるくらい。でも、緩ければ意味がない。そんな感じだ」
短く、それだけ言う。
大悟は、徐々に縦縄を引いていく。
一気にはいかない。ほんのわずかに、様子を見るように……。
布越しに伝わる感触が変わる。さっきまで曖昧だった位置が、はっきりと輪郭を持ち始める。
真白の呼吸が、一瞬だけ止まる。
「……んんっ」
小さく真白の息が詰まる。
だが、すぐに戻る。
「……まだ少し弱い……と思う……」
声は崩れない。
大悟は、さらにわずかに引いた。
今度は、確かに“当たっている”。指先にその感覚が伝わる。
位置もずれていない。
はっきりとわかった。
これが、真白の丁度よさだ──。
その瞬間──。
「……っ、そこっ――」
真白の声が一度だけ強く出る。
同時に、肩がわずかに震える。
「ああ、わかっている……。ここだ」
大悟はそのまま止めた。
それ以上は引かない。
この位置、この強さ。
いまの状態が、そのまま“正解”だとわかる。
そのまま、素早く縄を留める。
ほどけないように、確実に固定した。
最後に軽く全体を引いて、ずれがないことを確認する。
形は崩れていない。
当たりも変わらない。
完全に決まった。
「……よし」
小さく呟く。
真白も、そのままの姿勢で息を吐いた。
わずかに肩が落ちる。
だが、それだけだ。
「……いい……。ちゃんと……来てる……。大悟……上手……」
声は最初と同じまま、静かに落ちた。
「……まあ、初めてにしては上出来だな」
横で、ユイが一度だけ鼻で笑う。
「……当たり前。大悟は上手」
真白がわずかに息を残したまま言った。
視線は揺れない。だが、口調にははっきりとした自慢のような響きが浮かんでいる。
「わかった、わかった。だけど、お姫様は大悟のことになると本当に面白いな」
ユイが軽く肩をすくめる。
首に提げていたカメラを持ち上げ、そのまま構えた。
撮影は途中で止まっていた。顔の上半分に付けていた白い仮面も外され、椅子の上に置かれている。
「なにが面白い?」
「全部だよ。あんたみたいな大美人が、そのきもダイに夢中なとこ」
「当然。あたしは大悟の妻」
真白は迷いなく言い切る。
「はいはい。じゃあ、続き行くぞ。仮面つけてくれ。最後の一枚──囚われの令嬢が快感と服従に染まるところだ」
ユイがレンズ越しに言う。
真白が小さく頷く。
そのまま身体を反転させて椅子へ向かう。後手に縛られたままの姿勢で、ゆっくりと歩を進める。
大悟は、後手縛りの真白に仮面を嵌めてやるために、椅子に手を伸ばした。
「……っ、あ……」
突然に、真白の動きが止まった。
次の瞬間、膝がわずかに崩れた。
「あ、ああ……」
身体を支えきれず、その場にしゃがみ込みかける。
「おっと」
大悟は反射的に手を伸ばし、真白の身体を抱えた。
柔らか乳房の感覚が大悟の手に伝わる。
「だ、だめっ」
真白の声が崩れる。
腰が引ける。だが、逃げきれていない。
後手に縛られた身体は、その場に留まったまま、わずかに揺れるだけだ。
「触るな、きもダイ──離れろ──」
ユイの声が飛ぶ。
大悟は反射的に手を離し、一歩引いた。
だが、視線は真白から外れない。
外せるわけがない。
滅多に見せない真白の余裕のない姿──。
呼吸が乱れ、整えようとしているのに、追いついていない真白──。
さっき決めた縄瘤の位置と、あの強さが、そのまま真白を追い詰めているのだ。
真白が歩こうとして、止まる。
動こうとして動けない──。
一歩踏み出して、真白の身体が遅れる。滲んでいた汗がさらに一気に全身から噴きだした。
同時に、表情が大きく歪む。
──効いている。
どこに当たっているかも、どのくらいの強さかも、さっきまでよりはっきりわかる。
指先に残っていた感触と、目の前の真白の反応が繋がる。
いつの間にか大量に口の中に溜まっていた生唾を飲み込む。
「きもダイ──首輪だ。仮面と首環、つけろ──急げ」
ユイが叫ぶ。
大悟は、なにも言わないまま頷いた。
椅子の上の仮面を取り、真白の顔に当てる。
ずれないように固定し、さらに、真白の細い首に首環を嵌める。
金具の音が小さく鳴る。
大悟は視線を落とす。
床に垂れている首環の紐を見た。
それを掴む。
少しだけ、引く。
「……んんっ」
真白の身体が、その場で止まる。
もう一度、引く。
今度は、わずかに前に出る。
だが足取りが揃わない。
一歩……一歩……。
遅れて、反応が来る。
「……ああ……」
真白の口から喘ぎ声が漏れる。
大悟は、そのまま紐を引いて歩き出す。
強くではない。
ゆっくりとだ。
だが、止めない。
いまの追い詰められている真白を歩かせる。
「どうした、真白?」
視線を真白に落としたまま、大悟は声だけを出す。
「な、なんでも……あっ、ああ……」
歩くたびに真白に前につまずくような仕草になる。
だが、大悟は敢えて速度は落とさない。
いや、もっと真白が苦悶する姿を見たくて、さらに速度をあげた。
「んああっ、ああ」
真白が歩きながらぶるぶると震えて、全身を突っ張らせる。
「歩けないのか?」
大悟は素知らぬ口調で紐を引く。椅子の周りを歩かせる。
真白の身体が揺れる。
次の一歩が、どんどんと遅れる。
「……あ、ああっ」
声が漏れる。
理由はわかっている。
それでも、大悟は止めない。
紐を引く。
真白の身体が、前へ出る。
その動きに合わせて、また反応が遅れて出る。
歩くたびに、同じことが繰り返される。
ふらつく足取りを、そのまま引く。
「言え、真白──。どうして、歩けない?」
短く言う。
真白の全身を目掛けて、嵐のようなシャッター音が重なる。
「だ、大悟──」
真白はついにその場にしゃがみ込んでしまった。
シャッター音が響く。
その全部を見ながら、大悟は紐を握ったまま離さなかった。
しばらく、ユイが真白の周りを移動しながら、撮影を続けていく。
やがて、やっとカメラをおろして、顔をあげた。
「いやあ、最高だよ。いい写真が撮れた。ご苦労さん」
ユイが満足そうに言った。
真白はその場に蹲ったまま、肩で息をしている。
呼吸は荒い。整えようとしているが、すぐには戻らない。
しばらくしてから、ゆっくりと顔を上げた。
「……そう……。じゃあ、終わり……。ありがとう……。お前はいい仕事した」
前髪が汗で額に張り付いている。視線だけがまっすぐにこちらを捉えている。
その顔に、大悟は一瞬言葉を失った。
可愛くて……とんでもなく美少女で……そして、途方もなくエッチで……。それが大悟の恋人……妻……。その真白を好きなようにしていい……。いや、実際にしている。
こんな相手を、さっきまで思い通りに扱っていいのだ。
その事実が、遅れて身体に戻ってくる。
自分の幸運を改めて思い知る。
「ああ、お姫様もな」
ユイはにこにこしている。
真白が足を踏ん張るようにして、緊縛の格好のままゆっくりと立つ。立ち上がる動きにわずかな遅れが出ている。股間の縄が喰い込み、内腿がかすかに震える。
足を揃えるまでに、ほんの一拍かかる。
「じゃあ、最後に写真チェックだ。投稿していい写真を決めるから、パソコンの前に来てくれ」
ユイがカメラを手に持って部屋の隅のテーブルへ歩いていく。
ノートパソコンを開き、ケーブルを差し込んだ。
「その必要はない」
真白が言った。
「おっ、そうかい? 全部、お任せでいいのかい。まあ、一応チェックしなよ。仮面で隠しているとはいえ、ネットに写真を出せば、永遠に残るんだ」
ユイがパソコンを操作しながら言った。
「どんな写真も許可なんかしない。世間に出したら訴える」
淡々とした声だった。
大悟は思わず顔を上げる。
聞き間違い……かと思ったが、違うみたいだ。真白の口調に迷いはない。
一方で、ユイは言葉の意味が頭に浸透するのに時間がかかったのか、少し反応が遅れた。
ややあって、がばりと顔をあげた。
「……はあっ、どういうことだよ──。投稿していいって、言っただろう」
ユイが怒鳴る。
「言ったけど、それは大悟に緊縛を教えてもらうための方便」
真白は迷いなく言い切る。
「方便──?」
「……当たり前。あたしは大悟のもの。縛られた姿なんて、赤の他人に見せるわけない」
その声が静かに部屋に落ちた。
「は、はああっ」
ユイの眼と口が大きく開いたまま止まった。
「お前はいい仕事をした。ありがとう。大悟も満足してくれた」
真白は表情を整えたまま、淡々とした口調で言った。